「ボディビルダー」報われない純心の三重構造(T^T)娯楽にしない誠実な作劇。役者は当然、音楽&撮影&照明も褒めようよ

流石にクリスマスには無理。辛すぎると公開当時見送った。

泣きながらのスマイルは「ジョーカー」より怖い。
ホアキンと逆方向で、肉体も完璧に仕上げた役作りと分かる。
 
 
ストイックな競技に闇落ちは付き物だからな。
話の展開を予想しつつ、決定的なネタバレ避けて世間の評は確認。
概ね高評価で、低評価の主な理由は、
 
 主人公に感情移入出来ないというもの。
それはそれで、きっと幸せな人生だ。

 
 
沢山youtubeも上がっていた。

主演のジョナサン・メジャースのDVの件も知った。
ヒース・レジャーを彷彿とさせる逸話だ。 
 役に、のめり込んだ為か、
 もともと、そういう人なのか、
当て書きに近い配役かもしれない。
 
 
更に、西野を思い出した。 
筋トレはむしろ、自己効力が上がると聞く。

  
ま。とは言え当然、闇は想像される。

 
 
と、軽い予習の後、予約。
寒々しい内容でも、今の陽気なら、私も耐えうる効力有るだろう。
池袋の広場は既に葉桜。見送ったチャンスを新文芸坐でリトライ
 
 
 《 開演 》 
  
   
これで、アカデミーの候補にも引っ掛からんのか、、、
DVは痛恨。
本人は自業自得だとしても、主役一人の映画製作じゃないからなぁ。
関係者はさぞ期待してただろう。

当事者のジョナサン・メイジャーズはスキャンダル無ければ勿論。
今どきのアメリカ映画とは思えない程の誠実な、
 音楽、撮影、照明にも、
何か上げたい。
更に、娯楽の味付けを拒否する脚本が特異でした。
 
制作の良心を讃えよう。(「ブゴニア」の悪口は控えよう)
本作は、
 「ジョーカー」のようなスペクタクルは魅せない。

 それを物足りないと感じる観客は、そりゃ居るだろう。
いや、
 作り手は、そんな娯楽作として消費されたくないんだよ。
 汲めよ。
と反論しそうになって、そいつ誰だ。
妄想は抑えよう。
  
新進気鋭イライジャ・バイナム監督の作家性を感じさせます。
むしろ、ヨーロッパの映画祭で賞獲るような作品。
   
 
確かな実力で、
主人公、役者、制作と、三層それぞれに純粋な仕事を堪能。
しかし、、
それが報われるとは限らない。劇中じいさまのセリフ通り。
現実は辛い。公平には往かない。
まあ、
作品に罪は無いと主張するのも微妙かなぁ。。内容が内容だけに。
 

 これからは人に優しくして、生きてゆこう。 
そう反省しつつ、映画館を後にしました。
  
 
以下詳細に分けて、
主演の演技は予告ら充分凄さが伝わると思うので、
あまり言及されないけど、褒めたいこと褒めます。
 
 1.撮影 教科書通りと、見切れるアップ 
 2.Jason Hillの音楽 ヤれば出来るじゃん
 3.照明 ブルーライトに赤い光線
 4.構成は詰将棋(ネタバレ)
 5.先例に従わない脚本に同意(ややネタバレ)
 6.主役の復帰、監督の次回作がアンサー
 7.教訓 チートミールも必要 
 
これだけのクオリティ報われて欲しい。
 
 
1.撮影 教科書通りと、見切れるアップ
 最初に目を惹くのはカメラ。
 広いスクリーンにミチミチの画角だ。映像に、こだわりが有るはず。
  
 教科書通りの構図、特に”額縁”や”奥行き”を効果的に使う。と感じ、

 この画作りならスクリーンで観て後悔は無いと一安心。
 
 近年の映画は、あまりカメラを動かさず、
 カットを多く割りガチだと認識している。けれど、
 本作では、
  カメラも善く動いて、比較的長回し。
  かと言って、狙ったアート系ではない。
 本作の、このくらいのカメラワークが標準的だよな、本来。

 主人公の境遇を的確に伝え、効果的でした。
 
 その上、アップのシーンになると。
 頭が見切れるほど、
 寄る。
 あえて、スクリーンの幅が余る。
 予告編のジョーカー風スマイルからも分かる。
 表情は逃さずに。フォーカス。
 集中線が書き込まれているかと思う程。
 
 一見、安心の画作りと油断させておいて、
 伝えたいものが明確にある。
 恐らく、
  公開後の配信も重要な現代では、表情のアップは欠かせない。
 そうトレンドが代わった。
 
   
 娯楽作でも、アート系でも、
 緊張感溢れる演出も大丈夫と、画作りで一安心、
 (説明全盛の現代アメリカ映画は、信用出来ない、インディとは言え油断しない)
 リラックス。
 私はファイティングポーズを解いた。
 
 
 
2.Jason Hillの音楽 ヤれば出来るじゃん
 音楽監督の名は存じ上げず。

  ヤれるってとこ聴かせてくれました。
 アメリカ映画では、真面目な劇伴は絶滅したものと思っていた。
 
 やり過ぎず、ヤラな過ぎない。
 程よき。
 その上、既存曲も有効に使います。 

  破壊的内容に、牧歌的で情緒を誘う。
 組み合わせの妙、
 リラックス。
 私は深い呼吸を取り戻す。アメリカ映画でもイライラしない。
  
 
 ああ、ヨーロッパで評価されちゃえ。
 過酷な環境でも、生き延びてと祈る。
 
 
 
