8月6日は九段下で降りて、川崎でシンゴジラ観る。情報量多すぎる一日 <映画評>

福島に住んで東京に出ると情報量は多い。この日は特別に多かった。
今、何故あえて日本で暮らしているのか?
転換期に我が身を置くの好きなんだし、寒くなるまでは暮らそうと思った。
 
 
 
9時半には九段下にいた。周辺を観光案内。
日本に来た友人のリクエストに応えた。 

「政治家が来ると、外国が文句言う。」
外国じゃない、中国と韓国。
韓国には文句言う筋合いは無いが、中国には若干ある。
 
中国がフィリピンや尖閣で無法でも、
東京裁判の正当性に疑問でも、
人民解放軍は戦ってなくても、
 

日中国交正常化のときには、
「軍部が暴走しただけで、日本の一般市民人は中国人と同じ被害者だ」
というアプローチをしたんだとしたら。
それでA級戦犯を崇めたら、そりゃ話が違う、ってなるよ。
 
実際にそういうスタンスで日中友好図ろうとする人も居るんだよ。
 
個人的には、
会社が不祥事出したら、社員の私は被害者ですって言う人間を、
利用するのはいても、信用する奴は居ないと思うが、、

弱体化した政府に軍部が見切りをつけ、
世論はそれを支持したし、朝日新聞的なメディアはそれを煽った。

日本人が日本人の失敗に向き合うのが先だよ。
ノープランな戦争反対では、相変わらず合理な意思決定は出来ない。
トコトンまで行ってからの手のひら返しは、犠牲が大きい。
 

伊勢神宮と靖国の違いくらいはなんとか説明する気力あったのだが、
それから先は、萎えてしまった。
A級戦犯合祀とか、説明できない、
説明出来たとしても、気持ちが通じない。とても虚しい。独りにして欲しい。
よりにも寄って、こんな日に、こんな場所選ぶんだろう。
 

気をとり直して、公園でも散策。それにしても暑い。



  
武道館では少林寺拳法の子供大会、夏休みだもの。

昼は科学技術館の食堂にて、
この時は別に、沢田研二の映画のことなど考えもしなかった。
後で、意味が分からず、ググッて納得した。
  
 
 
忠臣蔵を知らない人に松の廊下をどう説明しよう。

途方にくれて、説明は諦めた。
江戸城本丸も廊下も跡形無いが、意外と近いんだね。殿中だもの。
こんなところで斬りつけちゃあ、お家断絶も当然だなぁ。
 
オレは内匠頭うつ病説を支持する。
吉良にしたって、失敗は許されない場面だもの。
 
確か綱吉の時代で、財政はもう赤字に転落していた。
貨幣鋳造改めて、リフレ政策始めるんだよね。
結局、吉宗の緊縮財政路線に転換することになる。
 
オレは仇討のカタルシスはいま一つピンとこないが。
そんなころ、ときの官僚は世論の動向に苦慮した。
内蔵助以下切腹としたが、それまでの扱いは丁重だったという。
  



赤字でも、確固たる官僚体制は、黒船が来るまでは持った。
本丸が跡形も無いように、近代化はスクラップアンドビルドで乗り切った。
 
展示見てたら、皇居の方までゆこうと思い直す。暑いけど。
 


ひと駅だけ地下鉄利用。
 
やはり東京観光といえば、ここで記念の写真を撮るものらしい。


絵的には橋が掛かってるだけだし、外国人にそんなに思い入れないとも思う。
 
明治天皇すり替え説の根拠ともなっている楠木正成像まで歩く。

正面から出て、九段下周辺の観光は終わり。
南北朝の説明は断念した。
 
公式には北朝由来で京からということになってるが、
薩長が南朝ゆかりの別の人物を立てたともいう。
 
鎌倉も15代で執権政治終わって、
天皇中心の新政府樹立したんだが、
ドリーマーな棟梁では、武家の時代に対応できない、
領土を封じるとこで成り立っているのに、それを理解してない。
土地神話が終わるのはもっとずっと後のことだ。
で有能でリアリストの軍師はいつも悲劇的。
 
