国策映画「ドゥランダル作戦」無能で姑息だが(´•ω•)、Vシネの楽しみ。休憩付き206分アッという間


名画座の観たい作品はタイミング合わず、
たまには、ボリウッド娯楽大作でも。
トイレの心配の無い親切設計に惹かれた。
 
何より本作、パキスタンに潜入するインドのスパイの話で、
ふと、思い出す。
 カラチからモヘンジョ・ダロ観光の帰り、

 イラン国境近くの街で、
 私服の二人組がホテルに訪ねて来た。
そういえば、
20カ国語を操るインドのスパイだと疑われていると、
忠告されていた。
 英語すら、ままならないのに。
 拷問はイヤだが、ゲロする材料すら無く、何も言えない。

民族衣装を着て髭面で、現地に紛れていたのも、災いしたか。
 観光だと説明し、デジカメの写真を全て見せ、
 銃の映ってる画像は消せと言われた。
 
  
カラチとムンバイテロを題材に採った作品を、日本で観る機会は稀少。
インドの娯楽映画が、パキスタンをただ悪役としか描かないとしても、
目を瞑って予約してしまった。
 
あらすじを読むと予想より酷く、
ヒンズー第一主義を掲げるモディ政権の国策映画らしい。

 「野望の王国」のようなバカ表現で、(今は、Unlimitedで読める)
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   高度成長期の国家意識肥大と、
   新中間層のエンタメ欲を、
  満たす。

もう一つ、プロパガンダを指摘する希少種。 
究極のナショナリズムが映画に宿るとき
 劇中アル・パチーノ風ヤクザのボスについて、
 日本で、まともな言及は珍しい。

レヘマーンは実在の人物で、
地元ではロビン・フッドみたいな感じで支持されていたそうです。
ちなみに本作ではムンバイ同時多発テロ事件に
レヘマーンが関与したみたいな描写になっていますが、
実際はとくにそうした証拠はなく、
主人公の存在と合わせてフィクションです。

 善玉補正の手口の解説も稀で。

この『ドゥランダル作戦』の過激な暴力描写は
見境なく映し出されているわけではありません。
非常に政治的に計算された暴力です。
というのも、インド側はパキスタン男しかボコボコにしませんが、
パキスタン側は女も子どもも容赦なく残忍に殺す暴力が描かれます。
要は過激な暴力の方向性が明確に線引きされているんですね。
 
「私はパキスタン人やイスラム教徒を嫌悪しているわけではない。
敵はあくまでIS、もっと言えば野蛮人だ。だから当然の報いだ
というおなじみの正当化(敵の非人間化)をもたらしてくれます。

 陳凱歌の最近まで観てるのか、、

中国映画の『1950 鋼の第7中隊』『1950 水門橋決戦』
の感想でも書きましたが、
プロパガンダ的な映画というのは往々にして非常に娯楽性が高く、
こうした表面上はただのエンタメとして受け入れられる映像こそ
国威発揚の効果を無自覚に観客に発揮できます。
   
『1950 鋼の第7中隊』『1950 水門橋決戦』感想(ネタバレ)…中国の国威発揚映画の最高峰
『ドゥランダル作戦』は完全に
その演出の狙いがありありと伝わってくる映画でした。

現実への影響まで示すとは、日本人らしからぬ激レア。 

本作が煽りに煽ったかいあって、
この『ドゥランダル作戦』を低評価で批評した国内の批評家の何人かは
愛国主義的なインド人から
「敵」認定され、殺人やレイプの脅迫など誹謗中傷に晒され、
レビューを削除せざるを得ない事態に…(Feminism in India)。

 
一方、
平和を唱え、かつ、中国が好きそうな朝日新聞は、
本作を批判せず紹介
 トランプ政権も高市政権も嫌いで、
 やはりモディ政権も嫌いな筈なのに。
その上、
後編はNetflixで視聴可能らしい。
 どんなチカラが働いているのだろうか?
  
