「大怪獣のあとしまつ」公開記念!三木聡くだらなくても下劣ではなかったのに。「インスタント沼」→「俺俺」、「時効警察」→「熱海の捜査官」→「時効警察はじめました」

人間は歳と共に変わってゆくものだけど、
 そんなにダメになったのか? 三木聡。
アマプラで分岐点となった作品観てみた。
 

今話題の映画、二時間は我慢できそうにない。
三木聡の劣化を確認するために劇場に足を運ぶのは無理。
それは配信で確認しよう。
 
映画は格調高いのは当然で、
2千円弱のお金払って、わざわざ出掛けて、二時間拘束される。
寝転がって家で見て、いつでも止めるTVや配信とは違う。

ちょいちょいつまらないギャグ挟まないと不安なのは、
三谷幸喜や堤幸彦が、
いつチャンネル変えられるか分からないTV出身だからと言われる。が、
 
いや、ちょっと待ってよ。
ギャクが低俗なのは、、
それは、”いつもの三木聡” ですらない。はず。
 
 
 
予告のだまし討ち以外のもう一つの酷評の理由が、
 ギャクが安易で演出もヘタで笑えない。
 コメディとしても面白くない。
と言われている。
 
小ネタと内輪受けの会話が持ち味の作風ではあるが、
 下劣な下ネタ、
 浅薄な風刺のテイ、
で笑わそうとする人ではなかった。「時効警察」でそんな笑いの取り方してない。
お話をぶつ切りにして、邪魔するようなギャグの提示はしてなかった。
シティボーイズの脚本長年務めて、そんなはずない。
と思いたい。
 
意味不明と言われることはあっても、
小学生レベルの下ネタだと批判されることはなかった。
評判を聞いて、それは凄く気になった。
そこで笑いを取りにゆこうとしてるなら。
やっぱり劣化してるんじゃないかな三木聡。
 
 
私は評判は参考にして観る映画選ぶ、好評な作品を選ぶ。
評判の妥当性は、
 批判が的を射ているか、 
 称賛がバイアス掛かってないか、
で判断するので、
擁護派が矛盾してて、酷評が正論に聞こえるなら、他の作品選ぶ。
 「マイレージ・マイライフ」の監督が息子の「ゴーストバスターズ」選ぶか、
 長いけど覚悟して、「ドライブ・マイ・カー」をミーハーに観るか、
 「ちょっと思い出しただけ」が気になるので単館に足を運ぶか。
時間もお金も手間も、当り屋を優先する気にはならない。
なので、過去作を配信で観て、劣化の兆しを検証するのみです。
 
ちなみに、
擁護派の意見で、これはダメだと判断した点は主に3つ、
 ・三木聡監督の時点で察しろは、あとだしが過ぎる
 ・ただのオチャラケを風刺としてありがたがる
 ・山田涼介ファンの高評価はマイナス
 
どれも見にゆく気を萎えさせる。
  
 
・三木聡監督の時点で察しろは、あとだしが過ぎる
 それは後出しが過ぎる。粉飾決算したら上場廃止でいい。
 あの予告では、アート系の映画観て退屈と騒ぐのとは事情が異なる。 
 メジャーな配給が嘘の予告の方が利益最大化できると判断してるなら、
 その映画の質はお察し。 
 次いでに、
 公開規模やコスト無視して、
 10億の興収で大ヒットと言ってるのもどうかと思う。
  東宝の呪術廻戦と同規模でこちらは順調に興収100億円突破。
  特撮は日常系とは違い製作コストも跳ね上がるし、販促も大々的。
  文化庁から助成金まで引っ張って、回収できてるのかな。
  会社の評判毀損するダメージ勘定に入ってるのか。
 でも、問題は、
 コメディとしても下劣なだけという酷評に反論出来てないこと。
 退屈と言われることはあっても、そんな笑いの取り方する監督だったか?
 
  
・ただのオチャラケを風刺としてありがたがる
 風刺のテイを取っていれば、どんな浅薄な批判でもありがたがるのは、
 筑紫哲也や久米宏の時代から成長がない。
 日本人の民度の問題だと、私は判断している。
 民度に相応しい政治。
 ダメな野党を甘やかし、結果与党はダメでも安泰。
 自分達の民度の結果、そのスパイラルに陥ってることにも気づかない民度。
 それを現場力で補う日本の底力まで加味すると、
 政治行政より民度の方がレベル低いと思う。
 そしてなにより、
 トップの意思決定がダメなのは東映でも松竹でも、日本の体質。
 この企画通した人達は、他人の意思決定を嗤う資格あんのか?
 それにしても、三木聡そういう安易なとこに手を出す人だったか?
 
  
・山田涼介ファンの高評価はマイナス
 そういう褒め方すると、こういう映画にしかキャスティングされないよ。
 負のスパイラルにハマっている。
 アイドル映画として観るなら、
 ファンの人はむしろ出番少ないと怒った方が良くないか?
 そういう評価しかされない人になってしまったか、三木聡。
 
 
配信で十分だな。つまんないなら、そこでブラウザ閉じればよい。
そう結論付けた。
同時に三木聡の劣化が気にもなる。
 
まあ、ねぇ、
歳を取ると、自己認知は歪みやすい、老害と言われる所以。
我が身を振り返っても、それは怖い。気付けないから怖い。
もう昔のように、出来なくなったのか、、
 小ネタに時間掛けたり、
 内輪ネタの会話のテンポで笑わしたり、
くだらなくても、安易な笑いではなかったよ。
 
 
 
