前回「スローなブギにしてくれ」(1981年)は、
敏八監督による、70年代日本映画の降伏宣言と見えて、
娯楽は、映画からTVに移り、猥雑から健全へ。
時を遡ること1971年、
にっかつロマンポルノ開始。
日活は経営難に陥り、
成人映画というニッチ戦略に活路を求める。
その時代の作品にも、興味惹かれる。
丁度、文芸坐は宮下順子特集。
⋱チケット販売中!⋰
宮下順子 銀幕の艶【2本目割/全て35mm】
🗓️8/21(金)・22(土)・24(月)~28(金)・31(月)●『実録阿部定』【R18+】
監督:田中登 共演:江角英明、坂本長利●『嗚呼!!花の応援団』
監督:曾根中生 共演:今井均、香田修●『ダイナマイトどんどん』
監督:岡本喜八… pic.twitter.com/oStUeNB8rw— 新文芸坐 (@shin_bungeiza) August 21, 2026
どちらも名作の誉れ高い、にっかつ時代の二本立て。
たまたまトークショー付の回を予約。
「実録阿部定」は75年で、
「愛のコリーダ」は76年、
フランスのプロデューサは、若松孝二の手引きで、先にロマンポルノ観たと想像。
やはり赤い襦袢が強烈。
田中登作品は未見。映像に精密と、噂は聞く。
神代作品、中上健次原作は、同じく文芸坐で鑑賞あり。
「青春の蹉跌」石川達三原作、神代辰巳監督

