「チルド」やりがい搾取に抗う(・д・)岩崎祐介の才能とシンデレラ・ストーリー

any, エニィ、エニーマート♪

予告編が流れた頃から、
ぜひ観たいと、テーマソングを聞いていた。
 
世間の評は、予約前に念のため確認。
概ね好評で、かつ賛否は分かれがち。それもまた良し。
尖った作風と知れる。
  
ベルリンの新人賞まで獲ったとは。鑑賞直前に知る。
インディの長編映画初挑戦で、これはユニコーン。
キャスティングがメジャークラスなのは、東北新社の力でも、
快挙は才能の賜物。
 
上映前に「ルックバック」実写版の予告が流れ、
 努力だけで、少年ジャンプのメイン張れる訳ねーよ。
 高校生ではキン肉マンだけ。絵自体は下手だったよ。
 自称クリエータに勘違いさせるの、罪だなぁ。
才能の埋められない差を知らしめる方が、優しい。
 
 10年を目処に己の才能を見極めよと、漫才の賞が設立されたように、
 映画の賞も、才能の発見器として機能してたら喜ばしい。 
 光るもの有れば、チャンス広がる。
 逆に、
 賞を穫りさえすれば売れると思ってる芸人は一巡で終わる。
そんな雑念浮かんで、本編スタート。 
 
 
 《 開演 》
 
※ネタバレ若干あり。
 あらすじの説明は避けておりますが、大事な点に触れてしまいます。
  
  
 
 
なるほどと納得。
 賛否それぞれも、
 ヨーロッパで好評も、
 染谷将太のオファー快諾も、
2作目にも期待。 
 
日常から少しハミ出して、
 いや、実際に有りそう
と思わせるエピソードの数々。
 
テーマは、日本色強いとは言え、
チャップリンの「モダン・タイムス」で、普通。

しかし、
コンビニのディティールの確かさは、「ナースコール」に負けず劣らず。

 あちらは緊張感、こちらは不穏な雰囲気。
 
CMディレクターとして培った実力は確かで、
インディにありがちな粗さも無い。
 
 
ホラーとバイオレンスには、若干不満も残るけれど、(後述)
日常からギリギリはみ出す不穏。
その画とお話造りの才能は、大切にしたい。
次回作あれば、また行こう。
 
火曜の最終は、もうガラガラかと思ったら、
意外と埋まった様なので、
次に繋がると良いな。
 
満足して、HUMAXのエスカレータを降りました。


個別には、以下。
 
 1.素晴らしい点
 1.1.CMディレクターの実力
 1.2.キャスティングと目の演技
 1.3.北野映画的? インプット量と才能
 1.4.嘘みたいなホントの脚本
 
 2.ちょい疑問
 2.1.音楽優秀だけど、ジャンプスケアじゃん
 2.2.バイオレンスの切りどころ
 
 3.関係無いけど
 3.1.人に優しく、自分に甘く 私の精一杯
 3.2.飲食個人経営とコンビニ経営
 
 
 
1.素晴らしい点
 最初は褒めから。鑑賞中に気付いた事。
 
 
 1.1.CMディレクターの実力
  去年、広告の新人賞に選出された時から、

   監督本人が、出役としても充分務まる。
 
  映像は、テーマ、モチーフ、そして、
   青味掛かった、
   奥行きを感じさせる、
   解像度のクリアな、
  画作り。
  本作と同様で、作風は確立されている。

「2025年度 TCC賞」にてOND°の岩崎裕介が「新人賞」を受賞!

会話劇を中心とした、静的で異物感のある演出が持ち味。

  東北新社でCMディレクターとして、実力を培ったこと知れる。
  広告なのに、”異物感のある演出”って、、
  岩崎祐介でしか有り得ない。それが才能って、ことでしょうね。
  
  さらに、短編映画が評価され、

   表情のアップの演出、
   圧迫感を感じさせる室内、
   四角い空には、閉塞と解放。
  本作に繋がり、いきなりベルリンで新人賞。
  驚きのシンデレラストーリーですが、運ではない実力。
 
  新しい才能は、
  ホラーで、画一への圧力を描くこと、「NEW GROUP」と同じく。

  戦後日本社会のモデルが壊れてゆく中、
  均質で在ることのメリット希薄で、
  今の日本で描かれるべき題材なのでしょうね。
  かつ凡庸では、このテーマは扱えない。説得力が出ない。
 
 
 1.2.キャスティングと目の演技
  表情をアップで撮るとき、明確に目の動きまで指定した演出と思われ。

  西村まさ彦の無機、唐田えりかのバイタルも、然る事ながら、
  特に、染谷将太は、
  いつも雰囲気から役に説得力有りますが、
   シーンごと、表情の中の目の動き絶妙で、
   一辺倒じゃない。
   なおのこと、傍観者然とした虚無が映える。
    
