二度観ないとよくわかんない部分ありました。
スクリーンの役所広司を2回観ても2回とも1800円以上の価値はあります。
ミッションオリエンティッド目的中心ってことで、
それは神と人間の話でもあり、絶対神な監督と役を演じる人間のお話でもあり。
司法制度の矛盾って話だったら、そこもっと掘り下げたと思うよ。
その話は別モノとして、
悪魔のような役者に、神のような全権監督がそのしもべ達と共に立ち向かう。
ひきつづき、観た映画の感想。
また、キリスト教的な感じの。
「三度目の殺人」
凄かったです。
出足イマイチだったみたいですけど、じわじわと評判呼んでるみたいです。よかった。
こういう作品を今の日本のシステムで作れるって稀有なことですから、ヒットして欲しい。
自分で脚本書いて、自分で撮れる監督って、今日本に何人居るだろう。
それもインディでなく。
大抵の人は原作ものしか撮らせてもらえない。それでも大変なこと。
是枝監督は、脚本、演出、編集ぜんぶ自分でやる一神教の人。
逆にそういう人の作品なんだから、そのクオリティじゃなきゃ存在出来ないですよね。
「契約」を維持できない。
で、あらすじはシンプルなので、説明することないですが、内容紹介を。
ネタバレ全開なので、出来れば観てから読んでいただきたく。
是枝監督にとって今村昌平は特別な存在なんじゃないでしょうか。
今村昌平が役所広司の殺人犯の役でカンヌ。
是枝裕和は福山雅治でカンヌ(パルムドールじゃないけど)。
で、自らのコンビで、再び殺人犯の役所広司に挑みます。
広瀬すずが出てきた段階で、「容疑者Xの献身」と連想します。
だって、福山雅治だもの。
そのつもりのサスペンスとして、当然観ます。
でも途中からなんかヘン。
司法の矛盾とか、そういう社会派に持ってくのかと思い始めると、
そうじゃないのかって、翻弄されます。
で、翻弄されたまま置いてけぼりなので、二度観ないと分かりませんでした。
二度観ないと分からない分だけ、日本語での微妙なニュアンスが伝わりにくい分だけ、
ベネチア逃したと思われます。
あと不満は広瀬すずが美人過ぎることぐらいです。
もっと地味で目立たないルックスの方が話としては説得力あるのですが、
広瀬すず自体は堂々たるものです。
筋書きとしては「容疑者Xの献身」な「藪の中」で、
芥川の原作は「羅生門」という別のタイトルでベネチアゲットしました。
それはさておき、
裁判制度のりアルを途中描いてきます
こういうとこのディティールとかリアリティがダメな日本映画多いですが、
さすが、ドキュメンタリーの人です。
で、そっちの話かというと、
接見室での役所広司のアップ、連打連打連打です。市川崑のよう。
ココらへんで意味が分からないまま圧倒されてしまうのですが、
どうやら、
裁判は落とし所を探る交渉と調整の場で、真実を解明するとこじゃないという、
リアルを描き始めてからは、徐々に、
真実より何を優先すべきかということを虚構の神が語り始めます。
ミッションオリエンティッドって言いましたっけ。
人の言動には目的があるものです、一見それが意味不明に見えても。
湯川教授がそれを追うことで物語進むのですが、
今回は弁護士ですから、
クライアントの利益を最大化するのが仕事です。
揺れながらも結局、プロフェッショナルとして一貫してると言えます。
だた、クライアントが要求明確にしてくれないので、忖度するしかない。
接見室で被告と弁護人がガラス越しに手と手をあわせて、
心を読み取る場面あります。
役者って、脚本読んで、演出聞いても、
結局意図を推察して演じるしかないもんなんでしょうね。
意図を察して、目的を達する為に、役を演じる人の役を役所広司が演じます。
モチーフがキリスト教的なのはそういうことじゃないかな。
書かれているって言い回しありますけど、
審判と使命、神と人と。
怪物のような人に怪物のような人の役で立ち向かってみようと、
是枝監督、気合入れたんじゃないかな。
真実を観客の想像に委ねたというよりは、
使命の前では、客観的事実はどうでもいいって感じです。
そんなことより、役を演じる人間をみよって。
だから、数分しか出ないタクシー運転手に小倉一郎とか、
役者しか使ってないです。
皆さん素晴らしいです。
「桜坂」のような曲作る人にも芝居しかさせません。
ラストは2回観ないとよくわかりせんでしたが、そういうことですね。
役所広司って器ですよね、北島マヤ的な。その時自分があると邪魔です。
弁護人と被告が二重写しになる演出とか、最初は正直うざい演出と思いました。
二人の意図が重なるという意味もあるでしょうけど、
是枝さんにとっての役所広司は福山雅治なんでしょう。
最後一時停止の十字路で佇むエリート弁護士の絵で終わりますが、
役の上で、弁護士としての仕事のあり方今後どうしていこうか、って意味ありますけど、
オワコンとか囁かれちゃうましゃに対する、監督のメッセージでしょう。
役所さんのような役者になって、また、はじけてくれないか。
タイアップとか、色んな事情でチープになりがちが日本映画で、レアですから、
ぜひスクリーンで。
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