「パキスタン紀行2014春」#37 20140520 眠れぬ夜と創作の極意

現在21時54分。
まだ、眠りたくない。
 
チャイを飲んでも眠気は誘わない。そもそもカフェイン入ってるし。
 
この部屋が、秋の夜長のような涼しさだからか。
 
 
暑くて寝苦るしいと、起きてても苦しいから、そんなこと言う余裕は無いが、
理由はそればかりではないようだ。
 
ラルカナからピンディまでノンストップで、
ゆっくり考える余裕も無かったのである。
 
 
自分の中で整理がついてないことがある。
 
「招かれざる客」ということと、
情報発信にあたり、それがチャント伝えられているのかということ
 
 
折角寝られなくて、かつ涼しいのなら、
向き合ってみようかと、今キーを叩いている。
 
問題点を強く意識させられたのは、当然、ラルカナで捜索を受けたから。
ただ、それだけなら、伝えられているのか気にすることはない。

実は、あのネット繋がる部屋で、捜査を受けて、
「招かれざる客」であることにショックを受けていたのだが、
 
正にそのタイミングで、ある人物からメッセージが届いた。
要件は彼の都合によるスケジュールの確認にあったのだが、
非常におちゃらけた、こちらの状況に対して脳天気な文面であった。
まあ、彼が全くの無関係(ケイ氏と面識もない)、ノータッチでよかったな。
彼とリスクを共有することは絶対に避けよう。
 
私は端的に、現状と6月以降の予定を伝えた。
言外に「少しは空気よめ」と匂わせて。
 
ま、ここでは、彼個人のことは関係ない。
お陰で、精神が軽くなったのか重くなったのかも良く分からない。
そんな余裕は無かったというのが正解だろう。

その事自体は置いておいて、
このタイミングでこの文面を読むことは、神の思し召しかとも思う。 
 
まあ、順番に整理しよう。
 
 
「招かれざる客」について、
宿のスタッフ、お店で、道を尋ねる。などでは親切も受ける。
しかし、国単位でみると、
外国人旅行者はスパイかもしれない。という疑いの目で見られている。
私だけでなく、一般論として、パキスタンという国家はその可能性を排除しない。
 
外国から観光客を歓迎して、外貨落としてもらう、という態度とは別なのである。
むしろ、いない方が余計な心配しないで済む。
外国人旅行者は、この国ではそういう存在だと、自覚が要るのではないか。
 
実際、外国人は見掛けない。
観光はもとより、ビジネスだって、やりにくいだろう。
 
 
特に私のように海外渡航歴が多く、疑われ易い人間にとっては重大な問題で、
身の危険ということはもとより、
親切にしてくれた人にも予期せぬ迷惑が及ぶ場合がある。
「招かれざる客」というのは、常にその可能性を引き摺る存在である。

そこまで、望まれてないなら、往くべきじゃないようなぁ。
って、来てから気づくから葛藤がある。
 
 
望まれていない、ということが今回の旅のリスクの本質である。
 盗難のリスク、事故のリスク、
 カネ目当ての強盗や殺人のリスク、
 テロに巻き込まれるリスク、
いずれをとっても、カオサンで暮らすよりは安全
 
しかし、
バンコクなら、危険も想定出来る範囲があり、対処も考えうる。
ある程度コントロールできるリスクである。
 
タイは観光大国であり、バンコクで外国人を見ない日はない。
そして知り合いも多い。便利でコスパが良いという以上の安心感がある。
アウェイをあまり感じないのである。
 
一方、「望まれていない」ということが、アウェイということである。
これは目に見えない空気感の問題なのだが、果たして伝わっているだろうか。
繰り返すが、個人レベルの問題ではない。
 
当局からの拘束、諍いのあった相手からの逆恨み、
リスクの詳細はなんであれ、この「どアウェイ」の地では、為す術は無い
「気をつけて」と言われても、つけようが無い。
インパクトの最大を限定できないものは、
リスクというより危機という言葉の定義に近いものである。
 
配慮すべき危険とは何か、その本質は伝わっているだろうか。
もし、これからパキスタンに往く人がいれば、伝えておきたいことなのだが。
 
あのタイミングで、あのメッセージが目に入るということは、
伝わってないぞ、という神様の指導なのだろう。正にメッセージである。
 
 
それでもなお、ペシャワールにゆくのか、ゆけるのか。
というのが、目前にある問題である。
まあ、それは成り行きだと、今は考えているのだが、 
 
 
次の問題は、「伝える技術」である。
でもねぇ、テレビみたいに、受け手におもねりながら、かつ蔑視して、
何でも分かりやすく、類型的に、ってのは嫌だ。
 
 
かつて松山千春が小室哲哉を批判して、
こんな歌ばかり聞いてるとバカになるよ。想像力を働かせる余地が無い。
前提から結論まで全部説明されて、余白がまるで無い。
 
その言葉は強く心に残っている。
 
 
で、今キンドルで買った、筒井康隆「創作の極意と掟」を改めて読んでいる。
「省略」「遅延」の項を読んでる。

フィクションではないのだが、
何を省略し何を省略しないのか、
饒舌に書こうか、簡潔に事実だけを書こうか、
総て、私の匙加減一つである。
 
物価や移動の詳細については省略しないと最初に決めている。
これからパキスタンにゆく人にとって、必須な情報だから。
 
では、リスクについてはどうか、
饒舌だけど、省略もしてる。かな。
それで、神様に怒られたのかもしれない。
 
客観的なリスク評価を記述する、
これが残りの日程の中では、より必要なことなのかもしれない。
 
まずは、タキシラ行ってから。
今晩は、もう少し筒井康隆読んで、気が済んだら寝よう。
明日も早い。

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「パキスタン紀行2014春」#37 20140520 眠れぬ夜と創作の極意 への3件のフィードバック

  1. 内田 のコメント:

    初めまして。内田と申します。
    「パキスタン 旅行」をキーワードに、先日こちらに辿り着きました。
    ラホール、ラーワルピンディ、イスラマバード、カラチ、モヘンジョダロなどなどパキスタン各地を旅され、本当に羨ましく毎日の更新を楽しみに拝見しております。
    スライドショーの現地写真からは、現地の人々の生活感も伺えることが出来、こちらも楽しみにしております。また最新の宿等の旅情報などなど、現地に行かれた方ならではの貴重なもので、こちらも大変有難く勉強させて頂いております。
    昨年2月に僕はラホール、ムルターンを旅したのですが、すっかりパキスタンにはまってしまいました。毎日、こちらの更新を拝見する度に、次回のパキスタン旅行の妄想を膨らませております。もうそろそろ、ペシャワール編も更新されるのでしょうか。こちらも念願の旅行地なので、今からとても楽しみにしております。
    これからもどうぞお体に気を付けて、僕たちにいろいろとお教えください。
    今後とも宜しくお願い致します。
    内田

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