「Twiggy」時代の奇跡と、レジリエンス能力高き人生。「どんなことからも立ち直れる人」


たまたま、銀座に出向く用があり、シネスイッチまで足を伸ばす。
そして、何より、

齢75(本作公開時)にして、現役感バリバリ。
顔面、体型とも崩れず、健康を感じさせる。
特にフェイスは注射や手術の痕跡が全く存在せず、
自然な加齢で、この状態を保つとは驚いた。
 

時代の寵児と持ち上げられたら、着地は難しい。
多くのスターは精神を病み、破滅の道を歩んでしまう。
どん底から復活ではなく、生涯を通じ、極めて健全を保つ。
  
 その人生こそ、奇跡。
 
大変興味惹かれ、朝イチの回を予約。 
予習無し。
 
 
 《 開演 》
 
 
本当に奇跡だと思いました。
映画には描かれない負の側面も、沢山有ったと想像されます。
 いちいちストレスを残しては、
 あの体型も顔面も維持できまい。
 
あれ? 
娘さんは意外にも、太っていて容姿はパッとしない。
 ああ、母親のような人生を拒否したんだ。
 愛し、尊敬は出来ても、自分が継ぐのはゴメンと、
 全身で拒否している。
常に好奇の目に晒される、大変な役回りを身近で見て育った、
2代目の重圧が想像される。
  
水星のごとく現れ、The face of 66’と表紙を占有。

年齢を重ねながら、自分の人生を大切にする選択を続け、現在に至る。
精神のバランスに長けた人。
 
 
本作は、
当時の映像をたっぷり魅せながら、
その生き様を観客に追体験させます。
 
どこかの時代で、ツイッギーを経験し興味惹かれるなら、
観客は感慨深い。
そうでなければ、強くは進めないか。。
 
やはりシネスイッチ。やや年配向けの作品を、上品にオシャレに選ぶ。
一貫したブランド戦略にも、私は納得。
 
 
幾つかの話題を語りたい。
 
 1.形式について
 1.1.インタビュー型ドキュメンタリ
 1.2.過去の映像豊富、再現少なめ
 1.3.時系列順に、スッキリ
  
 2.時代と影響下と感じる人達
 2.1.私は多分、江口寿史
 2.2.広末涼子
 2.3.ブリトニー・スピアーズ
 2.4.オードリー・ヘップバーンは選択巧者
 2.5.カレン・カーペンター
 
 3.レジリエンス ツイッギーの人生の奇跡 
 3.1.健全な精神は人を見抜く
 3.2.パートナと人生の岐路

 
ネタバレどうこうの作品でなく、それは気にせず。
 
 
1.形式について 
 私は、フィクションより、ドキュメンタリを優先的に観ます。
 作り手の裁量に制約が出る分、価値が高いと思ってるのでしょうね。
 逆に、 
 面白いだけなら、映画というメディアでなくても楽しめますし。
 
 鑑賞後、初めて気付いたのですが、
 この形式の造りは意外と珍しい。少なくとも日本公開の作品では。
 最初に、それを確認。
 
 
1.1.インタビュー型ドキュメンタリ
  ドキュメンタリにも、大きく分けると2種類、
  密着型とインタビュー型。
 
  密着型は、私の経験では「阿賀に生きる」「小屋番」「大きな家」など。



  多くは数年も対象の人と直接触れ合い、信頼を重ねつつカメラを回し、
  日常やその背景を映し出す。
  インタビューも含まれますが、密着と同期し、それは一部。 
  中には、
  「どうすればよかったか?」「風に立つ愛子さん」のように、
  半生に近い時間を費やす場合もありますね。


 
  一方、インタビュー型は、
  現在地点のインタビューとは別に、メインの過去パートについては、
   資料や映像が残ってる場合は、それを映す。
   回想のみの場合は再現ドラマを足す。
   再現ドラマは実写だったり、アニメだったり様々。
  直近では、
  「湯徳章」が資料重視でしたが、再現も若干。

  中には、インタビューまでオールアニメという剛の者も居ました。

  
 1.2.過去の映像豊富、再現少なめ
  出来れば、過去パートも当時の映像で観たい。
  創作は作り手の自由で、どうしても意見を押し付けられがち。
  ”事実に基づいた物語”に近づいてしまうと、価値が目減りしてしまう。
  折角のドキュメンタリなのに。
 
  本作は、
  現在のインタビューを流したら、
  素材は比較的豊富なので、当時の映像を紹介。
   で、無理な場合はアニメで再現。
   フィル・スペクターとか、そら不可能ですね。(後述)
  
