人間に客観は存在しない理由。 ドワンゴ川上著「コンテンツの秘密」は秘密を解明してる。

「ふくしま政美」という漫画家をご存知だろうか?
ボクは名前は知っているが、読んだことはなかった。
 
知っているのは、「消えたマンガ家」を随分と昔読んだことがあるから。
なかった、と過去形なのは、キンドルで遂に復刻版が販売されたから。
 
なるほど、確かに狂ってら。でも、クリエーターはこうでないと。とも反面思う。
 
ストーリーは驚くほど類型的。正直どーでもいいレベル。
描きたい絵を書くための手段でしかない。
 
それにしても、その描きたい絵が常軌大きく逸脱してる。
 
 
表現というのは、何に注目し何に価値を置かないのか、その発現でもあるけど、
狂ってるってのは、脳の情報処理が常人とは何処か違うんだろう。
 
思い出したのは、
 
 
 
ボクが賢くならないのは脳が賢いから。
外国語覚えるの苦手で。覚えてもすぐ忘れちゃう。
でも、バングラでは数字だけはチャント覚えた。
 
判別出来ないとバスに乗れないし、
逆に言い方は覚えてない。「エク、ドゥ、、、」なんだっけ。
3はトリに近い言葉だった気がする。
 
会話では、数字は英語充分困らなかったが、読めないと困る。
 
 
どうやら、脳はオレよりも要不要を正確に認識してる。
数字の読み方は記憶する箱に入れ、
数字の言い方は、忘れてもいい方の箱に仕舞った。
 
脳は賢いので、無駄なことは省く。
おかげでオレはなかなか賢くならない。
 
子供の方が語学の習得早いというのは、この仕分け機能と関係あるかもしれない。
 
で、バンコクで休憩してから日本へと予定立てた。
 
 
 
エアアジアでバンコクー成田の間は暇だから、キンドルで何か落としとこ。
そしたら、連休に向け、セール中だった。
あまり、読んでみたい本に出会えず、随分と掘っていったら、

コレに出くわした。
 
その時はセールで300円だったので、ワンクリック。
次いで、

コレも500円でダウンロードした。
 
 
エロマンガ誌に連載するときはエロスを、
少年誌では、ヒーローを、
と最低限のお約束は守っている。
後者で主人公の股間がツルツルなのは、制約は守りますという宣言みたいなもの。
 
 
でも結局描きたいのは、
 
肉体、つーか筋肉の、超人性。
理性でも欲望でも、最後は筋肉が全てを凌駕する図を見せたい。
 
 
北斗の拳への影響がよく指摘されるけど、
これが世に出なければ、男塾もジョジョも出てこれなかっただろう。
 
ここまで偏れるのは才能だし、
ここまで偏して構わないと、
特に少年誌で、後のクリエーターに示した功績は確かに大きい。
 
 
狂ってないと描けないもんだろうな、
 
「消えたマンガ家」では、
後年、ふくしま氏がマンガ描かなくなってから、
原稿を改めて編集者に持ち込んだ、とき、
 
「一日稽古しないと戻すのに2日かかる」と、
それぞれ相撲とかゴルフとかに例え、
 
何人かの編集者は口を揃えて、
「ふくしまは描けなくなった」と証言している。
 
 
とまあ、昔読んだ本の記憶を探りながら、実物を堪能した。
 
 
幾つか確かめたくて、検索してみると、 
近年復活したとも聞くので、異常が戻って来たのだろうか。
 
 
 
やはり、描きたい絵ありきで、その絵を書く為に原作者がストーリーを考える、
そういうスタイルで制作されたらしい。
検索してみたら、そんな記述に幾つか出会った。
 
で、
 
なぜか主人公が徹底的に全裸。
70年代の伝説的漫画「聖マッスル」が濃密すぎてクラクラする
http://www.ikedahayato.com/20150315/20614937.html

この記事がヒットして、
 
ジブリ作品の魅力はストーリーではない。「千と千尋」とか、確かにストーリーは意味不明:
ドワンゴ川上会長の新刊「コンテンツの秘密」が名著すぎる!
http://www.ikedahayato.com/20150506/28443356.html

この記事が目に止まった。
 
 
 
で、一読、確かに、ドワンゴ川上会長、到達点が深いッ。

 
 クリエータはストーリーより表現に向かう。
 描きたいものを大きく真ん中にえがく。
 
とあります。
 
 
「消えたマンガ家」の一節に「女犯坊」の原作者が、
 何故そんなに馬を大きく書くんだ?
って、ふくしま氏に聞くと、曰く。
 馬はデカイから。
 
確かに馬はデカイ。見開きだったりする。
馬ってたしか難しいんだよね。描くの。
描きたいのはやっぱ筋肉なんだよな、男根も含めて。
馬でも人でも。
 
 
人が馬を背負ってる絵(人が馬に乗るでなく)、どちらも出て来るけど、
肉体が人間的なものを凌駕してく感がビシビシ来ます。
 
その絵がラストで打ち切りってのも、なんか象徴的。
 
 
 
