映画「最低」　感想　AV関係ないし、最低でもないし。　でもありふれた日常は心地よいよ。

瀬々敬久はドキュメンタリな人だけど、作家性より職業監督と思う。上手にまとめる。
日本映画の弱点であるセリフと役者のヘタさは、この予算じゃ逃れられまい。
評価低い人も居るだろうけど、日常をテンポよく心地よいのは買い。
下手さ浅さと、手堅さテンポ良さのトレードオフで、
1800円の価値あるかどうかは、個々に委ねるよりないかな。
　
　
原作読んでないけど、3部構成らしいです。
家族とうまく行かなくて上京して、今AV女優やってる女性。
日常が虚しい主婦がAVに転進。
母親が元AV女優で婆、母と三代で暮らす田舎の娘さん。
　
3部構成にしちゃうと芸が無いので、群像劇としてシャッフルしてます。
無駄な説明なく、淡々と日常をテンポ良く切り替えてゆくとこは好感が持てます。
ああ、職業監督って感じです。
　
　
で、紗倉まな原作でもあり、小説とはいえリアル性強いのだから、
荒々しいアップ多様した、主観的なドキュメンタリタッチな撮り方も正解と思います。
無駄なことしないし、　
演出成功してます。
　
ただ、演技ダメな人にはもっとさせなくていいし、
セリフがヘタなの大いに改善の余地あります。
日本映画ってセリフダメねぇ。
会話でそんな説明しない。感情を吐き出すってそういうことじゃないじゃん。
上手い人使ってるのに、セリフがダメじゃ台無しだし。
日本の役者さんって辛いなあって思いました。
　
　
そんな中、佐々木心音、忍成修吾の2人が良かったのは大きかったですね。
紗倉まなの自己投影っぽい佐々木心音は、
すっぴんでブスエロく、かつ等身大の生活感醸し出して、とても説得力あります。
忍成修吾も、これは奥さんイヤになるだろうって品行方正な甲斐性無しっぷり見事でした。
　
この2人の日常感のリアルがこの映画成立させてると思いましたね。
　
あと、
女優さん達、顔立ちバラバラなんですが、同じ顔に見えるんですよ。
敢えてのキャスティングでしょうし、メイクも意図的と思われるのですが、
誰が誰か、最初区別つかないようで、段々とそれぞれの事情把握してくって、
演出巧みだと思いました。
　
ナタリーの記事のこの写真見ると、原作者が一番美人でしょ。高岡早紀居ないし、　
上京ものがたりだし、
主婦は、出会い系にハマる方がヤバくてAVはむしろ衛生的な感じがするし、
奔放な母親に翻弄される田舎娘もAVだからって問題じゃないじゃん。
　
何も無かったからAVって高岡早紀が言うけど、
どんな容姿でもなれる訳じゃねえし、
競争激しいし、恵比寿マスカッツは憧れの的だし、
偏見はそりゃあるけどさ、AVならではの特別感は無い。
　
それなりに家族崩壊した話で、それはそれなりにありふれた日常で、
サイバラ画伯が言うように、自立するしか解決ないんだろうなって話です。
　
そのライトなスケッチを、浅いと評価するか、心地よい風景とするかは、
まあ、個々に委ねるしかないよな。
オレは後者寄りだけど、前者な人が居ても不思議ないと思うよ。
　
　
　
仕事はとどのつまり、カネか承認欲求
監督はインタビューに答えて、
こういう取材までしてるのに、ストローにまで名前書くところは掘り下げず、
あくまで原作に忠実な範囲で映像化するの、まあ職人ですね。
それも賛否分かれるところでしょう、この映画の物足りなさでもあるでしょう。
　
　
ホントはね、誇りを持てない職業の象徴としてのAVだとすると、
仕事はカネか承認欲求って、とこまでテーマが行けば、
違う作品になってたでしょうね。
　
　
仕事で自己投影含め、承認欲求。
それとお金。
両方無くて仕事できる人は悟りの境地でしょうね。
かつて大阪で一新塾という社会起業系のセミナーでも主催者、承認欲求ダタ漏れだったもの。
お金じゃなきゃ、尚更でしたね。
　
　
サイバラ先生の解は、
職業成立させて、自立して、
お金も承認欲求も、自分でバランス取りなさいってことだよね。
　
　
他者に承認されなくても、幸せで居られる方法ないっすかね。
生きてゆく上でどうしてもボトルネックだなぁ。
　
　
ま、今年1月から福島から東京へ、仕事始めた。
とどのつまりはカネと承認欲求。
ワタクシの上京ものがたりも、ありふれたお話。と再確認した次第。
　
　
　
　
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