ディカプリオの艱難辛苦を追ってたら、ひとりワンハリ祭り。「レヴェナント」「ディパーテッド」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

引き続き、イニャリトゥ監督に興味持ち、「レヴェナント」観ることにしました。
そこから、ディカプリオに興味惹かれ、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」に辿り着く。
タランティーノのイメージを覆す衝撃の、映画の記憶喚起映画でした。
 
あまりに魅了されてしまい、今日はそれだけ書き記します。
 
「レヴェナント」「ディパーテッド」とディカプリオの変遷として観て、
その不満な点と、その理由も知る。
記憶が感情を作っている。多分人格も運命も作ってる。
それがよく分かりました。
 
  
何故、ディカプリオはココまでするんだろうか?

ようやく、ディカプリオ満願成就の作品。
アカデミー賞を取るまでの苦難については、町山さんの解説が分かりやすい。
町山智浩 ゼロ・グラビティとディカプリオがアカデミー賞を逃した理由を語る
https://miyearnzzlabo.com/archives/17765

(町山智浩)いや、わからない。だって、変だもん。表面に出てこないんだもん。ディカプリオの嫌われる理由って。

(山里亮太)町山さんから見ても、演技とか出てる映画も・・・

(町山智浩)すごいですよ。

(町山智浩)演技派に転向しなきゃいけなかったんですよ。で、ディカプリオはそれを必死にやろうとして、演技派転向のための努力をいっぱいしてるんですけど。全然ダメだったの。それでもう、あまりにもダメなんで、何度も引退宣言をしてるんですよ。

町山智浩『レヴェナント:蘇えりし者』を語る
https://miyearnzzlabo.com/archives/33040

(町山智浩)そう。もう何もないというね。これでとれなかったら、ディカプリオ、何をするかわからないから。アカデミー賞の・・・まあ、俳優仲間ですよね。投票するのはね。やっぱり、散々、もうここまでいじめたから許してやるかってことで、アカデミー賞をあげた方がいいと思うんですよ。

演技とかそういう次元超越してて、良かったねホントに。 
  
役者さんと撮影スタッフは壮絶だったろうな、と画面からも伝わる。
撮影賞と主演男優賞は当然としても、作品賞とか監督賞とかはどうなんだろう?
と観てました。
スタッフの不平不満にめげず、
予算どんだけオーバーしても撮りきって、回収出来たこと。
が評価されたのかな、と観てしまいました。
 
先に、クロエ・ジャオ観てしまったこと大きいと思うのですよ。
ロケーションがネイティブ・アメリカンの居住区で、荘厳な自然。
マジックアワーという限られた時間帯に限定。
どちらも、映像にこだわり強いので、比較せずにいられない。
 
私の好みとしては、クロエ・ジャオに軍配です。
折角の素材は、調味料控えて、できるだけシンプルに引き出して欲しい。
カメラワーク忙し過ぎて、素材の味殺しかねない。
堪能する時間も与えられない。
折角の雄大な景色ですから、止め画できちっと決めて欲しい。
 
最初の襲撃されるシーンもその情報要るのかな?
 ガイドの発砲という判断ミスから、
 ネイティブ・アメリカンに襲撃され、犠牲多数。
 ほうほうの体で船に逃げる。
それだけで、よくないか?
時間も無駄に長い。
 
家族とか信仰とか、入れ込んでくるけど、
いつも、ごった煮過ぎて、味がボケる。
全部、空白埋めちゃうので、余韻を残す余地が無い。
 
情報量の多さがノイズに感じます。
都会のゴミゴミした風景ならいいけど、
神々しい自然を描くにはミスマッチ。
 
 
クマとの格闘も、評価高いようですが、乗れませんでした。
 CG感出しすぎで興ざめ、
 後ろ足の形状が人間っぽい曲がり方。
たっぷりとやらず、
いきなり不意打ちくらい瀕死の重症。
くらいのバランスの方が、良かったんじゃないかな。
ストーリー的にはそれで問題ないです。
 
