観るまでは、真っ当な青春ダンス映画かと誤解してました。
パリ五輪の種目で、封切り時にも気になってて見逃したので文芸坐へgo。
で笑っちゃいました。
本物のブレイクダンスを観れると、勝手に決めてたなんて。
もこみち似の主演、王一博(ワン・イーボー)のアイドル青春映画で、
ベタなのは承知の上でした。
フラッシュダンス+ロッキーのような、
昼は働きながら、恵まれない環境で練習を重ね、強者に挑む、
そんな熱いスポ根ものを期待していたのですが、、
舐めてんのか!
身体操作を映像技術で処理するならアニメでいいよ。
「エブエブ」もそうだけど、中国人は偽物で満足なのか?
大事なことを誤魔化し過ぎで、
カタルシスは無くイライラしました。
国家体制の歪みの影響でしょうか?
ダンス、音楽、プロ選手の在り方、どれも真面目に扱えてません。
映画サイトでは概ね好評で、ダンスシーンも褒められてました。
工作か? 本当に偽物でも満足したのか?
くそぅ、、
見抜けなかった。
が、それだけで終わってはいけない。
現代中国社会の実情を知るための作品だったと、思い直し、
ダメを以下3つにブレイクダウンしてみました。
・ブレイクダンスが映像加工の偽物。本物は居ないのか
・演出と音楽がダサくて古い。B系の音楽は禁止か
・”成功=脱出”は描けない。中国共産党に忖度か
アイドル映画だとしても、これは無邪気に褒めちゃダメ。
闇を感じる。
・ブレイクダンスが映像加工の偽物。本物は居ないのか
王一博は頑張って踊っているのですが、
スピン系の大技はクルクル加工してて、萎えます。
余計なことしなくていいから、ちゃんとブレイクダンスを魅せて欲しい。
ガッカリしました。偽物のスペクタクル。
予習はしましたよ。パリ五輪の。
女子は金メダルで、男子は惜しくもメダルを逃す。と今更知りました。
大技だけでなく、ステップワークもキレキレの身体操作。
ブレイクダンスのバトルって、こういうもんなんだと学習。
ま、古い人にポピュラーなのは、めちゃイケの岡村隆史vsゴリ。
このレベルが地上波で流れてて当時、こういうのが普通なんだと。
が本作、
期待は感情の借金で、大幅に下回って来やがりました。
王一博がそこまでやれないとしても、
本物の身体操作で魅了するシーンが無きゃダメでしょ。
偽物でも盛り上げれば良いと思ってるなら、根本的に勘違いしてるよ、中国人。
40年感覚が遅れて、80’sアイドル映画だとしても、本作は評価できない。
当時のダンスはアイドルでも本物でした。
TVバラエティ番組のエンディングで、お茶の間に流れてました。
アイドルはこのくらい踊れて普通なんだと勘違いしてました。
遡って、
80’sたのきんアイドル映画にも及ばない、現代中国の映画でした。
ラストシーンで、”努力は報われる” とかナレーション入りますが、
そんな紛い物の努力を肯定するようでは、
なるほど、中国サッカーが強くならない訳が分かります。
圧力にも屈せず、努力が報われるとは、こういう人↓のこと、
還暦でも生歌で踊って、足も上がるのが本物じゃん。
作中では、
古田新太似のコーチがMJの蝋人形を見て、
ダンス始めたキッカケと曰いますが、
ムーンウォークを披露してから言って欲しい。
世の中進化しているのに、
私より後の世代は、あの映画をどう観たのでしょう?
