「スペルマゲドン 精なる大冒険」アニメは優良で惜しい、「はたらく細胞」のハードルは高い。

キャステイングの勝利を確認しようと、予約。

作中の相方がサーヤっぽいのもナイス。
ニシダって、いい声なんだよな。

 パロディ元だけでなく、


  
 先行してる作品を連想して、


どうしても、基準点が高くなってしまうだろうな。
 
ま、
作品に不満が残っても、いいから、
いつも負け役を演じる有能の勇姿を一旦、鑑賞したかった。

  
 
 《 開演 》
 
 
プロット以外は良質で優れている。

アニメ監督の手腕は堪能出来る。
ニシダ始め、吹き替えと歌は見事で、日本の音響監督も優秀。
でもねぇ。。
トミー・ウィルコラ監督の上手じゃない処が出ちゃったかな。
 
項目に分けて、語ってしまいます。
 1.下手の根本
 1.1.「大脱走」「キャノンボール」の羅列で構わない
 1.2.制約と誓約
 2.面白さの肝(ネタバレ)
 2.1.プロット 人間vs精子の対立構造
 2.2.キャラ造形 特徴と戦術
 2.3.テリング(語り) 感情を動かす
 3.テーマの掘り下げ ”相談してね” が浮く(ネタバレ)

 
1.下手の根本
 アニメの演出は、ラスムス・A・シーバートセンが主導してると想像される。
 その上、複数の脚本家がクレジットされ、 
 人間パート、体内パートは分業かもしれない。
 さらに、
 体内パートの中でも、
  主人公チームのアドベンチャー、
  医学的にあり得ないとテロップを入れる、
  このサブパートだけは監督主導、
 かと想像。

 インディでバイオレンスホラー畑の人らしい粗さ(後述)と、
 偏見で観てしまった。
 医療監修入れて問題無く作劇が出来ないのは、監督の力量だもの。
  
 
 1.1.「大脱走」「キャノンボール」の羅列で構わない


  ひとりの勝者より、沢山の脱落者を描く方がメインでも、
  スペクタクルは表現可能で、面白くストーリーを語れる。
  本作なら、
   人間側の作為、不作為両方で、
   奮戦の果てに、着床という本懐を遂げられない、
   ライバルの姿を、群像的に羅列しても、   
  充分面白く出来る。
  妊娠に至らない射精のパターンは、まだまだアイデア浮かぶ。  

  なんなら、主人公ニシダが勝者でなくとも構わない。
  マックイーンやジョニーのように、
  その方が、ドラマが盛り上がるくらい。
  
 
 1.2.制約と誓約
  作者の匙加減でどうにでも成ると言っても、
  観客をシラケさせず、安心して感激出来るよう、
  最低限のルールは設け、自分で縛らないと。 
  質の悪い作品ほど、自分に甘い。
  (細田守があんなに嫌われる理由かと邪推してる)

 
  安易に、ご都合優先せず、もうちょっと粘れよ。
  鑑賞中、そう叱咤したくなる作品にも出会う。
  
  制約の中で、どう面白くするか?
  自らを縛り格闘した機会の少ない人の脚本は未熟で、
  インディーズでアクション系のホラーだと、
  ご都合でシナリオ処理しても、大目に見てもらえる。
  普段自分を甘やかしている。 
  そんな成功体験を積んだかな。
  
   どこに制約が有るのか?
  それを設定の中に見つけ出し、
  その制約を守ることで生まれる面白さ。を発掘してゆく。
  という仕事を、
  監督がサボっている。設定への理解が浅い。
  これでは、何人脚本家を登用しても同じ。
  また、まとまりの無い状況も目に浮かんでしまう。
 
 
  
 幾らでも、面白く出来たし、
 アニメ自体は素晴らしい出来なのに、
 大変残念。不満が残りました。
2.面白さの肝(ネタバレ)
 「はたらく細胞」という基準と比べつつ、
 プロット(設定)、 キャラ造形、テリング(語り)それぞれ考えたい。
 
 2.1.プロット(設定) 人間vs精子の対立構造
  「はたらく細胞」は、白血病を題材に、
   治療を頑張る患者と家族。
   白血球とがん細胞の戦い。
  人間パートと体内パートが並走し、
  どちらも健康の回復に向けての頑張り、ベクトルが揃う。