いくつか他にも、リアリティを犠牲にして、
他のこと描くこと優先されています。
それがどうも、好きになれません。観てて気になります。
 
 子連れのクマは危険ですが、季節がおかしい。
  冬眠明けて、発情期過ぎて、初夏くらいのハズ。
 家族を描きたいのでしょうけど、はっきりリアリティを損ねてる。

 奥さんの死で、鳥が飛ぶところとか、
  タイトルにあやかり、魂を描いたメタファーで、
  分からないけど何かのオマージュだったとしても、
 死の厳正さを受け入れる余韻を邪魔してる。
 
やりたいことは分かるけど、足し算は雑味に感じる。
自然とか、素材が素晴らしいなら、引き算が好ましい。
 
 
音楽は素晴らしいですが、脚本も好きになれず。
 信仰の艱難辛苦と、復讐の組み合わせは、方向が逆で、
 感動を相殺してしまう。
  
 善悪の対比になってない。
  事情通のガイドが無知で、悪役トム・ハーディは常に正確なリスク判断。
   ディカプリオがガイドとして機能せず、
   前提が壊れている。助ける気が薄れる。
 
  隊長は善人だがリーダーシップに欠け、一番悪い。
   瀕死のディカプリオを看取ってから埋めるでなく、
   自ら決断して、手をくださないといけない。
   リーダーは一番イヤなところが出来ない。
   最後二人で捜索も、ありえない。
   悪役を悪に認知しずらい。
 
  そもそも、白人側は悪。
   バッファローの大量殺戮など描かれているので、
   悪者同士の善悪には、強く感情移入しにくい構造。
 
 最後、許しと呼べるような行為ではない。
  絶命させるも、川に流すも結果は同じと想定される。
  これは未必の故意と同じで、許しを表現できていない。
 
 
とまあ、苦手なところ書きましたが、気になって仕方なく。
雑多さが気になると、長さが長く感じる。 
 
それでも壮絶さは充分過ぎるほど伝わり、
ディカプリオが苦難の末、アカデミー賞獲得した物語。
として観れば楽しめました。
背景となる知識入れる必要なくて、
サバイバルだけ集中して観るのが正解と思いました。
 
 
 
次に、町山さんが言及していた作品を。還る人逝く人。
あのマーティン・スコセッシがアカデミー賞獲れたのに、
何故、ディカプリオは獲れないのだろう?

うーん、ボストンの活かし方は素晴らしいが、、
脚本は原作に拘らず、もっと改変した方が良くないか?
長いし。
これじゃないので、スコセッシに賞あげたら、、
   
それは一旦おいて、 
これはちょっと、知識入れた方がいいなと、
始まって10分くらいで、一旦観るの止めて、
ググりました。
 
画面から分かることは、 
 ボストンと言えば、賢い都市で、
  マット・デイモンがやっぱお利口さんの役だ。
  英国の伝統残るから、アメフトでなくラグビー。
   だけど、ガラ悪く、紳士じゃない。

 ダウンタウンはアイリッシュ・マフィアの拠点。らしい。

冒頭手際良く説明してくれるのですが、 
私が分かるのは、それくらいでした。
 
アイリッシュ・マフィアの歴史をwikiで確認し
FBIとのズブズブも、観客は周知なんだと知りました。
 
街並みが映されても、私はどこか分からず、
金のお椀を載せた建物が、マサチューセッツ州会議事堂だと教わります。
政治的な野望を暗喩してるのですね。
ビルの佇まいや、運河の街であることも、上手に利用されてますね。
 
またアメリカ人なら、
役者さんがアイリッシュ系かどうか区別つくのかと、想像しました。
キャストは皆、アイリッシュ系なんだと、wikiで確認し、
 当初、アイリッシュの血も混ざるブラピの役が、
 マット・デイモンと同期は年齢が無理なので、
 ディカプリオに交代した。らしい。
ディカプリオは名前からしてイタリア系にしか見えないのに、
違和感あったのですが、
宗教は同じカソリックだからいいのかな。
イタリア人街もボストンにあると無理に納得してました。
それでも、ちょっと浮いて見えますかね。
  
