「脳が読みたくなるストーリーの力」 中田のビジョンから 松本人志はウォルト・ディズニーじゃない、ビジネスが絡むと途端に何も言わないのは根性が奴隷だから?

人は確率論が苦手で因果律で考えるように脳が出来ている。
物語がロジカルな説明より効くのは理由がある。その仕組みを考えてみる。
 
今カイジがkindleUnlimitedで無料で読めます。
私はEカード編とチンチロ編が好きなのだと、再発見しました。
虐げられた者の逆転のストーリー。個人戦とチーム戦。

あっちゃんの二の矢公開されたので、どんな筋書きを描いているか予想もしてみたい。

ビジネス的な野望の宣言でした。
今回は燃えが今ひとつなのか、、
 
松本批判なら飛びつけるけど、ビジネスモデルの話だとダンマリは、
知性を疑われても仕方ないんじゃないかと、断定しそうになる。
他人から与えらた人生には響かぬか。
 
映画からTVに覇権が移ったときのように、
TVからネットに、メディアのプラットフォームの主役が交代する。
そんな時節。
ジャニーズも分裂崩壊し、大崎会長退任後は吉本も同様だろう。
そこで次の芸能プロダクションとしての覇権を目指す。
というゴールセッティングの宣言。
成否はわからんけど、その物語は私は興味ひかれる。
 
 
ここまでの吉本芸人さんの反応も、興味深い。
キンコン西野を揶揄していたくせに、
潮目が変わってからyoutubeに参入するようでは、
基本感度は鈍い。箱庭のように視野が狭い。
 
とはいえ、 
 ほんこん筆頭にオワコン系の反応。テーマが分かってない。
 ナイナイ始めことなかれ系、  
 東野幸治のらしい立ち回り、
 ロンブー敦、ノンスタ石田、スピードワゴン小沢の達観系、
 霜降り、マジラブ野田の志を感じる若手、
 youtubeでも活躍する安定のチョコプラ、
 なんだか半端なコロチキ、
 
関係ないけど、
IQを必要とする笑いの偏差値とか、本気でやって欲しいなあ。
バカリズムや笑い飯は何点なんだろう。全盛期の松本人志も、
オリラジは分かり易さを信条としてるので高くはない。
難しくてつまんないより、安村の方が偉いと思うし、
その指標が全てではないけど、
「M-1」「the second」の漫才にも、偏差値を算出して欲しいなあ。
 
閑話休題。
劇場中心の芸人さんや、TVタレントは残るのだろうけど、
あっちゃん視点でいえば、
 吉本が次世代のスター中心に勢力広げるよりも、
 才能ある人から退所分裂していき、思考の古い人が残ってゆく。
 これからのプラットフォームでは、覇権を握るのは新しい勢力。
それは確信するに至ったのではないかな。
 
 
松本人志はウォルト・ディズニーじゃないから。
北野武でも、弟子筋の劇団ひとりでもない、
プロデューサーでもダイレクターでもなく、生涯プレーヤーなんだよなぁ。
 
大崎会長の功績は、
 スクールを始めて、才能の発掘。
 自社の劇場で、チャンスを与える。
 ダウンタウンを見出し、トップを作る。
 TVでも覇権。ただし他の事業は必ずしも成功とは言えない。
 上場廃止し、TVと電通も大株主な盤石?な体制。
 外部からは経営状態は分からない。
 
そして、後継者はいない。
スタープレーヤー松本人志への集中と、残る経営陣はその傀儡。
カリスマは一代限りのもの。ユニクロとかソフトバンクとか日本電産とか。
 
 
そんな背景を前提に、
中田敦彦物語の面白さについて、想像を巡らしてみた。
個人的には、
野心あふれる青年のピカレスクものとして始めてるのが魅力感じる。
 
そこで、読んでます。

人間の脳は勝手に、物語を紡ぐように出来てる。確率論では考えない。
物語の要素は、
 主人公の問題と、
 テーマと、
 プロット。

プロットは、主人公が抱える内面の問題を主人公に直面させるもの。
チンチロ編で言えば、

生き死にの博打に我が身を投じることの出来ない人生は退屈。という主人公。
どこかで読者を共感させる。観客の内的欲求にも響く。
 
テーマはなんだろ?
 不遇でも、手持ちのカードを最大限活用し、工夫し、最後に奴隷が皇帝を倒す。
勝つのには、根拠があって、偶然でない。周到に準備する。
他の漫画とは一線を画すところかと。
 