その後も、乱世はこの地に徳川幕府が開かれるまで続く。
治世では官僚体制が確立する。
その耐用年数が切れて近代化、
それもバブル崩壊から政府行き詰まり、大敗からのやり直し、

この国はしぶといとも、変わり身上手とも思う。
システムの歴史的変遷をおさらいするにはよい時間だったが、
処理する情報量が多く、少し疲れた。 
 
 
あまりいいガイドは出来なかったが。
その後、リクエストに答えお台場に寄って、別れた。


今晩は川崎に泊まる予定だ。
8時に駅前の映画館に到着すれば最終回に間に合う。
会津若松にも映画館ないんだから、今日観ておこう。

シンゴジラは凄かった。ネタバレします。
この国の危機管理や放射能のこと、
あの感覚を誰もが思い出したことだろう。

映画ってパートは3つに分かれて、
1.ゴジラという厄災に対峙する日本政府
2.ネゴシエーションと対策研究
3.作戦実行

1.ゴジラという厄災に対峙する日本政府
 がんじがらめの現在のシステムの中では、
 最善と思われる対応をする官邸サイドを中心に描かれる。
 
 政治家の方々、甘利さんとか小池百合子さんだけじゃなく、
 特徴よく捉えてたと思いますよ。
 主役は世耕さんですよね。10年後には総理って出世してますでしょうか。

 ポイントは組織の側を無能に描かなかったこと。
 映画観て、菅直人のヘリ落ちりゃ良かったって思った人も居ただろう。
 あの時のこと考えれば、もっと無能に描いてもリアルだ。
 
 でもそうすると、踊る大捜査線になってしまう。
 オタクな現場とエリート官僚機構が対比されるが、
 吉田所長独りがヒーローではない。
 ここで描かれるのは日本の総力戦のリアルだ。

 ゴジラの進化に合わせ対応も緊急度を上げている。
 法解釈や複雑な手続きすり抜けながら、
 全力でも、米軍に頼ってもダメ。
 ゲロのシーンでは、ああもう住めないやって、 
 閣僚達も瞬殺。ここまでが第一パートと思う。
 
 ゴジラ英霊説ってあるよね。
 戦争忘れて、繁栄する日本に海からやってくる。
 今回はゲロ吐いたの新橋あたりだったそうだ。東電本社あるところ。
 忘れるなというモチーフでしょうね。
 思い出させる為にも、徹底的にリアルがよい。
 
 
2.ネゴシエーションと対策研究
 もう国連の管理下に置くしかないか、
 あの時だって、暴走止まらなければどうなっていたか。
 
 オタク達が研究急ぎながら、
 政調副会長が手を尽くして、時間稼ぎする。
 
 このあたりは、組織vs現場が、映画作りとダブル。
 蒲田に上陸するのも、キネマの天地だからか。
 
 全体を統括するイケメン竹野内が庵野監督の投影で、
 現場を奔走するのが樋口監督。
 泉政調副会長はプロデューサーだろう。
 東宝はなぜ『#シン・ゴジラ』を庵野秀明氏に託したか~東宝 取締役映画調整部長・市川南氏インタビュー~ http://bylines.news.yahoo.co.jp/sakaiosamu/20160812-00061026/

脚本作りも「大人向けにしよう」と、女性とか子どもとか意識しない、と言われて、こちらも腹をくくりました。
一作目に極めて近いのをやりたい、主人公は政治家にしますと。我々としては恋人がいたほうがいい、長谷川博己さんと石原さとみさんは元恋人にしましょうとか言ったんですけど、庵野さんはそういうのどんどん排除していって、人物たちのバックボーンは描かない脚本になりました。ハリウッド映画だと絶対そういうサイドストーリーとかあるわけですけどね。きわめてストイックな政治家だけの話になりました。
脚本の細部にも徹底的にこだわって、政治家にも官僚にも取材し、小池百合子さんにも取材してましたね。首相官邸や危機管理センターにも行って取材するんですけど写真は撮れないそうで、スタッフが持っていた鞄で距離を測ってセットに再現しました。

