前回、「ワンス・アポン・ア・タイム」観て、興奮してしまいました。
いろんな映画体験、というよりTVの洋画劇場の体験多数思い出し、
観たくなった映画立て続けに観ました。
はい、ただレビューします。
3本とも、ワンハリから連想した作品で、かつ誰かの遺作です。
そして、それだけじゃない、共通の特徴があり、感慨深いものでした。
それが、ワンハリの感想で光と影を強調するものに、
違和感を感じる理由でもあります。
浴びた光の強さと、去り際の影はあまり関係ないかもしれない。
観客の凡な想像よりも、現実はもっとカッコいいんじゃないかなぁ。
そんな気がしてならない。
ワンハリの牧場主役が間に合わず、いわゆるこの終活ムービーが遺作に。
初見です。
最晩年のバート・レイノルズ、最後のスピーチは感涙ものです。
アダム・リフキン監督と脚本に不満はあるのですが、
とはいえ、
この映画自体がバート・レイノルズへの功労賞授与で、
たとえチープであっても、快く受賞してくれたことに拍手。
ディカプリオやブラピだと、ハリウッドセレブという形容の方が、
似合う。最近の役者さん達は特に。
トム・クルーズ以外で、存命の方では、思い浮かばない、
ムービースターという称号。
デ・ニーロ、ニコルソンは名優と評したい。
ロバート・レッドフォードとハリソン・フォードは、
個人的には脇でも輝く印象があって、
イーストウッドは万能過ぎる。
なので、とても良いタイトルだと思いました。
その本人役を粋に演じてますね。
劇中のセリフにあるように、自身のミスチョイスもあった。
でも、
アクション、コメディー、スリラーの娯楽作を選んで出演。
その後は、フロリダで演技指導者として生活していたそうです。
後悔もあるけど、人生を楽しんでいた様子が伺えます。
ワンハリの感想で光と影を強調するのが疑問、
その理由でもあるのですが、
虚栄に執着することなく、もっと明るくて軽いのですよ。
アクションに誇りを持って、演技派への転身を潔しとしない矜持。
時代の変化にアジャスト出来なくても、それをアッサリ受け入れる。
ワンハリのディカプリオもブラピも、その点淡白で。
人気商売ってそんなもの。という達観も感じます。
まあ、それでも、
ハン・ソロ役は受けても良かったんじゃないかなぁ。。
文芸作は断るのは分かるのですが、
コミカルで、アクションも可能だったはず。ギャラかなぁ。
結局、ハリソン・フォードが一躍スターダムに。
やはり、最大の後悔と語ってます。
良いエージェントに出会えてないことや、
晩年、経済的にも問題を抱えたこと、
を省みるに、
人を見極めることのミスがマイナスには、作用したかな。
ほろ苦いけど、清々しい。そんな余韻を残しました。
たぶん、
現実は現実として、受容していたのでしょうね。
しかし、
映画として、絶賛は出来ず、
脚本や演出に対する不満は書いておきます。
もったいない。
骨子となるアイデアはとても良い。
チープな映画祭の功労賞に間違って出席してしまい、
途中トラブルがあり飛び出す、
運転手役のヤンキーな娘とロードムービー、
旅の途中で、人生の様々な場面を振り返り、
最後は喝采を浴びて、エンド。
なのに、
主催者側のどーでもいいストーリー前面に出過ぎ。
あくまで上記のアイデアのための設定であり、
そのサブストーリーに決着つける必要ない。
さほど魅力的でもなく、転がしても感動しない。
特に、バート・レイノルズが喝采を受けてる場面で、
主催者側の話をインサートするのは最悪でした。
そこは余韻に浸るところ。
主催者というのは監督の自意識で、出すべき効果はない。
職人監督にきっちり撮ってもらうか、
作家性あるなら、マニアな愛情溢れるか、
どっちかであって欲しかったですね。
旅の途中のエピソードは、全て本人に即したものだけに。
創作で、感動させようとしてないか?
