売買技術は実践家からに限る。チャート分析は講師からでも。momo style著「損切りと利食い 相場で生き残る為の必須条件:永遠のテーマとも言われる出口戦略を徹底解説」小次郎講師さん、相場師朗 さんとの比較

2024.07.05 東京市場 日経平均終値 40,912円 
米雇用統計の発表前の現在。
新高値近辺、天井は近いと思しきタイミングでの手仕舞い(出口)はとても難しい。
2σに張り付くローソク足を見ては、
さっさと利食って、トレンド継続ならまた乗ればいい。とは思えない。
いつピークを迎え、反落、それも急落するかもしれない。
 
チャートを眺めると、 
まだバンドウォーク継続の範疇で、MACD線も上昇を示している。
ただし、今日の足は”宵の明星”かもしれない。
今晩の雇用統計次第では、新高値ブレイクも、急落もどちらも可能性あり。
こんなときこそ、売買技術の出番である。
テクニカル分析の精度を競っても仕方がない。
未来を当てることが利益を確保する唯一の手段ではないし、
確率的な優位が分かっただけでは、意思決定の参考にしかならない。
 
 
ここで、まだ辛抱すべきか、もう利確すべきか、
そんな葛藤に晒された今週。
良きアドバイスをKindleで探した。  
実践家と講師の違い、にも遭遇してしまった。
 
”クロールの泳ぎ方を覚えれば、あなたも金メダルが穫れる” 的な、
ミーハー本が数多の株式投資本の中で、
売買技術と分析を分けて論じてる本は希少かつ有り難い。
できれば、日本語の分かりにくい翻訳物は避けたい。
  
仕掛けや手仕舞いのシグナルを見極めるテクニカル分析を解説し、
その中で売買のアクションに言及するものは、多少存在するにしても、
大抵は分析がメイン。
 
売買技術とその時の心理に特化した本は見かけない。
アクションの根拠は一旦おいて、
 ここで手仕舞うか、まだ粘るか?
の迷いを分析の精度でなく、テクニックで凌ぐ。
そんな話を聞きたい。
 
 
私は、
 テクニカル分析と、
 売買技術は、
個別に論じるべきだと、常々思っているが、
そのニーズに答えてくれる内容に出会うことは、奇跡のように希である。
また、如何に優れていても、講師は講師で、
売買技術の実践は職人の技である。 
   
 
売買技術の第一歩は分割から。 
momo styleさんは、
理論も確かで、実践に基づく記述も多い。心理の動きにまで言及している。
まごうことなき実践家である。
他の著作も素晴らしいが、今回は分割売買に特化した良書↓を読んだ。

実例を伴って、意思決定の根拠と心理の動きも説明してくれる。
手仕舞いだけでなく、仕掛けも解説。
特に試し玉(打診)に詳しく、
”撤退からのドテン”と本人は表している天底での打診もヤル。
反転したら逆の玉を大き目に建てる。  
ただし手仕舞いで、つなぎは打たない。
やらないで済むなら、それに越したことはないと私も思う。 
 
 一発当てモノから脱するには、とにかく分割で買ってみるといい。
 いきなり10建てるのでなく、1,3,6と。
 それが高度過ぎるなら、5,5と均等に二分割からで構わない。
 両建てなんて考えなくていいから、まずは分割売買から。
そんな旨、林輝太郎先生から学んだ記憶が蘇る。
 
 
理論だけで、売買技術は語れない。心理は裏腹。
その前に、小次郎講師も読んでいて、
テクニカル分析をおさらいし、心得を正すにはとても良い。

仕掛けの優位性(エッジ)を発見するためのツールとしてのテクニカル。
分析は未来予測の為ではないと説く。
そんな当たり前の原則すら忘れがちで、皆予想が好き。人間の脳に確率思考は難しい。

私の投資に関する基本的な考え方は「予想はよそう」というものです。これはテクニカル分析全般に当てはまります。 私は米国の投資集団『タートルズ』のトレード手法と日本の『一目均衡表』を長年にわたり研究してきました。両者の共通点は、どちらも相場を予想しないことです。将来のことは誰にもわかりません。むしろ、予想することは大きな危険性をはらむことになると考えます。 しかし、大多数のトレーダーは相場の先行きを予想し、これから上がると思えば買い、下がると思えば売ります。
-中略-
相場を『確率』のゲームとしてとらえるところからトレードが安定するのだと考えています。
-中略-
重要なのは、確率が高いところに賭けていく姿勢です。投資を“予想のゲーム”から“確率のビジネス”にしなければ、安定的に勝つことはできないのです。

