「残菊物語」(*¯꒳¯*)「国宝」元ネタの至芸。長回しは手段、今はアニメならギリ可能な情報量

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本作は逃せないと、日曜午前、ふたたび神保町へ。


予約なし、午前10時より窓口発売のみで、
当日券購入後、11時開演まで時間若干。
神保町らしい喫茶店が開いていて、コーヒーを頂く。
昔は、
 古本を発掘した後、カフェで休憩し、一冊を早速読んでみたり。
 或いは、岩波ホールでしか架からない作品を、たまに観たり。
今より文化的な生活してたなと、街の記憶が蘇る。
 
 
それはさておき、
終戦3年目も凄いが、

現存する戦前の作品も凄いと聞く。

「国宝」の元ネタの一つだと、春日太一が確か語っていて、
作品の名を覚えている。
緻密な映像かつ精巧な美術を、スクリーンで観るチャンスは得難い。
 
 
歌舞伎に関しては「国宝」からの知識で充分と予習せず。
それでも、
 尾上家は ”よっ、音羽屋” と大向うから声が掛かり、
 音羽屋が寺島なことは既知。

 次いでに、成駒屋も既知。

梨園の女性は大変ですね。
  
   
記憶に浸っていたらギリ、入口でモギって貰うと、
早いもの勝ちの中央から後方の席はギッシリ、
やむなく、最前列に落ち着く。
 
 
 
 《 開演 》
 
 
  
やっぱり期待通り、大満足です。
流石の名作、隙がない。
 映像は勿論、話の運びにも無駄が無い。
 所作は当然の如く、安心して観てました。
 音楽は、
  セリフに被るとちょとウルサイですが、
  タップリと本物の邦楽(J-POPに非ず)を聴かせてくれました。

   
まあ、とにかく、
精密極まりない作劇。
全て誤魔化しのない本物で、
劇中の歌舞伎もしっかり演じてくれる。
 
かつ、 
ちゃんと物語していて、
整理された無駄ない脚本、起承転結分かり易いのに、
安易にハッピーエンドに着地しないリアリズム。
それでいて、後味は爽やか。

「国宝」は、、
 まあ、美しければ全て良し。

その時に感じた残念が一切ありません。 
しかも、
情報量多い画面なのに、疲れずスッキリ。
映像は、
 美術の精巧も、さることながら、
 そもそもの設計力、構成力が追随を許さない。
 
 
 
観れば、充分とは承知で、
それでも語りたいこと幾つか。項目に分けて。
 
 1.「国宝」の元ネタ
 1.1.似てるとこ
 1.2.似てないこと
 2.所作、時代考証 戦前黄金期の京都松竹
 3.長回しは手段 
 3.1.真四角(スタンダードサイズ)の画面
 3.2.画面と情報量 アニメなら、、
 3.3.リアリズムの説得力
 
※ネタバレします。
 不明な点は、以下の記事で確認。

 昔の名作なので、精密な評論が残ってます。 
 
 
 
1.「国宝」の元ネタ
 吉田修一の原作から、本作を意識したらしい。
 「覇王別姫」を思わせるのは、映画化からですか。
 顔面偏差値で勝負しようと、そこまで本作は狙ってない。と思う。 

 
 1.1.似てるとこ
  プロットから、
   若旦那は今ひとつ芸に身が入らない。
   贔屓の親方を失って失脚。
   ドサ回りで苦労。
   女房の献身。
   一回り大きくなって復帰。
  ただし、本作はそれ以上は詰め込みません。
  「あしたのジョー」的王道ライバル物語はありません。
  女性の献身にフォーカスされて、戦前らしいテーマと思われ。 
   
  「国宝」のセットも素晴らしいのですが、
  プロットの一部以上に共通点は感じませんでした。
  テーマと、作劇のスタンスが根本的に違うなと。
  
  
 1.2.似てないこと
  なによりキャスティング、
  その意図が全く違います。
   当代随一の美形スターを揃えて、
   ”凄く頑張ったね” という緊張感ではなく、
  ”出来て当然” と安心して観てしまいます。
 
  ところが実際は、
  主演の花柳章太郎は(後に本当に国宝となった凄い人らしい)、

   松竹や明治座の新派の人で、
   歌舞伎の伝統的な演目には苦労したそうです。
   (劇中、冒頭の演目は四谷怪談らしいのですが、
    主人公は親方から、ダメ出しされます。
    何がダメなのか私には、さっぱり分かりません)
   
  それから、
  転機となる、一世一代の出演で、”墨染め”と言われても、、
  わたしゃ、演目分かりません。   
  まあ、とにかく、
  誤魔化さず、舞ってくれなきゃ説得力がありませんよ。
 
  観て、なるほど元ネタ。
  渡辺謙が黒川クンを見初めるシーンと同じく、   
  関の扉

  令和の作のラストと違い、
  本作は、たっぷり演じて魅せて、感涙でした。
  しかも、カット割ります。(後述)   
  それでいて、
  ベタ過ぎず、ぶつ切りに成らず、
  設計どおり、客の感情を誘導。淀みない。
   
