売りにゆく柱時計がふいに鳴る横抱きにして枯野ゆくとき
新しき仏壇買ひに行きしまま行方不明のおとうとと鳥
情念と過剰さと、つきづきしさに、中坊の私はぶっ飛んだものでした。
まだ、存命の頃だったでしょうか。捕まった後なのは間違いない。
私は明るく健全な80’sに、あまり馴染めませんでしたが、
暗く猥雑で破滅的な70’sは駆逐されていました。
そんな時代に、
アングラの狂気という一つ前の時代を知りました。
大昔の記憶を呼び起こしつつ、
世間の評を確認し、笑ってしまった。
酷評ごもっとも。
物語を追うのは無意味過ぎる。それは退屈でしかない。
アングラの鬼才の血肉を浴びる時間なのだもの。
『初恋・地獄篇』は3回のみの上映!
■日程
4/20(月) 19:15~
4/27(月) 14:35~
4/28(月) 12:45~
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愛と破滅のアヴァンギャルド ATG 白昼篇
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■4/20(月)・23(木)・25(土)・27(月)・28(火)【2本目割】
┈┈┈… pic.twitter.com/3ATNXxlvfy— 新文芸坐 (@shin_bungeiza) April 17, 2026
そりゃ好事家でなけりゃ、わざわざスクリーンで観ようとは思わない。
逆に私は、この少ないチャンスは逃せない。
池畑慎之介主演作と連チャンも考えましたが、荒行が過ぎるとそれは自粛。
早速、月曜の夜の回を予約。
何がネタバレなのかすら、判然としませんが、
とりあえず気にする意味無いので、気にしません。
《 開演 》
学園際で自主映画上映する件りは、羽仁進の自伝でしょう。
そこだけ、ほのぼのします。
ま、それはさておき。
10代の寺山修司(の投影)と、作品時の本人を二重に鑑賞するのですが、
鬼才の歌集にくらった少年のわたくし、
時を経た本作の観客。
もまた二重に反射して、感慨深い。
もっと、ただ狂った映像を観るだけの想定だったのですが、
鑑賞後感は、まったく別の処に着地しました。
かくれんぼの鬼とかれざるまま老いて誰をさがしにくる村祭
時の流れを感じます。
0.寺山修司の生い立ち
1.私の原体験
2.本作と羽仁進
3.現在の視点、違うんだ伊集院
4.剃刀と老犬
5.ATG 駆け抜ける70’s
順に語ります。
0.寺山修司の生い立ち
青森で生まれ、戦中戦後は複雑な家庭環境で育つ。
早稲田大学入学で上京し、芸術の道へ。
後に、東京で母親(毒親ぎみと聞く)と同居、結婚を期に別居。
7年ほどで離婚、子供は流産した。
80年代に入り、逮捕、病状悪化。
アングラ文化の70年代を駆け抜け、世を去る。
Wikipediaから略歴を確認。
1935年(昭和10年)12月10日、父・八郎、母・ハツの長男として生を受ける。
-中略- 本籍地は青森県上北郡六戸村(現在の三沢市)。
-中略-
1945年(昭和20年)、青森大空襲によりハツとともに焼け出される。
9月に父がセレベス島で戦病死したとの公報を受け取る。
-中略- ハツは進駐軍の米軍キャンプで働き、米軍が接収した民家に移る。-中略-
1948年(昭和23年)、三沢市立古間木中学校入学。母が福岡県の米軍ベースキャンプへ移ったため、
青森市の母方の大叔父である坂本勇三の映画館「歌舞伎座」に引き取られる。
-中略-
1954年(昭和29年)、早稲田大学教育学部国文学科(現在の国語国文学科)に入学した。
山田太一とは同級だった。早稲田大学短歌会に入る。
寺山は12歳から13歳頃から短歌を詠み始めたというが
-中略-
25歳でハツと四谷のアパートでおよそ12年ぶりに同居。
1963年(昭和38年)、27歳で松竹の女優だった九條映子(今日子)と結婚し、ハツとは別居となった。
-中略-
1970年(昭和45年)3月24日、漫画『あしたのジョー』の登場人物、力石徹の葬儀で葬儀委員長を務める。
34歳で九條と離婚。離婚後も彼女は晩年の寺山のよき協力者となった。
-中略-
1980年(昭和55年)7月13日午後10時ごろ、渋谷区宇田川町で取材中、
アパート敷地に住居侵入した容疑で警視庁渋谷警察署に逮捕された。
-中略-
1983年(昭和58年)、東京都港区三田で肝硬変を発症し阿佐ヶ谷の河北総合病院に入院後、
腹膜炎を併発し、5月4日に敗血症で死去、47歳没。葬儀委員長は谷川俊太郎。
