映画「ヲタクに恋は難しい」を配信で観て、福田監督を適当に擁護してみる。

前回の続き、
福田作品をまともに観たことない私は、ある疑問を抱いた。
 わざわざ映画館に行く客が悪いのか?
  or
 劣化が激しい為、近年批判されるようになったのか?
  
劣化しているのだとしたら、三木聡監督を連想した。
大怪獣のあとしまつ」を制作するに至ってしまったが、
「インスタント沼」までは面白い。
 独特の小ネタも好ましく。ヒロインも魅力的に映る。
 
「俺俺」で怪しい兆候があり、
 ホラー路線への転向は難しいかもと懸念され、
 
「音量を上げろタコ」でもうダメだと観念。
 この時点で、才能の枯渇をはっきり確認した。
その後、大予算の監督を誤って引き受け、決定的な評価を得た。
 
”笑い”は難しい。
すぐ古くなる。サイクルは短い。いずれ飽きられる。
転進したとて、2発、3発と当てられる才能は稀である。
全く同じことは出来ず、かといって自己模倣は劣化を伴う。

では、
近年酷評著しい渦中の人はどうなのだろうか?
もう一度、映画系youtuberに尋ねた。 
彼は福田雄一ファンで、「ヲタ恋」から酷評を始めている。
また本作は、原作・アニメは未見だと言う。

問題提起は3つ。
 ・高畑充希以外の役者はダンスが下手
 ・オタクの描き方が表層的かつ古いイメージ
 ・ミュージカル演出が照明の変化しかない
いや、2つにまとめよう。
 ①ミュージカルが演者の高畑充希以外はダメ
 ②対象を表層的にしか描けない。
果たして、そうなのか、賛成し難いと感じた。(理由は後述)

そこで、
私も原作・アニメは未見のまま、
アマプラでながら見して、適当に擁護を試みる。

眠くなったら休憩、佐藤二朗はスキップ。動画の特徴を活かす。
偶然にも、これもフジテレビが絡むが(レインボーブリッジが綺麗だった)、
それは考慮に入れないこととする。  
 
で一見。
”何も考えずに見れば面白い” と言う人がいるが、
私はそうは思わない。
人物の言動も話の展開も、全てが突発的で、
”なぜそうなるの?” 
という疑問はどうしても浮かんでしまう。
 考え出したら、置いてけぼりだけど、
 考えなければ、ただ画がディスプレイを通過していくだけ。
何にも入ってこない。面白さを感じるに至らない。
正しくは、
 ”前後の因果関係を考えず、瞬発的に面白さをキャッチ出来れば面白い。”
むしろ面白がるには高度な能力を必要とする。
スマフォ時代の映画なのかもしれない。
  
並びに、
すべからく、達人のようにノーモーションで、予見不能なのは、
原作の尺のセイだけじゃないと知る。
アンダーニンジャ」なみに組織構造入ってたら、理解は諦めた方が良いよね。
しかし、それだと、
感情移入するタイミングも失うので、集中が続かず眠くなってしまう。
多くの観客はそんな時、佐藤二朗で気分転換するのかもしれないけど、
配信なのだから、休憩すればいい。
私には何が面白いか分からないパートは、スキップすればいい。
映画館での鑑賞は不可能だと理解した。 
 
まあそれでも、
典型的な幼馴染のラブコメものにオタク事情を絡めたお話。と解釈した。
では、反論を試みる。
 
 
①ミュージカルが演者の高畑充希以外はダメ
→福田監督がミュージカル映画下手なだけ、大目に見ようよ。
 舞台のミュージカル演出の経験は豊富らしいけれど、
 舞台と映画では別もの。
 カメラありきなのだから、上手く撮ってやれよ。撮影でカバーしろ。
 なにより見づらい。
 群舞も主役のキメも、流さずにちゃんと撮れよ。
 全てがダンサーでなく、場面に応じて、
 本物のコスプレイヤーさんや地下アイドルを使うのは、いいじゃない。 
 それぞれ意味があるんだから、
 ただ、ちゃんと客に魅せず雑な映像なのは、いただけない。
 
