中途半端なオタクに何処までおもねるのが正解か? 「シン・仮面ライダー」

IMAXで「シン・仮面ライダー」観てきて、
賛否両論あるのは知ってて、それから観にゆきました。
私は満足して映画館を後にしました。 
 
なるほど、評価割れるのは仕方ないだろうけど。
他の「シン」とは違う満足。
もうファンの期待に応えることは卒業して、
好き勝手実験的な作風で駆け抜けてほしいな。
  
当時の再現を重視してるのは一目瞭然なのに、
画質が荒いから、カクカクしてるからが不満なのは、
オタクとしては半端過ぎる。
 
マスク被ってるから声聞きとりにくい、
暗がりの中だから動きが見えにくい。
そりゃそうだよ、むしろクリアでは不自然。
勝新太郎の「警視-K」みたいなことやってる。
制作側の狙いが分かった上で、効果を測るのでないと、
ただ、聞きづらいから、見ずらいから、では批判として稚拙ではないか?
 
  
クリアな方が、スムーズな方がなんでもよいなら、工業製品的発想。
表現の判断基準じゃない。
 
それなら利休の茶碗より、百均の茶碗の方が正確で歪みはない。
チャレンジ全部が成功してるとは思わんけど、
朴念仁の評価基準。実用一辺倒な批判には異を唱えたい。
  
個人的には、
ドラマ性、物語性を排除し、アクションの手数で勝負する。
その意気や良し。と観てました。
大将のおまかせセットで、一貫づつ順番にいろんなネタが楽しめて、
実写でこういうことやっていきたいんだな。とお得なコースだと満足してました。
 
逆に不満は、
後半エヴァ味強めになりますが、
ドラマ性排除しておいて、今更、兄妹の物語で感動は無理な相談。
いらないでしょ、その関係性。
石ノ森作品であれ、エヴァであれ、やるならせめて父と息子じゃないの。
緑川博士のクローンとかの方が兄よりはいい。
 
連載中の漫画とは関係なくていいじゃん。
なんにしても、その設定と感動させようのシーンは邪魔。
 
とりあえず、
敵は人類補完計画ということで軽く流し、
アクションのカードを順番に切るでよかったのに。
  
 
あと、
森山未來がバタフライフェノクだというなら、
蝶の造形で魅せてほしかったよ。
蛾でイナズマン完コピなら、話は違ってくるだろうけど。
あれなら、蝶である必然性ないもの。
イカに変身してくんないかな。
個人的にはラスボスは死神博士か地獄大使で観たかったな。
どうしても物語やるなら兄妹じゃなく、まだ管理職の悲哀やってよ。
  
 
ま、とにかく、
今更中途半端にドラマやんなよ! って批判は共感する。
が、
 感情移入できないとか、
 ストーリーの掘り下げが無いとか、
 社会が描かれないとか、
そういう風に作ってんじゃん、寿司が酸っぱいと文句言われても、
というような批判が横行しずぎじゃないかなぁ。
 
ま、大衆受けってそういうことだけど。
マーベルの記号な敵役の物語程度なら、いっそいらないけどな。
予算大きいから安くないって、ことでもないよ。 
逆に、
あれで満足するなら、回転寿司の方がコスパ良く、
一見さんお断りで、風変わりな大将の店のノレンはくぐらない方がいい。
 
ハリウッド式のワイヤーとCGで多元的に撮れば、
あのドキュメントの危険なやり方でリアルを追求しなくていいと言う人もいるけど、
いや、
マーベルのアクションはいつも萎える。作り物くさくて、身体性には欠ける。
トム・クルーズが例外なのは、自分で自分に危険の許可出せるから。
 
「犬王」のダンスとかすごく萎える。
新しくもないし、アニメじゃ何とでもできる。
 
それじゃ退屈だから、そうじゃないものが観たい。
 
 
その数日後NHKのドキュメンタリーも観ました。 
まあ、大変だったろうな、とは予想してましたが、
想像より地獄でした。
実写で撮ってたのなら、不満でもCGより優先して欲しかったけど。
 
言葉が足りないという人もいますが、
だったら、有能なビジネスマンにでもなってるよ。
それに、
言語化しちゃう時点で、映像として刺激的かというと、
凡庸なものになりそう。言ったとおりに作られても。
 
 
この賛否両論でむしろ、期待に応えることから自由になって、
ハンパなファンはふるい落として、
実験的で、前衛的な実写の監督としてどこまでも疾走して欲しいものです。
爽快でした。
 
もう彼らを満足させるのは辞めてください、退屈だから。
量産品は別の誰かに譲って、新鮮で刺激的なチャレンジ続けて。
 
「チェンソーマン」のアニメ化でも、DVD売れなかったらしいけど、
大成功だったとて3万枚なんでしょ。
そんなマーケットに依存してたら、そりゃ似たようなもんしか作れない。
 
「東京リベンジャーズ」とか途中で媚だして萎えた。
そういうことすんなら、爆死してくれたほうがマシ。
つーか、もういいでしょ。
いやいや我慢して、期待に応えてきたんだし。

これがピカソの「アビニョンの娘たち」のようになるといいね。
 
 
あ、それと、
「ベイビーわるきゅーれ」も見ず、レビュー上げず、
邦画のアクションについて御高説垂れるのも、なんだかなと思うのですが、
まだ自分が観てないやと思い直し、「ベイビーわるきゅーれ2」観てきました。
それはまた改めて。

 

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