1月31日に死去した長谷川和彦監督の特集上映
「ゴジと呼ばれた男 長谷川和彦の凄み」が、
東京・新文芸坐で
3月26日から4月7日まで開催されることが明らかになった。
本作を鑑賞するチャンスを得た。
井上堯之とショーケンのコンビと言えば↓、

マカロニ刑事もでした。
井上堯之を劇場で聴くのも乙かと。
GSの頃は分からないけれど、沢田研二のバックを務めた時代は知ってた。
晩年は仙人のようなカッコイイ生き方で、
評価を得た後、破滅型だった萩原健一と対照的。
長谷川和彦監督は麻雀のイメージが強いですが、
井上堯之とコンビと来れば、
GSからの縁、ジュリー主役で、
華麗でも、邪魔しない。
押し付けがましくなく、感情を誘う劇伴。
最近鑑賞した作品を思えば、
2005年は、もう余白無く説明されていた。
オウムの登場が転換期とも言われ、
答えが明確に用意されたものが好まれる時代。
そんな村上春樹原作の後に、
第一回芥川賞作家の作品で、比べてるのもまた楽しみ。

(原作未読で申し訳ない)
その上、
五社協定崩壊直後の作品も観たばかり。
さらに数年後、
日活ロマンポルノのエース神代辰巳監督が、
1975年に東宝で撮った本作。
そんな時代背景にも興味惹かれ、予約。
《 開演 》
あらすじは、ありきたりで想定通りなのですが、
特に斬新な演出多く、映像にも驚きました。
単純なストーリーに、時代背景を脳内で補完しつつ、
期待通りの井上堯之と、
神代辰巳&桃井かおりコンビの良さも噛み締めした。
この時代ならでは。
いろんな意味で、今の時代ではあり得ない作劇でしょうね。
ウエットでありながら、キレの良い、
若い世代が自由を謳歌している70年代ならではの表現。
目当ての音楽はもちろんですが、
楽しく、貴重な体験でした。
以下、若干語りたく。
0.時代背景
1.井上堯之
2.ショーケン、ジュリー、井上堯之、三様の生き様(ややネタバレ)
3.長谷川脚本の飛躍
4.神代辰巳の接近戦と遠景(ややネタバレ)
5.桃井かおりと神代監督
6.70sファッションと檀ふみ
興味赴くままに。
0.時代背景
1975年はベトナム戦争がサイゴン陥落で終結し、
ロッキード事件が1976年発覚。
中国共産党に接近しすぎて、田中角栄は失脚してゆくことになりますが、
列島改造論で、日本が豊かに成ってゆき。
イデオロギー闘争で、幸せになるわけじゃないと、
ソビエト崩壊前に、証明され始めた時代。
左翼活動は段々と下火になってゆく。
劇中では、
左翼学生が卒業後、司法試験に合格し、
運動から離脱。裏切り者扱いもされる。
それから、
東京に出てきてアパート暮らしの学生さんは、
肩寄せ合って、慎ましく同棲してる。
「同棲時代」73年連載。
「神田川」も73年発売。
特に説明は無いので、時代背景は勝手に脳内補完しながら、
当時の街並みや風俗、生活を歴史的資料のように楽しみました。
1.井上堯之
Wikipediaより引用すると、
1970年のザ・スパイダース解散後、
1971年にPYGに参加し、「花・太陽・雨」「自由に歩いて愛して」などを作曲した。
1972年以降、井上堯之バンドを率いて沢田研二のバックバンドとしての活動の他、
PYGボーカルの萩原健一が出演したテレビドラマ『太陽にほえろ!』(作曲:大野克夫)、『傷だらけの天使』、『前略おふくろ様』や、
西城秀樹も出演した『寺内貫太郎一家』、沢田研二主演『悪魔のようなあいつ』の音楽を担当。
映画では『青春の蹉跌』『炎の肖像』『雨のアムステルダム』『太陽を盗んだ男』などの音楽を担当。
私も本作の時代のディスコグラフィはぼんやり知ってた。
そして、仙人のような人として記憶している。
現役引退後、2009年1月から2010年6月にかけて北海道小樽市に転住して
現地通所リハビリテーション施設にボランティアとして勤務のかたわら、
リハビリ施設や周辺各地のイベントなどで演奏活動を行った。
その後東京に戻り療養を続けるなか年に数回程度のソロライブ等、
童謡のアルバム発表などマイペースな活動を続け、
2016年4月には最新録音技術の波動録音方式(波面合成法〈英語版〉)で
過去の楽曲を中心に新録の『The Guitar』を発表している。
2018年5月2日、敗血症のため死去。享年77歳。
情緒的な曲で、オシャレに寄せ過ぎず、ポピュラーなのに、
湿度が低く、押し付けがましいところが無い。
他に例を見ないと思うのですが、
本作鑑賞し、改めて再確認しました。
2.ショーケン、ジュリー、井上堯之、三様の生き様(ややネタバレ)
主人公の友人役に、森本レオと河原崎建三。
子供を抱えて、三者三様の身の振り方が描かれます。
GSを学生運動に見立て、ブーム終焉以降の世界線を投影してしまいました。
萩原健一は、
役に似て破滅的。
原作は社会構造と人間のエゴを描いた。らしい。
映画は、むしろ本人の資質に役柄を寄せたかな。
表面上は隠くせても、抑えきれない狂気。
どうしても、その後の人生を重ねてしまう。
劇中の彼は、
細身で引き締まった体は精悍さを湛え、
俊足レシーバーなら居そうと思わせる。
カッコイイ反面、暴力的で虚しい精神性を伝える。
今こういう佇まいの役者さんは居ない。
探せば、香港あたりなら見つかるかな。
マカロニ刑事からジーパン刑事に交代したのは象徴的でした。
野性的精悍さに溢れるハードボイルドで、
最後は目先の打算に溺れ、破滅する役は、
あの肉体のショーケンで観てみたかった、と本作でも思わせる。
ツインでボーカル務めたこともあった、
沢田研二も対照的で、思い出した。
別の世界線。
GSブーム終了後も、持ち前のスター性を活かし、
歌謡曲の世界で尚一層の大輪の花を咲かせる。
ああ、そういえば、
役者もやったけど、転身しなかった。生涯歌手。
今はただの頑固なおじいさんに見えても、
歌声は健在。こんな人は、ずっと他に居ない。
「愛の嵐」モチーフの衣装は、当時でも怒られる。
フランス映画のタイトルが、阿久悠の作詞に、GSの朋友大野克夫。
一幕の芝居でしたね。改めて聴くと難しい曲。
井上堯之は尚の事、
マインドフルで、仙人に見えてしまう。
ミュージシャンを全うした人生。
運命は性格だと、つくづく思うのですが、
長谷川和彦の味付けも相まって、本作はショーケンそのものと観てました。
3.長谷川脚本の飛躍
学生運動の終焉という時代を描いているのは、長谷川和彦らしい。
その上、ぶっきら棒で、荒々しく、不親切。
シーン一つ一つが、扇情的で目を惹くのだけど、話が飛ぶ。
急に話が転換するように見えるのは、長谷川和彦の特徴だと思う。
滑らかにやろうとしないのは、ワザとだよねぇ。
この時代のエネルギーそのもの。
逆に時代が落ち着いてくると、
社会にファイティングポーズ取り続ける監督の活躍の場は、
限定的になってしまった。合掌。
ある意味、鈴木清順が飄々と狂っているのと、
これも対照的だと観ていた。
4..神代辰巳の接近戦と遠景(ややネタバレ)
ロマンポルノの巨匠は当然の如く、女性の裸は専門。
昭和的エロスは、日本人の体型を哀しく、存分に活かし、
モデルのようなスタイルも、それはそれで魅力的に獲る。
主役の恋人の接近戦は期待通りで、
それよりも、
雪山の行き詰まった二人の遠景や、
海上や街並みでのお嬢様とのツーショットに、
目を奪われる。
今じゃ、コンプライアンス的に無理な撮影にも驚きますが、
それよりも、
遠景で恋人を撮っても見事。
全く初めて体験しました。
5.桃井かおりと神代監督
高校卒業後には見えないけれど、
ちょっと頭は弱いが純真。
あんな男に惚れなくてもと同情してしまう役は、
モノマネされるイメージとはちょっと違った。
もっと幼くて純情。
エロく可愛く、哀しく映る。
女優が監督を、終生信頼したのは、これは当然と思った。
筒井康隆の映画化も観たかったですねぇ。

