「ウインド・リバー」 社会派ミステリー? ネオ西部劇? 弱肉強食な人間讃歌か? 現実は適者生存だけど、<映画評>

このバランスをどう評価するか、
ワタクシは上手に処理したと拍手7割、食い足りなさ3割くらいの割合。
とりあえず、
観て損はないです。
このクソ暑い夏をひととき忘れるには最高。(でも暑いほうがまし)

 
有楽町に出る用あったので、タイミングよく観れた。
評判良いので観たかった。
 
 
 
これも口コミで売れた映画。去年の夏アメリカで。
新人監督が小さく公開して、口コミで大ヒット。
このパターン増えてます。
 
監督、脚本、キャスティングこの3つ要素は、
分業しないこと小規模では普通になるのでしょうね、これから。
 
 
映画にとっては、イイこと。テレビの衰退も関係あるかな。
 
今後も、映画的才能の発掘がこういう形で進むといいですね。
たぶん、ネットフリックスと映画でも才能ちょっと違うと思われ。
 
 
 
カンヌ「ある視点」って、新人監督なの?
ボーダーラインの監督が撮ったんだと勘違いしてたら、
脚本家が、監督デビューなのか。
 
観てたときは、映画的な演出をとても好む監督なので、
手慣れて過ぎてて、新人とは思えませんでした。
 
 
公式サイト http://wind-river.jp/about.php

この作品は成功しようが失敗しようが、作らなければならない映画だった。そして、苦しみを背負ったネイティブアメリカンの友人たちに対する敬意という点から、何を語り、どう語るべきか、僕が完全な責任を負わなければならない映画だった。他の監督が同じ展望を持って取り組んでくれるかどうか確信がなかったら、僕が監督を務めたんだ。

 
ふと、ペルソナマーケティングについて考えたり。(後述)
マーケットインではない。
監督の語りたいがとても強い。
思いの強さが、人を動かす。
 
技量と志。両方そろってこそ真の侍。
絶妙なバランスで商業的にも成功させたことにも、拍手です。
 
その判断を他者に委ねる訳にはゆかないから、今回は監督もってことか。
 
 
いいとこ取り狙っている以上、必ず中途半端だという批判は出てくるだろうし。
 
観てて、それを批判する気にはなれなかったな。
かと言って、差別一辺倒で語るのも、どうかと思う。
 
 
 
テーマは弱肉強食の世界で生きること、社会派ミステリーよりネオ西部劇より
リバタリアン思想的なところある人だって、誰か言ってた。
同意です。
 
リベラル的なドリーマーでノープランさが無いもの。
「殺されるのは弱いから」って絶対言わないでしょ。
アメリカは自由の国だから、銃規制できないんだなって観てて思うもん。
 
自然界の弱肉強食と、人間社会のそれが、対比的に描かれます。
で、自然は摂理で、
人間は意思でそれでも生きてます。
 
観終わって、爽やかさ、清々しさを与えるのは、そのためでしょう。
 
 
 
雪山ってそういうテーマに似合いますよね。
ネイティブ・アメリカンの現実は昔ドキュメンタリあった気がするが、
後でググればいいっす。予備知識なくても伝わります。
 
ああ、ソビエトのシベリアみたいなとこだって。
 
冒頭、ヒロイン登場で、シベリア抑留のエピソード思い出しましたよ。
捕虜でも南国の人から死んでいくそうです。
 
寒さに弱いからではなく、寒さを舐めるから。
 
コッペパンとシャツ一枚を平気で交換したりするそうです。
雪国の人は何が死活か知ってますから。
 
 
こんな暑いのに冬寒いって、
あんま人の住むとこじゃないなとフト思ったりもします。
 
 
 
過酷さを表現した撮影をまず褒めます。
インタビューによると、当然とはいえ撮影監督も拘ったようです。
この絵は大画面で観たい。映画館で観て正解です。
館内エアコンも効いてますから、
暑さ忘れられます。
 
主人公のハンター役も素晴らしいけど、 
雪山で死ぬ役の方、ご苦労さまです。
 
最初と最後、二回思いました。
この役きついなぁ。
逆にそこは、ストーリーに入り込めませんでした。
 
圧倒的に寒そうなんだもん。
 
 
 
いいとこ取り批判は、酷だと思う。
社会派なら、主人公なぜ白人なんだと文句。
西部劇にしては、敵役がしょぼい。
 
ネイティブ・アメリカンで、
ここまで演技上手いか、役にピッタリな人が見つかればねえ。
商業的だけじゃなく、
現実問題として、酷じゃないかな。
それに、商業的に成功したから、多くの人に伝わったんだし。
 
 
犯人が小物なので、カタルシスがないです。
でも、これ以上ドラマチックにしちゃ、現実を描けない。
こんなとこ自由意志で来るヤツなんて、そりゃいろんな人いるだろう。
で、仇討ちで終わらないところで、
ああ、描きたいのは、単純にそういうことじゃないんだって、
 
このバランスで成し遂げたことの方をボクは拍手します。
 
 
デトロイトと比べれば、主張のために脚本破綻させてないし、
(なぜ過去を利用して、今の主張をするのかって疑問を抜いても)
 
スリービルボードほど旨くはないけど、アメリカの現実を追う訳だし。
 
 
思いが強い、プロダクト・アウトなのに、
エンターテイメントとしても成立させ、商業的にも成功させた。
 
難度の高い業を讃えましょうよ。
このポジショニング。
 
 
 
現実は弱肉強食じゃなく、適者生存だけどね。
ライオンって言ってましたけど、
狼だろうとピューマだろうと、
今年暑いからクマ出没しようと、
 
強さは生き残るのに絶対な要素じゃなく。
むしろ絶滅危惧種。
 
強者=勝者でなく、環境に適した猫の勝ち。

人間に愛玩されるよう、むしろ能力を隠して、進化したらしい。
カワイイは正義。
 
 
ポジショニングについて、考えさせられる映画。
 
劇中、「軍隊か大学」ってセリフあるけど、
外の世界に繋がれる能力を何か獲得して、脱出するのが正しい生存戦略と思う。
 
 
ポジショニング戦略ちょと調べてみたら、
その中にペルソナマーケティング出てきて、
 
誰に語りかけるのかを、徹底的に、
この監督兼脚本家は考えたんじゃなかろうか。
 
 
ワタクシもかく或りたしと、考えた。
ま、それは別のお話。
 
明日へつづく⇒http://sanpome.net/?p=4606 
 
 
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