「怪談」制作会社倒産のカンヌ特別賞( ゚д゚)凄いけど…耳無し芳一だけじゃだめ?「かぐや姫の物語」「雨月物語」「モノノ怪」比較


文芸坐2本立ての1本目として鑑賞。


仲代達矢は、そこまでメインでもなく、
三島由紀夫「金閣寺」を市川崑で映画化、に興味惹かれ、
折角のついで、小林正樹の大作も欲張った。
特別審査員賞受賞でもあり、観て損はないだろう。
 
小泉八雲は随分と昔に読んで、うろ覚え。
有名エピソード4話から成るオムニバスで、上映期間も長い。
今回は、
カンヌで上映された短縮版。それでも3時間超え。
不安を覚えるが、短編の切れ目でトイレは対応すれば良し。
(私は結局、3話目の終わりに、やむなく退避)
 
どの時期の上映の評か、定かでないまま、いくつか確認。
 マイナスは主に、
  小林正樹はロジカルで、情念は不向き、美人も撮れない。
  凄いけど、幾らなんでも長過ぎ。
  セットのファンタジーな意匠がよく分からん。
 などで、少数派の様子。 
 
 概ね高評価で、
 とにかく映像は凄い。さらに作劇の意匠を褒めるものも。
まあ、観て損は無い。だろう。 

内容に関しては、 
4話目以外は、(4話目も読んだかも、、)
人口に膾炙した説話でもあり、特段の予習もなし。
日曜の池袋東口へ。
 
 
 
 《 開演 》
 
   
 
これは、、文化事業。
これでは制作会社の倒産も必至。
出来るだけ早くデジタル・リマスターで保存を。
もう造れない。
1965年(昭和40)はまだ、
 日本映画産業が元気、かつ、
 現存の美術で平安の頃まで時代を再現出来た。
 
この実写は、大スクリーンで観るべきで、
偶然の機会、逃さず幸運。
是非、映画館で堪能したい。 
 
以下分けます。
長くなるなら、尚更。

 1.比較
 1.1.かぐや姫の物語
 1.2.雨月物語
 1.3.モノノ怪
 
 2.本作全体の感想

 3.各話個別の感想
 3.1.黒髪
 3.2.雪女
 3.3.耳無し芳一
 3.4.茶碗の中
 
ネタバレ無し。と言うより、
有名な説話を、私が説明する余地も無く、
ストーリーは既知当然と観る作品。

内容も制作秘話も、この動画↑が詳しい。やはり狂ってます。
  
興味有れば、
映画と違い短いので、原作鑑賞も、お手軽で、お奨め。
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 斬首後に石に噛みつくエピソードを、鮮明に覚えている。
 脳の働き、怨念を合理的に、切り取る。
https://amzn.to/4xMwbY0
 英語が得意なら、夏目漱石前任者の原文も鑑賞可能。(私は無理)

 
1.比較
 鑑賞中も、去来した作品幾つか有り。

1.1.かぐや姫の物語
  反面、商業映画としては、厳しいと想像される。
  高畑勲「かぐや姫の物語」思い出した。

  宮崎駿の利益をすべて溶かした名作にして、大作。

   これは文化事業で、商業映画では無理。
   と岡田斗司夫の発言だった記憶蘇る。
  
   ”かぐや姫は月に帰りました” はネタバレ。
  展開を楽しむ物語ではなくて、
  高度成長期の大衆娯楽は、無理でしょう。 
  その卓越した、金に糸目を付けない表現を楽しむ本作。
 
  誰も巨匠を止められない体制と、企画の無念は、
  両作に共通なるも、  
 
  高畑勲はまだ、
  生命の歓び、オリジナルのモチーフも存分に描く。
  対して、
  本作は、
   全力で時代の再現しつつも、
   撮影当時の技術も駆使して、
  リアルなのにファンタジーを描くという、
  極北の表現そのもの。
  狂気の純度は、こちらが勝るとも言える。
 
