不屈のインディー木場明義「タイムマシンガール」 福田作品の価値をも考える「大好きなことでお金を稼いで、独立をする方法」

前評判から「アンダーニンジャ」を避け、その代わりに聖地シネマ・ロサにて、
独立を貫く男の生き様を鑑賞することにした。
 
恐ろしい人である。
木場明義(こばあきよし)監督から喜びのコメント到着!

大学1年の時にサークルで8ミリ・フィルムで初めて映画を撮った時は、監督が何をすべきなのかも分からずに撮影を始めてました。人生で最も稚拙な作品で、初めてのデートを控えた男がテロリストをやっつけるというアクション・コメディーなお話でした。
 それから『自主制作でも低予算でも最高のエンタメが作れるはず』ということを信じて疑わず、大学を卒業時に映画業界に入れなかったので、1年浪人して映画学校に入り、それでもご縁がなくてバイトしながら映画を作り続け、何度も何度も挫折して、裏切られ、笑われて、その後制作会社に入ったものの心を折られ、病んで、どん底に落ちてもカメラ1台持って作り続けて、勉強を重ねて、本当にちょびっとずつ成長して、ようやく映画館でかけてもらったと思ったらコロナになり、それでも負けじとまた映画を作り続けました。映画が大好きなんです。映画がなければとっくに死んでいました。
 そんな野良監督の僕ですが、少しも懲りずに『タイムマシンガール 』という新作映画を作りました。

「パピヨン」なみの不屈の男である。(観に行く予定)

”オレは行けない。。”と呟いてしまいそう。
 
作品の内容に入る前に、
福田雄一監督と、生き様を比較してしまった、
示唆に富む本を参考にして。

曰く、
 ”好き”はそのものを売るな、
 本人にとっては価値が無い副産物が出るはず。その”ゴミ”を売れ!
 そうして、自分を満たしながら、結果は分かち合え。

「宝石が大好き」で、そこから出る「ゴミ」を売るならどうでしょう。
例えば、宝石を見せびらかしたりするのは、本人からすると「自慢になるから、人にとっては迷惑だろう」などと、ゴミとしか思ってないかもしれません。
ですが、「宝石を見ること」というのは、別に見ても減るものではありません。
ならば、自分がコレクションをした宝石を、人に見せることもできるかもしれません。
その人がしゃべるのが好きなら、しゃべって説明をしたり、書くのが好きなら、何かを書いて、その宝石のルーツや魅力を教えることもできるでしょう。
すると、「宝石そのもの」を与えるのではなくて、「宝石好きの人が出すゴミ」を与えるので、惜しみなく与えられるものです。

一方で、
 ”好き”そのものを売ると消耗し、
 惜しみなく与えることが出来ない。
 それでは続かない。

宝石そのものを惜しみなく与えるとか、なかなかできないものです。
それに、一生懸命探して見つけた宝石を安く手放すというのは、嫌なものです。
すると、貧困意識にとらわれて、与えられなくなります。
惜しみなく与えられないと、お客もできず、ファンもできず、知名度も上がらないものです。
だから「お金を貯めて、ビジネスモデルを作って独立して、宝石商になろう」などと考えるようになってしまうのです。
そして、失敗してしまうわけですね。

要諦は、

今持っていないものを手に入れようとするのではなく、
今あるもので、存分に「価値あるゴミ」を分かち合ってゆく。
それが、大好きなことをビジネスにする、第一歩なのです。

 
ここで私は、ある疑問を自分に投げました。 
もしかしたら、
 福田監督は、
 ”好き”で、
 自分の笑いを表現している。だけ、
だとしたら?
 
万人受けを目指しているとは到底思えない。嫌いな人も多い。
それでも、オファーは続くし、結果も残す。のであれば、
 実は福田監督は、しがらみの無い、独立した存在なのではないか?
ずっぽしTVに浸かるメジャーなのにも関わらず。

個人で好きなことをして独立するなら、「千人中千人に受けるもの」よりも、「千人中一人に受けるもの」を狙う方が、利益は増えるものです。
なぜ個人でやる場合、万人受けを目指してはならないのか。
それには、価値の有用性について考える必要があります。万人受けするものは、必然的に希少性は少なくなります。
すると、有用性での勝負になります。有用性には「必需」と「楽しみ」の二つがあると、先に説明しました。
物質的に豊かになった現代では、人々は「必需」という領域は既に満たされています。
なので、「楽しみ」という領域に新たな価値を作らなければ、純粋にコスト勝負になってしまい、価値を作れないのです。

 
原作は、
 エログロ有りのR指定や、
 前後編2本になる忠実な長尺など、
ハードル高い劇場公開が、出来る程には人気は無かった。
だから、放送作家出身の悪ノリの力を借りて、実写映画化が実現した。
それじゃ、原作リスペクトや実写化への情熱が無いのは当たり前。
そう解釈しています。
 制約だらけオのファーでも気にせず、
 アクションは田渕監督に丸投げして、
 批判されても、福田節に徹する。
こういうインディペンデントな生き方もあるんだなって。
私は観に行かないけど、
福田雄一という生き方は、それに相応しい評価が別にある。はずだ。
カッコ良く見えるのは、木場明義だとしても、
 どっちが楽しいのだろうか?
第2の疑問文が浮かびましたが、それは作品を評価してからにしよう。
 