それから更に、本作の解説を探しても、
 タリバンと(パシュトゥン人暮らす)アフガン・パキスタン国境や、
 バローチ独立運動やシンド州への定住も、
 故ブット首相の人民党の基盤、シンド州(州都カラチ)事情など、
説明してくれる日本人は見当たらない。
 
”これが現実”と本作を解説する種族こそ、ガラパゴス島の住人だと、
思わず反論したくもなりますが、私だって無知。
若干の予習復習で、事実関係の把握は補いました。(後述)
 
 
あらましは理解。 
 プロパガンダが不快過ぎたら、幸いトイレ休憩も有るので、
 その時に退出すればいい。
と割り切ることにした。
 
楽しみの一つだった、パキスタンの風景は、

このインド映画では無理で、
カラチのシーンは、バンコクのオープンセットらしい。
まあ、
作られた画に我慢出来ないときは、トイレから戻らないだけ。
 
 
 《 開演 》
 
 
※ネタバレなし。あらすじの説明はしません。

‘よど号’みたいに屈して、捕まえも暗殺も出来ない。
全てパキスタン政府が悪いと主張が他責。
インド政府の無能の証明。逆プロシュートの兄貴。 

剛の者どころか、マヌケで姑息で小悪党なだけの主人公。
 ジュラル星人のような回りくどい作戦。

 「東リベ」かと思うマヌケ、ミッション怠る本末転倒。

 「カメレオン」彷彿のセコい懐柔。

  
血で血を洗う国なら、
テロ組織指導者の居場所突き止め、とっくに暗殺してるよ。

政治の腐敗や犯罪、反政府運動はインドにもあるだろ、

自国の問題を描けよ。
広島の抗争を、釜山の物語に移すような姑息。
 
パキスタンのテロ組織に、インドは関与してないの?

本作は、バローチ独立も煽るくせに、(後述)

堂々とカシミールを舞台にしたらいいのに。

劇中、
インド-アフガン間をヘリで移動。アフガン-パキスタン間はバス。
(中国-パキスタン間は描かれない)

アフガン経由で、武器は何とでも調達可能に見えて、
 テロ組織でなく、ギャングに潜入する意味有るの?
疑問が湧く。 
 
 
鑑賞中は都度都度、
ヤることなすこと、セコすぎて呆れてしまいましたが、
Vシネのヤクザ抗争ものと観れば、飽きさせず、あれよという間。
 演出はベタ全開で、かつ、ちゃんと上手い。
 湯水のごとく豪華な画も音楽も効果的でした。
プロパガンダを忘れ、
素直にバカB級娯楽映画としてだけ観れば、ピュアに楽しめます。

 
カーアクションは、カメラ素晴らしいと観てました。
いちいちスローモーション不要ですが、
あの臨場感は、他の国では無理かな。(コンプラ的問題もあり)
 
ガンファイトや殴り合いは、
工夫は素晴らしいのですが、
作り物感が強すぎて、インド全般に苦手です。
 
音楽は、
インドポップスと思うのですが、分かりません。
リズムは常に、鼓動をモチーフに。エモーショナル。

パキスタンのは、トランスしそうになる節回し。

 
全般的に、
イスラム文化に対する敬意が、作り手に全く無いので、
パキスタン味を感じません。
特に女性は、顔見せなかった気がする。
 
言語は、
 インド高官のやり取りは、訛りの強い英語だと思われ。
 他は、全編ヒンディー語なのでしょうか、分かりません。

スパイじゃないので、英語通じると憶えられません。
私は、字幕読むだけでした。
 
うっすら、「私たちが光と思うすべて」の記憶も有り、

本当は、
 カラチだから、シンド語で、
 バローチ人同士なら、バローチ語で、
 パシュトゥン人はパシュトゥン語、
 別の民族同士なら、ウルドゥー語とか、
区別が有って然るべき処。
   
 
感想はそれくらいで、
あとは、
ストーリー関係無く、気になった事を書きます。
 
 0.バックにアメリカ? 中国でなく
 1.アフガンやタリバン描かないの?
 2.バローチ独立運動の最近
 3.シンド州と主演ランヴィール・シン
 4.インドのテロ対策は有能らしい
 
軽く、予習復習してしまいました。
 
 
 
0.バックにアメリカ? 中国でなく
 劇中、パキスタンのバックにアメリカというセリフ有り。
  おや、一帯一路の中国じゃなく?
  