  本作は、守備と攻撃。利益相反の関係。  
  人間は妊娠を避け、快楽だけを得たい。
  精子は一旦発射されたら、ひたすら着床を目指す。
 
  生みの親でありながら敵対する構造。
  それは、お話をどうイジろうと変わらない基本設計。
  基礎を無視して柱は立たない。

   肉ジャガとカレーは同じ構造、味付けが違うだけ。 
  本作、
  その構造を活かした作劇に失敗してる。
  というか、
  設定を意識したお話を作れていない。プロの仕事とは思えない。
  だから、ただの冒険譚でスペクタクルを魅せようとする。
  失敗ルートは失敗ルートとして、
  ちゃんと示した方が設定が活きて、面白くも出来た。
 
  
 2.2.キャラ造形 特徴と戦術
  その気になれば、精子以外のキャラをもっと出せましたけど、
  それは置いても、
  キャラの造形が浅く、特徴を活かせない。
 
  それでは、
  漫画の連載からアニメ化への収斂に耐えられない。
  キャラ立ちしていなければ、スグに打ち切られてしまう。
  漫画はキャラが命。
 
  キャラの個性を活かした作戦で、
  勝利を掴もうとするのでなければ、
  本作の設定で、
  お話を面白くするのは難しい。
  かつ、成功した先例は多数存在する。

  まあ、日本のコンテンツに慣れた後では、本作は物足りない。
  キャラがパターンなぞってるだけで浅い。
 
 
 2.3.テリング(語り) 感情を動かす
  主人公のアドベンチャーが不可能過ぎて、興味が持てない。
  立ちはだかる悪役が類型的過ぎて、面白味に欠ける。
  
  ハラハラさせる気が有るんですかね。
  アニメ監督は優秀なんだろうけど、
  ウィルコラ監督にお話の才能を全く感じない。

  この人も、ホラー界隈の鬼才と呼ばれる監督なのかな。
  あるいは、
  自分で脚本書くな、演出に徹しろと言われるタイプなのか。
 
  対立軸は、
   避妊vs着床
  ゴールは動かせないのに、違う処で物語作ろうとしてる。
  
  この対立軸で、精子側は圧倒的敗者なのだから、
  努力や能力や戦略で、勝利を掴もうとする者たちの、
  夥しい敗北を、ちゃんと複数描けよ。

  結果は運でしかなく、多少の差別化で何ともならない。
   主人公はライバルたちの間違いを悟りながらも、
   運命には抗えず、発射され、
   人間側の不注意で、チャンスを得てしまい、
   相方に勝利を譲って、死んでゆく。
  だったらなぁ。   
  
  パターン通りの展開だけで、
  設定を活かした、ドラマ作りの工夫が無い。
  葛藤が起こらないので、感情を動かせない。
 
 
 
3.テーマの掘り下げ ”相談してね” が浮く(ネタバレ)
 お国柄の違いは有っても、
 高校をこれから卒業するカップルの妊娠は、
 人生を左右する重いテーマだろう。 
  
 ミュージカル仕立ては、それはそれで構わないけれど、
  あれで、 
  不安な高校生カップルが信頼して相談出来る、
  心強い存在だろうか?
 
 演出が上滑り。
 そもそもテーマへの理解が浅くないかな。
 アイデアの段階から、深化していない。

 うーん、 
 ホラーは、恐怖と驚かしを大げさに描けばいいと観られガチで、
 その為、他のジャンルより一段低く見られる。
 と、そえまつ映画館は言っていた通り。
 これじゃ、そう言われても仕方無い。

 感情の機微をまるで描けない。
 この監督、バカなんじゃないのと、本気で思った。
 演出には期待する効果が有るはずなんだが、
  この演出で、
  この先生に相談して良かったと思えるのか?
 
 力量ある監督なら、感動も笑いも、もうちょっとヤれた筈。
 吹き替えも良いし、アニメも上手なのに、勿体無いな。
 
 最後、取って付けたように終わるけど、
 もうちょっと、上手くやれないものかと、不満は募ってしまった。
 
 
 
ニシダは良かったんだけどなぁ。

 
 
 
2026.02.21 現在
 イラン情勢不安定ですが、煽るほどの下落でもなく。
 56500円辺りで、抵抗線が見え、レンジに留まる。
 どちらかにブレイクしてから動く予定。

 

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