 
それでは、改めて動画スタート。
香港からボストンに意匠変えしたこと認識して、観る。
 
マット・デイモンとディカプリオそれぞれ、
スパイとして潜入し、組織の信頼を得る。
そこまではいいのだけど、、
 
 警察が粗野という演出が唐突すぎ、
 ヒロイン要らなくないか?
 駆け引きにテーマ絞って欲しい。
 FBIとマフィアトップの関係は成立するのか。
 警察はマット・デイモンを信用しきる根拠が無い。
 マフィヤ壊滅が目的なら後は蛇足か?
 
脚本に不満が多く残ってしまいました。
そのため、長さも気になりました。整理が雑な気がして。
 
 ヒロイン要らなくないか?
  実はそんなに役割果たしてない。
  居なくても、お互いの存在に気づく手段は用意できた。
  三角関係が出来る必然がなく、感情移入も出来ない。 
  カットして簡潔に2時間に収めて欲しい。
  ノワールだけに徹した方が。

 駆け引きにテーマ絞って欲しい。
  主役二人の設定が満たされたら、
  あとは、見どころの駆け引き中心で、
  そこから、タイトルどおり、どんどん消えて逝く。
  でいいじゃん。
  だらだら映し過ぎじゃないのか、
  途中、話が進まずイライラしました。
 
 FBIとマフィアトップの関係は成立するのか。
  中間でないと、裏切り者が良い思いできない。
  トップで内通しても不利益しかない。
  上納金でお目こぼしという描写もないし。
  CIAなら安全保障上の問題で中国捕まえるならまだしも。
  州警察との力関係も描かれない。
  FBIが州警察内通者の情報なんて興味あるのか?
   最後のマット・デイモンの危惧が違和感。
  香港でなく、アメリカであること描いて欲しい。
 
 警察はマット・デイモンを信用しきる根拠が無い。
  流石に別途、監視対象になっているはず。
  無防備に携帯使ってもバレなさすぎ。
  優秀であること以外に、疑われない根拠が描かれない。
  かといって、警察が無能過ぎるとも描かれない。
 
 マフィヤ壊滅が目的なら後は蛇足か?
  マット・デイモンは「僕は二重スパイでした」
  「目的は組織壊滅でした」「死んだ上司の命令でした」
  と言えば、ほぼ解決してないか?
  ディカプリオとも、他の彼とも手を汚さずに関係修復出来るよ。
  いや、なんかの理由で、死んでもいいけどさ、
  それで、政界進出にさらなる野望ってエンドじゃダメか?
  終盤はお利口な彼に似合わない愚かさ、やっつけに見える。
 
 
やはり、香港からボストンで、アイリッシュマフィアと州警察、
という設定変更が、ちょっと雑だったんじゃないかな。
もっと脚本を練り込む余地があったんじゃないか。 
 
見どころは、
 ボストンの街並みを織り込んだスコセッシらしい映像と、
 ジャック・ニコルソンの怪演。
受賞すべきは、撮影、編集と、
ニコルソンやウォルバーグの助演かと観てました。
 
不満もありながら、それなりに楽しめたのですけどね。
そして、当初の目的である、
ディカプリオの演技派シフトもよく分かります。
ただ、助演が強すぎて、この作品で主演男優賞は普通に無理だ。
 タイタニック前に助演獲ってしまうか、
 ウルフ・オブ・ウォールストリートで獲るか、
だったかな。
  
恵まれているようで、実は内面の葛藤抱えてる役、
ハマってゆくの皮肉でもある。
まあ、
観客としては、壮絶なディカプリオも観れて、悪くないけど。
嫌われと不運両方あるんだな、と確認出来ました。
 
