「トニー滝谷」4Kリマスターの美しき市川準のアートワーク(╯•ω•╰)おしゃれ、精密、余白無し。。村上春樹とのズレ


公開当時は、さほど興味惹かれず。
その上、主役がモックンだと勘違いしていた。

  
市川準にイッセー尾形では、
オシャレでも、ちょっとクドいかと予想して、
敬遠したのかもしれない。
もう、当時の記憶は無いのだけど、、
 
うっすら憶えているのは、
本作の評判は良く、
CMクリエータから映画監督へと順調なキャリアを重ねる市川準。
このまま巨匠の地位を確固たるものに、と予想してた。
 
 
  
4Kリマスターで今、綺麗な映像をスクリーンで鑑賞出来るなら、
故市川準監督の画作りを楽しみに予約。
  
世間の評だけは確認しておきました。
ネタバレ気にするような内容じゃないことは知っていたし。
オシャレを褒める感想が多数派でした。
ただし、
ハルキストの評はバラけている印象を受けました。
短編で、尺を気にするような話じゃないし。
 原作を改変したのかな?
  それとも、
 原作を再現する為の特殊な工夫が災いしたか?(後述)

ま、一旦、
原作↓未読で臨みました。必要なら鑑賞後に読むつもり。
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 《 開演 》
  
 
まあ、確かに、
 4Kリマスターこだわりの映像&演出をスクリーンで、
 名優二人は抑制された演技に徹し、
 衣装、美術、セットは気合い入りまくりで抜かり無く。
それだけで、
劇場で鑑賞する価値は有ると判断します。
 
ですが、 
手放しで称賛出来ないのは、
 実は、市川準の資質はアート映画向きじゃない。
 監督の原作理解と自己投影にズレが有る。
このニ点が原因かと疑っています。
 

ところどころネタバレしつつ感想を。
第一部 感想全般
 1.1.演出全般
 1.2.A子とB子の対比(ギリネタバレ無し)
 1.3.改変に対する疑問(ネタバレ気味)

テーマについて、分けたい。
第二部 テーマ別
 2.1.喪失の物語
 2.1.1.市川準の着地(ネタバレ)
 2.2.消費財としての創作
 2.2.1.市川準の自己投影(ネタバレ)
 
  
 
1.1.演出全般
 坂本龍一の劇伴は、美しい旋律。

 ですが、
 劇中、主張強すぎませんか。静寂というのは無理っす。
 
 アート系おしゃれ映画なんですが。。
 余白はありません。
 演出がクドいと感じてしまった。
 やはりTV出身だと、分かり易く作る宿命なのか。
 
 また、
 同じ演出が延々と続き、いくらなんでも単調な印象で、
 (意図は理解したいが、西島秀俊そこまでフル回転でなくとも)
 CMは短距離走だから、
 マラソンに比べると駆け引きや緩急が少なめ。と感じてしまう。
 
 
1.2.A子とB子の対比(ギリネタバレ無し) 
 拒食症が疑われる前の宮沢りえ演じる、買い物依存症の美人は、
 リアリティを残しつつ、均整の取れた説得力で、
 申し分いのですが、
 演出としては、
 雇用した女子の地味さ、野暮ったさと、
 着飾った夫人の華やかさのコントラストはもっと欲しい。

 一人二役の顔が似てるかどうかは、どちらでも構わないと思うのですが、
 貧富の差の描き方に関しても、映画オリジナルの追加は疑問です。
 そこは同じ面積の、
  A子の衣装室と、
  B子のアパートの一室を、
 映像で表現しないなら画竜点睛。
 他で拘っても、、と不満が残りました。
 
 着こなし ”が” 美しいとナレーション入りますが、
 宮沢りえでは、素材が違うだろと、ツッコまざるを得ない。
  A子こそ、ファッションの鬼、萬田久子のような説得力を、

  衣装とカメラ総掛かりで与えたい。
 華やかさと、シックな演出とのメリハリ魅せたかったかなぁ。。
 長編映画としては、本作に不満です。 
 映画オリジナル要素削って、1時間未満の短編なら、
 モノトーンな演出で押し切っても、なるほどと思います。
 
  
因みに、
2005年の時代のファッションについて、
観賞後、調べようとしたのですが、
ストリート系の解説ばかりで分からず。
(レビューも探したのですが、幾度もあらすじのレクチャー受けました)
 
 
 
稀に、
トレンディドラマの如く消費される村上春樹という、
テーマについて言及してくれる動画見つけ、

ちょっと感激。
CM出身の監督と、ノーベル賞候補の作家の間に、
創作のスタンスがズレたまま、市川準は自己投影したんじゃないかなと、
疑いを持ったところだったので、我が意を得たりと喜んでしまった。
 
1.3.改変に対する疑問(ネタバレ気味)
 早速、原作を確認。(オーディブルで聴いただけですが)
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 ここで、映画オリジナルパートを判別。
 やっぱり、疑問は残ります。そこは原作通りでないとなぁ。
 喪失の悲しみ→決別を決意→(回復)→孤独の再認識

 という進行から、
 変質者気味のホラーなのか、偽りのハッピーエンドなのか、に着地。
 そんな、TVが好きそうな改変が残念でした。
 
 突き放して終わるからこその余韻。

 原作の味わいが失われてしまう。
 
 喪失を抜けた虚脱と、
 自身の作品の消費のされ方が重なる。
  村上春樹は手放しで喜んでいる訳じゃないけど、諦観が有り、
  大衆消費の具現なCM、そのクリエータの全肯定とは、
 違うんじゃないかな。
 