ローソク足、移動平均線、ボリンジャーバンド、MACDの詳細を再認識。

上げ下げはフィフティ・フィフティの確率ではありません。買い方または売り方のいずれかに有利に傾くトレードエッジが発生するのです。 
それ以外にもさまざまなテクニカル分析によって明らかになるシグナルがトレードエッジを示してくれます。
-中略-
テクニカル分析のそもそもの目的は、それぞれの指標に則ってエッジがある局面を見つけ出すことにあります。 
エッジがある局面はひとつではありません。エッジがある局面を、あるテクニカル指標はこちらの角度から見つけた、別のテクニカル指標はさらに違う角度から見つけたということなのです。
ですから、テクニカル分析の手法を勉強すればするほど、エッジが発生する局面に対して敏感になります。

昔はゴールデンクロス、デッドクロスと言ったが、
今はパーフェクトオーダーの循環を重視する。
20日2σのボリバンと、5,10,30,50,100のSMA(単純移動平均)を見る。
そう私も変化した。 
 
もうこれ以上処理する情報は増やしたくないので、
一目均衡表やその他のオシレータは読まないことにした。
自分はローソク足の形をより重視しているのだと自覚した。 
 
  
ところが、 
売買技術は実践家からしか学べない。 
講師には講師の限界がある。そんな感想も得た。

資金管理については、特別なオリジナルは無いが、
分かりづらい翻訳よりは、良いかもしれない。
ただし、分割や両建てをやり始めると、勝率という概念が無くなる。
一発当てモノ = 一打席 のような個人成績では表せない。
また、しつこく一つの銘柄だけ追うようになり、
銘柄選定で分散しようとは思わなくなる。
 
売買技術の中でリスク管理も行うので、タートルズの資金管理とは、
概念自体が一致しないのかと、愚考してしまった。
 
テクニカル指標の見方の解説で、分割での手仕舞いにも言及している。
また、両建てにも1章割いている。
が、概念の説明と感じて、実践の手触りが得られない。
 
手仕舞いは、どんなときも、いつも難しい。
必ず心理的な葛藤がある。
 これまでの忍耐を確実に利益に変えたいという思いと、
 機会損失の拒否と、
二律背反に、思考も感情も揺れる。
そして、認知認識と心は一致しないことのほうが多い。
 
心理的葛藤もまた、トレードのコストである。
多少の手数料を払ってでも、その心理コストを軽減したいという技法の意味。
それは日々、トレードにマインドを晒していないと実感出来ないのではないか。
意思決定の根拠と、心理的葛藤がワンセットで売買を論じないと、
血肉が通わない。講師の限界かとも感じた。
 
 
更に、相場師朗さんのことも思い出した。

移動平均線を中心とした、基礎的なテクニカル分析と、
両建ても行う。”うねりどり”と呼ばれる売買の技法についての解説。
理解しやすく、平易で、入門には適切と思う。
ただし、
 成果を上げられないのは、塾生の努力が足りないから。
と、自分の塾の生徒さんについて愚痴をこぼしている箇所を見つけ、
それは、コーチとしての無能を告白しているのも同値。
逆タートルズだね。
売買技術について、入門しか学べないと判断した。そんな記憶がある。
 
一度見たチャートを振り返る演習ではなく、
アクションを起こす際の、根拠と心理をリアルで解説して欲しいところである。
その説明に乏しいと不満も感じていた。
基本的な理合いを知っただけでは、成果は得られない。
 
かと言って、いきなり、林輝太郎先生では難しい。
売買技術を習得したトレーダーの何人かは、直に相場師から秘技を伝授されている。
そんなコネもないから、遠回りな独学を続けるよりなかった。
講師から学ぶことは、まるで空手の通信教育のよう。
 
 
それと、小次郎講師さんも、相場師朗さんも、共通の間違いがあった。
ファンダメンタル分析よる株式投資に対する、トレーダー視点の誤解。 
投資と投機の違いについて理解が無いのは、自分の塾を宣伝するためだろうか?
そう勘ぐられても仕方がないほど、無知である。
 
