「ファウンダー」感想 大量生産黎明期の禁欲と合理


レイ・クロック自伝の忠実な映画化でした。まだ公開してるのでゼヒ。
この映画のおかげて長年の疑問が解けた、商才ってそういうことだな。
 
それと改めて思う、
アメリカにとってのマクドナルドは、ローマにとってのキリスト教みたい。なもの。
布教というミッションと、資本主義の正義って、日本人に馴染まないテーマだから単館なのか。
アメリカでもコケたそうですけど、
ま、今のアメリカでもトランプ人気というより、他がだらしないって感じだし、
でも、良作です。
 
 
 
ども、お久しぶりです。
本業では、仙台、千葉と廻り、土曜はHOMESのフェアとかも行ってきました。
このまま、このまま、きちんとサービス提供に務め、
東京五輪後を良い準備をして迎えたいところです。
その為にも、副業頑張るべきかともおもうですが、一段落して放電中です。
まあ、後半は特にストレス溜め込みましたし、
精神的にも回復してから、次の動き出し何かしようと、まだまったりしてます。
 
で、ここ一ヶ月くらいで観た映画のことでも書きます。
 
 
えーと、
レイ・クロックは良いとこも悪いとこもぶっちゃけてますので、
単純な勧善懲悪にはなりません。
それもヒットしづらい理由のひとつですかね。
 
監督は伝記ものが得意な人で、「ブラインドサイド」という映画についても昔感想書いたけど、
ケレンに走らず忠実に丁寧に作りますね。毎回。
あらすじは、 公式サイトとか、原作読んで貰うのが早いですが、ちょっとだけ。
 
しがないセールスを続ける中年レイ・クロックは、ポジティブシンキングで野心を秘めている。
そんなとき、マクドナルド兄弟の店、素晴らしいオートメーションなシステムに出会う。
兄弟を説得して、フランチャイズを始める。
困難の末、軌道に乗り店舗拡大、ただいつもキャッシュはショート気味の拡大路線。
次第に兄弟の「古き良きアメリカ」が足かせに、
有能なブレインも得て、土地は所有しつつ、経営をフランチャイジーに任すシステムを確立。
最後は経営権を買い取り、兄弟を徹底的に追放し、全土掌握へ邁進。
 
 
兄弟の店に出会うまで、
フランチャイズのシステムを確立するまで、
兄弟追放に乗り出し貫徹するまで、
 
3つにポイント分けてみましょう。
 
 
・兄弟の店に出会う
 フレッシュネスバーガーがいう古き良きアメリカってこんな風景。
 よく描かれてます。
 ただ、ドライブイン的な当時ローサイド店はファストでもなければ、CSQも低い。
 オーダーも間違えるしサービスも悪いが、特にクリーンネスが最低で、
 店の前はゴミに溢れ、不良達のたまり場に。
 さながら、マック難民に溢れるちょっと前の深夜のマクドナルドのように。
 
 兄弟が開発したシステムは、ファストでクリーンでスマイルで、
 管理行き届いたオートメーションだった。
 これを見て、惚れ込むレイ・クロック。

 飲食でも、T型フォード的な生産革命が起こった。そういう時代。
 大量生産大量消費の時代の到来。
 庶民への豊かさの提供は画一化合理化と表裏一体。
 
 格差が嫌いな人に限って、個性がないと大資本嫌ったりしますが、
 イヤならフレッシュネスバーガーの社長のように自分の趣味で起業すればいいのに。
 「五時に夢中で」井筒監督のアマゾンのせいで街中の書店消滅への文句紹介してて、
 それに反論するホリエモンは適切で、
 いつもクレクレって言ってるだけの連中に対して、個人的にはスカッとしましたが、 
 
 ま、兎にも角にも、マスプロダクト黎明期に、 
 兄弟の店には時代の要請に応える萌芽があった。
 
 
・フランチャイズのシステムを確立
 金持ちクラブに出資させても上手くゆかず、
 人材を広く、公平に機会の均等に、チャンスの国アメリカな方法で人材集め始めます。
 ここでのポイントは、人種と格差。
 どの町にも教会があるように、マクドナルドの店舗を。あまねく伝道始めます。
 裕福でないユダヤ人夫婦を最初の店長にしたり、
 フランチャイジー募集の講演会で、黒人の娘さんに挙手させさり、
 不動産は所有して、店舗経営は募集するシステムの提案者がユダヤ人だったり、
 