神代監督の作風を知る。
「青春の殺人者」中上健次原作、長谷川和彦監督

底辺なバイオレンスと、近親への憎愛は神話的。
そして哀しいテイストは、原作由来かと想像。
原作は未読で、中上健次は数作読んでいたはず。

だいたい、
中上健次+神代辰巳も、作風は想像された。

期待値は上がる。
予習それだけ、
土曜の午前は天気良く、池袋東口へ。
《 開演 》
こ、これで、
欲情するかと言われると、、
むしろ、ミニシアターのアート系のような作品主義で、
当時は、AVのように観たのかなぁ。。(宇宙企画は81年開始)
うーん。客層が不明。
ガンダムは、
ロボットさえ出せば、富野由悠季ヤりたい放題。
と同じく、
おっぱい&まぐわい映せば、後は作家性全開の作品主義。
そんな時代だったんだ。
低予算は感じさせません。撮影も役者も素晴らしく。
(日本なので多湿ですが)ヨーロッパのアート系なら普通に評価されるクオリティ。
ロマンポルノは全て名作とは限らなくとも、
ジャンルの制約の中、
才能が集まり、自由度の高い創作が行われていたと知る。
かつ、
作品は作品として、評価することが出来た日本映画界の度量も感じます。
日活は、蝋燭の最期の輝き。
今の目で観ても、特筆すべきこと、幾つか。
1.際立つ監督の作家性
1.1.田中登
1.2.神代辰巳
2.本能女優 宮下順子
3.石橋蓮司イキイキの環境
※ネタバレしてません。多分。
1.際立つ監督の作家性
表現が自由なのは、70年代特有でしょうね。
大作のようなプレッシャー無く、
自主映画ほど尖らず、クオリティもしっかり。
今回は、
にっかつロマンポルノの2大エースの名作ですから、
私が知らないだけで、
出来が良くて当然なのでしょうけど。
作品の方向性が全く違い、
製作の自由は、特に印象に残りました。
1.1.田中登
予想を上回って、精密な映像でした。
田中登監督は、
ムッシュの愛称で知られ、
フランス映画に大変造詣が深いとの事。
ゴダールから溝口健二を再輸入したかと。
本作の逃避行は、ヌーベルバーグも連想しますが、
やはり、
題材も世界のミゾグチと同じ。
(安宿泊まった頃とは、今の西成もまた変わったでしょうね。)
閉ざされた空間、逃げ場無しは、得意の映像表現。
フレーム構造は十八番らしく、大変印象的です。
トークショウ、主演宮下順子曰く、
自分の想像通りの画が撮れないと、絶対にOKを出さない
実写の日本映画で、
ここまで精緻な設計する新作には、ちょっと御目に掛かれない。
(その点、アニメは思いどおりに出来るけど)
説明せよとの圧力が、高いから、かなぁ。
お話はコンパクトで、場面は限定、
耽美な映像に浸る。
欲情しませんが、素晴らしかった。
1.2.神代辰巳
遠景のカップルのショットに、
ドキュメンタリタッチの近接。
その特徴は、本作でも健在でした。
執拗にハンディでも肉弾戦を追いかけ、
画の設計よりも、ナマの性と生を伝える。
悲惨な話でも、ちょっと滑稽で、
やがて哀しい。
何で、人間なんかに生まれて来てしまったのだろう
観続けて、そんな感慨が残ります。
極めて、文学的な。
そして、
この作品を評価した、79年の日本映画界に、
底力を感じます。
今なら、
海外の小規模映画際に出展して、評判勝ち取るとかしないか、
権威無く評価されるのは難しそう。
即興も能く採用し、素の感情を引き出す。
トークショウ、主演宮下順子曰く、
上手く出来ないと、”じゃあ、泣きながら演ってみて”
そう柔軟に台本を変更。
撮影現場では毎回、
石橋蓮司と監督が、キャッキャと演技プランを話し合う。
女優は横で、タバコふかして聞いていた。
厳しい、楽しい、両方の現場を、にっかつで経験したと。
2.本能女優 宮下順子
今回、衛星劇場とのタイアップらしい。
ご本人曰く、
マリリン・モンローのように遅刻の常習犯だったらしい。
それでも、作り手が重宝したのは、観て分かります。
無理な注文にも応えてくれて、
これだけ演じてくれる女優さんは、そうは居なかった筈。
なにより、素直な芝居。
ご本人曰く、
原作読むべきか、神代監督に相談したところ、
難しいから、いいよ
と回答される。
石橋蓮司は、惚れるような男で、
役柄と感情が不一致を起こすことなく、ラクだったと。
今回どちらも、ラブジャンキーな役。
本能で演じてくれれば、それに越したことはない。
全く作家性の違う監督にも馴染む。
巨匠たちが自由な表現出来たのも、主演女優あってこそ。
3.石橋蓮司イキイキの環境
若い頃は、こんなに痩せていたんですね。
リアルがウリの神代作品ですから、当然とは言え、
クズはクズに描く、
それも中上健次原作ですから極めてのクズ。
社会不適合者ギリギリ、
何処か可笑しくズレて、理性の働きは少し弱い。
ときどき滑稽なのに、やがて哀しい。
勿論、流石の名優なのですが、
こういう環境で鍛えられて、世に出る役者もいるわな、風間杜夫とか。
と鑑賞中は納得してました。
アングラの騎手ですが、個人的にはTV時代劇のイメージが強いか。
今回の現代劇は、
冷酷な貧困寄りの人物で、
それでいて何処か滑稽で、やがて哀しい。
この味わいが出来るのは、石橋蓮司ならではかなぁ。
巨匠と名優の共同作業が、ピンク映画で実現するとは、
にっかつは、
演劇人にとって良い環境だったのでしょうね。
ロマンポルノだからと、色眼鏡は勿体無い。
志高い名作2本。
08.27(木)、08.31(月)にまだ上映あるようです。
映画館にて、大スクリーンにミチミチの35mmフィルムで是非。
この日の帰りは大雨、警報出るほど。朝には予想だにせず。
そういえば、
何故そんなに雨のシーンばかりかと、訳を知らずに演じた
と主演女優は語っていた。
敢えて難しくせず、情感たっぷりにギター泣く。
2026.08.24 09:00現在
今日は動かないかも。
20MAで耐えそうな感触でスタート。