  くるまのリアリティ含め、
  有名どころのキャスティングは会心でしょうね。
  むしろ、
  脚本読んで、数多のオファーから選んだ染谷将太のセンス。
  拘りを見せない脱力に脱帽でした。
  
  
 1.3.北野映画的? インプット量と才能
  そんな評も見掛けて、なるほど確かに。

   ノーモーションでバイオレンス、
   四角い建造物、並ぶ室内、
   青味強い色調、空模様、
   無機質、無表情の虚無、
   敢えてブツ切りの場面転換、
  など、連想しました。
 
  誰から影響受けたか、監督本人が明かしていましたが、

  センスを感じるクリエータは、
  引き出しを形成する為のインプット量も充分なんですよね。
  逆に、
  よっぽどの天才でなけれも無ければ、
  自称クリエータレベルで底が割れてしまう。
  
  ふと、思い出してしまった。
   漫画の才能=画力ではない。
  と残酷な現実を告げる短編。
https://amzn.to/4pwI6Fq

『画力には見るべきものがある。ただしストーリーは凡庸。
構成にもっと工夫を』  
凡庸という言葉の意味がわからなくて、辞書で調べた。ムカついた。
でも、自分では見えない尻のホクロの位置を言い当てられた気がした。  
絵はうまいがストーリーづくりが苦手という漫画家志望者は多い。

  対比させる。
   絵は上手いが、インプットの足りない主人公と、
   アシスタント仲間だった、気鋭の才能。

八岐はいっしょにアシスタントをしていた頃から極端に無口だったが、
さすがにツボイ先生に話しかけられた時には、最小限の受け答えはした。
先生の趣味であるヨーロッパの映画の話題についていけるのは、
最年少の八岐だけだった。  
いくつも年下なのに、八岐は恭介の知らない、いろんなことを知っていた。
映画のこと。漫画じゃない絵画のこと。
小説のこと。国際情勢。いまの社会問題。
「漫画ばっかり描いてたら、漫画は描けないよ」

  漫画家より、
  吉本芸人さん思い出してしまうかも知れません。
   脊髄反射的な、瞬発力あるんだろうけど、、
   ”松本人志に憧れて”一本槍じゃぁ。。。
  令和ロマンの受験勉強的なM-1攻略法に及ばない。
 
  映画は(サブスク配信に非ず)、足を運んで先払いなので、
  払うべき才能に払いたい。
  情熱だけ有っても よりキツイ世界で、
  シンデレラストーリーに拍手してました。
  ”助監督から叩き上げ”以外のキャリアパスが、インプット足りた才能を発掘。 
  
  
 1.4.嘘みたいなホントの脚本
  いっくら何でも、と思わせつつ、
  実際に、そんな事もあるだろう。観客に納得させる。
 
  イデオロギー主張強い作風には無い客観。
  主張の為の事実の利用とは、別の人種の群像スケッチ。
  才能溢れる脚本は、 
   映画という技術と資本の賜物の表現で、
   サイレント時代から、コスられたテーマを、
   大上段に振りかぶらない。
  描写するだけ。
  ただ、大量生産の合理を描く。
 
  巨大な企業に勤めて、これは無理だと諦めた。
  サラリーマン時代を思い出しました。
  職場って、、
  
  そうまでして、生きているのは、コストに見合わない。
  確かに、そんこと思ったよ。
  冷凍でもない、絶妙な生殺し感。
 
 
 
2.ちょい疑問
 それでも、鑑賞中賛成出来なかった点も有り。
 
   
 2.1.音楽優秀だけど、ジャンプスケアじゃん
  結局、怖がらせる場面転換は、ジャンプスケアだった。
  音楽も然り。
 
  やんわり不気味で不安を知覚させるのは、サスペンス的技法で、
  ホラーはやっぱり、ヤるんだよなサプライズ。
  
  いっそ、同じ題材の永江二朗の方が潔いぞ。

   ホントは、映画公開に合わせるつもりだったかも。
  
  ただ、岩崎監督は、
  驚かしが、好きでも得意でもない。それは伝わる。
  それなら、自らホラーと銘打たなくても、、
 
  リアリティ感じさせる設定で、
   コンビニ経営から家族の不和とか、
   店長残酷物語とか、(後述)
  控え目に、決定的なエピソードでのみ、
  ホラーの驚かし演出すると。
 
  そのスタンスが優るとは観てた。
 
   
  ネタバレしてしまいます。
 2.2.バイオレンスの切りどころ
  ノーモーション、予備動作最少の方が効果的。

   縦拳、パンチファーストみたいな打ち方。
  
  ですが、
  やっぱり監督、
  バイオレンスやスプラッタは、好きでも得意でもない。
  
  現実からギリはみ出す違和感に終始しても、、
  うーん、
  本作の展開の方が、ウケいいのか。
  正解は分からないのですが、乗れませんでした。
 
  ノーモーションは驚かしの効果大でも、
  感情の導線が無い分、観客のカタルシスには繋がりにくい。
 
  劇中一番人間味ある人物が、壊れてゆくなら、
  まだ、そのプロセスに導線感じますけどね。
  
  ’人間性奪う現代社会’という定番やるなら、
  最後に暴れる人選が違うでしょ。
  そこだけは、唯一下手だと判断しました。
 
 
 