 優秀なら誰でも合理に登用して、天下布武を目指す織田信長です。
 人当たりいいような、摩擦避けるような人物ではこの役は務まりません。
 日本で起業家生まれないって言われるのも訳があります。
 スティーブ・ジョブズでも、孫正義でも、ドナルド・トランプでも、
 ヘンに聖人化されてる松下幸之助でも、いい人じゃ成功してません。
 
 これを単純な悪の帝国の統領と描くことも出来ますが、
 それじゃ浅すぎてつまりません。
 その辺のさじ加減にボクは好感持ったのですが、ヒットしづらくなったかな。
 
 庶民には気軽な外食というサービスを提供し、
 野心ある人にはチャンスを提供し、
 さらに大量の雇用を産んだ。
 
 時代がこの人を選んだんだなぁ。
 現アメリカ大統領も東欧由来の人ですが、映画はかなりなぞらえてます。
 不思議なことに、信長もジョブズも時代の役回り終わるとあっけないんですけどね。
 
 ま、それはさておき、
 システムを確立してく過程と時代の要請のシンクロをよく描けてると思いました。
 
 あとどうでもいいですが、
 フランチャイジー選ぶなら、
 仲の良い夫婦じゃないとダメって、コンビニの誰かから聞いたことありますが、
 1店舗なら、家族経営ならではの利益確保ってこともあり、
 そんな雰囲気も描かれてます。
 
 しかし、レイ・クロック自身は目指すものが違う夫婦の関係は破綻、
 え、それも人のモノかよって感じで強奪気味に再婚します。
 この辺も原作に忠実です。
 この監督、奥さん描くの得意だなって、思います。
 サンドラ・ブロックはそれでオスカーだし。
 
 
・兄弟追放
 浅井朝倉、石山本願寺滅ぼして、天下統一。
 最後のパートはそんな感じです。
 
 マクドナルド兄弟は「その人」じゃなかった。
 伝道者としては資質が無い。ビジョンが無い。時代が選べない。
 逆にレイ・クロックは強欲だけど、私利私欲感は薄く、使命感を醸し出すんだよ。
 
 前にちょっと書いたことあるマックス・ウェーバー思い出してた。
 へんてこりんな一神教の天職と近代資本主義のこと。
  
 で、また資本主義がゆきわたってしまうと、
 禁欲的な合理は壊れて、バブル崩壊とか起こるんだけどさ。 
 
 現代の資本主義的な目で見れば、
 ゼロをイチにする人と、イチを百にする人じゃ別で構わないんだから、
 愛着あってもムリに固執せず、それ相応な金額で売却するのが出口でいいじゃん。
 そのカネで一生遊んで暮らすもよし、次の起業目指してもよし。
 時代の要請に抗っても不幸にしかなれないよ。
 
 映画の題名は「創業者」。
 まだこの時代、スタートアップ的な概念は無いんだよね。
 
 兄弟はなんでそこに執着しちゃったんだろう、
 売却して、また別の産業でオートメーション化ビジネス開発すればいいのに、
 ワタクシは歯がゆかった。
 だから単純に、兄弟に同情も出来なかった。
 しかしまあ、頑固で人のいい兄弟二人の実に素晴らしい演技。
 
 
 
最後に、本物のレイ・クロックのフィルム流れます。
「バーガー」みたいな音感じゃダメ、
「マクドナルド」なんてアメリカ的で素晴らしい名前だろうって。
 
やっぱ藤田田のこと思い出しますね。
日本人を金髪にするって言って、そのとおりにしました。
 
 
映画じゃ権利売却の後、弟がレイ・クロックに聞きます。
別に乗っ取らなくても、システムは全部説明したんだから、自分で起業出来ただろうに。
ワタクシも長年、同じ疑問が消えませんでした。本読んでも。
 
「クロック」じゃあ流行らない。「マクドナルド」って名前じゃないと。
赤に黄色のアーチを見た時これだと決めたって。
 
 
まあ、そういうセンスってあるよね。
システムとデザインと、ビジネス。
スタートアップには、その3つが揃う必要あるらしい。
 
 
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