  娯楽として消費しようなどと、ケチな事は考えず、
  ただ、文化事業を鑑賞するのみ。
 
 
 1.2.雨月物語
  アートな欧州の賞と言えば、
  似た題材の「雨月物語」が既存で分が悪い。

  本作の企画は、
  カンヌ銀賞の後、

  より時代が遡る日本的様式美で、リベンジを目指したはず。
  絢爛豪華さ加減でも、ヴィスコンティに引けを取らない。

  溝口健二のリアリズムとはまた別の、


  小林正樹リアリズムと、
  色彩も絢爛なファンタジーとの融合なるが、
 
  西洋人の目にも、金賞は難しく。
   題材は二番煎じ的で、
   オムニバスは冗長か。
 
  ハリウッド大作でも、かくやと思われるセットは壮大で、
  その意匠も単なる写実に満足しない唯一無二。
 
  折角だから、
   平安末期から鎌倉の武士(役人)と姫、
   京の荒れ地、
   最後はホラー表現。
 
   今は昔、山間の農民、
   民話に能のような岸恵子の雪女、
   ファンタジー全開。
   
   なにより、本気過ぎる源平合戦絵巻物。
   琵琶の語りにも、こだわる。
   欧米にも伍する圧倒的な日本の様式美。
 
   すこし不思議。メタ構造入り。
   次いでに、江戸も明治もヤりたい。
   幻影を当時の技術で、映画は鏡の世界だし。
   
  多種多様に描きたい。
  監督は、よっぽどの想いに、千載一遇の制作だったのだろうなぁ。
  映像は理知的なれど、溝口健二の端正とは、また別もので、
  創造性溢れる。
  日本の時代もので、コレを超えるのは、
  ハリウッドもネットフリックスも無理。
  黒澤明「夢」すら霞む。

   「夢」のロケ地の映像は、この世の物とは思えない美しさでも。
  本作の、敢えてセットで、当時の技術全開で挑む、
  画角いっぱいの全力と意気に圧倒されっぱなし。
  
  作品としての纏まりは、二の次。
  制作費3倍は暴走だと、つい思ってしまう、、
  
  やはり、
  商業的成功は無論のこと、賞狙いでも、
  ベネチア銀賞にも習い、
  一本のストーリーとして整理した方が、
  作品としては優ると思われ。
 
  各話それぞれ、分けた方が正解でしょう。
  「耳無し芳一」に「茶碗の中」の一部冒頭足して、
   ラフカディオ・ハーン執筆中の近代、
   琵琶法師の鎌倉の仏門、
   平家物語の壇ノ浦、
  メタ構造込みで、3つ時代それぞれを描いて、
  一本の完成度極めた方が、、
  お財布にも、やさしい。
 
 
 1.3.モノノ怪
  オムニバスの怪談絵巻物というアイディアは、
  「モノノ怪」にインスパイア与えたか?

  自主で、やりたい放題の表現は、先達あっての事と想像。
  あれもこれもと欲張るなら、やはり連続モノが正解。
  
  本作も、三部作にして、
  「茶碗の中」の執筆部分を前後に毎回挟めば、
  各3話とも1時間以上の尺には充分。
  
  様子見ながら、続編作った方が、、
  なにも、倒産することはない。
  TWIN ENGINEは、創作の情熱と経営戦略の二本立て。
  企画の手綱捌きが見事と逆に知る。
 
 
  本作は、企画から制作までを、会社がグリップすることに失敗
  4話を一本の構成は無理と、早い段階で悟れた。短縮版で3時間超え。
  「耳無し芳一」だけ一本先行で、評判良ければシリーズ化。
  それが健全な態度。
  
  もしかしたら、
  順番に作って、三話目で膨大に膨らんだのかもしれない。   
  原作準拠でも、
 「壇ノ浦」をあそこまで細密に作り込むのはヤリ過ぎ。
  作り手の表現欲が止まらない。
  なまじ、実現出来てしまうだけに、厄介。
 
  企画の段階でブレーキ踏めず、
  新機軸にチャレンジした、「果てスカ」と並べるべきかなぁ。
  収拾着かない膨らみ方して、分ける選択も出来ず。
   
  創作意欲を刺激するチャレンジだからこそ、
  財政規律が必要という教訓。
  分割して統治したかった。
   ダメなら撤退すればいいし、
   手応え有れば、販促も選択肢が増える。
 
 
 
 本作は、客層からして難しい。 
2.本作全体の感想
 娯楽作とも、アート映画とも別ジャンル。
 いかにも芥川龍之介が、
 今昔物語や宇治拾遺物語から、採りそうな短編。


 
 ところが本作は、
 賞を狙ったとは言え、
 人生の深淵を覗く、文学に昇華させる意匠とは、微妙に違う様子。
 映像表現そのものを楽しみたい。
 
 確かに、
 情念がテーマかと言われると、、
 描きたい事は、
 説話のリアルとファンタジーが融合した映像そのもので、
 人間ドラマへの興味は、それほどでも。
 
 
 特撮を、現代の目で観て、
  機材も技術も致し方ない面は有ります。
  しかし、
  それを差し引いても、途方ない。
  もう無理な実現。
  (ゴジラなどの東宝特撮には、本作数えられない。らしい)
 
