反知性主義は格差を生み出すだろうか。

佐藤優氏のコラムにインスパイアされ、フト思い出したことがある。
それは、バングラデシュからコルカタに戻ったときのこと、
選挙について、ある40代男性のバックパッカーと話した。
 
その時は、「反知性主義」という言語化は出来ていなかった。
が、
40代でそれでは、日常の社会では底辺になってゆかざるを得ないだろう。
いや、
徐々にそうなるように頭の中のOSをアップデートして、
会社を辞めて、インド来るようになってゆくのだと。
 
 
この環境は自分の脳に悪い。
そう明確に自覚したのは遅く、
精神的ストレスもあってか、体調崩し、身動きが取れない。
その結果、よりバックパッカーの悪い面を見せつけられることに。
 
オレは勘が悪い。判断遅い。
一人サダルの安宿泊まればいいものを、
WIFIFreeと油っこくない食事の誘惑に負けていた。
 
 
 
「反知性主義と結びついた現代版「信頼」のメカニズム」
という、佐藤優氏のコラムをバンコクでウダウダしつつ読む。
http://www.nikkeibp.co.jp/atclcsm/15/433332/041600002/?n_cid=nbpbpn_tg
 
刺激受けたのは、

現代の社会には反知性主義的な傾向が蔓延している。
反知性主義とは、無知蒙昧のことではない。私が暫定的に定義しているのは、
客観性や実証性を軽視もしくは無視して、自らが望むように世界を理解することだ。

アプリの問題じゃなくて、OSの問題だね。
 
この暫定的な定義が気に入った。
「実態がどうあれ、自らが望むように世界を理解する」ことを、
括弧付きで「反知性主義」と呼ぶことにしよう。
 
 
一見、見識ありそうな人物でも、反知性主義は居る。
引用だけで、自らの主張を積み上げる。
引用元のオーソリティはそれなりにあるらしい。
が、
自分がなぜ、他の説ではなく、その説をより信頼性高いと信用したのか。
その理由は説明しない。引用以外の自分の言葉が無い。
 
同程度のオーソリティが逆の説唱えてる例なんて、いくらでも見つかる。
比較検討の上、そちら投票した、判断が見識であって、
一面的な知識は、今の時代、グーグル先生が全て提示してくれる。
 
ま、その人の場合は、
そのような態度が「反知性主義」的であること指摘したら、
そのときは、主張が崩壊した。
 
オレはそんな人間は信用しない。
引用が正しかろうと間違っていようが関係ない。
アンタの「反知性主義」とは戦うよ。死んでも。
 
 
それはさておき、
信じたいものを信じる為に、都合のよい情報を恣意的に集めることは、
情報社会では容易なこと。
信じたいから信じて、信じたから安心する。
いつだって、救済というのはそういうメカニズムだ。
 
現代では「反知性主義」はお手軽に安心を得る方法だと言うことだろう。
佐藤優氏の解明に納得至極であった。
 
が、
 
 
 
誰もが、「反知性主義」から逃れられない。
引き続き引用しよう。


政治家は官僚や学者を、国民はワイドショーのコメンテーターや新聞に出てくる有識者を一度信頼すると、
その後、多少裏切られるような事態が生じても信頼し続ける。
信頼が裏切られたことを認めると、「こんな人を信じてしまった自分が情けない」と惨めな思いをするからだ。

ま、人はその人のリテラシーに相応しいレベルの情報を採用するんだよ。
誰だってそう。
リテラシーには差があっても、
「信じたいものを信じる」という習性には代わりないのかもしれない。
 
 
そう思ったのは、

安倍政権の経済政策は富裕層の所得を増やしているが、圧倒的多数の国民の生活は向上していない。
外交政策は場当たり的で、日本の国際的地位は日に日に低下している。
国民もそのことに薄々気づいてはいるが、認めると惨めになるので、
とりあえず安倍政権を消極的に支持している。

うーん、それはちょっと違うんじゃないの。
その言い方は「反知性主義」の匂いがする。
 
アベノミクスの着地について、多数の国民生活向上に結びつくかどうかについては、
私も懐疑的だ。
ただ、「富裕層の所得を増やしている」という言い方は、大衆迎合じゃないの。
 
リフレは基本、資産価値を毀損する。
ほっといたら富裕層にとってはマイナスだよ。
 
株高や円安あるいは、なのに低金利という状態を利用して資産拡大した人は居るだろう。
それは、富裕層だからではなく、お金の知性が高いからだ。
同様に黒田時代でなくとも、白川時代に円高を利用した人も居る。
お金は人をお金持ちにはしない。
 
むしろ、白川総裁ような考え方は富裕な保守に歓迎されるべきで、
今の方が、再分配なリベラル的。
消費増税の件は弱者負担大きそうだけど、
リフレについては、富裕層の方が真っ向反対するもの。
 
敢えて大衆迎合的な言い方してないか?
 
 
外交については、専門家ほどの見識はオレにはないが、
善悪や好みは別に、ある一定の方向にはあるように見える。
手際の悪さや失敗はあったとしても、
態度そのものが場当たり的という印象はないけどな。
批判するなら、「間違ってる」か「ヘタクソ」かじゃないの。
 
 
安倍政権の失敗を認めると惨めになるから消極的支持してるのか?
それは全然違うでしょ。
 
アベノミクスは選挙のときヤルと言ってヤったことだから、
失敗したって、国民の判断だし、ってこともあるけど、
 
消極的支持の理由は、
それでも他の選択肢よりまだマシだから。他に選択肢が無いから。
ということに尽きる。
認めたら惨めだとかどうとか、関係ない。
 
 
実態を無視して、信じたいように信じることが「反知性主義」なら、
佐藤氏自身がその「反知性主義」陥っていないか?
 