全部現実に即したエピソードなら文句つけられないですが、
そう見えない。安易に作ったように見えてしまった。
幼年期は転々としたらしいですし、
夫婦なら、サリー・フィールドでしょう。
フィクションで構わないけど、追体験出来るように工夫できたはず。
過去作出せるなら、もっと出来るだろ。
バート・レイノルズの映画、劇中でしばしば登場するのですが、
スタジアムのシーンなら「ロンゲスト・ヤード」、
公道走るなら「キャノンボール」、
と他にも、映せるものなら、もっと出来たはず。
権利関係の制約あったかもしれないけど、
過去作振り返るための工夫は、もっと出来た。
アイデアは良く、折角往年のムービースターが出演受けてくれたのに、
脚本と監督が凡庸。工夫が足りない。中途半端な自意識が出る。
感動させようとするポイントがズレてる。
それが、ホント残念でした。
ま、とはいえ、
この映画が存在してくれて、
かつ観るチャンスあって良かったですよ。
なおバイオグラフィーを確認する上で、↓を参考にしました。
追悼バート・レイノルズ 成功と転落に左右されない「気楽さ」の由来
https://rollingstonejapan.com/articles/detail/28966/
この映画について語っているニューヨーク・タイムズのインタビューで、この作品では厳粛に演じる必要もある一方でユーモアセンスも忘れてはいけなかったと、レイノルズが述べている。「思うに、私は少しばかりわんぱく小僧の部分を持っていないとダメじゃないのかな。だって、そうしないと、みんながっかりするだろう。私たちはほんの束の間、この世にいるだけだ。だったら楽しむに限るだろ? あまり気難しく考えないし、逆に真面目すぎる人ってちょっと病的な感じもする。フロリダに住んでいるのも気楽さが一番だからさ」と説明した。
マックイーンはそんなに、、
とか言いつつも、やっぱ観たくなりました。
TVの洋画劇場で観てて、
高島忠夫が遺作である旨、解説してた記憶あります。
やっぱ、マックイーンってカッコよかったんだなと、
当たり前の感想だった。当時の私は。
世代的にも、町山さんの解説が完璧ですね。
観る前に、町山智浩の映画塾!「ハンター(1980)」<予習編>
観た後に、町山智浩の映画塾!「ハンター(1980)」<復習編>
現代の賞金稼ぎの話であること以外では、
ビルから車が川に落下する。
ラストで出産に立ち会う。
だけしか、覚えていませんでしたね。
西部劇じゃないんだから、
デッド・オア・アライブとは行かないだろうな。
損害賠償とかされたら、むしろマイナスじゃん。
派手なアクションに、そう思ったのは記憶にあります。
トウモロコシ畑、電車、理科室爆破は、
類型的な様々なパターンがあるので、記憶に残らず、
でも、アクションはやっぱ凄いですね。
人間模様は描くけど、描写が淡白で繋がり薄いので、
当時はボーっと観てた。
今観れば分かるのですが、
それでも、もっとちゃんと描いて、とは思います。
コメディーで、笑いの手数も多かった。
当時まったく分かってなかったですね。
今回は結構笑いました。
敢えて、運転ヘタな役どころで、
業務用の乗り物でカーアクションしてた。
こんなコミカルな印象は昔なかったです。
あと、記憶というと、
荒木秀一さんという日本人の現代の賞金稼ぎが居ると、
確か、クレージージャーニーで観た気がするのだけど、
別の番組かもしれない。
それ観たときは、マックイーン思い出しましたよ。
実際の賞金稼ぎのモデルの方に、そんなドラマがあったとは、
他にも、町山さんの解説で初めて知ったこといくつか、
建材バキバキ割って、ホコリまみれ。が祟り、
この映画の撮影でのアスベストが致命傷になった。
(ワンハリのディカプリオの咳はこれが元ネタですかね。)
劇中のセリフにもあるように、
アクション俳優としての拘りが強く、
新しいものに迎合する気はなかった。
長生きしてたら、
頑固者で、バート・レイノルズより揉めて、
より長持ちしなかったと思われ。
そして、
監督と揉めて、こんな構成になったとは驚きました。
今回観てたときは、わざとTVドラマ的に撮ったのかと。
1話に1獲物にして、連続モノの方が人気出そう。
でも、それはもう叶わないので、
TV西部劇の賞金稼ぎ役で名を上げたキャリアなので、
最後は現代の賞金稼ぎでしめる、そんな意匠かと。
でも、この映画の前は健康だったのですものね。
個人的には、大仰なカメラワークより見やすく、
軽いコメディーに合ったテイストだと思いましたけどね。
今見直しても、
まあ、大スクリーンでの経験ないので、なんとも言えませんが。
あの飄々とした、でも血の気が多い佇まいは、
ワンハリのブラピにも面影ありますね。ジーンズ似合うし。
でもマッチョじゃなく、そして元海兵隊の凄みは感じる。
合わせてwikiにある、良い話でしみじみとしてしまいました。
スティーブン・スピルバーグ監督は『未知との遭遇』のロイ・ニアリー役に当初マックイーンを考えていた。『未知との遭遇』のDVDでスピルバーグは、バーでマックイーンに会い、そこでマックイーンはビールを次から次へと飲んで酔っ払っていたという。別れる前にマックイーンは、スピルバーグに対して役を受けることはできない、なぜならキューに合わせて泣くことができないからだと話した[35][36]。スピルバーグはニアリーが泣くシーンをストーリーからカットすると申し出た。しかしマックイーンは異議を唱え、それは脚本の中で最高の場面だと語った。ニアリー役は結局リチャード・ドレイファスが演じることとなった。