 違和感憶えた箇所はやっぱり改変だと、
 勝手に納得しました。
  
 
 
そこで、 
テーマを2つに分けて考えたい。
 物語で直接的に描かれる、喪失と孤独。
 主人公の創作への姿勢が、村上春樹の心情の吐露。
それぞれと、映画監督の解釈について。
 
2.1.喪失の物語
 原作はハードボイルドな短編なので、経過だけ。
 喪失から回復に至るまでの心情の変化は描かない。
 結果だけが描写される。
 余白を想像すれば、プロセスは見苦しいはず。

  迷走中にB子雇用とか、精神的にヤバい。
  理性は利くので、解雇しても、
  不安定な時期は続いただろう。
 で、遺品処分で区切りをつける。喪失の受容から回復へ。

 そんな妻の喪失がメインの物語で、
 父親で2周目。
 どちらも遺品を巡る、喪失から回復までの経過、
 ”喪の作業”。

 そして、
 誰も居なくなったと認知が働いてエンド。
 
 不案内で申し訳ない、それは通常運転らしい。

 原作「トニー滝谷」も定番なのですね。
 爽やかな諦めが、きっと持ち味なんでしょうね。

 
 そこで、片や映画化。
2.1.1.市川準の着地(ネタバレ)
 オリジナルの追加パートはやっぱり蛇足でしょう。
 尺を伸ばすべきなら、
  A子の宮沢りえの華やかなファッションや、
  喪の作業を丁寧に映像で埋めるとか、
 他にヤることあるだろう。
 
 説明しないと、居心地悪く成っちゃうのかな、その上、
  結局B子に執着すんのかい!
 諦めに着地しないので、原作に即さず、
 なんとも不気味な終劇で、めでたしとも思えません。
 
 バブルなCMの制約の中で、
 ハイセンスな仕事する人でした。
 大衆受けする着地は必須だったのか?
  アート全開の造りなのに、
  村上春樹ファンのクセに、
  敢えて、この短編選んだのに、
 テーマだけ最後に拒絶。
 
 うーん、それはプラスに評価出来ません。
 
 
  
2.2.消費財としての創作
 劇中、主人公のアートワークに対するスタンスを示し、
 芸術家気取りの薄っぺらさを見抜きながら、
 アルチザンの矜持を示す。

 日本文学の系譜でなく、異質。 

  スノッブなニューヨーカーだったり、
  西海岸のニューエイジだったり、
  ハードボイルド由来だったり、
 ペーパーバックで育った雰囲気を纏う。
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 歌謡曲やフォークに対して、ハッピーエンドなセンスを感じる。

 ポップな流行作家として大ヒット。
 その消費に、釈然としないのか、喜んだのか。
 
 空虚な感覚も残ったと想像しますが、
 否定的な反応も示さない。
 クールでハードな態度で一貫してそう。

 90年代はもう、村上春樹は世界市場の中に居て、
 なのに本作は、日本伝統の純文学的佇まいも窺わせる。
 
 映画は元より、原作でも、
 主人公が資産家になる過程に説得力は無いのですが、
 著者本人の実感には近かったのだろうよ。
 
 恐らく、問題意識にも変化が起こり、
 95年に帰国して、その頃オウムが世間を騒がせる。

 社会的な関心を増していった。らしい。
  
 本作は、最も私小説的題材の喪失を選びつつ、
 過去との決別を準備した前夜のようにも感じられる。
 
 
それから、2005年に映画公開。
 2.2.1.市川準の自己投影(ネタバレ)
  映像では、東京の夜景を見下ろす大きな窓の広い間取りに、
  ミニマルで、オシャレで高価そうなインテリア。
  そんな住居かつ、
  妻が浪費家でも大丈夫な理由は示されませんが、 
  夜景を眺めて、これぞトレンディ。

   これが、空虚を描いているのか、
   だた、高所得なアーバンライフを全肯定してるだけなのか、
  私には判別出来ませんでした。
 
  主人公の作品が形容されるように、本作自体も。
   精密で、主張は無い。
   美しく、おしゃれ。
  なのですが、
  芸術というより、工芸品の巧み。
  こだわりのカッコイイ画作りなんだけど、、
 
  原作が持つエンタメ性と市川準じゃ、方向性が違う。
  自己投影が間違ってないかな。
  覚悟のような諦めが無い。
  オリジナルパートの違和感を私は、そう結論づけた。
  
 
釈然としない理由が釈然として、何だか爽やか。
村上春樹は得意じゃないんだけど、
本作のお陰で、ちょっと理解したかもしれない。
 
予告編観て、映像と演出が好みなら、観て損は無いです。
  
  
 
これこそカッコイイエンディングだと思ってました。 

 
 
 
2026.03.29 現在
 市場は戦争が長引くと判断してるようです。
 まだ20MAと-2σのレンジですけどね。
 交渉の裏側は分かりっこないので、
 発言を額面通り受け取る意味無いのですが、
 4/10で結論でなければ長期化と見ます。
 まだ早期終結寄りですけど。
 バンドウォークしたら、4万8千円割れまで一旦ありそう。

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