それでも、獲れてホントに、良かったね。 
報われて、精神も安定して、脱力出来た。とも思われ、
その後の作品を観た。
 
 
 
 
相変わらず長いけど、全く退屈しない。
予想に反し、
バイオレンス控えめでタランティーノらしからぬ作品。
私は大満足でした。
 
 
いくつか、感想も見たり、読んだりしました。
同意したり、いやちょっとなと感じたり、様々でしたね。
 
後半が見せ場だと思うのは、勿体無い。
構造上はそうなのですが、
 映画の記憶で多幸感に浸るのは、
 前半部分とイタリアでの映画のシーンですね。
 この部分が、ご馳走だったかどうかで、満足度が大きく違う。
 
あの時代が良かったという懐古趣味とも違う。
 ベトナム戦争が良い時代とは私は思いません。
 当時も時代の転換期で、今も時代の転換期。
 どんな時代でも、映画の幸せは普遍的にあるというお話。
 
光と影をことさら強調するのも、乗れませんでした。
 「サンセット大通り」でも観ればいいのに、
 また、おとぎ話でなくても構わないし、
 この多幸感は何なんだろうと、
 おとぎ話の秘密に共感したいですね。 
 
 
まあ、これは、 
背景となる知識無くて、楽しむのは確かに厳しい。
 
映画の幸せの経験値で満足度が違う。
そういう映画だから、やむなし。
 
 
 
この映画は、最低限の知識ないと楽しめない。
けれど、
多幸感に浸れるかどうかは、知識じゃなく記憶の問題で、
それが観客の評価を分ける。
ご馳走はむしろ前半で、最後のカタルシスはおまけ。と観ました。
映画を観て、幸せな経験が多いほど楽しめる映画。
 
何のオマージュか当てるという楽しみともまた違って、
この映画観ながら、
あんな映画観たな、こんな映画もあったな、
と思い出す幸福。
映画の幸福を味わう映画でした。 
 
  
若干、ネタバレ含みますが、
1969年のハリウッドの状況にそんなに詳しくないなら、
このインタビューは先に聴いて、概要理解してしまう方が良いと思う。
むしろそれが普通で、私もシャロン・テートのことそんなに知りません。
宇多丸とタランティーノ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を語る
https://miyearnzzlabo.com/archives/59517

まだ、それだけじゃ分かりづらいこと多い。
ジョン・ウエインの西部劇からアメリカン・ニューシネマまでの流れとか、
ベトナム戦争とヒッピーやクスリの時代背景は、
知識入れておいた方が、楽しめますね。
 
wikiから、
西部劇マカロニ・ウエスタンアメリカン・ニューシネマ
 
第二次大戦後、西部劇の映画の隆盛。
 基本インディアンが悪者で、勧善懲悪。
 ジョン・ウエインをイメージすると分かりやすい。
 マックイーンの「荒野の七人」がその時代の最後くらい。
 
娯楽の主役が映画からテレビに、
 テレビドラマが映画より主流の時代に、
 西部劇もローハイドを筆頭によく制作される。
 西部劇じゃないけど、「逃亡者」が個人的には印象深い。
 イーストウッドもマックイーンもブロンソンも参加。
 テレビで「水戸黄門」や「遠山の金さん」観る感じ。
 
テレビでも西部劇廃れ、イタリアに流れる。
 朝鮮戦争からベトナム戦争で、
 流石にアメリカの正義に単純に乗れない時代になる。
 ポリコレ的には、西部劇は侵略戦争だし。
 代わって、
 主人公もアウトローでノワールな色彩強い、マカロニ・ウエスタンが隆盛。
 イーストウッドやバート・レイノルズはイタリアに渡る。
 スポ根でも「あしたのジョー」、時代劇でも「必殺シリーズ」の雰囲気。
 戦後の曲がり角、鬱屈した時代の空気感。
 