  ドロドロした裏側を暴くような内容では無いですが、
  いろんな目にも遭ったと知れる。
 
  外見第一の人気商売で、加齢と共に、どのような人生の選択するか、
  人生の分岐も苦悩も有ったと忍ばれる。
  そこからの彼女の自己抗力の高さも垣間見られる。
 
 
 1.3.時系列順に、スッキリ  
  そんな人生を追体験してゆくのに、丁度良い造り。
  当時を知っていれば尚更。
  
  淀みなく、スッキリ時系列順に、経緯が分かりやすく。
  そんな構成をとても好感しました。
  
  ま、創作なら、
  作家性出されるて、それが興味の持続に成ることもあります。
  伝記ものでもノーラン節「オッペンハイマー」のように。

  ドキュメンタリなら鬱陶しくとも、
  フィクションの作劇としてはアリでしょうか。面倒くさいですけどね。
   
  逆に、ストレートな造りで、フックは弱いかもしれない。
  題材に対して、何の予備知識も興味も無く、
  物語だけを追うのは厳しいかもしれない。
 
  そういう意味では、
  お客を選ぶ映画ですが、興味無い人の伝記もの観ませんよね。
  興味有る観客が、爽やかに観る作品に仕上がってました。
 
 
2.時代と影響下と感じる人達
 渋谷系の曲を聴いている間だけは、オシャレになった気がした
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 ファッションアイコンとして、その頃最初に認知しました。

  この曲↑がテーマじゃないのか。

 でも何故、「Be My Baby」?

 あ、フィル・スペクター繋がりってこと。
 イギリスから来たアイドルも狙われたのか。

 そう理解しましたが、他に無いのか。
 曲のチョイスに納得いかない。
 
 ま、鑑賞中に連想することも幾つか。ご披露。
 
 
 2.1.私は多分、江口寿史

   漫画家として枯れた後、人生いろいろですね。
  
  ショートカットで、大きな目で、
  上目遣いに見つめる、美少女。
  
  そういうルックが、強烈に印象に残るのは、
  江口寿史のギャグ漫画が原体験だった気がする。
  今思えば、源流はツイッギーだったかも。
 
  時代の雰囲気と、絶頂を過ぎた後の人生の選択。
  連想してしまいました。
  思わぬ処から、影響感じましたね。
  日本が元々ロリ文化って、だけじゃない。
 
  日本のアニメの伝統って、この辺りから脈々と、かもしれない。
  例えば、
  オシャレ全開でなくとも、吾妻ひでお系とかでも、

   何故か、どちらも壊れてしまった。
 
 
 それから時を経て。 
 2.2.広末涼子

  ショートカットで、大きな目。
  明るく表情豊かで、
  中性的で、性的なものをあまり感じさせない美少女。
  
  雑誌の表紙や広告を占拠といえば、
  愛される最大公約数が大きいのでしょうね。
  先例有ってこそ。
  観てる最中も、そんな気がしてました。
  
  ミスチョイスは誰にも有るけど、
  リカバリ出来るツイッギーは奇跡だと思いました。
 
  
 2.3.ブリトニー・スピアーズ

  途中からセクシー路線で、男運も首をかしげてしまいますが、
  ティーンで出てきた時は、健全な美少女だったと思いますよ。
  大きなドロップアイは、系譜と見ます。

  ツイッギーのような、ルート選択は出来ないにしても、
  66年の衝撃は皆どこか記憶に残っていて、
  系列を見つけてしまうんじゃないでしょうか。
  そして、後発はピークの後は、いばらの道。
  高度な情報社会の方がキツイんじゃないかな。
 
 
 2.4.オードリー・ヘップバーンは選択巧者
  モデルを引退した後は、歌や芝居に転身したのか、あまり知らない。
  そこで、ピグマリオン演じていたんだ。
  上流階級の発音もこなした。演技でも評価されていたんだ。
 
  と、本作で初めて知りましたが、
  映画の世界で、それはやっぱり、

  ジュディ・アンドリュースから主役を奪った英国の女優さん。
  胸にサラシを巻いたりして、中性的イメージを守ったと聞いた。
  
  グラマラスな系統とは別に、
  妖精的な外見が時代の要請だったのでしょうね、既に。 
  「ローマの休日」が53年ですから。
 
  家庭は単純に幸福とは言えなくとも、
  キャリアの幕引きは鮮やかでした。
 
 
 2.5.カレン・カーペンター
  20代になり、髪を伸ばして歌う姿を見て、
  時代のアイコンとなったシンガーは、

  痩せなきゃと、過度な強迫観念を持ってしまったか。
  歌唱力はレベルが違います。
  
  もっと、孤独の影が色濃く、
  健全なイメージを要求されるのは、キツかったのでしょうね。
 
 
本作の主人公は、
 モデルの辞めどきを見極め、
 用を果たさなくなった男と別れ、
 女性として成熟しながら、上手にキャリアをシフトして、
 心身ともに健全を保つ。
 
鑑賞中は、そうは行かない例が様々に去来しました。
10代で現れた亊より、その後の人生の方がずっと奇跡。 
 
 
   
3.レジリエンス ツイッギーの人生の奇跡
 彼女の精神面にも、目を見張りました。

  
 