オレには随分強引な結論付けに見えるが。
 
 
月平均300冊読んでも、人は「反知性主義」からは逃れられない。
人は、そんなOSを搭載した悲しい生き物なのではないか。
 
そんな二重構造に刺激を受けた訳で。
 
でも、それでも、 
 
 
 
「反知性主義」の進行は格差を生むのではないか?
という疑問が同時に湧き上がり、
 
他人はどうあれ、自分の脳内くらいは、
「反知性主義」の進行を食い止めた方がいーんじゃないか。

自分に毒だから、防衛本能が働いて、「反知性主義」をオレは憎むのではないか。
オレも、そこから逃れられないと知りつつも。
 
 
[2014.04.03]
余ったインドルピー使い切っちゃおうなどど、セコいこと考えて、
バングラデッシュを出国してもなお、コルカタでウダウダしてた頃。
宿の近所の裏路地を歩いた。

 
コルカタは市議選の真っ最中らしかった。
 
各党の旗や、候補者のポスターを見かける。 


 

AJC Bose通りにも旗やポスター。ここはイスラムが強い地域である。
 

この地域では、草の根党の現職が再選目指してると知れる。
興味深いのは、彼がムスリムだということ。(名前から分かる)
 
 
実はこの時、日本人バックパッカーと一緒に居てね。
彼は、旅先での選挙が嫌いだ。危ないから。
政治というのは、誰に利権が行くかどうかが変わるだけで、庶民の生活には関係無いという。
 
ま、四十ズラ下げて、そんな見識じゃ、
そりゃ会社辞めて、インド来るだろうな。
責任あるポジションには着いちゃいけない人材だろう。
 
旅することには関心高いが、
訪れた先の国情には関心が無い。
 
 
折角来たんだから、少しでもその土地の情勢、実感しておきたいと思うけどね。
カントリーリスクはリスクとして正確に把握しておきたいもの。
じゃなきゃわざわざ、現地に往く甲斐がない。 
 
危険が嫌なら、そもそも家で寝てて、出歩かないし。
旅になんか出ない。
 
 
 
コルカタ市議選の特徴と背景に思い巡らしながら歩いた。
前に書いたけど

西ベンガルでは、与党は草の根党、野党は共産党。
で、共産党政権長く続いたが、タタ自動車の工場誘致などでも失敗し下野。
他には、国での与党な人民党と野党な国民会議派が立候補してる。
 
 
小選挙区制らしいのは、
党のマークをクリックしてくれとポスターに書いてあることから分かる。
インドの選挙は勝者総取りで、政権交代起こりやすく、二大政党化し易いのだろう。
 
多分、草の根党強いと思う。
イスラム教強い地域とヒンズー教強い地域で、候補使い分けてる。
それが如実に分かるのは草の根党だった。
ポスターの服装や名前で、その区別はつく。選挙区をそれぞれ歩けば、その違いは明白だった。
やっぱり、人材も豊富ってことじゃないかな。
(人民党には、それ無理なの当然で、首相の顔アピールしてた。)
 
勝敗は知らないが、他の党より、マーケティング的に一枚上手な気がすんだよね。
特に、あまり富裕じゃないエリア歩いてそう感じるんだから、
マジョリティを抑えているんじゃないかな。
 
 
共産党は資本主義的な政策に失敗して陥落した。
その後を受け、富裕じゃないマジョリティを草の根党が掴んでる。
なら、やはり反資本主義的な政策採用しつづけるのだろうか、
 
コルカタは経済発展ではインドの中では劣等生だという。
(それでも7%だから驚きだが)
 
西ベンガルはインドでビジネスやりにくい土地柄っていう評判は、
なかなか、覆らないかな。
 
でもまあ、政権が安定してるっていうプラスもあるだろう。
このまま、中間層が拡大してくことは、間違いなさそう。
 
 
油っこい飯にウンザリしてるのだもの、
選挙期間中に出くわすくらいのラッキーはあってもいいだろう。
そう思っていた。
 
 
 
選挙の結果が影響ないってことはないよ。長期的には。
直接、庶民の生活に選挙結果影響無くても、
長期的には、世論の動向が政策に与える影響は大きいだろう。
 
それに、折角、選挙期間中に滞在できたのだもの。
公安に呼び止められない程度には、その地域の情勢知りたいと思う。
 
 
「(オレたち)庶民は搾取されるだけ」って、信じたいからそう信じる。
貴方が搾取される側なのは、貴方の見識のセイ。
そうなるに相応しい見識だから、結果がそうなる。
 
大金掴んだチャンプが無一文な黙阿弥に戻るのと同様。
 
 
やっぱ、もうちょっと真面目に生きなきゃいけないかな。
インドでオレも考えた。さすがに。
 
社会復帰できそうに無いのは、オレと彼の間で差がない。
いや、オレの方が重症だろう。
 
 
その時そう思ったこと、佐藤優氏のコラムで思い出した。
 
 
オレのOSはまだ、「信じたいように信じる」の進行を食い止められているだろうか。
情報収集して、分析するし、意思決定。
感情に左右されないことは、投資の勉強始めたときに学んだ。
 
逆に、分析結果が出てしまっては、オートマチックで、
オレ自身でもどうすることも出来ない。
そこから先は、感情が入る余地がない。
 
 
この環境は脳に悪い。
そう答えが出てるのに、環境変えないから、体調崩すんだよ。
 
どんな主義を採用しようとも、この世は自業自得の世の中だと思っている。

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