3.照明 ブルーライトに赤い光線
 夜、室内のシーンも多く、画面が青い。
 LEDと思しきブルーに赤が射す。

 
 そう統一された照明は美しく、ただ意図は分からない。
 静脈と動脈、理性と感情、などと浮かんでは消え。
 明確なことは言えない。
 
 青は本来、精神を安定させ、脳に集中を取り戻す色
 主人公はそれが出来ない。
 脳に障害が有るのか、精神が既に壊れた後なのか。
 遺伝かもしれないが、幼少期の家庭は劣悪だったと知れる。
 育った環境の影響は否めない。
 演者も然り

カリフォルニア州ロンポクで生まれたメジャースは、
牧師の母、姉のモニカ、弟のキャメロンと共に、
父が空軍に所属していたためヴァンデンバーグ空軍基地で幼少期を過ごした。
2020年のインタビューでは「父は私たちを心から愛していたが、
なぜかある日突然姿を消した…
そして17年後に再び姿を現したんだ」と語っている。
以来、メジャースは父親と再び関係を持つようになっている。
一家はテキサス州内を転々としダラス、
オースティン郊外のジョージタウンに住んだ後、シーダーヒルで育った。
メジャースはシーダーヒル高校から転校した後、
2008年にダンカンビル高校を卒業した。
 
10代の頃のメジャースは、
万引きで逮捕されたり、ケンカをして高校を停学になったり、
生活のために2つの仕事を掛け持ちしながら車で生活していた時期もあり、
数々の苦難に直面した。
そんな中メジャースは演劇の世界に“安全な場所”を見出した。

 ただし、
 有名俳優の仲間入り。そこに救済が在り、劇中と異なるけれど。
 それでも、運命は性格。
 
 脱線してしまった。。
  光と影でなく、
  闇の中に、眩しくブルー。
  理不尽な照明が、物語全体のトーンを支配して、
 私は照明に拍手。
 
  
  
4.構成は詰将棋(ネタバレ)
 ちょっと特異な構成に、驚いた。定型三幕構成から外れる。
 冒頭から、設定のプレゼンは淀みない。
 
 主人公の絶望がこれから描かれることに、
 まるで、詰将棋の読み筋を明かすように、
 このルートはダメ、このルートも行き場が無いと、
 希望を一つづつ絶って逝く。
  
 それもリベラルに支配されたアメリカ映画界で、
  社会や政治への主張を諌め、
  世界は元々理不尽と語り、
  しかも自業自得が描かれる。
 容赦無い。逃げ道を許さない。
 

 冒頭のシーケンスからは、
 家庭の絶望を提示して、恋愛方面の蜘蛛の糸。
 ”高嶺の花子さん”とのデート。

 まあ、そっち方面は諦めよう。他者との心の交流は脳が無理。
 ストイックに頂点を目指そう。

  矢沢心はよくぞ、魔娑斗を支えたものだねぇ。
  現役当時、精神は重圧でヤバかったと聞く。

 それはさておき、
 詰み筋が並列的に抜け道を塞ぎ、息ができない。
 状況は螺旋的に悪化。
 (ここで感情移入してしまうかどうかは、観客の人生経験に拠る)

 
 当然ながら、「ジョーカー」はじめ既存の着地を想像してしまう。
  主人公はどう、己の人生に決着を着けるのだろう?
 ありふれた結末は、今さらと思うけれど、どう畳むのかな。
 
  主人公の行く末が中心の謎となる。
 感情移入無理だったり、MCU俳優のスペクタクル期待で観てたりだと、
 途中で脱落は仕方無い。
 
 ここまで、作家性全開なのだから、凡百なオチは観たくないと願う。
 

 救いとも、救いが無いとも、言い難くエンド。

 救済の現実とは、こういうものかもしれない。。

 観終わって、こんな顔↓に成る。

 それはそれで本来の映画の醍醐味。
 ハリウッドメジャー資本じゃ出来ない。
 
 絶望そのまま、詰んだまま。何も解決しない。
 爽快感無き爽快に同意。
 まあ、報われることが、人生の価値そのものではないか。
 
 
 
6.主役の復帰、監督の次回作がアンサー

 結局は今後の歩み方だと思う。
 成功かどうかは置いて、
 せめて、壊れずに滅ぼされずに、生き延びてくれたら。
 
 気鋭のバイナム脚本監督の気骨ならと、奇跡に縋る。

 ふと、頭掠めてしまった。
  あの頃↓のダニエルズ監督も、A24も、もう居ない。

  「エブエブ」を観て、禁断のドラッグに手を出したと絶望。
 
 希望は無くとも、生きて往かねば。
 そんなエンディングでした。クリスマスには向かないよ。 
 
 
 
7.教訓 チートミールも必要 

 ストイック一辺倒は、逆効果ってこともある。らしい。
 
 緊張は脳に悪い。呼吸とリラックス。

  まずは生き延びて。上手に受け流す。
 
 緊張をリセットする術を持つ人が勝者、
 この世は、そういう競技だなぁ。人間だもの。

  爆死したっていいし、
  失敗は失敗で認めればいい。
 無理に現実を否定して、緊張を溜めても、自分にダメージが返るだけ。 
  
 人に優しく、自分に甘く生きよう。
 
 
 
次回作にも期待。 

取り替えられない自分とダンスを上手く踊るなら、
 
 
 
2026.04.13 15:00 現在
 テクニカル的には、衆院選時点の高値圏の攻防。
 ま、戦局次第ですけれど、
 泥沼化しそうに無いので、6万円台をいずれ目指すと想定。

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