配信無料なのですが未見。有楽町角川で、この怪作を拝めるならと予約。
8/20(木)#角川映画祭 角川シネマ有楽町 の上映予定
(#LOVESONG) 10:30
(#LOVESONG) 13:00#スローなブギにしてくれ 15:25#蘇える金狼 18:00『(LOVE SONG)』は劇中バンド【 】 オフィシャルステッカーを 先着順・数量限定で配布予定https://t.co/KaxUMlVR4S pic.twitter.com/aiAZneoE03
— 邦画クラシックス@角川シネマコレクション (@kado_cine) August 19, 2026
前日「急に具合」を観て、
社会のせい、資本主義のせいと他責で、
自分は若者搾取しても、
自覚無いクズが真性のクズ。
それ喜んでる若者も、なんだかな。
クズな主張と、説明に終始する作劇が相まって、
芳しくない鑑賞後感で終わる。
クズをしっかりクズに描く本作は爽快と期待。
とりわけ、世間の評には、
大正生まれの敏八監督は、
幾つに成っても大人の責任を引き受けず、
一方で、若者を搾取する。
そんな団塊の世代を断罪。
と有り、
前日のリカバーを目論んだ。
片岡義男は、私が中高生の頃ブームかな。
バイクに興味ありませんでしたが、
湿度低くオシャレなカリフォルニアの風という印象。
村上春樹以前には日本の作家では唯一、
アメリカンなテイストを感じさせてくれた存在。

この短編集が印象に残っているのですが、
Kindle化されてないのか。

本作の元ネタ(の一つ)は、一遍だけ(短編集に非ず)Kindleで読めるようです。
原作というより、原案の一つで、映画と小説は別ものらしい。
経緯は、予習しておきました。
青春映画と言えば藤田敏八だからと、角川春樹が推したと。
また、
「上海バンスキング」の監督を予定していた処、企画が難航し、
スライドで、お鉢が回ってきたとも。
後者の方が信憑性高そうです。
例えば、相米慎二監督なら、
片岡義男の世界観を再現した青春もの、チャント映像化したかも。

