「僕と父の終わらない歌」は娯楽映画として満点、プロモーションには0点をあげたい。 なぜ”原作”に倣い、本気でSNSマーケティングしないのか。

映画評↓を見て、寺尾聰が本気で歌うオールディズを良き音響で聴こう。と決定。

さすが「ちはやぶる」の小泉徳宏監督。取捨選択が素晴らしく、
様々なピースを完成度高く結晶。
笑って泣ける娯楽映画としては満点の出来。と私は評価。
何と言っても、
歌うべきところで、歌うべき人が、たっぷりと歌ってくれて満足至極。
ジョーカー2」や「熱烈」には、爪の垢でも煎じて飲んでもらいたい。
 
 
なおのこと、 
映画が良いだけに、PRには相当問題があると思われ。
SNSを活用もせず、TV番組で寺尾聰に告知させる。
そのアリキタリは、いかがなものか?
 
そもそも、
予告編↓からして、作品の良さを伝えていない。

普通の人情ドラマとしか訴求されず、以下の魅力が伝わらない。
・”原作”の感動
・認知症への真面目な取り組み
・アメリカ50’sと横須賀の文化
・寺尾聰が歌うオールディーズソング
 
”原作”はyoutube動画がバズったことがキッカケとなった。
にも関わらず、
本作のPRでは、SNSを活用したローンチを、全く行わない。
作品の質とは別に、むしろ良いからこそ、プロモーションの下手さが目立ち、
そこに勝手に不満を感じてしまいました。
  
作品の魅力とPRへの不満を、併せて語りたい。
   
 
 
・”原作”の感動
 予告編を見ただけでは、元ネタ↓を連想出来ない。辿り着かない。
 
本家「The Song a minute Man」は、イタリアンポップス多めな印象。

私の父は2013年に認知症と診断されました。父は生涯を通じて歌手として活動し、知っている歌の多さから「ソングミニットマン」として知られています。
混乱した彼を落ち着かせるために、私は彼を長距離ドライブに連れて行き、車の中で一緒に歌っていました。私はその歌を録音し、アルツハイマー病の慈善団体への募金リンクを添えて、オンラインで友人たちと共有し始めました。
すると、驚くべきことが起こりました…
わずか数週間で私たちは
慈善事業のために16万ドル。
父はシングルをリリースするレコード契約を結び、その後私たちは世界的に有名なガイ・バーカー・オーケストラとビッグバンドアルバムをレコーディングしました。
それは旅でした…

3年前にアルツハイマー型認知症と診断され、陽気な性格は怒りっぽくなり、息子のことも忘れ始めていた。そんななか家族でドライブ中、車内の曲に合わせテッドが歌い出した。それは奇跡の始まりだった──歌で笑顔を取り戻し、長年の夢を叶えた父テッドの半生を息子が綴る、感動の実話!

 この物語↑を日本に舞台に翻案し、
 寺尾聰&松坂桃李の主役で、脇も申し分ない。更に、
 「タイヨウのうた」でも、音楽を扱って安心の監督。
 これまでの作品同様に笑って泣ける。今回はやや高齢者向けの作品。
 
 あの予告では、作品の成り立ちが伝わってこない。
 少なくとも、
 何週間か前の私には伝わらない。
 お涙頂戴が狙いの、ありきたりな日本映画としか思わなかった。
 
 充分な説明には、尺が足りないのは分かるのだが、
 それはSNS上のプリローンチの中で済ませておこうよ。
 とにかく、
 作品が、”原作”の感動に紐づかない。
 これはPRが、前段階で致命的に失敗してる。と断言する。

 イギリス発の感動の実話を、
  横須賀を舞台に翻案し、
  最高の座組で、
  (音楽にも、介護のリアルにも、真面目に取り組み)
 映画化に成功。 って伝えろよ。
  
 
 
・認知症への真面目な取り組み
 厚労省とタイアップしてることは、納税者の私も含め、たぶん誰も知らない。

厚生労働省は、認知症に関する正しい知識及び認知症の人に関する正しい理解を深めるため、今年の5月23日(金)公開の映画『父と僕の終わらない歌』とタイアップします。その一環として、普及啓発ポスターの作成や特設サイトの開設をしました。 
この作品は、世界中に笑顔と希望を届けた、実在の父子の奇跡の実話を元に製作された映画で、アルツハイマー型認知症と診断された父とその息子が、家族や仲間と共に、かつて父が諦めたレコードデビューの夢に挑む姿が描かれています。 
令和6年1月に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」においても、認知症の人を含めた国民一人一人がその個性と能力を十分に発揮し、相互に支え合う「共生社会」を目指すこととしています。 
厚生労働省は、今回の取り組みを通して、多くの方が認知症について知り、理解を深めるきっかけとなることを期待しています。今回の普及啓発ポスターは、各都道府県・市区町村、認知症分野の関係団体等に掲出する予定です。

 専門家の監修も当然入り、
 父が父でなくなってゆく様をリアルに描く。
  自分がああなったら、(その前に、手続き等は何とかしとかなくちゃ)
  身内がああなったら、
 我が事として、捉える人も多かろうと思われ。
 