 カレーに飽きた頃、
 ラワルピンディで見つけた中華屋がオアシスで、
 たとえ、注文した餃子がモモにしか見えなくても、
 中パ友好に感謝したものです。

 因みに、
 カラチでは、暑さと油濃い食事に弱り、
 高級そうな日本レストランで、ディナーしました。
 
 それはさておき、
 本作冒頭にもあるインディアン航空814便ハイジャック事件は、1999年の年末。
 注目すべきは、

ターリバーン政権は犯人グループらの亡命を認めなかったため、
犯人グループらは一時アフガニスタンに滞在した後、
パキスタンに逃亡した。
また、アメリカ中央情報局(CIA)は
ハイジャック犯らが隣国パキスタンに入国したことを確認した。

 ただし、
 パキスタン政府の関与を裏付けるまでには、至らずかな。
 劇中、テロリストの音声流れますが、
 これだけで、
  ”アラーは偉大なり”と唱えたらテロリストで、
  パキスタンはテロ支援国家だと、
 それは流石に印象操作が過ぎる。
 
 兎も角、911が2001年で直前。
 TVでもよく見た、ムシャラフ大統領時代で、

クリントン政権の頃からアメリカの影響強いか知らないけれど、
 ブッシュJr時代は当然。タリバンとも敵対。
 一帯一路の開始は2015年なので、

 中国はまだ、この地域で表舞台に立ちませんかね。
 インドと仲が良いとは思えませんが。 
 鑑賞中は、疑問を感じた後、
 911の直前だと、思い直しました。
 
 
 
1.アフガンやタリバン描かないの?
 本作はあくまで、
 テロ支援国家としてのパキスタンを描くこと主眼で、
 アフガニスタンは、
  ハイジャックのカンダハルと、
  カブール→ラフォール→カラチと主人公の移動経路、
 2つを描くのみ。
 カラチのパシュトゥン人も、
 バローチ人との対抗勢力とされるだけ。
 
 パキスタンとアフガンで近年緊張高まるのに、違和感覚えました。
 劇中は2000年の年明け(の筈)に、インド発アフガン経由パキスタンですよ。
 端折らないで、描いて欲しかったな。
 まあ、
 敵の敵で、最近インドはアフガンに急接近と噂されるから、
 描かなかったのかな。

 
 
  
2.バローチ独立運動の最近

 全く不案内で、予習しました。
 4年前には、中国も登場

 バルーチスターン解放軍をインドが支援してるなら、
 お互い様に見えてしまった。
 現在も火種は消えず。

   
 鑑賞中は、
 インドに一方的な正義が有るように感じられなかった。
 ただし、それは現実に対する私の主観で、
  ”正解”である、
  作り手の主観を、
  演出から読み取るという、
 ”考察”ではなく、”批評”寄りの感想。
 
 去来するのは、 
 純粋に民族自決を支持するだけなら、
 インドだって、独立の問題は抱えている。政府は認めないでしょ。

 
 
3.シンド州と主演ランヴィール・シン
 劇中主人公は、バローチ人の設定ですが、
 実際は

ムンバイのシンド人一家アンジュとジャグジット・シン・バヴナーニの息子として生まれる。
ランヴィールの祖父母はインド・パキスタン分離独立の際にカラチからムンバイに移住した