トレードは投機。人気投票のタイミング(機会)に投ずるもの。
一方で会社経営に資本参加し、その発展と成長を共有するものが投資。
フィギュアスケートとスピードスケートほどに競技が違う。
同じく氷の上を滑るからといって、ゲームのルールは全く違う。
投機の視点で、投資を語ることに、そもそもの無理がある。
無知の無知。知らないことを知らない。
 
お二人とは、別の著作だったと思う。
ファンダメンタル分析で、CSKとソフトバンクを買って、
更にナンピンを続けて、大損したと書いてあった。
馬鹿じゃねーの。
CSKはさっさと手放し、ソフトバンクは今でもホールドしとけば良いだけの話。 
 
CSKとソフトバンク。この2社には決定的な違いがある。
投機投資で危ない橋を渡るのは、むしろソフトバンクなのに、
リーマンショックを経て、結果は真逆。
 
株式投資は経営を買うものである。
亡くなられた時点で大川会長とサヨナラする一方、
ホームランと三振を繰り返すハゲのおじさんが、ワンマンなうちは持ち続ける。
心中する気でナンピン買いすればいい。というかドルコスト法でもいいよ。
CSKが不動産に手を出し、リーマンショックで吹き飛ぶのは、大川会長の死後のこと。 
 
株式投資は経営を買うものである。
大切なので、2回言います。
孫正義の能力を信じ自らのリソースを投じたのなら、
散る時は一緒に紙くずになればいい。
後継者を指名し、本当に引退したら、その時売ればいい。
人気投票のサヤを抜くのとは、別のゲームだよ。もともと。
 
投資を舐め過ぎ。
偉そうに断言してしまうが、ここは偉そうでいい。
1勝9敗でも、ユニコーンを仕込めれば、それでいいゲーム。 
 オーナーがワンマンな銘柄を選び、創業者の生い立ちから調べる。
私はそう教わった。  
 
  
逆に、テクニカル分析の意味を理解しないケースも。
音楽でお金を得る多くは、楽譜を眺めれば、曲を再生できる。
たしかに、音符を解さないくとも、演奏できる人は居る。
しかし、それで素晴らしいのは天賦の才。生まれながらのワンダー。人知の外の不思議。
点数計算出来なくても麻雀は打てるが、プロ試験には通らない。 
 
株式への投資であろうと、
チャート眺めて場況を確認し、売買のタイミングを計ってもバチは当たらない。
テクニカル分析は予想を当てて儲けるためのものではない。
そんなことも知らないと宣言をするが如くに、
ファンダメンタルズの優位を説くセミナーに出たこともある。
相変わらず、年金ガーとか言ってた。
それはFPの仕事だし、お前の荷物じゃない。他人の荷物を背負うのは泥棒。 
 
ま、どちらでも、最低限のことは調べてから発言すればいいのに。
商売敵とライバル視してるから、かもしれない。
 
 
閑話休題。
 売買技術を習得するのは時間がかかるし、
 その困難さを知るのにすら、体験が必要。
 
 特に手仕舞いは難しく、また手仕舞いさえ上手ければ、
 仕掛けで多少下手を打っても、リカバーが利く。
 なかなか、座学では身に付かない。
 
 講師には講師の限界を感じるものの、
 ミーハー本をかき分けて、良い講師を探し当てるのも相当の労力だった。
 
雇用統計を控え、新高値ブレイクに再トライできるかどうか、
そんな今日このごろに、過去も振り返ってしまった。
 
 
  
ここ数日、ドラマ主題歌のカバーをとっかえひっかえyoutubeで聴いている。

別れたのに、しつこくして拒絶される愚かな女の未練の曲。
損切りベタにも程があるが、人のことは笑えない。
まるで、
人間という存在に生まれた哀しみをコレクションするために生きているかのよう。
認知と感情は一致しない。感情に負けてしまう。
こんなに哀しいなんて、相場師は孤独を愛すると知った。
 
 
ps.
6月雇用統計によると、失業を増やしつつ、雇用は鈍化に留まる。利下げは近い。
バンドウォーク継続で、来週は新高値ブレイクに再トライ。
大分手仕舞ったけど、少し両建てもしつつ、
もうちょっと粘る。 

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