満足のしようが無いと思われます。
風見しんごがお茶の間にブレイクダンスを知らしめた後、
時は流れ、
エイベックス松浦会長が、日本にユーロビートを布教した。
ディスコミュージックでもアイドルは踊る。
安室ちゃんは勿論、MAXの4人もキレキレ。
で、今はK-POPアイドルのレベルが普通なんでしょ。
レッスンの苛烈さが忍ばれます。
ダンス映画でちゃんと踊らないなら、アニメでいいよ。
ガワだけ整えるチャイナクオリティにホント、ムカつきました。
・演出と音楽がダサくて古い。B系の音楽は禁止か
全般に安いメロドラマでした。カメラも劇伴も。
ストーリーの問題でなく、演出がダサく古い。
何より、
題材がブレイクダンスなのに、ロクに音楽が聞こえて来ない。
ブレイクダンス向けの音楽は、ブレイクビーツと言うらしい。
ドラムのフレーズをループ再生、サンプリング。
初期はファンクやソウルからの引用が多かった。
まあB系の音楽というと、こういうイメージ↓だが、
公序良俗に反すると、政府に規制されているのか、
作中では、全然鳴りません。耳からの刺激は有りません。
せめて音楽を、16ビートで統一して欲しかった。
ところで、16ビートって何なのか、復習しました。
やっぱり、アフリカンからのJBが開祖で、そしてMJ。
日本人には無理ゲーかと思ってしまった。
こちら↓が、分かりやすい説明か。
小節内でのリズムの単位が違う。
で、
日本に伝わった最初期はこんな感じ↓なのか。
ファンクのテイスト。意外にもカッコいい。
時を経て、MISIAや宇多田ヒカルになるんだな。
哀しい曲の16ビートもあるのに、中国には無いのか?
日本では、八神純子のボサノバと同時期の16ビート↓。
伊集院光のお気に入り。名曲だと思うよ。
最近と言っていいのか、16ビートで思い出すのは、この曲↓だけど、
平等性原理主義の概念に飲まれて、心までがまるでエトセトラ。
直近で、思い浮かぶのは、やっぱり映画の主題歌↓で、
中国でも、人気あるらしい。
なのに、
中国製のアイドル映画は、演出も音楽も古くて、
ダンス映画なのに、踊りたくなる音楽が不在。
ある意味、初めての体験でした。驚愕です。
もしかしたら、
表現の自由が無いのは、大衆娯楽に致命的なんじゃないかな。
・”成功=脱出”は描けない。中国共産党に忖度か
ストーリーは、どこかイビツで不自然でした。ベタで単純とは違う。
メンディー似の敵役は、ご都合にしても中途半端。
能力で格差が有ることを、描けないのかもしれない。
お金持ちで俺様。花形満でも、剣崎順でも、亜弓さんでもいいけど、
影では壮絶な努力家、それ描かないと、凡人には届かない存在の説得力が無い。
強いチーム作りたかったら、まずは最高峰のコーチ招聘しろよ。
古田新太似のコーチを買収する意味あるのか?
クビにして、呼べよダンス先進国から指導者を。
実力で勝とうとしないのなら、
外国人選手も要らない。ただ審判を買収すればいい。
オリンピック種目が題材なのに、
世界の最新から学ぶことは、描きたくないのかな。
主人公はダンスに情熱があるとは思えない。
コーチとそのチームに執着してるだけで、
他のオーディションを受けないし、
最高峰の舞台で勝負したいというような、夢は持たない。
移籍しながら、ステップアップするもんじゃないの?
大谷や三笘のように。
プロ意識は描かない。
ゴミ箱と踊ることが、プライドに関わるとか、
プロのプライドって、そんなことじゃないでしょ。
ステージはキッチリやれよ。スポンサー集めも仕事のうち。
貧しさは描けても、資本主義的なハングリーは描かない。
ダンスで白黒決着をつけない。実力主義を嫌う。
シンプルなシナリオで構わない、
「ロッキー」もろパクリでいい、
最初に、敵役の横暴でチームが分裂したら、
潤沢な敵役側と、主人公側の練習風景の対比を描く、
しかる後に、ダンスの試合で決着つける。
それで充分なのに、
どうでもいいエピソードを入れて尺を稼ぐ。
身内と揉めてバトルに発展しても、ダンスで決着つけない。
敵役から離反するのに、陶片追放のような多数決。
ダンスバトルでの勝負は避ける。
この作品では、
いずれは外国の最高峰の舞台に立ちたいという志を持つ者は居ない。
お話は、地域内で、圧力が掛かるとか、引き抜くとかに終始。
中国リーグの実情を描いているのだろうか。
そんな環境に執着してるようでは、国際大会の出場はムリ。
主人公を応援出来ない。志が低い。
クライマックスで盛り上がりたくても、主人公ごとコイツらダメだって萎える。
腐った環境に居ると自分も腐るよ。
”努力は報われる”とか、お前らが言うなよ。
ボンバー中澤のような人の為にある言葉だよ。
中澤佑二さんがJリーガーになるまでの紆余曲折を振り返る!
