書評「しんがり」ナベツネに反逆した清武の乱の人が講談社ノンフィクション賞取ってた

山一証券倒産時に最後まで残った12人を描いたノンフィクション
『しんがり』が講談社ノンフィクション賞を受賞!
 
ナベツネに反乱起こしたアノ人が、文筆業に戻り、こうして賞を取っている。
そして、著者は以来一貫して、組織から傍流に追いやられる人々を描いてる。らしい。
といまごろ、知った。
 
↓という記事を読んで、興味を惹かれた、
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40633
 
 
ども、宿でキンドル読みながら、
最初の会社辞めるまでのこと、久しぶりに同期の顔とか思い出した。
事務所畳んだときの心境もフラッシュバックしました。

希望って、絶望の果てにしかないのかな。
バンコクは降ったり止んだりです。 
 
で、
今まで読んだ講談社ノンフィクション賞にハズレが無かった。
その信頼もあるので、キンドルで読んでみた。

 
 
内容は、
手遅れになった組織の終わりゆく姿と、
その中での、敗戦処理に取り組んだ人々の群像劇。
だった。 
 
大変な労作ではあるが、完成度には不満もある。
ちょっと、散漫な印象があるのは否めない。

損な役回りと承知の上で、
調査報告書をまとめた12人よりも、
さらにギリギリまで、残務整理を続けた人もいた。
 
何故、その12人に焦点を絞ったのか、
清武氏個人のその理由を、作品内でもっと語っていいんじゃない。
もっと焦点を絞りきった方が、完成度は上がりそう。
 
 
係争中で、ジャイアンツのことは書けないからかなぁ。
恐らく、
損得でなく行動した人達の中でも、
理不尽で、腐敗した組織に対する反骨な部分に惹かれたのだろう。
そこは、もっと書けばいいのに。
 
 
で、内容に戻ろ。
 
 
1.手遅れな組織が死亡し、葬式出すまでの経緯
 山一が自主廃業なら、他にもあるだろう。
 という指摘はもっとも過ぎるけど、そこは敢えて今回はおいておこう、
 そこ問題にするなら 取材の対象は財務省側になってしまう。
 それはそうだけど、だからといって。
 簿外債務を高層に積み上げた山一が救済される理由にならない。
 
 興味深かったのは、
 三菱重工CB事件の後始末で、組織の腐敗への道が決定づけられた。
 そこから先は、自浄作用働く可能性乏しく、将来は決まった。
 ポイント・オブ・ノーリターンってあるよねって話。
 腐敗した方が延命は出来る。
 組織は生き物だから、生存本能を持つもの。
 民事再生の道すら残さない致命的な行為であっても、
 その方が当面、延命できるのなら、その道を選ぶ。
 
 朝日新聞をフト思い出す。
 体質は戦中から変わってないのじゃない。向きが違うだけで。
 
 組織の悪事を知らない、良心的に仕事してる社員は多くいるだろう。
 社員は悪くないんです。
 でもね、体質ってあるでしょ。
 それは、1年も居れば否が応でも気づくもの。
 株主に対して私も被害者ですっていう社員信用する人いるか?
 戦後に生まれて「私達」も戦争の被害者ですって中国人におもねる日本人みたい。
 
 おっと、脱線。
 その体質の中で生きてるんだもの。
 どんな組織に属してるのか、自覚ないのがイノセントとは思わない。
 
 ま、死が運命づけられてから、
 不本意ながら、組織の命令で悪事に手を染めた人、
 体質に無自覚なまま、普通に働いてた人、
 それはそれで、もうちょっと描き方あったんじゃないかなぁ。
 腐敗が進むプロセスと共に。
 と読後に、無い物ねだりの不満は多少。
 
 
 
2.敗戦処理に取り組む人の群像劇
 金銭的に苦しくなるのも承知、にも関わらず名誉も何もない。
 誰かがやらなければならない仕事だから、
 という理由で、敗戦処理に取り組む人達。
 そこにもう一度、焦点を当てなおそうとした元巨人軍の人タイムリーである。
 
 反原発派がワタクシは嫌いだ。
 大抵、ボランティアは好きでも、後始末の負担は嫌いだ。
 楽しくもないし、褒められもしない、むしろ損もする。
 けど、誰かがやんなくちゃしょうが無い。
 
 ボランティアはただの趣味だけど、
 どうしようもない責任ってものも、この世には存在するんだね、
 どんな人を尊敬すべきか、その一助になる視点。
 
 そういう意味では、もっと損なだけの人に焦点当てたいかなぁ。
 監査的な立場で、調査報告書をまとめる。
 それは大変なことだっただろうけど、
 若干、正義が手に入る面があるもの。
 もっと、栄光無き絶望的な敗戦処理ってあったはず。
 
 あと、傍流の人が、という痛快さには与せない。
 主流はだったら裁かれる側だから、傍流の人でなければ出来ない仕事。
 
 この作品につきまとう、カタルシスでない微妙さは、
 その立ち位置にもあるんだろうな。
 
 とはいえ、調査の過程でいろんな社内の人に出会いながら、
 自らの職務と定めたことを全うしてく姿には、
 読むべきものがあると思う。
 
 
 
3.仕事とシアワセ
 最後の方、分量的には薄い。
 それはそれで、不満もあるんだけど、それは良しとして。
 
 調査報告書に携わった人達のその後は、それなりに明るい。
 
 まあ、その仕事は、
 お金払ったって誰でも経験できるもんでもないもんな。
 逆境もあるからこその、魂が震えるような充実ってあるんだろう。
 
 カネの為だけに働くって、三年が限界。
 そういう意味で、損得教の方々、尊敬します。
 
 人はパンのみに生きるに非ずというけれど、
 自らに従い、自らの出処進退を自己決定すること。
 それは、どのくらいシアワセなことなんだろう。
 
 前回書いた、
 藤田晋社長のムチが効くのは社畜だけ
 http://sanpome.net/?p=2163
 と、真逆なお話。
 
 社長が見込んだ人物がプロジェクト途中で投げ出すほど、
 モラルは荒廃している。
 最高経営責任者は、恫喝という手段で、維持を図る。
 (目的が流出防止なのか、辞めた後の漏洩に対する警告なのかは、不明だが)
 
 人生の質という言葉がどうしても浮かぶ。
 
 ナベツネに反逆した後は、
 組織を離れた人達のその後を一貫して描いてるらしい。
 http://nikkan-spa.jp/462581
 
 それで、講談社賞受賞って物語自体が大円団。
 今後の活躍にも、期待大。
 
 
 
「不動産投資の始め方」が発売になりました。
情報に踊らされる前の予防に。
http://sg-biz.com/dvd/yamazaki.html

質問コーナー、お問い合わせは、sanpome.net@gmail.com まで。
メルマガ 三歩目の不動産投資で海外移住。





無料メルマガ インフォマグ


社会・経済ニュース ブログランキングへ

にほんブログ村 海外生活ブログへ
にほんブログ村

カテゴリー: ライフスタイル, 言論、メディア タグ: , , パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


*