ストーリーとか、どうでもいい。自由になりたい。
’伏線回収’は、ありがたくもない。
私は今さら、気持ち良くならない。
何年も掛けて用意するなら、出来て普通。
毎週律儀に連載の「ワンピース」を貶すのは不公平で、
快楽の消費は、五十歩百歩。
”正解”への信仰には、ついて行けないな。
そんな気分で、迎えた朝。
文芸坐にアントニオーニと知り、衝動的に予約。
⋱チケット販売中!⋰
巨匠アントニオーニの黙示録。愛と自由への渇望🗓️7/3(金)・4(土)・6(月)~8(水)
🎟️一般1500円、各種割引1100円
『砂丘』
監督: ミケランジェロ・アントニオーニ
出演: マーク・フレチェット、ダリア・ハルプリン
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— 新文芸坐 (@shin_bungeiza) July 7, 2026
物語の消費から逃れたくて、不条理の巨匠を欲してしまった。
プログレは、長くて難解で、分かりません。
ところが、
ピンク・フロイドは、単なる劇伴扱いで、
主役は、むしろエンデイングのロイ・オービソン。
と知り、安心。
それに、
荒涼たる景色の似合うサム・シェパード脚本だし。
ヴェンダースへ繋がる。
大金投下したハリウッドでも、イタリアの芸術家はヤりたい放題、
評論家受けは良くも、当然の不入りで、
画一な大量消費社会に、異国の大人が勝手に中指立てる本作と。(後述)
その痛快に期待してしまいました。
《 開演 》
期待通りに痛快で、物語消費にお構いなし。
序盤はテンポ遅く、若干ウトウトしましたが、
逃避行始まってからは心躍る。
説明無しの心地よさ。
ああ、もう付き合わされなくてイイんだ。
せめてスクリーンでは。
酔狂なカネの使い方に、爽快を取り戻して、
満足至極。
パチンコ、ラーメン、風俗と、
奇妙な趣きが彩る東口をスタスタ下って行きました。
「檸檬」そっくり。(後述)
京都の’無敵の人‘二軍みたいな話、教科書で教えるのか。。
「金閣寺」の三島由紀夫が褒めるのは当然としても。
映画は言葉では、伝えないけれど。
そうと思って観れば、難解でも不条理でもありません。
ソロバンいっぱいの画角で、壮大な梶井基次郎も乙。
お奨め。
飛躍した表現も楽しめればと、條件付きですが。
1.感想全般
2.内容は「檸檬」
3.批判は囚われ、放埒の自由
4.鑑賞と考察の違い(おまけ)
※ネタバレ気にする程の物語無く。大丈夫と思います。
「檸檬」はネタバレ。
1.感想全般
音楽は、
映像有りきの作品で、劇伴として機能するよう細心。
世間の評どおり納得。
ピンク・フロイドらしさより、アントニオーニ全開。
芸術は爆発だと、圧巻のラストシーンでした。
やはり映像こそ。
キャンパスやオフィスは味気なく、そこから、
デスバレーのロケは圧巻。
どう撮ったのか分かりませんが、ハリウッドは桁が違う。
閉塞からの解放を求めて、逃避行が始まると、
眠気が醒めた。
アメリカで撮っても、アントニオーニはアントニオーニ。
囚われの構図と、去ってゆく姿。
南北に伸びる山脈の下、死の谷にて、
その乾いた大画面に、ため息ついてしまう。
オーディションで選んだ役者たちは、素人同然。

彼らは、リアルにニューエイジで、ニューシネマでした。
しかしハルプリンは、何らかの理由でコミューンを一年以内に去り、
デニス・ホッパーと結婚することになる。
あくまで客観的に見れば、ハルプリンのヒッピー的な価値観と
コミューンの女性蔑視的な価値観は、
最初から合うはずがなかったと思われる。
フレチェットはコミューンに残り続ける。
しかし、シャロン・テート殺害事件を起こしたマンソン・ファミリーとの
比較がマスコミに騒がれ始め、
ライマン・ファミリーは影響力を失っていく。
フレチェットは、1973年に銀行強盗の罪で現行犯逮捕される。
獄中でバーベルを持ち上げている最中に事故死している。
27歳の若さだった。
余り演技をさせず、美しく風景に溶けゆく。
マークとダリアは古代の亡霊たちを呼び寄せる。
肌の色や線と形、風景が溶け合い、
人間というよりも別の動物になって愛し合う。
肉体と肉体が色や形を失う。
このときザブリスキー・ポイントは、バニシング・ポイントとなる。
原始的な風景であり、月面のように未来的な風景でもある。
このシーンのエキストラは、当時アントニオーニが興味を示していた
オープンシアターの劇団俳優たちによって演じられている。
ダリアの健康的な肌の色が、砂丘と見事に溶け合っている。
彼女は初めから野生の魔女であり、月面の巫女だった。
ストーリーは単純。不条理味あれど、難解ではなく、
私は映像に浸っておりました。
鮮明なラストの色彩は、まんま’ジョーカー’予備軍の短編小説の、
カリフォルニアの果実の黄色を彷彿とさせる。
せっかくの映画体験は、こうでなくては。
2.内容は「檸檬」
久方振りに、読み返してみました。

え、これで終わり!
初めて読んだとき、
何故これが名作なのか、まったく分かりませんでしたよ。
八方塞がりな青年は、鬱気味で、世間に嫌悪感を抱き、
好んで裏道を歩く。
【文学エッセイ】古都の影