さぞや、エロくて可笑しくて、ドタバタで哀しいはず。合掌。
6.70sファッションと檀ふみ
後楽園ホールのシーンは、白木葉子に擬えたお嬢様でしょうね。
そういう役はとても似合います。
清楚系ばかりと思いきや。
見事なプロモーション。

ああいう衣装は、こういうスタイルこそ似合う。
お嬢様然とした白の装いも、
ひらひらと赤くたなびく恋人の様子も、
スラリとひときわ輝く。
知的でハイソなイメージ強く、
モデルのような印象無かったのに、
神代監督の力量も確かに感じました。ハダカだけではない。
映画そのものよりも、
昭和高度成長の転換期ってこんな時代。
GSブーム終焉後のスター達の活躍を観て、そんなこと去来しました。
若く、荒々しく、無鉄砲。そしてちょっと情緒的。
何もかも説明を要求される時代の昔、
そんな演出の中でも、とりわけ音楽が好ましい。
童謡より、TVから流れてくる曲に耳親しんだ。
それが井上堯之の仕事だと知るのは、ずっと後。
華麗で、オシャレに寄せ過ぎもせず、
情緒的なのに、ベタつかず、感情を押し付けず。
現代の複雑なヒット曲と違い素直。世に馴染んだ。
2026.04.01 9:30現在
米軍撤退かとの報道を受け、20MAまで上昇し抵抗。
長期化させることは無いと思いますが、
こんなの、結果出てからでないと判断出来ない。
落ちかけのナイフは掴めないなぁ。