 古くは、ベストセラー↓から、渡辺謙で映画化。
 
 
 最近では、ドキュメンタリの神回↓も記憶に新しく、
 
 スタン・リーの晩年も思い出されます。
 映画でも、寺尾聰が介護施設を慰問し、歌います。
 
 認知症への音楽の効用も、プリローンチとして、
 
 介護の現場↑でも説明しておきたい。俳優の出演は無くていい。
 
 医療系の有力youtuber↓とも、コラボしておきたい。
 
 
何故、プロモーションを仕掛けないのだろうか?
 ターゲットは、認知症を我が事と感じる世代で、
 SNS上で、啓蒙活動と併せプリローンチ。
費用の問題は無い。低予算でも出来る。企画力の問題。
 
 
 
・アメリカ50’sと横須賀の文化 
 ナットキングコールやプレスリーもあり、ジャンルは一概には言えませんが、
 アメ車や横須賀の街並みは、50’sアメリカンポップスの佇まい。
 
 コニー・フランシス↑を彷彿とさせます。
 当然、横須賀市は全面協力。

本作は全編横須賀市を舞台にしており、
ドブ板通り商店街やまぼちょく(馬堀海岸)をはじめとした市民に馴染み深いスポットがたくさん登場します。


 第二次大戦が終わり、ベトナム戦争が始まるまで、
 戦争と戦争の谷間の、束の間の古き良き黄金時代。
 当時、ラジオから流れる大衆音楽が50’sアメリカンポップス。
 
 ジャズとも別ジャンルで。
 黒人の音楽はまだ差別され、ロックンロールは最初期。
 作中での、曲のチョイス↓が渋い。ボビー・ダーリン!!
  
 立川や座間でも、成立するかもしれないが、やっぱ海が欲しい。
 佐世保や沖縄では、別の文脈が入り過ぎてしまうきらいが。
 ここは、横須賀一択。
 
 因みに、
 最初、副島淳の登場は、ポリコレに日和っただけかと疑ってしまいました。が、
  商店街の人情を、石倉三郎、三宅裕司、佐藤栞里と一緒に演じるのにピタリ。
  そりゃ横須賀だものという説得力だけでなく、
  コミカルなパートを実によく盛り上げていました。
 
 更に因みに、
 LGBTとか、”ディズニーかよ” と濡れ衣を着せてしまいました。ところが、
  ディーンフジオカの登場で、あっと驚く。
  記憶を失うエピソードとして使っただけかと安心していた。
  
 とにかく、
 小泉監督のカードの切り順の巧みさにヤラれました。 
 それに比べPRは、お座なりもいいところ。 
 50’sのアメリカと横須賀の文化は、プリローンチ内で説明しておきたい。
  監督でもロケを担当した撮影スタッフでも、
  横須賀市や商店街の関係者と動画を撮りたい。
   
で、実際のPRはTVで告知。
それで、ターゲットにリーチするのか?
属性が明確な、facebook広告の方が有効じゃないの? 
   
 
 
・寺尾聰が歌うオールディーズソング
 萩原健太↓とも、コラボ出来そうなんだがなあ。
 
 ラジオでもいいのに。

 説明だけ↓でなく、劇中歌ってる寺尾聰のショート動画を各種SNSで流せよ。
 


 本当はGSから出た人↓で、
 
 50’sアメリカンポップスより次の世代なのだけど、
 この役は他に居ない。
 堺正章ならギリでアリかとは、思うかなあ。
 
 日本で一番レコード売れた(ベストテン3曲同時ランクイン)バンドマン↓が、
 
 レコードリリースを夢見る男を演じる。
 
 私もつい、夢想してしまう。
  劇伴も徹底して、寺尾聰が歌うオールディーズだけ、
   サントラは配信したい。
  プリプリローンチでショート動画展開して、
  ローンチの仕上げ、公開直前には、
   作中と同じ舞台で、生ライブ配信したい。
  会場の観客は協力者と前売り購入を優先して、動画UPどんどんしてもらう。
  
  映画公開中はサントラも視聴無料で、とにかく拡散が大事。
  (youtubeは高齢者も多いんだよ)
  終了後は有料もよし、映画本編もいずれ配信される。
  
 現実は、 
 寺尾聰本人がバンド従えて、本気で歌ってる。にも関わらず、
 ソニーが配給なのに何もしない。熱量が低すぎる。
 古い産業とyoutubeは、絶望的に組み合わせが悪いのか、
 オールドメディアでのプロモーションに拘る。
 本当に勿体ない。
  
 たぶん、宣伝マンは音楽にも、SNSにも、関心が無い。
 残念至極。サントラ出ないかな。
 
 
エンディングは、作り手の志に拍手。
主題歌にJ-POPのタイアップとか、ヤラない。
ブラックアウトしたエンドロールに、寺尾聰の歌う「Smile」。

50’sというより、チャップリンの粋。
  
 
 
参考文献と動画。
映画のPRといえば、プロダクトローンチで、その解説↓。

プリプリと準備よく順序立てて仕掛ける広告戦略。 
 
SNSの口コミではUGCが大事と学ぶ。


 
 
 
今回は、作中ちゃんと歌うので、満足です。

ラジオから流れるオールディーズを今でも、たまに聴きます。
 
 
 
2025.06.06 16:00現在
 20MAを挟んで上下。
 MACDはデッドクロスとも言えるけど、
 ボリバンの収束から、どちら振れるかは分からない。
 ファンダメンタルズはトランプ発言次第なので、考えても仕方ない。
 売玉はすぐ手仕舞ってしまうので、買玉ばかり、下手くそか。
 来週は、出来るだけ動かず我慢したい。

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