中澤さんのブラジル留学は結局、ビザ切れで帰国している間に他の選手にポジションを取られたことで終了し、その後は1年ほど母校の高校で練習させてもらっていたとか。そして、母校がヴェルディ川崎のユースチームと行った練習試合にも出場することになったそうです。
「本来ですと高校生の試合なんですけども、僕はハタチだったんで、2つ歳を騙して高3っていうことで試合に出まして。で、そのヴェルディのユースチームに試合で勝つんですね、僕のチームが」
その試合で活躍して「凄い高校3年生がいるぞ!」と注目を集め、ヴェルディのユースチームに誘われたという中澤さん。しかし、実はハタチだということを告げると「ハタチならいらない」と言われてしまったとか。
「でも、これがチャンスだと思ったんで、もう練習生でも何でもいいんでとにかく練習に混ぜてもらえませんか?って言ったら、じゃあまあ練習生だったらいいかな、みたいな。で、ヴェルディの練習生として練習ができるようになったんですよね」
紆余曲折を経て、チャンス掴んで、
遂に最高の舞台、国際試合で戦う。
そういう単純なサクセスストーリーでいいのに、
作品では、
夢がストレートじゃないから、清々しい気持ちになれない。
中国社会での成功は、そーいうもんなのかと、邪推してしまった。
潤はローマ字でRUN、英語の”走”。”逃”のイメージに近いのか。
今居る環境が絶望的なら、希望が外に向かうのは必然。
つまり、「潤」はもともと激化する競争や就職戦線などで不安に駆られた若者が局面打開を目指し海外を志向する動きだったのだ。
-中略-
今回の移民ブームは、「状況の悪化する中国から脱出する」という意味合いが強いのが特徴だ。
しかし、当局は規制したいらしい。
かつて中国で私は周りの人が移民について話すのをよく耳にした。今の中国では、移民自体がセンシティブな話題となっているようだ。いつしか私も「潤日」の人々に会うときはあえて「潤」という言葉は使わないようになった。相手がギョッとしてしまうからだ。 中国人の国外流出が鮮明になってきていることは国連の統計からはっきり読み取れる。
国内で成功したら、尚更オサラバしたい。将来に希望が見い出せないなら。
中国脱出の動きは資産家階級でも加速中だ。富裕層を研究するニューワールドウェルスのデータでは、2015年から2019年にかけて中国人富裕層が計5万9000人海外に流出したとされる。さらに、投資移住コンサルティング会社ヘンリー&パートナーズは2023年6月に公表したリポートで、2023年、中国の富裕層(100万米ドル超の投資可能資産を保有)の国外流出は1万3500人で世界最大になると予測した。
カネの流出も長年続いている。華僑大学の陳初昇らの推計では、投資移民の方法で、中国から米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの5カ国に移った財産は2008年から2020年にかけてなんと約8844億元(約18兆6000億円)に上ったという。
だって、共産党の国だもの。
中国政府や中国憲法によると、全て公有資産ですよ。あなたのお金もあなたのものではありません。国家のものです。あなたの全て、命を含めて、全て国家のお仕事です。少なくともそういうふうに喧伝してます。
今回の文革は(昔の文革と違い)世論的な側面がありあります。2000年代は、中国は法治社会に向けてゆっくり発展していました。光が見えていたのです。でも、その後、行政権力が法律より大きくなりました。安心感がないのです。
特にコロナ以降の中国では、
それじゃアスリートの理想的なロールモデルは描けない。
国内で成功したら、より良い外国の環境を目指す。とかのステップアップ。
流出を連想させるストーリーは規制対象だろうな。
尚更、
タイトルのように、熱狂してる場合じゃない。
時折映る、杭州の大都会も張り子の虎なのかな。
実は、
王一博の芸能活動は、国内に限ると規制されているらしい。
如何に当局の圧力から逃れるか、現代中国の事情を反映して、
とてもスリリングな映画と観るべきだった。
和製MJは踊らないのかよ。
「ジョーカー2」でホアキンが歌うようなもの。
狙った肩透かしのPVと、やむを得ない事情の映画もあるのかと想像した。
2025.05.30 13:00現在
一旦2σに近づいた後、金曜は反落中。
MACDは再度上向くか微妙。20MAはまだ上向き。
スクイーズしてから、2σ抜けて、今年1月の山を目指す気もする。
一旦、売り玉は手仕舞って、高い所で出来れば建てたい。