最初アマゾンで観ようとして、ストリーミングの遅延が酷く、
youtubeで借り直しました。今後は、
似たような金額でどちらも観れる場合は、youtube優先にします。
それはさておき、
ヒッチコックの遺作。
淀川長治の解説とセットで観てた記憶あります。
ワンハリ後、妻殺しを題材にた作品でなく、
この映画観たくなった理由分かりました。
・墓掘り人のシーンがワンハリの妻殺しシーンぽい
・牧場主役の代役引き受けたブルース・ダーンが主役の1人
・二組のペアがクライマックスで交錯する
・バート・レイノルズが宝石商役の可能性、似たルック
・1976年公開で、ニューシネマのテイスト
ヒッチコックは、「鳥」以降は低迷と言われ、
70年代に入り「フレンジー」で復活と評価された、
その次の作品で、この後も映画企画してた。
「フレンジー」では笑い交えつつも、サスペンスな凶悪犯撮ったので、
次は軽妙洒脱な作品にしたかった。ように見えます。
もっと生きてたら、この作品の評価も違うものかもしれませんが、
見直しては、これがラストなのも乙だなと。
音楽はジョン・ウイリアムスで、この翌年に遂に「スターウォーズ」が登場します。
もうすぐ、時代がまた変わる直前の作品。
劇中に出てくるバイクや若者の車がなんか無軌道に見えるのも、
当時は理由分かりませんでしたが、時代を反映してたのですね。
70年代に入って、新しい波の刺激受けつつ、
創作意欲掻き立て、スランプから脱出、まだまだヤル気だった。
例えると、
大友克洋以降の世界になっても、手塚治虫が、
複数の媒体、複数の読者層に向けて、
「ルードヴィッヒ・B」「グリンゴ」「ネオ・ファウスト」
の連載続ける感じ。
題材は陰惨な話にしようと思えば、いくらでも出来るのに、
コメディーに仕立てたかったと、wikiにあります。
基本、この脚本素晴らしいですね。
二組並走させて、どこかで交差させる構成って、
途中一組づづ話が展開するので、ぶつ切れになりやすく、
つまんない展開があると、興味の持続が切れてしまう。
その話はいいや、ってなることあります。
真っ直ぐなストーリーの中で変化つけるより、成功させるの難しい。
冒頭、資産家の老女とインチキ霊媒師、その恋人登場。
騙し合いのコンゲーム系か?
と思いきや、
もう一組の謎の女とすれ違って、そこから、
スタイリッシュな宝石と人質の交換が展開される。
いや、ケーパーモノ? お宝強奪なお話なのかな。
すると、また場面が切り替わり、
インチキ組が遺産相続人の聞き込みを開始してる。
その捜査の過程で、謎が明らかになる。
そこで、お宝強奪組との接点が生まれる。
ああ、そういうサスペンスなのか、
観客はようやく全体像を把握。
そこからの見せ場。そして、
一気にエンディングで終決。
昔観た記憶では、
ガレージの扉と、小気味よい展開で飽きない。
それだけが、残ってた。
ストーリーは、もう覚えてない。
今見直してみても、
手際良く進めてくれて、
無駄なことしない演出が気持ちいいです。
終盤はご都合な畳み方なので、そこは難ありですが、
もったいぶらない運びが、昔も今も快感でした。
この作品低評価な人も少なくはないんですが、
ヒッチコックらしさを期待すると肩透かしな面がある。
本作はサスペンスを過剰に盛り上げようとはしない。
むしろ飄々と、あくまで手際良く、軽妙洒脱にストーリーは進む。
前作で凶悪犯やってるってこともあるし、
何しろ、暗い作品が多い時代ですので、
敢えてのアッサリ味。
普通に美味しい変わらない味の醤油ラーメンみたい。
逆に、
特徴的な味で行列出来ても、
食後に喉が渇くような味は好ましくない。
興味引くために足しすぎじゃない。
ま、そういう作品も多く、
アッサリ味はごまかし効かず、センスが丸見えになるので、
成功例発見するの稀。
ウェルメイドやろうとして、余計なことするし三谷幸喜。
アッサリ系の美味しい店はなかなか見つけられない。
それから今回改めて気付いたのですが、
室内が素晴らしいですね。
インテリアも行き届いているし、
部屋の作りの丁度良さとか、
雰囲気がよく伝わる。
大作でも、部屋のセットが安っぽいこともありますもの。
演出がTV的という批判ありますが、
室内中心なので、私はそれでよいと観てました。
ま、この作品、TVと配信でしか観たことないんですけどね。
カーアクションも、もっと派手にやれるのに、
ドライバーの主観ショットのみ。
それでも充分、ハラハラする。
魅せたいことに拘りがなく、効果的な魅せ方で演出を選ぶ。
作家性あるけど、職人さんで、そういうところで自意識が漏れない。
キャスティングは結局適切だったと見ます。
宝石商役のヒゲと髪型にバート・レイノルズ彷彿としますけど、
圧が強すぎるかも、
また記号的悪役でもあり、バート・レイノルズが興味無かったかも。
バーバラ・ハリスとブルース・ダーンの丁度よい薄さ。
対比的に、
カレン・ブラックの濃さとウィリアム・ディヴェインの正確無比。
実行犯のエド・ローターも光ってますね。
ああ、ロンゲスト・ヤードにも出てたのか。
手際よく、心地よく、後味よく。丁度いい。
そういうセンスに、なかなか出会えない昨今。
もうすぐ明るい方に時代が変わる予感と、
観客に目配せして、それでサヨナラ。
それはそれで、粋じゃないですか、今の流行りとは違っても。
アドレナリン系の刺激とは違う、幸せな満足感があります。