感情移入させたければ、出来事を見せろ。
 大槻班長に虐められる姿を見せて、
 カイジたちはオーディエンス(他の地下労働者)から同情される。
 同時に読者も同情する。

果たして、どんなイカサマで、どうやって見破り、逆転するのだろう?
興味は持続する。
ゴールは明確。

人間が物語を読むときは、実際に主人公の内面に入り込み、主人公が感じることを感じ、経験することを経験する。
読者が感じることは、主人公がほかの登場人物の行動すべてをどう評価するかを規定するもの、つまり、主人公のゴールに一〇〇パーセント基づいている。

 
メタファーも上手に活用しよう。
 地下労働者の生活は、
 虐げられ、代わり映えなく、娯楽も乏しく退屈で、閉じ込められて自由もない。
これは想定読者の人生の暗喩だ。投影しやすい。
  
重要な事実の提示(のやり方)が読者を物語に引き込む鍵だという。
 きっかけは、出目をメモっていたところから。
 基礎データって大事だね。偶然には頼らない。
 中心にある秘密が綻ぶ。
ご都合なストーリーと一線を画してる、と私はここで震える。
 
種明かしのプロセスが絶妙。
まどろっこし過ぎても、唐突でも、いけない。 
 
世界は原因と結果で出来ていると人間の脳は考える。
因果律で理解するからこその痛快さ。
 
さらに
”何を省くか” が成功の秘訣と指摘。
 石田さん親子とカイジの関係性はサブ的に描かれる。
 (本気出す奴とウジウジとの対比)
 他の家族や背景は一切描かない。物語に関係ないから。

「the second」決勝が、技工には優れても、
落語と違って、ストーリーテリングで感心しない理由も分かる。
笑わせのポイントが物語からノイズだから。 
それと、キャラクターに心情を投影できる余地がない。
  
弱点や秘密の開示がキャラクター造形では欠かせない。
 やっぱ、ビール飲んじゃうよね。
 決して意思の強いスーパーマンでもなく聖人君子でもない。

他にもいろいろ、
伏線という並走、サブストーリーの厚み、フラッシュバックの時間操作。
カイジって上手いな。てか開示って名前の意味も解ったよ。
 
 
で翻って、あっちゃんは、
悪役の世界征服ものとして、物語を始めた。
内的な権力欲をむき出しにして。
敵の設定は明確で巨大。当たり前に対立軸の提示は成功。
 
滑り出しは上々だとは思うのだが、

優れた作家は何が違うのだろう? 
物語の作者は、自分にわかっていることと自分の登場人物が考えていることを考慮し、同時に読者の考えも念頭に置き、ときには六、七番目の水準まで考えることになる。まるでビデオゲームのようだ。

どこまで、シナリオは想定どうりだろうか。
特に、旧態依然が絵に描いたように旧態依然なのは、良かったね。
ゲームのルールが変化してることに気づかない人もいる。
 
ただ師匠キンコン西野の先例があるから、
違う方向で展開させないと新鮮味失う。
 
人材の育成からという、
ダウンタウンの物語を踏襲するところから始めるらしい。
これから勝つ必然を開示してくれると期待してしまう。

まあ、松本人志はプレイヤーだから、兵頭会長にはハマらない。
電通なのかTVなのか、日本社会そのものなのか、巨大な敵が登場すると面白いね。
 
買うチャンスがあれば、応援してみたいと思う。 

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