 
 「切腹」からも引き継いだ、豪華過ぎる役者陣、
 当然、申し分なし。
 しかし監督は、必要以上に演技させません、画作り第一。
 個人的には、
 フェイバリットは渡辺美佐子。
  衣装のみならず、化粧も平安調の本格的再現に留まらず、
  一瞬の、女の淋しさ、哀しさの表現が、ただ豪華なだけでない。
 
 それから、やっぱり中村嘉葎雄は好き。
  「修羅」以来の拝見。
  佇まいが、時代の本物にしか見えない。
  凛とした所作の説得力。
  琵琶の奏上素晴らしく、演じる気配も消す。
 
 岸恵子は、美しさより、能面の不気味さ重視の役。

  素地が華やか過ぎたかな。
  田中裕子のように、パーツは地味な方が映える。
https://eiga.com/movie/68329/
   様式美で、美人とエロスなら「嵐が丘」お奨め。
  確かに、小林監督は、妖艶を上手に撮るタイプじゃないな。
 
 
音楽は卓越。
 武満徹は、余人を持って代えがたい。

 和の楽器と曲調で、
 当時の技術の粋を尽くしたのでしょう。
 作曲家のみならず、映画音楽としても才能の限り。
 (ごめん、「国宝」の音楽への不満も、逆に浮かぶ)
 私は、本物の琵琶の平家物語を始めて聴いた。
 (すまん。「犬王」の残念とは別格過ぎて、昇天しそう)
 
 兎に角、映画館で映像と共に鑑賞したい。
 
  
 
3.各話個別の感想
 本作の構成は、今はただ、お得だとだけ思って、
 各話ごと。
 そうしたら、不満が止まらない。
 
 
3.1.黒髪
  似たような話は幾つか、「雨月物語」の先例有り。
  差別化は、
   華やかな、平安調の美術をカラーで、
   かつ、しっかりとホラーをヤリ切る。  

  本編は、女性美しく。
  三國連太郎は、
   現代の有名人なら、社会的に抹殺されるべき悪い役、
   通常運転頼もしい。
  
  これをセットでとは、ちょっと今では考えられない。
  しかも、ミチミチの大スクリーンで撮って、目に嬉しい。
  先行作とは、作劇の全く違う小林正樹オリジナルで、
  衒いすぎず、正攻法で物語る。
   
  名刺代わりの一遍目。
  個人的には、
  戦国より昔の再現をスクリーンで観るのは嬉しい。
  1ミリも隙が無い。
  
  が、 
  客層が難しいと、この時点で分かる。
  こんなカネ掛けてと心配になるが、案の定。
 
  溝口健二が描く市井の人生と異なり、
  お話は、説話のまま。
  深い人間ドラマとは言えず、アクションの見せ場も無い。
  ホラー表現も控えめ。
  
  文科省が全額出資の文化事業なら、と思わせる立ち上がり。
 
 
 3.2.雪女
  敢えて、書き割りでファンタジー。表現は素晴らしい。
  今度は民話で定番の妖怪もの。

  時代考証は、細密でなくとも問題無いパート。(忠実でしょうけど)
  さらに、
  異界からの嫁も定番

   能でなけれど、連想。   
 
  足フェチの追加はオリジナルと思う。
  ある意味、リアリズム路線の発露なのか、意図は不明。
  ただ足の運びも、能のように。
  
  1編づつ、設定もモチーフも変えて、
  違う映像表現を魅せようとの試みか。
  
  こちらは、68年公開と後発。

  一本の尺でも充分に成立。
  むしろ短編では、ドラマ性が足りない。
  ああ、
  美人も、エロスも、特撮ホラーも、子別れも、
  小林監督の本領の外だった。。
  
  何れにせよ、短編を重ねて全部盛りは、
  観る側に、お得感は有れど、
  一本づつ、本腰入れて2時間以内の映画に育てた方が、
  賢明な作戦とは思われた。
  セットも役者も別なのだし。惜しまれる。
 