本作も「セーラー服と機関銃」も、1981年公開で、手一杯だったか。
敏八監督は、
こんなカラッと爽やかオシャレをオレが、、
と驚き、反骨心を燃やして、オファーを受けたらしい。
短編だけでは、尺が足りないこともあって、追加は必至。
しかし、
プロデューサの意向ガン無視で、原型を留めない改造は確信犯的。
なるほど、
片岡義男のままでは、団塊の世代を断罪とは成りますまい。
福田雄一作品並に、原作勢からは嫌われた様子。
製作の経緯は理解して、更に評を追うと、
評価はマチマチ。
浅野温子だけが良いという声も多い。
また、
山崎努をクズに描き、それが団塊の世代を代表させると、
その解釈は、定着しているようです。
ああ、そう言えば、
中高生の頃、TVで放映されたの思い出した。
つまらなくて、すぐチャンネル変えたけれども、
猫の扱いが酷いのは記憶に残る。
とにかく、
クズな大人をクズに描いてくれれば良し。
有楽町駅へ。
《 開演 》
想像の斜め上で、観て大満足です。
個人的には、
浅野温子よりも、
ヤりたい放題、自由な作劇そのものに拍手です。(後述)
そして、
クズはクズに描かれていました。
ただし、
これを”団塊の世代を断罪”とは、私は解釈出来ないな。(後述)
では、項目ごとに。
1.ごった煮ストーリー 群像劇にしても
2.ヤりたい放題の映像
3.ラストの解釈(ネタバレ不可避)
3.1.山崎努の見立て
3.2.浅野温子の意味
4.清々しいクズのままで 「舞姫」参考
本作の魅力が語れたら、嬉しい。
1.ごった煮ストーリー 群像劇にしても
予習した通りで、片岡義男の短編から3エピソード採り、
おじさん山崎努中心に、その周辺の物語は全てオリジナル。
半分以上はオリジナル側ですね。
オリジナル側も、
別の企画用に脚本が予め存在。
別の原案から採用。
などの可能性有ると思われ。
山崎努側の環境は、
一本の映画作れるくらい複雑で、
若いカップルが主役なら、本来はやり過ぎ。
敏八監督は、
”原作”お構いなしに、山崎努に自己投影し、比重掛ける。
サブストーリーのバランスでない。
のみならず、
繋がり綺麗にすることさえ諦め、
毎度、脈絡無く、突然3人の内、誰かのイベントが発生し、
かつ、
起伏の激しい感情が、ノーモーションで炸裂。
いつもなら、こんな粗い脚本に対し、
そうはならんやろ
とツッコむ処、それすら出来ません。
どんな関連が有って、今イベントが発生したのか、分からない。
ただ突然エピソード始まり、俳優たちは喜怒哀楽を顕にする。
しかも、古尾谷雅人の演技では、
その感情も、輪をかけて分かり難く、笑ってしまう。
普通に考えれば、論外ですが。
こういう作劇なんだなと、素直に途中で諦めて、
次から次へと起こるトンデモな場面場面を楽しみました。
それぞれのエピソードを気楽に楽しみます。
関連とか気にしません。意味は追いません。
群像的な連続ものと思えば、そういう展開も有るかな。
そのつもりで観てました。
群像劇のセオリーは、有るには有る。
群像劇の書き方
本作、”交差型”に分類出来。
キャラクターたちの物語は基本的に独立しているが、要所で交差する。
最終的に1つのテーマが浮かび上がる。
-中略-
交差型を設計するコツは、
全キャラに「共通の場所」か「共通の時間」を持たせること。
室田日出男のバーが共通の場所。
ただし、
感情はノーモーションで爆発しますから、
”感情曲線が交差する”かは、分かりません。
共通のテーマは、有ると言えば有る。
居場所とか、帰るべき場所の喪失とか。
野良猫は、そのモチーフ。
それで、辛うじて観ていられる。のかなぁ。。
2.ヤりたい放題の映像
猫の虐待も、公道でのカーアクションも、
ヤりたい放題で、まさに昭和。
令和なら、捕まるでしょうね。
ここでは、一旦その善悪は置きます。
(過去を遡って、現在の常識で裁くのは、
有効では無いとは思うけど、)
あくまで映画の鑑賞体験として、
そのバカバカしくも暴力的な、
成長期の終わりのエネルギーを堪能します。
敏八監督は、オシャレやアートはヤル気毛頭無いですから、
ベタで分かり易い画作り。
それでいて、
荒々しく、実験的、前衛的技法を、ふんだんにブッコむ。
デ・パルマだけでなく、同時期の鈴木清順も連想しました。
原田芳雄だし。
サイケ味も満載で、何処となく劇画調。
なのに、
随所に挟む曲がクールで、逆に悔しい。
そこ、面白がれるか、どうか。
退屈なら、退席した方が、時間の無駄避けられます。
浅野温子は双葉より浅野温子で、
私はさほど趣味じゃないので、興味惹かれません。
それよりも、
70’sの暴力的な青春映画の最後を見届けます。(後述)
80’s角川映画は、もう少しドライでクールな若者文化を志向。
西武グループとか、
セゾン映画も始まる時代。
広岡監督が82年に就任して、工藤や渡辺久が新人類と言われた。
かつての新感覚派も、
今は、おじさん。
ヤりたい放題の最後っ屁を私は楽しみました。
この疾走感は、70年代特有。
3.ラストの解釈(ネタバレ不可避)
本来であれば、
主題歌が流れエンドマーク。で何の問題も無い処。
湘南風味が原作の風味で、
亀田校長プロデュース、GLIM SPANKYカバーの方が、
映画のテイストを伝える。
昭和は、これからバブルに突入。
70年代までが猥雑な成長期の最後で、
80年代になると華やかで、エンタメも健全に整備されてゆく。
アングラから、お昼休みのウキウキウォッチングへ。
私は本作を、70年代のレクイエムとして観ました。
責任を引き受けないのは、
団塊の世代の専売特許とも言い難い。
という感覚は有る。
(そんな団塊のダメ経営者に、
私は程よく無能で、搾取される側の若者でしたが)
ま、クソの正当化を許さなければ、それで。
3.1.山崎努の見立て
最後、山崎努の怯えた姿は、
団塊の世代を断罪というよりは、
未来は決して明るくないけれど、
映画人として、渋太く生き残る敏八監督。
自ら心中を望んだようには、見えない。
ハンドルを切ったのは、助手席じゃないかなぁ。
バブル崩壊で、
団塊の世代だけが、生き延びたとは言い難いかなぁ。
他責でズルい立ち回りが出来るかどうかは、
個人差も大きい気がする。
そんなことより、白い外車の最期が、
時代の終わりを象徴して、
無法な疾走の終焉を予感させました。
これからは、こんな撮り方出来そうに無い。
3.2.浅野温子の意味
家出少女、不良少女。
明らかに、野良猫ロック梶芽衣子の系譜として登用。
秋吉久美子が継いで、本作に至る。
うーん。浅野温子じゃないなぁ。
それはさておき、
敏八監督の代名詞とも言える野良猫少女はこれで、お終い。
私には、そう聞こえました。ラスト山崎努のセリフは。
4.清々しいクズのままで 「舞姫」参考
本作と関係無いけど、おまけで思い出しました。

友人が、森鴎外を読んで、ピンと来ないと。
クズを美化しただけなのか?
明治の文豪は、
自身の投影である主人公を、
クズをクズとして、自覚的に描いている。
凡人なら、自虐や露悪は出来ても、
美しい筆致では書けない。
ま、
買ったでなく恋した。は美化かもしれないが、
清々しく、クズのままに描いている。
文豪の文豪たる所以かと。
芸術家は、何処か狂ってないと務まらない。
人格はクソな方が普通と思って無難。
クズの正当化は矮小で、小物感が残る。
コンプラの厳しい令和では、
スケールダウンやむ無しかもしれない。
とりあえず、70年代までは、自覚的に描く。
クズか大人かは相関無く、
自覚の有無が成人で、責任能力はまた別のお話。
そんな映画鑑賞でした。
敏八監督の遺作は、88年の「リボルバー」。
奇しくも、この作品が日活映画終焉の引き金を引いた。
時代に合掌する映画体験と、承知して観るなら、お奨め。
ありのままが、愛おしい。
2026.08.21 10:00現在
20MAの攻防。
その結論は、来週かな。
