「シヴァ・ベイビー」悪意の三谷幸喜( ゚Å゚)「お葬式」のユダヤ版か? 巧みな会話劇に、魅力を伝えない酷いPR 


解説・あらすじ読んでも、作品の魅力が分かりません。
タイトルも日本人に伝わらないので、もう一工夫必要だよ。
公式ページも、実績や経歴を羅列するだけ。
 
名前は記憶にありますが、
 シヴァってインドの話かと間違うくらい、題名は意味分からず。
 知らない固有名詞ばかり並べられても、参考に成らず。
 どんな映画か全く見当がつかないまま。
興味は惹かれませんでした。
 
公開時に、内容への言及は見掛けたものの、
 どう面白い映画なのか?
教えてくれる評にも出会えず。
鑑賞に至らず。
  
 
そんな折、
早稲田松竹で、才能ある若手女性監督の特集
公開時はヒューマントラストで掛かったのか、
私たちが光と想うすべて」「マルティネス」と、
最近は、各国の新進気鋭女性監督を発掘して、外さない。
なら、折角だし。
 
ま、二本立てで、
どちらか当たれば御の字くらいの気持ちで臨む。
面白かったら褒めよう。
 
 
予習なし、《 開開 》 
 
私のせいじゃない。
 宣伝は、何故か熱量感じられず、
 監督が性格悪くて、人には奨めづらい映画でもあり、
良作なのに、誰も魅力を伝えようとしない。
  
このPRじゃあなぁ。。
 悪意の三谷幸喜とか、
 ユダヤ版伊丹十三とか、
日本の観客が、イメージ出来るよう伝えんと。


  
日本に当てはめれば、
舞台は火葬後の精進落としに近いですかね。
 そのシチュエーションコメディで、会話劇。
 時折クスッと笑わせます。
 三谷幸喜をイメージすれば遠くないか。
 
ただし、
心温まる要素は皆無。その代わりに悪意を注入。
冷笑的で、底意地悪く、露悪で、下品です。
何故か、
登場人物たちには”強欲”(グリード)という言葉が浮かびます。
ラスト、エンビー、プラウドも逆グラトニーも描かれますが、 
浮かぶのは、慎ましさの無い貪り。 
 
やはり、
題材もテイストも、
伊丹十三のユダヤコミュニテイ版だと思えば近い。
 人間の滑稽を冷徹に眺める。
 体裁とは名ばかり、むき出しの業。
 蛭子さんがニヤニヤするような。

 
当然の如く、不快になる人も居ると想像されます。
主人公に感情移入出来ない不評も多数。ごもっとも。
  
それでも、
私は見事な作劇に拍手しました。褒めます。
日本で魅力を紹介するもの皆無と思え、尚の事。
  
完成度高く、かつ、
こういうジャンルの良い脚本書ける才能は稀少。
少なくとも、
最近の日本映画で、私は発見には至らない。
  
 
では、項目に分けて。
 
 1.舞台の会話劇として 脚本、カメラ、演技
 2.劇伴は秀逸
 3.ユダヤコミュニテイと伊丹十三「お葬式
 4.伝統と世代 親子の愛憎
 6.社会的弱者(若者、LGBT)と切り取るのは無理ゲーか
 
ネタバレなしで行きたいのですが、
結果的にネタバレしそうです。ご容赦。
 
 
1.舞台の会話劇として カメラ、脚本、演技
 カメラは動かさず、バストアップのショットを繰り返す。
 市川崑みたい。

 会話はテンポ良く、
 パズルのピースが段々と埋まるように状況が分かってゆく。
 ああ葬式で、そんな鉢合わせか、
  シチュエーションコメディ?
  それともサスペンスか、
 三谷幸喜のように、計算されて機能的なセリフと思えた。

 その一方で、
 ユダヤコミュニテイのリアリティ溢れる会話劇でもあり、
 その血縁の社会は重く、閉塞感溢れるとリアリティを感じさせる。
  異教徒の私に理解出来ているとは言い難くも、
  うんざりと、今すく逃げ出したい気持ちは伝わる。
 
 脚本と演出になるほど。
 更に役者の演技は、無神経さと拒絶できずの困惑を表す。
 幾つもの人間模様を重ね、
 底意地の悪く、悪趣味な監督に、皆応える。
 
 これが長編初作品なら、相当な才能と察せられた。
 
 
2.劇伴は秀逸

 不快、不安、不満を声高でなく、絶妙に表現して、押し付けず、
 ほぼ、ヴァイオリン(ヴィオラ?)の音色だけで表現。
 
 会話に被せても、計算行き届いて、観客の感情を誘う。
 本来の劇伴の機能を体現していた。
 
 作劇全体もそうですが、説明過剰な現代に於いて稀少。

 やはり、綿密な設計有ってこそ。
 自主でも、才能は揃っている。 
 
 
3.ユダヤコミュニテイと伊丹十三「お葬式」
 シヴァとは、初七日までのユダヤ教の喪の期間で、
 タイトルは、援交、パパ活を表すシュガーベイビーに掛けてるらしい。
  分かんねぇよ。そんなこと。
 
 とはいえ、以下の、文化風習は画面から伝わる。
 冠婚葬祭に万国共通のマナーあり。
 異教徒が知っておくべきマナー

暗色のフォーマルな服装(スーツとネクタイ、または控えめなドレスやスカート)を着用してください。
男性は通常、ヤルムルカを着用
 
-中略-
訃報を聞いたら、直近の予定をキャンセルし、(必要であれば)速やかに移動の手配を行ってください。
式には必ず時間通りに到着するようにしてください。
伝統的な式は通常、遺族を待つための遅れはほとんどなく、予定通りに始まります。
  