 アクションには専門の監督を登用するように、
 ミュージカルにも専門の監督に撮らせるべきで、
 遊戯氏は「モテキ」のPerfume↓を比較に挙げ、本作を低評価してたけど、
 
 あれは大根監督じゃなくて、専門の石田雄介Dだから。
 ミュージック・クリップを多数手掛ける人が監督してる。
 アクションと同じく、
 専門家に任せて、寝てれば良かったんだよ福田監督は。
 鷲巣詩郎を使うほど予算あるんだから、自分でやるなよ。

 ただ、それでも「ジョーカー 2」よりはマシ。
 大枚はたいてガガに歌わせないトッド・フィリップスと違い、
 高畑充希が存分に歌い踊るだけでも。
 
 結論としては、
 大目に見てやってくれ。
 今までが、そんな専門外がたまたま無かっただけで、
 そこまで神経が回らず、畑違いが撮ってしまった。
 ので、ミュージカルシーンが下手。
 振付師だけ呼んでもダメなんだなぁ。
 だが、これまでだって、
 専門性を必要とする分野で、高いクオリティは求めず、
 学芸会のノリを楽しんできたはず。
 なら、今回もそれを求めるのは止めよう。一貫性を欠く。
 
 
②対象を表層的にしか描けない。
→たまたま、あなたがオタクに詳しかっただけ。
 じゃあさ、作品を、
  宗教の教義に外れると批判するのか?
  中国史の知識から間違いを指摘するのか?
 自分が近年のオタク事情に、たまたま詳しいだけじゃん。

 私の知識は、
  石森章太郎の漫画版「仮面ライダー」を”原作”と呼ぶ、自称オタクが居て、
  オタクの大衆化とは、こういうことかと合点がいった。
 程度なので、
 最新事情は分からない。
 ”何も考えずに見ると面白い” 福田作品だもの、
 表層的、類型的なのは仕方ないでしょ。
 例えば、ラブコメを上手く撮るなら、月川監督の方がずっと優れている。
 そこを敢えて、酷評される起用するんだから。
 
 原作ファンは多分、本作に限らず納得行かないと思うけど、
 福田監督にとって、原作はただの素材、大喜利のお題のようなものに過ぎない。
 福田監督 ー 素材 ー 観客 この距離感は個人差有って然るべきで、
 それをもって作品ごとに評価を変えるなら、
 それは職業監督のセイじゃない。
 他の作品が深い理解に基づいている訳じゃない。そうだろ。
 きっと全部そもそも浅いんだよ。この監督の作品は。
 だから原作理解もビジネスライクなんだよ。
 
 ニュートラルに眺めて、
 福田流にどう料理したか、その工夫を味わいなよ。
 自分が詳しいものだけ、浅薄な態度を酷評するのはフェアじゃない。
  
 
私の結論は、
ギャクが劣化したとは言わない。いつもこの調子だと想像する。
飽きる人は飽きる。それは監督のせいとは言えない。
ただし、これは今後発展させるのは難しいやり方。
バリエーションは限られてしまうだろう。
才能が枯渇してゆけば、行き詰まるのは仕方ない。
その時は、
それまで楽しんだことを想い、拍手で送ってあげなよ。
  
一方、
福田作品だと受け入れず、文句を言うのは、
当たり屋か情報リテラシーの低い人。観客側の問題。 
 
私はスクリーンで観ることはないだろうけど、
福田雄一の魅力は、多分別のところだと思う。
 
美人に変顔させるのが好きなコメディ作家さんで気付いた。
私は、桐谷美玲と高畑充希の区別がさほどつかない。
彼女たちで特撮↓やったこともあったという。

今泉監督が犬顔好きなように、猫娘が好みなのだと分かる。
というか、そういう系統の顔が変化する様を見せたいのだろう。
ただキャストは諸般の事情に任せ、こだわりを見せないだけで。
 
 
君の目はくるくる妖しい魔術師だね。

フジテレビ大変だけど、中には身持ちの堅い芸人さんも居る。
ように、
役者さんを魅力的に撮るのが、福田監督の良いところ。だと思う。

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