色とりどりが並ぶ一軒の果物屋で、
絵具のように単純な色の紡錘形を一つ買う。
改めて読むと、
鮮やかな色彩感覚と鋭い嗅覚を、読者に体験させる文章で、
図形的な構図にも優れる。
’無敵の人’に落ちてゆく心象を切り取ったコンテンツは、
今でこそ、
ありふれてますが、大正14年とは。
映像的に鋭角な表現にも驚きます。
内容も去ることながら、
内面を静物的映像に投影して描くので、
幾何学的映像に刺激され、連想したのかも知れません。
まあ、最後が、
閉塞からの解放を夢見て爆破なのすから、
深層から浮かび上がって当然ですか。
結核で夭折しなかったら、
作家として大成していたか、
世を恨んで、やはり。
幸福でも、凡人でも、こうは書けまい。
映画は乾いて、もっとクールですが、難解ではなく。
爆破したい多数派が居るかどうかで、
共感や理解度は個人差生まれるでしょうね。
3.批判は囚われ、放埒の自由
セスナは自由の象徴で。
60年代アメリカの学生運動からの逃避なのが、
外国人らしい巨匠の視点。
権力批判をする人が、自由を愛する訳でもないんだよな。
体制に抗い、多様性を謳う西海岸でも、
画一的な言動に染まる。それ以外の選択肢は無い。
赤化した国を思い出さずとも。
かと言って、
物欲や名誉欲も、さほど強くない。
それはそれで、邪魔くさい。
ただ、此処ではない何処かへ行きたい。
アメリカに染まれない気質は、
そんな気分を描いていた。
必ず答えが用意されると信じても、
作者の匙加減ひとつを当てても、報われない。
さほど楽しくない。
と、
そんな気分で今、
不条理なハリウッド映画を銀幕で鑑賞出来るのは、
やっぱり僥倖だったな。
せめて、
コストを払う映画くらいは、
お手軽な報酬系に埋め尽くされないでと、
願ったり、不安を覚えたり。
行為は同じでも、
別の楽しみを楽しんでいると、やっと思い至る。
4.鑑賞と考察の違い(おまけ)
もいちど、おさらい。

ただ面白いとかただおいしいとか、感動を与えるだけでなく、
そこにプラスアルファの「意味ある時間」に変える工夫ができると、
流行する。
──本書で読み解くのはそんな現象の数々です。
「意味ある時間」を求める若い世代の消費行動を、
本書では「報われ消費」と呼ぶことにします。
つまり、ただ楽しい時間を過ごすだけじゃない。
その時間が報われるポイントがわかっていると、手を伸ばしやすくなる。
たとえばガラス細工を見て感動するだけじゃない。
ガラス細工の写真が残るという一つの意味ある時間の証に変えたい。
たとえばドラマを観て楽しむだけじゃない。
その先の展開を予想して当てにいくことで、ゲームに勝った実感がほしい。
連載再開しても、
もう読むことはなさそう、でも解説動画くらいは、まだ楽しみたい。
よく整理された動画。稀少かつ出来も素晴らしく。
それから、
考察と言う名の展開予想を幾つも視聴。
画や演出を褒める動画は無かった。。
それは兎も角、
予想を裏切る頭脳戦が中心ではあれど、
限定された設定の中で、
ドラマを魅せるが楽しいと。
記憶していた。
随分と、推理ゲームに寄せている。
読者の問題か、作者の趣向か判らないが、
嘘ついてるだけとか、
本人認証も無く、不正の罰則もヌルい設定を許すとか、
それが正解だったら、ご都合で、面白さ台無し。
という視点は無いんだ。。
認証と乗船の確認は本人で「犬神家」的工作。
MC役は、嘘はついてないが、全て暴露もしない。
とか、
設定を無意味にしない範囲の推理でしょ。
レギュレーション無しの正解当てでも、楽しめるのか?
当たりさえすれば、脳汁が流れるのか。
作品自体が、ご都合に落ちてしまえば、
展開当たっても意味なくね。
批評的視点を持たないとは、こういうことなのか。。
そういえば、
今でも「hunter」好きなら、
「ゴールドボーイ」も好きそう。
かつて好評と聞き500円払ってアマプラで観た。
終盤の展開の雑、あまりのプロットの粗さに呆れる。
”胸糞だから”とかの評価は、ドーデモいいが、
序盤、
物語の設定や、リアリティラインを観客に示すことを、
セットアップと言い、
この作品の冒頭では、
鑑識の死亡解剖で、胃から睡眠薬検出される。
科学的捜査も行われるのが、この作品の現実と観客は知る。
が、
終盤には設定を無視し、死因の偽装に成功。
ご都合を物ともしない。子供だましが過ぎる。
これで、高評価なの?
どんでん返しや、伏線回収なら、何でも手放しで喜ぶのか?
落差があれば、全てストライクか?
こういうの褒めると、粗悪なもので溢れてしまう。
ジョーカー以上の破壊神。
伏線回収を当てて、脳汁が流れる快楽とは、
鑑賞は別の楽しみだった筈。
推理ものを楽しむって、そういうことじゃなかった筈。
不自然さを脱臭する技巧は、見せてくれないんだね。
鑑賞とは、違う楽しみ方をしてると、
当時思い知った。
考察は、作品を疑うは悪と言わんばかり。
いや、
制約と誓約。
ご都合はヤラない、認めない。
お互い約束を守ってこその楽しみ。だったはず。
時は流れた。
本作は、70年公開。
現代の物語の消費に飽きた身には、大変好ましくも、
興行は振るわなかったらしい。
配給のMGMは吹き飛んだ。
もう、ニューシネマも終わり、
これから娯楽回帰が幕を開ける。
2026.07.08 16:30現在
今週は、-2σに接近しております。
6万3千円付近まで下げて不思議はありませんが、
W杯終了と日銀利上げが、今後直近のイベントで、
一旦スクイーズしてから、大きく振れる気がしています。