 
 3.3.耳無し芳一 
  前出の通り、
  源平合戦に気合入り過ぎ。
  イメージしてしまったのだから、実現しなければ気が済まない。
  
  短編じゃ無理と、
  早い段階で、せめて脚本で気づくでしょ。
   
  原作は、合戦の様子そこまで描いていない筈。
  が、
  絵巻物を実写で再現しなければ、気が済まない。
  
  オムニバスの短編の一つとするなら、
  合戦は、絵巻を見せる程度で我慢しなければ無理。
  琵琶法師に絞って描かんと。
 
  兎に角、壮観で、モノクロでは勿体無い。
  ファンタジーも丁度良く配合。
 
  映像のみならず、何よりの傑出は音楽。
  現代だと誤魔化してしまう処、
  本物かつ、作中の琵琶の演奏もしっかり流す

  凄い人を選んだものです。
https://note.com/asahi_books/n/n63193efd4e16

幼い頃から天才琵琶師として活躍
20代半ばに結婚、出産、離婚を経験
2人の子どもを手放し、琵琶の仕事も辞める
水商売でのし上がり、財を成す
東京大空襲ですべてを焼かれる
終戦直後、裸一貫で別府に乗り込む
女の人生を捨て、男装してビジネスに邁進
著名人の集まる伝説のナイトクラブを誕生させる
毎年、「高額納税者」として新聞に掲載される
資産家となるも、50歳で実業界を引退
男装の琵琶師として邦楽界にカムバック
55歳で音楽家として世界的名声を得る

  劇中も、琵琶法師の矜持素晴らしく、ドラマ性も充分。 
  何故、オムニバスに?
 
 
 3.4.茶碗の中
  少し不思議。
  4編の中でも異色な作風で、ここだけ江戸時代。
  多彩な表現を魅せたい、
  さらにエピローグにも最適と、本編のセレクトと想像。
  
  一本にする前提で、個人的には不満があって、
   小泉八雲は出演させたい。(権利関係無ければ)
   全体の導入にも成るように、最初に執筆のシーンを描きたい。
   江戸だけでなく、明治も再現したい。
  どうせ欲張るなら。
  オリジナルパートを足すなら、あれだけでは勿体無い。

  TVは眼中に無いにしても、
  シリーズ化ありきで、考えたい。
  むしろ、
  作品のトーンに合わせて、監督代えても構わない。
 
  明治のシーンだけ先に撮っておいて、
  導入部分だけ、毎回使う。
  それから、
  「耳無し芳一」ガッツリ撮って、一本目公開。
  今後の展開は様子見てから。
 
  日本で、上手く行かなかったのは、
  物語性の弱さも去ることながら、ヘンテコな構成の問題と思われる。
   
  尻切れトンボに感じてしまう。
  途中重厚で凄いのに、軽い終わり方。
  全体を通しての一貫したテーマが無く、
  散漫な印象を残してしまう。
  余韻が無い。
 
  さらに、構成の事は別にしても、
  独立した短編としても、
  メタ構造やるなら、
  一人称の語り手を最初にしっかり出さないと、
  原作知らない観客には、突然過ぎて、不親切。
  
  中途半端も、全体が長過ぎるから。
  どうしても、構成の失敗は、他の要素で補えない。
 
 
 
恋する惑星」のような稀有な例もあるけれど、

 このオシャレ映画↑は、途中で方針転換。
 オムニバス諦めて、
  主役は香港の街並みで、
  フェイ・ウォンに全振り。
  「夢中人」バンバン流す。
 変な二部構成も気にしない、アドリブの賜物。
   
 逆に本作は、
 キッチリ造るから、そんな離れ業も出来ない。
 巨匠に意見出来る人材は居なかったねえ。
 観終わって、無念が残る。
   
  
「人間の條件」は、仲代達矢でシリーズ。しかも全6作!!

本作で、
シリーズに出来なかったのは、プロデューサの問題でしょう。
   
繰り言多くて、申し訳ない。
ノーコンの剛球投手みたいな本作。
スクリーンで観ておいて損はなく、
途中トイレ前提で、お奨め。   
  
 
 
世界で戦うなら尚の事、分けなきゃ。 

家督相続で毎度揉める松竹に、
本作の企画は持ち込まれ、製作中止。東宝に移った。
その時点で、
問題が有り、最後まで解決出来なかったと想像している。
 
 
 
2026.06.22 22:00現在
 イランは世代交代に苦しむベルギーにスコアレスドロー。
 ワールドカップ期間中は戦局動かない。
 相場は青天井が続く。
 恐れながら、追うのみ。
 
 
 

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