  これだけ整ったもの観てしまうと、
  音響とカメラは、センスそのものと思ってしまう。
  いや、
  李相日監督は敢えてベタを選択したと思うけど、、
  才能とは。。本作に圧倒されます。
 
 
 
2.所作、時代考証 戦前黄金期の京都松竹
 無学な私は、人力車の登場で、ようやく明治大正の頃かと知ります。
 汽車は東海道を通り、自動車は見掛けない、明治も初頭かと。

 そこで、
 時代の文化、風俗、生活を背景に描いて、一切妥協が無い。
 戦前とは言え、昭和が明治初期の再現は、京都松竹の力。
 
 着物の扱い一つでも、現代なら”大変だよね”と、同情するところ、
 戦前は当たり前。
 
 ほぼセットだと思うのですが、
 お座敷から、庶民の暮らし、旅芸人の生活まで、
 そこまでディテールに拘らなくてもと思うところ、
 徹底したリアリズム妥協なし。
 それに応えた、スタッフもスゲーよ。
 
 黄金期は、今とは制約が違う。桁違いなんでしょうね。
 (逆に、「国宝」はアイドル応援するようなハラハラ感)
 
 
 
3.長回しは手段

 解説を探しても、
 ワンシーンワンカットと言われるだけで、
 情報の提示のみ、
 意味付けまでの解説はなかなか見つからない。
 長回しは手段であって目的ではないのに。
 (今は、映画の解説は死滅してしまった。。前出の記事も参照) 
 
  観客の感情、特にブレイク(一呼吸)をコントロールしたい。
  画面の中で、背景、世界観を誤魔化さず完全に見せたい。
  観る者の意識が散漫に成らないよう、集中させたい。
 と最低限、観てりゃ作り手の意図は伝わります。
 
 逆に、必要とあらば、
 本作の「関の扉」のように、
 見守る人の心情もインサートしますから、
 客の感情、その導線設計が最優先と知れます。
 
 現代の解説は、紋切り型に紹介されるだけで、
 抵抗を覚えました。

 以下、
 私なりに、本作から感じたことを。
 
 
 3.1.真四角(スタンダードサイズ)の画面

  また「急に具合」から話を始めて恐縮なのですが、
   スタンダードサイズだから映像美不足。
   ホワイトボード(共産圏の再教育施設みたいな)のシーンは無駄か?
  という感想動画見て、擁護したい。
   そこじゃねーだろ とツッコんでしまった。

  現に、
  溝口健二を観れば、スタンダードでも充分映像は素晴らしい。
  
   無駄なのは、むしろ日本のロケで、
   濱口脚本は、溝口作品と違い、
   脚本家が脂汗流すほど、推敲に厳しくない。 
  冗長と感じるのは其の為。
  濱口監督の場合、映像でも説明中心なのだから、
  映像美が犠牲になるのは仕方無く。
  画面のサイズは適切で、
  批判するなら、説明が端的でない事。はぐらかしが多い。
  
  戻って本作、
  改めて感じるのは、  
   幅ヒロの画面では、映像をコントロールしても、
   どうしても、隙が生じてしまう。
  そう承知してたのでは、ないかな。
  奥行きも使って計算しつくすのは、
  あのサイズだからこそ。
  それに見せたいのは、パノラマではなくて、時代と生活。
 
 
 3.2.画面と情報量 アニメなら、、
  現代で、実写であれだけ細密な背景は、
  もう無理だと思いますよ。
  工数掛けて、アニメなら出来ても。。


  戦前戦中から敗戦まで、背景に戦局の推移が描かれますが、
  情報の処理が大変で、観終わってヘトヘトになります。
  本作は、
  (処理出来てない可能性は否めませんが)疲れない。
  スッキリと観られる。
 
  溝口作品は、情報量過多をギリ、寸止めで耐える。
  現代は、
  実写で画面をコントロールするくらいなら、
  映像を加工してしまう。
  それはそれで、当然と思うけど、
  真剣と模造刀くらい差を感じてしまいます。
  
 
 3.3.リアリズムの説得力
  嘘なのに、嘘を許さない。
  
  そのスタンスに尽きるのでしょう。
  今では、制約さまざまで、あの映像は無理かと。
  それと同時に、
  人間への視線がカラい。
  子供の頃から、そういう見方が出来る人生でないと、
  こう成らない。

   やはり世界中に影響を与えた。らしい。
  貧困の中からも、
  モーパッサン愛読したと想像され。(わたしゃ辛すぎて読めない)
  
  さんざん濱口監督引き合いに出して悪いけど、
  ドリーマーは、お坊ちゃんの気質。と比較してしまう。
  それはそれで、恵まれて育たないと、成れない。  
 
  年齢ではなく、人生のリアルな重みが違う。
  
  
  
甘っちょろいと、乗れないのは、昔から私の趣味趣向で、
これだけの名作古典をスクリーンで拝めるのは、
本当に有り難いこと。
 
 
 
引き続き聴いてしまった。
スムーズで、一部の隙もない。

広げ過ぎず、名人芸が完成度を高める。
 
 
 
2026.08.31 15:30現在
 やっぱりまだ、20MAの攻防なのか。
 よく分かりません。
 しばらく様子見。
  

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