「悲愁物語」カルトを貫く鈴木清順ヽ(; ゚д゚)ノ冴える舞台的演出&衣装と江波杏子の魔女 


今どき、こんなカルトオブカルトな作品を、
スクリーンで観ることが叶うとは。どうかしている。

奇作揃いの鈴木清順のフィルモグラフィの中でもとりわけぶっ飛んだ一作だ。
 なぜこの映画を今週上映するのかって? 
お気づきの方もいるでしょう。キムズビデオでイチ押しの商品だったからだ! 
アロノフスキーも借りていた(たぶん)! 
アメリカでもカルト的人気が高い『悲愁物語』、
ブームの火付け役がキムズビデオだとしたら熱いっす。

朝イチの初回に、急ぎ早稲田松竹へ、
 
 
 《 開演 》
 
 
好事家なら、一見の価値有り。
 シネマスコープを意識した、
 舞台的演出と映像の企て(後述)は、
やはり、映画館で鑑賞したい。配信では威力半減。
このチャンスを逃さず掴み、幸せ。
 
この後、世界的評価を確立する作品なら、

まだまだ再映の可能性も考えられる。
が、
 
 
1977年、
 スポ根漫画で当てた梶原一騎が道楽で、
 日活をクビになり、干された鈴木清順を監督に選び、
 10年ぶりに制作させた、どうかしている本作。
そのリバイバルは貴重オブ貴重。
 
  
百聞は一見に如かず、
本当に、笑っちゃう程、どうかしてました。
 
 1.鈴木清順における、本作の位置づけ
 2.舞台的演出、映像の魔法
 3.衣装とプロポーション
 4.江波杏子が本当の主役
 5.壊れた脚本はどこから?(ややネタバレ)
 6.前衛でも娯楽を貫く
 

1.鈴木清順における、本作の位置づけ
 最初に一旦、経緯を確認。
 当時の鈴木清順は不遇をかこつ。

1967年(昭和42年)には宍戸錠主演の「殺しの烙印」を発表するが、日活社長・堀久作の逆鱗に触れ、翌年同社を追われた。
これに抗議したファンや映画関係者は「鈴木清順問題共闘会議」を結成、
デモを行うなど、一時は社会問題に発展した。
1968年、シネクラブが企画していた「鈴木清順作品三十七本連続上映会」へのフィルム貸出を日活が拒否したことに端を発し、
鈴木は日活から解雇された[9]。
これが当時の日活社長堀久作の「わからない映画ばかり作られては困る」の発言による鈴木清順解雇事件である[10]。

 まだコンスタントに娯楽作を世に出していた日活に、
 ”わからない”作風が嫌われ、遂に解雇される。
 本作の後、独立系の配給で、
 娯楽作の縛りを取っ払って、世界的に評価される。
 インディー映画の市場が当時、存在していたら、
 違う世界線で創作出来たことだろう。

1980年(昭和55年)には内田百閒の「サラサーテの盤」を原作とした「ツィゴイネルワイゼン」を完成させ、
プロデューサー荒戸源次郎の試みで巨大なテントを会場とした上映方式で興行した。
十年間の鬱屈を全て晴らすように、一切妥協しないという創作態度で挑んだこの作品は、
第54回キネマ旬報ベストワン(これが初のベストテン入賞でもある)[18]、芸術選奨文部大臣賞、第4回日本アカデミー賞最優秀賞作品賞及び最優秀監督賞を獲得。ベルリン国際映画祭に出品されるや、国外の映画関係者に激賞され、スペシャル・メンションを受賞する快挙を成し遂げ、国内外で高く評価された。

 本作が制作された経緯は、以下に詳しい。
『悲愁物語(1977年)』~「三協映画」魔のトライアングルより生まれし鈴木清順の色彩遷移アクション~

異なる三つの世界の製作者が「三人で協力する」ものして命名されたのが「三協映画」です。
まぁ、今でいうところのメディアミックス戦略みたいなものでしょうか。
漫画→アニメ→実写映画というのは当時飛ぶ鳥落とす勢いの梶原一騎にとっては自然な商流といえるものだったのでしょう。
三者三様の思惑はともかく、その魔のトライアングルから生み出されしモノは一体何か?
それは日本映画史上最凶といってもいい『悲愁物語』という映画です。

 人間は変わらない。ブレず、懲りない。

おそらくこれは女優を売り出すというある種の道楽的な動機から企画された映画である事は想像に難くありません。
と、まぁ企画意図通告りに両者の利害が一致しているのはせいぜい映画の前半30分くらいではと思います。

 芸名が”白木葉子”から察するに、愛人かもと邪推してしまう。

 本作、ホラーっちゃホラーだけど、安くはない。
 脇の俳優陣は豪華。
 梶原一騎のカオと、監督の人望ですかね。
 
 最初は、(ステークホルダーを欺くためか)
 安いスポ根ものでスタート。
 しかし、
 江波杏子が表れると、作品も本性を顕にします。
  
 世に出た時には、梶原一騎も手遅れだったのか、理解が有ったのか。
 前者であれば、そりゃ日活がブチギレも仕方なし。
  映画の作劇に対する信念と、
  観客に対する旺盛なサービス精神。
  ヌーベルバーグ以降、斬新さを求める時代の空気。
 カルトを産む、必要にして充分な条件が揃う。
 