私は観ないけど。
原作と映画の違いは想定出来ます。

分かりやすい丁寧な比較↑。
否定的意見は3種類に分類してます。(それ以外の好評も有って当然と思う)
①当たり屋
 漫画・アニメは未見で、かつ福田作品は苦手なのに、
 ワザと映画館行っての酷評は、正気とは思えない。
②原作ファンで座組を知らず
 原作の再現を楽しみにして裏切られた方々には同情します。
 まあ無知は罪かなぁ。
③純粋にギャグパートを評価せず
 原作のシュールなテイストと福田節が決定的にアンマッチ。
 最近の福田ギャクが劣化。ワンパターンで飽きる。
 
 
原作未読で原作に適当なこと言う、
視聴者を舐め過ぎな感想(映画に徹した感想ならまだしも)は相当数。
が中には、
 原作既読でファンかつ、
 もともと福田作品に好意的なのに、
 率直な感想で、
 ③の問題を明確にした、
酷評なりにまともな動画↓にも、ようやくたどり着きました。

  
 
で、  
そんな③が気になります。
更に、中村あやえもんにレクチャーしてもらいます。

貴方のファンが味わった感動を、相手に再体験できるようにすることが大切です。
大切なのは、「貴方が感じている感動」ではなく、「ファンが感じた感動」です。ファンが感じているのは、「貴方にとってはゴミ」なので、貴方にとっては盲点であることがほとんどなのですから。
「ゴミの価値」を見つけたら、それを相手に伝える方法として、以下のような三つの要素を考えるとよいでしょう。
・何を説明する必要があるのか
・何を与える必要があるのか
・何をしてもらう必要があるのか

福田監督が、何を、どう、面白いと思っているのか?
それが伝わらないと、
ただビジネスライクにヤッつけてるように見えてしまう。

うまくいかない人は、自分が熱中して楽しむことを忘れて、周囲を気にします。
例えば、ゲームそのものをあまり楽しまずに、「一緒にしてくれない?」という目を周囲に向けたとしても、周囲はやる気は起きないものです。
-中略-
相手が自発的に「私も味わいたい!」と感じさせることが大切なのです。

監督本人が面白いと思うものに熱中しているかどうか。
それを失ってゆくのなら、
今後、原作ファンが裏切られる機会は減ってゆくと思われます。
オファーも減るでしょうから。
  
 
一方で、ビジネスライクとは無縁の手弁当作品。

良かったですよ。期待していたのと全然違う方向で。
タイムスリップといえば、トリッキーな二重構造とか、
インディーズなら、派手な大技飛び出すとか、 
そんな想像していたのですが、
実は意外や意外、ほのぼの日常系でした。
それも人情の機微を繊細に描く。
センス良く、映像と音楽が心地よく、
細かいとこまで神経が行き届いた作りでした。 
FMWというよりは無我。
クラシカルな技を丁寧に魅せてくれました。 
 
映像は、
 構図も綺麗なのですが、一瞬カウリスマキかと思う、
 そんな色味にセンスを感じました。
音楽は、
 控え目で邪魔しないのに、良いところで効果的に流れます。
役者さん、特にヒロインは良かったですね。
 OLの日常と言われて、非常に説得力がありました。
 美人過ぎず、作品の雰囲気をよく体現されてました。
 岸井ゆきのさんみたいにブレイクするかもしれない。
ストーリーに関しては、若干疑問もあります。
 メジャーにおいても、良きスクリプト・ドクターは少なそう、
 インディはなおさら、本人の才能で補うしかなく、
 実は脚本が一番弱点になりやすいかと。低予算での映像の実現よりも。
 
とはいえ、
そこは目を瞑って、ほのぼのとコメディーを楽しみました。
福田作品のレビュー読んでいると、殺伐とした気持ちにもなるのですが、
こちら、劇場は8割方の入りで、終始温かい雰囲気に包まれていました。
  
インディーズの大ヒットは、ストーリーの面白さが爆発力になるので、
その点、不器用だなと思いますが、
持ち味を活かした作風で、また長編撮って欲しいものです。
兎にも角にも、 
クラファン募って、ようやく劇場公開に漕ぎ着けた。
ここまでの達成が、まずは目出度い。 
”自由だー” とマックイーンのように叫びます。
 
予算掛けても疑問なクオリティも存在し、
一方で手弁当の喜びを体感することも有ります。 
 
 
若い命が真っ赤に燃えて、スパーク空高く合体。

石川賢の感想も聞きたかったな。
 
 
2025.01.30 00:30現在
中央銀行の要人の発言次第で乱高下してます。
よく分かりません。
とりあえず、
まだまだレンジの範囲内。なんとも言えない。
と静観してます。

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