マカロニ・ウエスタンも終焉期に、アメリカン・ニューシネマの誕生。
 1969年に「イージーライダー」公開。
 まさにこの時代のことを描いています。
 反戦、ヒッピー、クスリ、フリーセックス、ラブアンドピース、ウッドストック、
 そんなワードが飛び交う時代の映画。
 鬼才ポランスキーは「ローズマリーの赤ちゃん」で脚光を浴びた後、
 このジャンルの「チャイナタウン」も撮る。
 終焉はベトナムからの撤退による。戦争が終わった。
 この時代をハリウッド黄金期と形容するのは適切でもないとも思う。
 ここから闇から光に反転、
 「スターウォーズ」登場で娯楽作への回帰が起こる。
 そこから、個人的にはMCUまで歴史的繋がりを感じるのだが、 
 
  
それはさておき、そんな時代背景の理解と、
その後、
相棒ドン・シーゲルと組んで「ダーティハリー」を当て、
さらに俳優としても監督としても、
名声を欲しいままにするイーストウッドは激レアで、
時代の流れの中で消えていったスターの方が圧倒的。
   
あと、町山さんの紹介であるように、
https://miyearnzzlabo.com/archives/58797
スターと専属のスタントマンの関係はよくあること、
たしか、
シュワルツェネッガーにも専属スタントさん居ると聞いたことがある。
 
ここまでは、体験としての記憶が無くても、
知識あった方が、スムーズに観れると、思います。
  
 
その時代に起きたシャロン・テート事件。
という衝撃が題材になります。
「この世界の片隅に」同様にXデーに向けての緊張という物語ですから、
wikiでは、
ロマン・ポランスキーチャールズ・マンソンをチェックしておきたい。
流石に、この理解がないと、演出が伝わらない。
日本では時代的には赤軍派だけど、オウムのイメージに近いかな。
(バブル崩壊後の)社会不安の若者がカルトにハマる。
信者と教祖の関係。
寂れた西部劇のロケ地でコミュニティとは、上九一色村っぽいか。
 
本作で、マックイーンとブルース・リーが登場するのは、
シャロン・テートに当日パーティーに呼ばれ、
犠牲者になっても不思議ではなかったから。
 
 
前置き長いですけど、そういう映画だから仕方ない。
大抵のレビューは、背景の整理不足気味か省略されるので、
書いてみました。
他にも、レビューについても、反応します。
 
   
もっと評価されてよいのは、脚本です。
物語を分類すると、
 主役二人の関係性と時代とハリウッドの様子。
 シャノン・テート(宇多丸インタビューのくだり)
 カルトvsブラピの緊張
 イタリア渡航とその後、これから
 クライマックス
それ構成するの、大変だったと想像するのですよ。
 
5年掛かったといいますが、誰も褒めないけど、
脚本は見事です。
 主役二人とシャノン・テートを並走させつつ、
 いろんな映画を思い出すようなエピソード満載で、
 テーマに統一的で、収まりがとても良い。
 
これ、ヘタにやると、他の矛盾とか気になってしまう。
そういう雑念の余地が、全くない。
 
 
そして、流石に褒められてますが、
当時の再現が完璧なこと。音楽も含め。
おとぎ話の世界に誘うのに、ここで張子の虎がバレると、夢から醒める。
CG感が出ると違和感だし、
ファッション、インテリア、車、街並み、すべて完璧ですよね。
今は配信メインだけど、ドライブイン・シアターってあったのね。
見せ方も上手ですし。
ちゃんと固定でしっかり見せてくれる。満足。
逆に何でも映像で語れば偉いって訳でもないと学べました。 
どう演出するかという判断がタランティーノは凄いのですね。
   
 
 
最後に、個人的な映画の幸せをメモしておきます。  
 
 冒頭、空港のシーン。
  話題のロマン・ポランスキー&シャノン・テート夫妻が、
  ヨーロッパからハリウッドへやって来た。
  サイケな荷物、CA(?)の丈の違う制服、
  完全再現ヤル気なのが伝わります。
 