 逆に、カラチを州都とするシンド州に所縁の人。
 イスラムではなく、ヒンズーとも想像される。

 パキスタンは人工国家で、各州とも中央と違って当然だけど、
 シンドは文化も民族も独自で、
 政治もブット家率いる人民党が強い。

 2002年の民政移行で、人民党は躍進
 2007年ブット元首相暗殺で、

 2008年ムンバイ同時多発テロ発生。
 2008年ザルダリ新大統領選出。
 
 時代背景は大体把握。
 クリーンとは思えないので、ギャングとも癒着は有っただろうけど、 
 パキスタン人民党がテロに関与とは、根拠が薄弱過ぎるかなぁ。
 インド国内の犯人説すら否定できてない。
 
 その上、本作では、
 テロ組織でなくギャングに潜入し、かつテロは防げない。
 回りくどくて、成果も無い。
 復讐と呼ぶには、主要じゃなさ過ぎ、偶然に頼りすぎ。
  
 スパイものであること忘れて、
 ヤクザ抗争ものと観てりゃ問題ないかもしれないが、
 主張が強引過ぎて、物語が破綻してるよ。
 
 興味の持続には成功しているけれど、
 カタルシス無く、モヤモヤしたまま。
  
 
  
4.インドのテロ対策は有能らしい
 劇中、インド政府が無能にしか見えないが、
 実際は、優秀へと変貌したらしい。
 
 気になって、google先生に聞いてみた。
  以下の3要素で、大きく改善されたらしい。 
   和平も選択肢に。
   信頼される軍警察の創設。
   他国との連携。
 テロ対策でも注目されるインド

そこでインド政府は、相手の組織を武力によって一挙に壊滅する方法ではなく、和平を結んだり、戦闘をしたり、「同盟」したりしながら、徐々に弱体化させる方法で、問題の解決を図る傾向が見て取れる。インド北東部の武装闘争や、毛沢東主義派との戦闘の際は、一部武装組織のメンバーが、和平により、議員としてインド政府の一部に加わっている。
 
 -中略-
インド政府は住民が警察を信頼していないため、警察に通報しないという問題の解決を模索した。住民へのきめ細かなサービス、パトロールも車両から歩行に改めるなどの改革を行った。地元との癒着のある警察官だけでなく、全く関係ない地域から呼び寄せた警察官の活用方法なども検討した。そして陸軍では強力すぎるが、警察では弱すぎるため、その中間的な警察軍、準軍隊組織の立ち上げ、活用に着手した。
 
 -中略- 
パンジャブ州でのテロ対策の例では、インド軍を主体とする国境封鎖作戦ラクシャクI,ラクシャク?作戦などが行われ、一定の効果を上げた。スリランカのタミル人組織への支援においても海軍、沿岸警備隊を通じた密輸阻止の作戦が行われた。こういった作戦は一定の効果を上げたものとみられている。

 近年は、対策の近代化、デジタル化進み、’情報主導型’へ対策が移行。
 パキスタン情報機関ISIの動向を掴み、デリーのテロを未然に防いだという。
 
 本作では、感情を煽ることが優先され、
 インド政府が無能にばかり見えてしまうが、
 実際には、
 パキスタン政府のテロ支援対策にも、成果を上げている。らしい。
 
 プロパガンダ映画だけで、インド政府を見くびるのも、逆に適切ではない。
 劇中、ISIを非難する理由は、有るには有る。
 軽々に決めつけられない。
  
 
昔のVシネ(竹内力、哀川翔、小沢仁志などの作品群)の豪華版。
そう割り切って、プロパガンダ要素をスルー出来れば、楽しめます。
 
楽しめますが、 
世界情勢を娯楽で消化する事こそ、思う壺で、
それは簡単に洗脳される訓練かも知れませんので、お奨め出来ません。 
  
 
 
カラチ行きのバスの中で聴いたら、ふとトランスしてしまう。
インドからは聞こえない調べ。

ユダヤ由来の教えは分かりませんが、
インドもテロ多いだろうけど、パキスタン国内もテロは多い。
  
 
 
2026.07.26 現在
 -2σ近辺まで下落。
 月曜は更に下げ、バンドウォーク始まりそう。

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