それはさておき、川上会長のコンテンツ論は、
ジブリプロデューサ見習いの卒論。とのこと。
 
見事です。
 
 
コンテンツを情報処理、それも脳の機能として解明し直す。という視点からエクセレント。
 
現実世界にある情報を五感で感知して、
感知した信号を脳で加工処理された情報で認知を構築している。
 
この時、何を重視し、何をはしょるか、
学習により、パターン認識がどのように形成されていくのか、
 
ディープラーニングというコンピュータの実例を出して、
川上氏は読み解いてゆく。
 
 
脳の処理が行う単純化、記号化の現れが黄金比だったり、
だから美男美女の顔は特徴が無いのでキャラとして皆似通ってしまう。らしい。
 
まあ、今の人はすぐ直しちゃうからとマツコデラックスは言ってたけど、
多分天然もので言えば、デビッド・ベッカム。
均質でシンメトリーは、脳のパターン認識に心地よいものらしい。
 
 
で、脳のには実体そのものとは違うビジョンがあって、
そのビジョンをクリエータは媒体の上に表現、再現しようと試みる。
 
 
その表現された総合体をコンテンツとして捉える。
更に、最近は総合体の中に、双方向性も含まれてくるらしい。
 
 
そういう風に見習いの経験から解き明かせるって、凄いこと。 
彼の関わった作品や、クリエータとしての能力とは関係なく凄い。
 
だけど、
書評読んでて、ピント外れというか、その幻想に気付かない凡庸だと、
到達しないかも。とも、思う。
 
  
川上氏は、
ありのままの情報を客観的情報、
脳によって処理された後の情報が表現されたモノを主観的情報と定義して、
コンテンツは主観的情報量が客観的情報量が多いと結論づけている。
 

情報量から考えたコンテンツの定義として、
「小さな客観的情報量によって大きな主観的情報量を表現したもの」ということを挙げました。
人間の脳が現実よりも少ない客観的情報をとおして、
現実よりも大きな主観的情報を受け取るための媒介物がコンテンツだということです

 
 
脳が処理した後の情報でしか認知できない。
その前提認識が未達だと、川上卒論の仕事の価値が見出だせないと思うよ。
 
何らかの媒体を通して見てるもので、客観なんて無いよ。
直に眺めたときに知覚した情報は客観でしょうけど、
カメラを通したら、
何故そこにフォーカスしたのか、
その流れで提示する編集に落ち着いたのか、
 
主観的な処理の後の情報。
それを客観だと思ってたら、彼のコンテンツ観にはいつまでも到達しないだろう。
 
 
反知性主義とは、人間の哀しい機能を積極的に肯定するムーブメントだとも思う。
 
安倍首相の米議会スピーチの報道で、「一部の」と言いながらそればかり取り上げるのは、
ウソや捏造ではないけれど、
それが世界の全てだと考えるのは中華思想で、客観とは名乗るなよ。
 
ま、別にメディアの報道が中立であるべきとも思わないけど、
OSが古すぎなくないか。
 
おっと、脱線。
 
 
兎に角も、人間の認知は脳の処理の後。
それを承知した上で、コンテンツの消費を考えると、
玄人筋とは違った世界が見えるのかもしれない。
 

プロやマニアが軽視しがちなコンテンツの原初的な特徴の「分かりやすさ」を求める傾向があるというのは、
真面目に受け止めるべき事実であるようにぼくは思います。
そして、それはコンテンツが「クリエイターの脳のイメージを観客の脳のなかに再現するための媒介物である」ことから、
当然のことだと思うのです。
そして、どんなユーザーに向けてコンテンツをつくっているかをふまえて、
彼らが理解できる範囲のなかで、コンテンツのどの特徴を「分かりやすく」強調するかを変えるという視点が必要ではないかと思います。

 
 
 
ワタクシも今見習い中。彼の卒論を読んで、かくありたしと思う。
見習い中は特に、目新しい一次情報に溢れている。
それをどう認知できるかは、やっぱりその人の能力だろう。
 
お米の消費は減ってる。TPPもいずれ締結しそう。
プロダクツとしてのお米の価格は下落傾向が続く気がする。
 
が、市場価格の3倍の値段で売れる米もあるらしい。
コンテンツとしての消費って、フト思った。
 

コンテンツのパターンが陳腐化しないための必要条件として、「分かりそうで分からないもの」になっているかどうかというのは、
ちょうどいい判断基準なっている

 

エンターテインメントコンテンツについては、とくに観客の情動をいかに動かすかというのが、
その良し悪しを決める決定的な要因なのだと思います

 
 
安心安全って、エンターテイメント。
真面目に取り組んでる人にそう言ったら怒られるだろうか。
 
 
ありえない価格で売れるには、それだけの秘密があるはず。
見学にも行ってこよう。

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