 落ち目の西部劇スターディカプリオと、
 そのスタント兼付き人のブラピ。
  背景と関係性が手際良く説明されます。
  テレビドラマの映像、ファッション、車、
  再現の本気度が確信に変わりました。
 
  ヒッピー達とすれ違い「ミセス・ロビンソン」、
  ダスティン・ホフマンですね。
  
  私これで、時代を体感的に特定できました。 
 
 
 ここで、
 「オーディ・マーフィ」って、ディカプリオがブラピを呼びます。
 誰? 元軍人でハリウッドスターになった人。
 ブラピが戦争帰りだと分かる人にだけ分かるシーンですが、
 ベトナム戦争は真っ最中なので、朝鮮戦争だと思われます。
 どうでもよいのですが、ちょっと大事なのは、
 モデルの1人であるハル・ニーダムは、朝鮮戦争で出兵してます。
 それを踏まえての設定でしょう。
 ただし、妻殺しは、ニーダムに関係なく、ナタリー・ウッドの事件でしょう。
 ブラピがブルース・リーとひと悶着起こす際に、挿入されますが、
 ナタリー・ウッドの作品を思い出す人もいれば、
 演出がヒッチコックぽいと記憶が蘇る人もいるはず。
 私はそうでした。
 あと、ジョディ・フォスターはテイタム・オニールも思い出しましたよ。
  
 
 話戻すと、
 ブラピがディカプリオの豪邸を出て、カーアクションを見せての帰宅。
 マックイーンの「ブリット」「ハンター」
 を思い出す人多いかもしれませんが、
 私は断然、
 「グレートスタントマン」です。
 
 イタリアのシーンで、車での河越え再現してて、嬉しかったです。
 
 町山さんの紹介で唯一不満なのは、
 バート・レイノルズについて言及がないことです。
 スタントからキャリアスタートし、イタリアにも渡った。
 イーストウッドのライバルを忘れちゃいけない。
 牧場主役が決まってたのに、その前に逝ってしまい、
 叶いませんでした。
 バート・レイノルズとハル・ニーダムのコンビ。それは触れないと。
 「トランザム7000」シリーズでも当てました。
 スーパーカーは「キャノンボール」の方かな。時代はちょっと遅いか。
 いずれにせよ、思い出さずには居られません。
  
 最後は凋落してしまいましたが、
 当時、明るく楽しくよく出来たアメリカの映画の代表として、 
 テレビの洋画劇場で楽しく拝見しておりました。合掌。
 ずっと思い出してましたよ。
 
 ディカプリオはディカプリオらしい内面の葛藤、
 ブラピはブラピらしい、心身共に強くふてぶてしく、
 過去作を想起する人も多いと思いますが、
 
 私は断然、バート・レイノルズでした。
 
 あ、もう一つだけ思い出した、
 マーゴット・ロビー演じるシャノン・テートが映画館に立ち寄る前に、
 本屋に立ち寄り、「テス」受け取りますよね。ナスターシャ・キンスキーの。
 この瞬間、ブワッと。
 鬼才ロマン・ポランスキーについて思い馳せした。
 
 あの事件の後も、立ち直って、映画撮り続けた、いや撮り続けている。
 やることは変わらなくて、
 似たような好みの若い女優に手を出して、主演させる。
 その性癖が悪化したのは、あの事件の影響もあるかなぁ。
 結局、それが祟って、MeToo的な追放。なんとかと紙一重なのか、
 それでも、「戦場のピアニスト」でアカデミー賞獲るのだもの、
 なんか凄え。
 人格褒めてよいものかどうか知らんけど、
 波瀾万丈過ぎる人生も凄え。
 この人こそ、映画こそ人生なのか。
 
   
ホントに10作で辞めるつもりなのかな。配信中心になるかも。

好きを仕事にって、大変だけどな。
これだけ、人を幸せに出来るもの作れるのなら、幸せなんだろうな。
 
偉業だと思いました。

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