 劇場で確かめて、ああナルホドと。
 狂ったものを観て、爽快でした。
 
 やっぱり、運命は性格。
 
 
 
2.舞台的演出、映像の魔法
 スクリーン一杯に横長の画角。
 ああ、そういう使い方するのか、
 最近も観たな、そういう映像のトリック。
 「センチメンタル・バリュー」でも、 
 清順監督は、もっと舞台的で、
  照明のコントラストや、暗転を用い、
  充分な空間を活用。
 
 さらに、
 映画なんだからと、(舞台は、一致の原則が有ったりする)
 時間空間を自在に移動。

 映画には、文法が無い。
 サービスてんこ盛り。
 素材ばかり増やさない監督は、編集も速い。
 
  
 昔だって、全て受け入れらたとは言えないだろうけど、
 今はシャレが効かないから、もっと難しいかな。
 ファンが着いて、ジャンル映画に成ってしまえば強いけど。
 
 影響を受けた監督は多数居ても、
 オリジナルはやっぱり、唯一無二。
  
 
 
3.衣装とプロポーション
 冒頭から、
 衣装と立ち姿が映える、眼福な映像が嬉しい。
 ロングショットも大画面ならでは。

 70’s後期のファッションは観てて楽しい。
 中盤の暴徒然とした主婦達の、ファッションショーも楽しい。
 まあ、今日的な見方ですけど、

 袖口がラッパのように広がる、

 ベルボトムの岡田真澄を眺めて、
 こういう服装は、こういう体型じゃないと。

 ヒロインもプロポーション良く、
 ただし、裸中心。
  
 
 
4.江波杏子が本当の主役 
 しかし、ファッションは何と言っても、
 実質的ヒロイン江波杏子の衣装姿が素晴らしい。

 ”壺振り”が代表作なので、和服のイメージも有りますが、
 大女優は、ドレスも似合うんですね。
 なるほど、新人の裸とコントラストなのか。
 
 ああ、魔女のような怪演だからキャステイングしたのか、

 魔女はグリーン。と相場が決まっている。
 そしてヴェルデは嫉妬の色。
 
 
 新人で一本は保たないだろうと見切って、
 途中から、入れ替わってゆく計算が巧み。
 
 
 
5.壊れた脚本はどこから?(ややネタバレ)
 冒頭からスポ根で目眩まし、  
 (たぶん)出資者の目を掻い潜った後は、
 https://amzn.to/40z2UR7
 「銀の仮面」のような展開。
 
 
 そもそも、原田芳雄の立ち位置が意味不明。
  アイドルをゴリ押しして、作りたいなら、
  護衛役のマネージャが帯同してる。
 スケジュール帳がびっしりなら、
 尚のこと、管理者が存在するはず。
 「知らないカノジョ」の眞島秀和みたいな、

  やっぱ、ちょっと嫌なヤツを演って欲しい。
 
 
 が有能だと、
 当初の企画通り、予定調和の物語に成ってしまう。
 ゴタ消し屋としても、
 護衛役としても、あんまり機能せず。

 ただワイルドな原田芳雄が、原田芳雄として存在してる。
 むしろ敢えて、そうしたんだろうな。監督は、
 もっと脱いで欲しかったけど。
 
 
 職務に勤勉な用心棒役で、新人ヒロインとのロマンスを追加なら、

 当初の企画意図に沿ったものだったと想像。
 でも、それじゃ面白くないと、物語は破綻したまま。
 やりたい放題。
 
 

6.前衛でも娯楽を貫く
 本作は、↓世界的名声を得る前夜の作品。

 アート系ならまだしも、
 娯楽作を撮ろうとしてるのに、
 アバンギャルドとしか言い様が無い。
 
 清順監督は多分、
 この方が面白いと信じたら、抗うことが出来ない。
 
 
 「シン・仮面ライダー」でも、

 そんなに売れなくてもいいから、
 今後は実験的な実写映画作ってくんないかなと、
 期待したんだが、、
 
 今は娯楽作で、冒険するのは死亡確率が高すぎるんだなぁ。
 
 皆、手堅く報われたい。
 確実な正解を求めるのはその現れ。らしい。
  
 
 鈴木清順は、今の時代に最も遠い楽しみ。
 いや、昔だって、カルトの巨匠にしか成りようが無かった。
 ただ、独立系の市場は当時存在せず、
 干されてから、10年以上経って、やっと時代が追いついた。
 間に合って、良かった。
 
 

本作は、公開時2週間で打ち切られた。
 
理解が充分に得られなくとも、
ヤることはブレない。

私は、江波杏子とシェールを混同しそうになった。
因みに、このPVと武富士は間違う。
  
 
 
原理主義ラスボスとの戦いは、資源と金融の転換期とも思う。
2026.03.15現在
 イラク情勢受けて、月曜からのマーケット反応は、
 長期化が確定しなければ、5万円割れしないと予想。
 来月には、タンカー通過出来るようになるかどうか、
 悲観の売りはしたくないが、どこまで下げるかな。 

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