-中略-
シヴァとは、故人の近親者が行う7日間の喪に服する期間のことです。
シヴァは埋葬の儀式が終わった後に始まります 。
遺族はこの期間、通常、故人の自宅で過ごし、悲しみや喪失感を乗り越えようとします。
その間、周囲の人々が遺族の世話をします(遺族は仕事をしたり食事を作ったりせず、
喪に服していることを示すため、低い椅子や腰掛けに座ります)。
この期間中、ご遺族を訪ねてお悔やみを申し上げたり、食事を差し上げたりしてください。

 カナダのユダヤコミュニテイで育ち、
 幾度もシヴァに参列したエマ・セリグマン監督の目には、
 世俗的で強烈な村社会が、面白おかしく映ったらしい。
 それなりに、マイノリティでしょうから、閉鎖的で絆は強いと想像される。
  
 そこに、
 人間のむき出しを感じ取ったのが、監督の才能で、
 伊丹十三が、
 義父のお葬式を取り仕切った時の体験を映画にしたのと一緒ですね。
 秘密の性的な関係をストーリーの中心に据えるのも共通。
 
 日本だと、親戚のおじさんおばさんが無神経だったとしても、
 あそこまで、むき出しじゃない。と感じてしまいます。
 当然、誇張はあるにせよ。
 日本の中年監督より、うら若き女性の方が断然性格悪い。
 グロテスクに人間を描けるのも、また才能。
 キャッチ出来ないことは描けない。
 
 私の勝手な想像ですけど、
 他の宗教由来の人格だと、
 欲望むき出しの状態に罪悪感を感じてしまう。
 ユダヤ教は戒律を犯す行為が罪で、心の状態を問題にしない。らしい。
 怨念が籠っていて、
 私は、クリエータ憧れとの違いを如実に感じました。 
 
 その突き放した冷徹さに、共感出来るかどうかで、
 クスッと笑えるかどうか、
 作品への評価が分かれる。
 
 日本では、表面的であったとしても、
 他者への配慮は大事ですから、
 本作が低評価なのは、社会の健全さの証とも思われ、
 どっちも辛い。
 
 あるある、そして、ないない。

 
 
PRは、伊丹十三処女作に導線引いとくべきだよな。
おもてなしの精神が足りない。
繰り言になってしまうが、本当に勿体無い。
 
4.伝統と世代 親子の愛憎
 伝統的社会と親子を描けば自ずから、
 世代間のギャップは明確に。
 
 本作では、むしろパーソナルな毒親性をより強く感じました。
 過干渉なだけで、本当の愛情は薄そう。実は自分本意で。
 劇中では、
  怪我しても、
  熱いコーヒーをブッ掛けられても、
 大事に気遣って貰えない。
 
 疎外感は家庭に、こそ在り。
 見方が居ないのも、不安、不快を募らせます。
  
 それでも、最後、
  只の性欲の絆にまた縋るのかよ。
  学習しましょう。
  そんなの、偽りの希望に過ぎないのに、、
 と、私は感じてしまいますが、観客に逃げ道を与えます。

 これだけ外からの視点で描けるのは、
 監督は正しく絶望して、生きてきたんだな。
 立派です。
 私はそんな、自立した人間ではありません。
 極東の国にまで、自主映画を公開させる程の人物。
 
 
 そこまで、大人に成らなくても、
 日本なら、生きて行ける。かなぁ。
  
5.社会的弱者(若者、LGBT)と切り取るのは無理ゲーか
 他の要素すっ飛ばして、リベラル的要素だけ取り出す。
 そんな感想も、ないことはないでしょう。
 
 ですが、
 NYで大学進学は、キツすぎる。学費も物価も。
 そういう稼ぎ方しないと、間に合わないのか。
 社会が投資に見合うリターンを用意していたのは、リーマンショック前までか。
 間尺に合わない、
 努力が報われない社会では、あるんだよなぁ。
 
  強い絆は要求するくせに、助けない。
  
 そこは、切り取っても当然だよと、
 本作には感じましたよ。
 LGBTvs宗教は、個人の趣味で解決してくれと思いましたが。
 
 そこそこに優秀で、そこそこに美貌の持ち主。
 それはそれで、また辛くて、、
 伊丹十三には無い要素。
 
 
 そこだけ取り出す気にはなりませんでしたが、
 前の世代には伝わらない、逃げ場の無さは描かれてました。
  
 
 
コミュニテイ、親子、社会、性的関係、
等身大の生きづらさを描き出す。
日本の巨匠より随分と不利なスタートで、この完成度。
つい、テーマに寄せて書いちゃいますけどね。
 
本作の魅力は、そこじゃなくて、
蛭子さんのように笑う。
笑うだけなら、只のサイコパスでしょうけど、

作品に昇華出来たら、本物の才能。
  
私は愛でます。
残念ながら、クスッと笑ってしまいました。
 
 
 
当たり前と思っちゃダメ。

 
 
 
2026.05.21 12:00 現在
 20MAの上に顔だしましたか、
 イラン情勢に一喜一憂で、判断しちゃいけないでしょうけど、
 下落は追えません。

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