三木聡は、
映画も評価されファンが付いて、「時効警察」で名を上げたあと、
フェイド・アウトしていった。

 
私は「熱海の捜査官」好きだったけど、それ以来TVドラマもあまり名を聞かない。
映画では、「インスタント沼」までは好評で、次の「俺俺」以降は振るわない。
「俺俺」で亀梨ファン掴んだのが、今回の山田涼介にダブる。
 
画作りは抜群に上手いし、美人を魅力的に撮るし、映像的には変わらないのに、
確かに、「俺俺」(2013)は飽きてしまう。
作風がサスペンス寄りの不条理劇にシフトしてる。
そんな中、ギャグが話の腰を折る印象を受けた。 

インスタント沼」(2009)はストーリーはナンセンスで意味なく、
とにかくテンポよくお話が転がる。
テイストが明るいので、ナンセンスを安心して笑える。
麻生久美子と吉岡里帆の差かなぁ。
なによりギャグがストーリーを邪魔しない。
 
とろろが、「俺俺」は、
素材は、カフカや安部公房や筒井康隆がやりそうな不条理劇。
ギャクと食い合わせが悪い。不安と笑いが打ち消し合ってる。
テンション保って引っ張るべきところ壊す兆しはあるかな。
テンポが悪くなりがち。
昔はゆるいとは言われても、テンポ悪いと言われることはなかった。
 
ゆるく弛緩しきって、三木聡を観るのは変わらないけど、
サスペンスは緊張を演出することになる。
でも、緊張が伝わらない。
やりたいのは分かるけど、気持ちが着いてゆかない。無理。
前フリで壊してるから、終盤盛り上がらない。
 
 
ナンセンスコメディから不条理サスペンスに作風を変えようとして、
上手く行かなかったのか。
  
同じこと続けるのに、飽きたのかもしれないけど、
自分の得意と苦手に対して、認知が歪んだのかもしれないな。
 
熱心な三木聡ファンはまだ居るけど、
ここからの評価は下降線をたどり、「大怪獣のあとしまつ」で炎上。
 
 
では、TVドラマはどうだろう、
意外なことに、
最初の「時効警察」(2006)は今観ても笑えて、面白い。 
熱海の捜査官」(2010)の第一話も観てみた。素晴らしい出来だと思う。
 お金も掛かってる画作りは見事だし、
 異世界の雰囲気を保ち、緊張感もある。
 ギャクはお話を邪魔しないし、笑える。伏線だったりもする。
むしろ、映画の方が向いてそうな気がするくらい。

時効警察・復活スペシャル 」(2019)二時間は長い。
気のせいか、昔より、ギャクが安くなってる気はする。
もっと、さり気なく凝っていたような。。
 
時効警察はじめました」(2019)確かに吉岡里帆は要らないか。
丁寧に撮るというか、テンポは落ちたかなぁ。
昔ほどギャグにお金と手間掛けてないかも。
テイストは変わった。
コメディより、シュールで幻想的な雰囲気を好んでいる。 
 
 
熱海の捜査官」(2010)から「俺俺」(2013)の頃は、
ナンセンスから不条理に方向転換してて、
それが評価されなくて、(嫌いじゃないけど)
 元のフォーマットに戻そうとし、何かバランス崩している。
 小ネタに対するこだわりも減ってる。
そんな気がします。 
  
 
ビッグバジェットに手を出さず、かつ不条理テイストの企画を通すことは、
出来なかったのかもしれない。
シャマラン監督が小予算に戻ってイキイキするように、
不条理テイストの映画取り続ける道は、なかったのだろう。
 
 
まあ何故、
三木聡で、呪術廻戦に伍する規模の企画が通ったのかは謎だけど、
よっぽど、東宝の成功が妬ましいのかな。
特撮は予算食うのに、クオリティのハードルは青天井に上がってしまった。
 
この素材で、メジャーがオチャラケに逃げたら、どうなるか?
その想像力のなさは、
とんねるずの保毛尾田保毛男の炎上を彷彿とさせる。善悪とは別に、
経営判断も、この企画進めた監督自身も、もう時流とズレてしまっている。
 
「浅草キッド」が公開出来なくて、
「呪術廻戦」の規模で、この作品公開するという意思決定では、
東映も松竹も淘汰される前に経営変わるだろうか、買収されるだろうか、
配信の時代でTV衰退する時期に、丁度いい切り替え時なのだから、
こういう象徴的なことも起こるのだね。
 
  
活躍すべき場所を選ぶって、大事。
 
劇団ひとり監督は、東宝の「青天の霹靂」のあと、
どうしても撮りたい「浅草キッド」の脚本を書いて売り込み、
すべて断られて、ようやくネットフリックスで通った。
  
 
波動同調の法則というけれど、
同じレベルの志を持つものが、結局集まる。
コア・バリューが違う人と仕事しても上手くゆかないと習った。
 
ギャクが下劣なのでなく、志の問題かもしれないね。
三木聡、昔なら妥協しないところで、妥協したのかもしれない。
 
 
最近、このマネジメントでは、この座組では、無理と、
断った仕事があった。
少しは成長できたかと思った。
 
妥協せず、もっと早く辞めればよかったと、 
昔勤めた会社の事思い出すこともある。
 
働くのは時間の投資だから、お金の投資よりシビアなのに、 
目先の欲に囚われて、高い授業料払ったもの。
もったいなかったと思うけど、今の視点は無いから仕方ない。
 
もう一度くらい、三木聡監督に、
配信で不条理劇の連続モノ撮るチャンスあるといいな。
 
 

 

 

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