 3.1.健全な精神は人を見抜く
  プロレスかもしれないですが、
  劇中、ウディ・アレンのトンチキなインタビューが映る。

  哲学書を読むかと、バカにしようとして、
   じゃあ、あなたの好きな哲学者を挙げてよ。
  と逆にウディ・アレンは質問されて、答えられない。
  (”ギリシャの”と自分で言ったら、ウソでもソクラテスくらいは、、)  
 
  当時いろんな人、いっぱい寄って来たんだろうな。
  精神が安定してるから、見抜くことが出来たんだろう。
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相手に認められようとすると相手に飲み込まれる。  
相手に好かれようとすると相手に飲み込まれる。  
相手に迎合すると相手に飲み込まれる。
「孤立と追放」を恐れると相手に飲み込まれる。  
自分の価値剝奪の恐怖感から相手に飲み込まれる。  
飲み込まれるより一人の方がよい。  
そう理解できれば相手に飲み込まれることはない。
 
-中略-
レジリエンスのある人は、
環境の中で小さな自分のスペースを造り出しているように見える。
環境に飲み込まれないで、環境を飲むのである。  
少年は自分で自分の存在を確認しようとするから、
両親から心理的距離を作る。  
自分で自分の存在を確認できないで、
自己同一性を他者に確認してもらうような人は、
レジリエンスを身につけられない。
他者から「あなたは素晴らしい」と言われて「私は素晴らしい」と思える、
「私は生きている」と思える、他者から認められて自我の確認ができる。  
こういう人はどうしてもレジリエンスのない人にならざるをえない。
「自分自身が自分の内容となることができない」からだ。

  現れた時から、内面も奇跡の人。
    

自分の感情を自分に隠すと
どんなに表面的な人間関係が多くても孤独になる。
誰とも心がふれあえなくなる。  
そう考えるとレジリエンスのある人の
「葛藤する問題を解決する決断に長けている」
ということは生きるためには大変な能力である。  
抑圧すれば、自己不適格感が生じる。自分を不確かに感じる。  
抑圧するということは「実際の自分」と違った自分を
「本当の自分」と思い込もうとすることである。

  多くのスターの人生の転落を思い起こしてしまう。
  比べて、本当に奇跡。
  特に、男関係の対処の適切さに驚きました。
  

断念も行為である。フランクルは最大の行為だという。  
親の愛を断念して、親とは余り会わないようにする。  
これはプロアクティブである。レジリエンスである。  
彼女は母親に近づかない。  
この人は産んでくれただけの人。きっぱりと線引きをして母親を見る。
家族以外にも心の温かい人はいる。ここがレジリエンスである。
「ここにしかない」と思わない。
ここになければ「あるところに行く」、しれがレジリエンスである。
人がいなければ本を読めばいい。
レジリエンスのある彼女はイヤな人と関わらないようにしている。
イヤな人は、ほっておく。追求しない。批判もしない。

 
 3.2.パートナと人生の岐路
  彼女の人生には、3人のパートナが順に現れますが、
  破局に至る2人は、身を持ち崩してしまう。
  綱渡りのように彼女は、破滅的な選択を回避している。

  スクリーン越しに、健全な精神を最後まで感じさせるのは、
  現在の夫リー・ローソンのみ。

 
  最初のパートナのジャスティンは、66’の顔となった少女のマネジャー。 
https://therakejapan.com/special/the-ballad-of-justin-and-twiggy/
  上り詰めるまでは、シュッとした姿で隣に収まり、有能だった。

彼は1965年にツイッギーを「発見」し、
その後10年間、彼女を操る催眠術師のように振る舞った。
そしてコックニー訛りのティーンエイジャーを、
世界初のスーパーモデルへと変身させたのだ。

  が、贅沢三昧で節制が利かず、ブクブク太った。
  中性的な少女を続けるに難しくなる頃。モデル引退と共に関係も終わる。

「たぶん彼女は、俺がとんでもない浪費家だと思っていたんだ。
でも、そういうものなんだよ。悪銭身につかずってやつさ。
俺の知ってる悪党たちは、いつも大量の札束を持ち歩いて、
みんなに酒をおごって、一週間後にはまた貧乏になるんだ。
俺はそうやって育ってきたんだよ」

  
  正式に夫となり、子供も授かった俳優マイケル・ホイットニーは、
  アルコール依存症に、最後は心臓発作で亡くなる。

 
  必ずしも、幸せな選択ばかりではなく、人並み以上に辛いことも。
  しかし、自分で出来る決断は間違わなかった。と想像される。
  不幸にハマっても、リカバリーショットが素晴らしい。
 
 
ツイッギー以前以降で、モデルの世界も変わったと聞きます。
そんな女性の健全な、その後の人生にも興味あれば、お奨め。
私は爽やかに、映画館を後にしました。
 
 
 
 この人に、この曲とは、知らなんだ。 

 本作ではむしろ、浮気される側だった。
 
 
 
2026.04.29 現在
 59000円付近で支持線は明確に見えますが、
 MACD転換を目安に考えてます。

 

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