 連合国の管理って、製作委員会方式のことだよね。
 いろんな人がいろんなこと言うよ。タイアップの曲とか、アイドル使えとか、
 東宝一社でも、内部ではこれでヒットするかどうか、疑問視されてたらしい。
 
 散々、飲まされて進撃の巨人撮った樋口監督も、
 庵野の脚本は曲げられないって頑張ったそうだ。
 
 現場がオタクっぽいのはクリエーター集団だから。
 
 
 まあ、プロデューサーはよく組織を説得したものだなぁ。

これまでのゴジラ映画の宣伝は段階を経て、公開までに全部見せちゃうものでした。庵野さんは、エヴァンゲリオンでは何も見せなかった、試写もやらなかったと言うんです。それでうまくいったんですよね。
結果としては完成披露試写会だけはやったり、記者会見やって少しだけ見せましたね。あの最初の予告編は庵野さんが自分でつくったんです。宣伝部がやりたいというので、もう少し見せてるのも作ったんですけどね。

 
 今の邦画のダメ要素引くとシンゴジラで、
 それでもまだまだ、日本は総力戦やれるんだって、希望。
 エヴァで病んだ人が、この映画で回復したんでしょうね。
 
 オタクに理解あるフランスでは公開されるんでしょうかね。
 邦画の場合、ハリウッドとは予算が違う。
 低予算大ヒットのデッドプールで60億円。
  
 三池監督はガッチャマンはダークナイト級の予算でないと、
 でヤッターマンが20億で、
 テラフォーマーズ撮るのは矛盾してね?は15億。
 で、進撃の巨人もシンゴジラも15億円程度らしい。
 
 予算では敵わないが、戦えるって見せたの凄いよ。

 技術的なことだけでなく、
 特撮やアニメでも、大人向けの物語やるって、
 怪獣→ヒーロー→ロボットと日本の子供向けの進化の過程だけど、

 ダークナイトが出ては、、

 ってときに、スクラップアンドビルドで、日本は頑張れるよって。

 冒頭で、
 風立ちぬ主演しときながら、
 役立たずの老害、引っ込めって、有言実行。
  
 ものにはテーマってもんあるんだから、
 人物の背景とか、被災者目線とか、民間がとか、
 省きながらも、ちゃんと表現してんだから、
 トンチンカンな難癖と戦うことまでクリエイトだね。

 好き勝手にやらなきゃ、面白いもん作れないよ。

3.ヤシマ作戦決行
 この辺から虚実逆転。
 
 石原さとみはワザと漫画チックなキャラで、賛否あるけど、
 リアルから虚構へのブリッジ役をやらせたかったんだろうな。
 唯一の華だし。

 現実にもちろん居ないけど、
 アスカと綾波というよりは、
 ミサトとリツコの対比も描きたかったんだろうし。

 オタク魂爆発のカタルシス。
 オレは仇討とかピンと来ないほうだが、
 在来線はグッと来たよ。見事な本懐。

 ミニチュア感が良いっす。
 
 フクイチそのものの収束だけど、
 ゴジラのしっぽは生きている、でエンドロール。
 明るくなるまで、満員の劇場だれも席立たなかった。
 
 まあ、圧倒的なものを観たよ。
 なんで日本で暮らすんだろうって、
 それも悪くない選択とも思った。
 
 しっぽは人間取り込まれた説もあるけど、
 ゴジラ増殖説をボクは採用する。
 だって、エイリアンそっくりだもの。

 2で増殖するじゃん。
 ただ、本人はもう撮らないだろうな。
 スクラップアンドビルドで、好きにしろ、
 若い優秀な奴は一杯いるだもの。
 
 最後は子孫みたいな話だよね。
 そこは線量高いとこで作業ってリスクと対比になってる。

 本人も駿師匠へのアンサーのように、
 オレはまだまだ辞めないって言ってるし。

日本のシステムもう一回、スクラップアンドビルドかもしれないが、
それはそれで希望かと思う。
少なくとも、寒くなるまでは頑張ろう。
 
翌朝は、敢えて京急に乗って横浜に出た。

 
PS こちらも終戦記念に観よう。

 
質問コーナー、お問い合わせは、sanpome.net@gmail.com まで。

  
 

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