  続けてネタバレします。
 3.関係無いけど
  最後に、連想した事。
 
 
  3.1.人に優しく、自分に甘く 私の精一杯
   とにかく店員さんには、優しく接しよう。
   それが、本作の感想でした。
 
   成果を求められる社会では、
   「モダン・タイムス」的に合理性追求され、
   兎角、非人間的であるもの。 
   
   そこで、”自分に厳しく、人に優しく”は空理空論。
   お花畑な理想論。
   そんな非対称性は本能に反する無理。

    余裕って、損失に対する許容。
    自分に甘く無い人間に、そんな事出来るはずもない。
   
   あそこで、西村まさ彦が壊れる合理は無いんだよね。
   唐田えりかは、染谷将太の指示で作業。
   オーナーがそれを咎めるなら、
   その相手は、指示を出した店長(の代理)たる役。
   
   組織論的に、正当性無い怒りだと、
   観客は作り手に、寛容には成れない。
   
   これ、黒沢清の悪影響かとも邪推してしまう。
    クリエータとして経験積んでも、
    社会問題扱うも、組織が描けない人。
   
   実際は、
   店長の頭越しに、オーナーがスタッフに注意も有ろう。
   だけど、
   このケースは、
   中間管理職の指示を受けての作業だから。
   そこ自覚して感情の導線設計してるかな。
   
   怒りの矛先が間違っているなら、間違うだけの理由が欲しい。
   本来は、
   理不尽な要求の板挟みで、ヒロインが怒り爆発させるべき場面。
   
   暴君は最後、革命で死ぬ。
   その王道ストーリーなら、観客はカタルシス感じ易い。
   組織の理屈に無頓着は、納得感が無い。
    オーナーがバイザー追い返して後、
    唐田えりかと、西村まさ彦が逆だったら。
   そう思うと、惜しい。
   
   うーん、、
   残念という損失に寛容には成れない。
   せめて店員さんには、優しく接しよう。
   それが、余裕無い私に出来る精一杯だ。
 
 
  3.2.飲食個人経営とコンビニ経営
   コンビニ経営の家庭不和は、あるある。


    人で不足から、家族の過酷な労働。
    マネジメントで解決すべきが、家庭に持ち込まれ。
   経営が家族に侵食して、家庭崩壊させるケース。
   本作は、
    背景だけ。匂わせ程度でしたが、
    あるあると観てました。
   大変リアリティ感じました。
 
   また、
   フランチャイジー(加盟店)と、
   フランチャイザー(本部)では、
   ビジネスモデルが違う。

https://amzn.to/4pB822R
   劇中のバイザーが、新機材導入を勧めるのは、
   大○建託など、サブリースのアパート経営話に似て。
   そこは、
   ブチギレたくなるのは同意だけど、
   いつも馬耳東風なんだから、軽く受け流せよ。
    
   システムを買っただけなのだから、
   商品に思い入れなどなくて、合理性追求は正義。
   そのカウンターは、
    世間知らずな科白吐く、将来独立を夢見るヒロインや、
    キッシュ屋開業する夫婦。
   或いは、
   監督の自虐でもある勘違いクリエータかもしれない。

   フリーランスは、固定費重い個人経営とも違うんだなぁ。

   岩崎監督に、
   個人経営の飲食店のリアリティは無いと思われるが、
   流行りでもない、自分の想い入れだけのキッシュとは、絶妙。

    単価安いし、
    物珍しくとも、パンほどリピートしない。      
    イートインの回転率なら、ドリンクの利益無いと無理。
  
   因みに、
   タピオカや麻辣屋は、
   瞬間風速だけ見込んだ資本がスカルピングというモデルかと。
   関係無いけど、連想してしまう。
     
   うーん、
   終盤展開の甘さは、
   脚本の、ビジネスの合理性に対する、理解の甘さにも思えてしまう。
   単に、非人間的と言うだけで、片付けられない。
   まあ、若きクリエータだもの。
 
 
 
それ以外は、逆に申し分無し。
このタイミングで、
シンデレラストーリーを体感出来て嬉しい。
 
資本主義社会では、購入が投票行動。
せひ、才能に一票を投じたい。
 
 
 
よせばいいのに。。

人生、日々出直し。 
 
 
 
2026.07.23 15:30現在
 トレンドラインとチャネルラインのレンジに、
 戻って参りました。
 今日仮に陽線で終わっても、
 依然、ダウントレンドは継続です。
 来週は、もう一度、前の安値目指すと見てます。 

カテゴリー: 書評、映画評など パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


*