私の子供の頃、面影はうっすら記憶に残っている。
青森訛りの奇才モノマネを、タモリが披露していた。
1.私の原体験
前出の通り。多感な頃に、歌人として出会う。
衝撃を受ける。こんな劇的な表現があったのか。
柱時計を売りに行ったり、仏壇を買いに出たり、
田園を走る。
どろどろとした情念の背景も知る。
青森から上京と、
父親の不在、愛憎渦巻く母親との関係、
結婚は長く続かないが、醜聞に塗れた人でもなく、孤独が似合う。
70年代に才人、奇人ぶりを炸裂させた芸術家だったと知る。
健全な80年代には、そぐわないのが良き。
現役の芸術家と気付いた頃には、訃報をスポーツ紙で知った。
70年代を駆け抜けていった。
2.本作と羽仁進
羽仁進監督は、たまに「世界ふしぎ発見」で答える人。
という認識しか有りませんでした。人の良い、良識派と。
「飢餓海峡」の左幸子に、鬼畜な離婚劇は知らぬまま。
ドキュメンタリー畑の人だと薄っすら知る程度で、
作品のことは知りません。今回初めてです。
本作は、チープな撮影なのに、
ドキュメンタリタッチの撮影には、確かな実力感じさせて、
なんだか悔しい。
羽仁進の青年時代の投影と思しきパートは、どこか温かく、
寺山修司の殺伐、荒涼とした心象風景とは対照的で、
心和みます。
育ってきた環境の違いを痛感します。
3.現在の視点、違うんだ伊集院
ラジオスターが語っていました。
思春期に、深夜テレ東で本作が放映され衝撃を受け、
後にDVD発売を知り、購入鑑賞。

現代の目で観ると、
デビッド・リンチと比べてしまい。
映像表現は安く、見劣りする。
期待を下回り、全然面白くない。
いや、そういうことじゃねーんだよ。
ある意味、デビッド・リンチは分かり易い。らしい。
画は凄えよ、そりゃ。
でも、そこじゃねーよ。
今の目で観るというのはさ、
劇中、主人公は青年時代の寺山修司で、
観客も思春期に寺山修司に衝撃を受けた。
脚本家本人もカメオ出演し、本作公開1968年当時の姿。
我もオジサン、彼もオジサン。
あれから、
どんな大人に成ったのか、と再確認してしまう。
もう一度、
鬼才の性的衝動と情念を浴びつつ、
変わっていったもの、そのままなものに想いを馳せる旅。
単純に、
独立した一本の作品を鑑賞する訳じゃないんだよな。
前衛的な表現で、完成度高く、映画としても優れた作品は、
そりゃ、比べようと思えば、リンチに限らず幾つもあろうて、。
そこじゃない。
4.剃刀と老犬
Kindle Unlimitedで何首か鑑賞してしまった。
父親になれざりしかな遠沖を泳ぐ老犬しばらく見つむ
解説によれば、
冬海→遠沖
漂う→泳ぐ
見て帰るなり→しばらく見つむ
と、改変を経ている。
行く末の不穏、当て所もない徒労、
対象の能動に、ただの傍観と、
よりコントラストを強く残した。
妻九条映子は妊娠したが、流産してしまう。
その落胆は大きった。
本作では、
主人公 ”あなたの最も恐れること” を問われ。答えない。
そりゃ、父親に成る事だろうよ。
剃刀を水に沈めて洗いおり血縁はわれをもちて絶たれ
ああ、家系図カッターの元祖だった。

そう言えば、色味やデザインも、影響受けていたのか。
若かりし日から、自分の人生を総括するまで、
そんな2首を、解説は対比させていた。
剃刀の時代を描いた作品を老犬を経て、もう一度鑑賞。
現代の視点で観るとは、そういうことだろ。
もうすぐ逝くタイミングで去来する。
歪んだ性的衝動を持つように育ったのが哀しい。
まあ、予定通りには行かない。
ATGらしい、低予算でアバンギャルドな表現は、堪能したけれど。
5.ATG 駆け抜ける70’s
映画斜陽の時代に、極端な才能が出会った。
多才が映画に進出し、
舞台はイマーシブのハシリだったと思う。
海外でも話題だ。
今なら、
いろんな投資を受けて、大掛かりな発注も可能で、
捕まったりしない。。。
訪れもせず、批判するのはSNSが悪い。
が企画の発想は健全で、平凡に見えてしまう。
餅は餅屋。
才能は残酷。
昔の方が豊かで、成果を要求されない余裕あり。
そんな時代を駆け抜けて、去った。
合掌。
私の最初の原体験は再放送だった。
70’Sは八木正生の揺らめくようなジャズピアノ炸裂。
カーロス・リベラにも聴かせたい。
2026.04.21 15:30現在
イラン次第ですが、一旦6万円タッチまでは想定。
高値更新してから転換。そんな気がする。
書いづらいので、天井を見極める動きしか出来そうに無いけれど。
