主役を間違えない「街の上で」今泉監督のセンスと、ただ忠実な職人「SAND LAND」誰に訴求するのか? 成功を引き寄せるマーケティング入門

先々週は「SAND LAND」観てきて、良作だけど興業苦戦する理由に納得。
職人はクリエータではないんだな。
先週は「街の上で」リバイバル上映堪能。封切り時は見逃した。
取捨選択できるのは、クリエータとしての主体。センスあってこそ。 

本当の主役は誰なのか?
それ間違うと全体の印象がぼやける。
全体の品質良くても、USPの無い商品は売れにくい。
鳥山明の世界観を忠実に再現しただけでは、弱いんだねぇ。
  
 
・「街の上で」
日常系映画は邦画の良き伝統でもあるが、監督のセンスが全て。

お話は、
淡く絶妙にズレてて、ちょっと可笑しい他愛もない恋愛模様。
が多重に緩急自在に描かれる。

今泉監督の会話の妙を楽しむ。
「SAND LAND」は爪の垢でも煎じた方がいい。
 
主役は今泉組の若葉竜也。
充分魅力的だけど、ホントの主役は下北沢。
古着屋、古本屋、小劇場、ライブハウス、カフェ、スナック。
昔バンド組んでた、役者志望、美大生サークルの自主制作映画。
 
再開発も進む下北の街で、
イメージ通りなオシャレなカルチャー。
 
下北沢映画祭に出展するため、この映画は作られた。
下北らしいエピソードのどれを採用するか、脚本は推敲を重ねたと伺わせる。
その判断は、最後はクリエータのセンス。
 
スクリーンで観れてよかった。脳のご馳走を堪能。
マクドナルドの味ばかりでは、飽きてしまう。
 
 
・「SAND LAND」
良いところ 
 お話は丁度良く、良くできた勧善懲悪。
 映像のクオリティは高い。
 メカの造形の再現は特に素晴らしく。
 戦車やバギーの砂漠でのアクションは臨場感高い。
 
ダメなところ
 ピンクの悪魔の王子が主人公では子供ウケしないし、
 真の主役が渋いジジイでは尚更。 
 笑わそうとしてる会話は全てつまらない。

まあ、予告編が集客を拒絶してると指摘されても納得。

なんで一番の弱点の会話を見せる。
誰もこの予告編、撮り直せと言わなかったのが不思議。
鳥山明の世界観を再現したことで、満足しちゃったんだろうな。
ジブリにおける鈴木P的な人材も居なさそう。
 
本当の主役は、鳥山明のメカのデザイン。本作では特に戦車。
動く画にしたら、凡人なら破綻してしまう。
天才ってこういうもんだよな。

が、 
この映画の作り手達は、強みに集中することが出来ない。
選択と集中は意思決定者のセンスそのもの。
職人は忠実に技術を披露するだけ。
 
バンダイナムコが主体で、そもそもゲーム化の企画から始まったらしい。
ゲームも中途半端な気が、、
「デッドバイデイライト」みたいに、
1対4の非対称対戦型のオープンなアクションもの、
戦車戦の対戦なら面白そうなのに。
  
忠実な再現にこだわって、
いろんな要素を詰め込んだRPGになってる。
 
ヒットするかどうかは知らんけど、
作品の魅力は何か、顧客は誰か、
随分と手前で思考を停止してしまったかなぁ。
惜しい。高品質なだけに。
 
鳥山明でなければ設計できないメカを動く画で魅せる。
特に、戦車の操縦はディティールも抜かりがない。
30代から50代でそういうの好きなオッサンでゲームも買ってくれる。

鳥山明の画はセンス抜群だけど、企画にはセンスがない。
クリエータじゃないから。
この映画観て監督の名前が記憶されることは、あまり無かろう。
 
魅力の無い優等生になってしまったのは、本当に惜しい。
買いにくい日本企業の典型。 
 

 
日本人の全てがマーケティングのセンス無いわけじゃないと、
森岡毅読み直す。

マーケティングの天才は、
日本企業は技術思考に陥りガチで、マーケ思考が足りないと言う。
 
なぜ消費者視点が育たないのか?
 組織では、組織と参加者個人の利害が一致しないので、
 視点が外に向かう余裕はない。
 そんな意思決定は徹底されない。
 
マーケティングの本質は、消費者と商品の接点を制すること。
 3つあり、消費者の頭の中、場所、使用体験。
 特に頭の中のイメージが最重要。
 
良い戦略の特徴
 やることとやらないことを明確に区別できている。
 勝利に充分な資源が投入される。
 持続可能である。
 自社ブランドと整合性がある。
 

美しい戦略というのは、相手と自分の特徴の差を、
自身に有利になるように活用できているものです。

 
 
メカのデザインを推した、
非対称対戦型戦車アクションのオープンなゲームで。
砂漠での戦闘やレースを中心にした映画で、
その魅力を訴求する予告編だったら。。
 
 
良い企画を買いたければ、良い組織を見出さなければ、
優れた将軍の率いる強い師団を。
落ちてゆくナイフの中にも、見つかるかもしれないと、
前向きな今日この頃。

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