「ジョーカー2」の予習としての「バンド・ワゴン」復習 <ネタバレあり>

続編が不評らしい。酷評の嵐だそうだ。
擁護派は、”観客が分からない”からと指摘するが、
ちょっと様相が違うみたい。
 
前回も、「君たちはどう生きるか」の流動食好きな客に触れてしまったが、
それと「ジョーカー2」への不満は趣が違うように見える。
また、作品のモチーフに「バンド・ワゴン」を用いてる。らしい。
ミュージカルシーンがふんだん。

映画館にゆく前に、自宅で「バンド・ワゴン」を復習した。アマプラで観れる。

 
 
 
まだ続編は観てもいないが、あまりの酷評ぶりに、
ネタバレも構わず、youtubeの感想動画を見て回った。
大体要約すると、

内容は、
前作がアーサー⇒ジョーカー と上り詰める話で、
 本作はそのB面で、ジョーカー⇒アーサーと降りる一対。
・前作の社会的影響を悔いての、謝罪会見のような映画になってる。
・現実パートで虚像が剥げてゆく様は法廷劇、
 妄想の恋愛パートはミュージカルで表現。
・ヒロインのハーレークイン役に大枚はたいてレディー・ガガ登用。
・クライマックスはDCに”キャラお返しします”的な内容。
 監督、キャスト変えてのリブートは狙ってそう。

悪い評価は、
・長い。特にミュージカルが退屈。テンポを殺す。
・”そりゃそうよ”という内容でストーリーに新鮮味は無い。蛇足。
・レディー・ガガの無駄遣い。
・思ってたのと違う。(多数派ではない)
・前作影響に萎縮したのか、おとなし過ぎ。
・監督がホアキンを制御できなかったので、バランスが悪い。

なるほど、それは残念。
私はまだ観てないので、断定はできない。
ただ想像でも言えることは、
 ミュージカルシーンに満足したら、それ以外が劣悪でも絶賛。
 逆に唄って踊れてないなら、他がどんだけ優れていても評価しない。
2億ドル掛けて、「バンド・ワゴン」をモチーフにするなら、
魅せてもらわんと。その実力とやらを。
 
 
で、「バンド・ワゴン」復習。
youtubeでも、有名な夜の公園は視聴可能だ。

このクオリティをスクリーンで観れるなら、何の不満があろうか。
それだけで、カネ払う価値がある。
 
私はTVの画角でしか、「バンド・ワゴン」を観たことがない。
最初はNHKBSだったと記憶してる。
先に、色川武大に紹介されて、名前は知っていた。
 
曰く、”史上最高の芸人、ボードビリアンはフレッド・アステア”だと。 
 
冒頭付近の「靴を磨けば」で衝撃を受けた。

これが、フレッド・アステアかと。
 
改めて、アマプラで見直して、気付いた。(リマスターして欲しいなあ)
・監督、アステア、ヒロインの関係性が虚実織り交ぜて描かれている。
 開演に漕ぎ着けるまでのトラブルも。
・アステアは得意分野を封印して、敢えてモダンバレエに挑戦していた。
・MGMという時代はゴージャスだった。アマゾンが買収したから今配信で観れる。

ヒロインにミュージカル畑でない、バレエダンサーを起用し、
振り付けも大御所アステアの得意でないモダンバレエに寄せる。
全盛期のタップを踏む姿を拝んだのは、たしか、
フェリーニの「ジンジャーとフレッド」が公開される頃。
TVでも、全盛期のアステアを拝むことが出来た。


「コンチネンタル」は今アマプラでも視聴可能だ。
コール・ポーターの楽曲も、この作品で知る。
 
それはさておき、 
ホアキンとレデイーガガの、それからトッド・フリップスの関係性と同じだ。
対立もあったらしいが、最後は信頼関係を築いたという。
作中でも、監督は調整に苦慮しているが、
本物の監督(ミュージカルの巨匠ライザミネリの父)とアステアは対立したらしい。
現場では、ホアキンの意向で改変多く、監督は調整に追われたらしい。
 
この辺をモチーフに寄せるのは、凄いと思うけど、
鳴り物入りのNYの初演で大コケするところまで、真似なくてもいいのに。
 
「バンド・ワゴン」の作中では、
失敗の後、アステアが全権を掌握し、監督はサポートに周る。
タイトルの通り、地方巡業で盛り返し、ついにNYに凱旋。
”これぞエンターテイメント”な大団円。

何か涙が出てくる。 
 
 
ホアキンが出しゃばるなら、従わざるをえないなら、
脚本の段階で、ホアキンの意向を最優先にすべきだよな。
船頭が二人じゃ、作品の完成度は落ちる。
 
それと、ミュージカルを演るなら。
音楽、セット、照明、撮影、最高を集めて、挙げ句グラミーの歌姫までツモって。
”わざと盛り上げませんでした”は通用しない。
だったらミュージカルなんか演るなよ。「バンド・ワゴン」モチーフにするなよ。
 
妄想パートなのだから、ホアキン本人でなくても良かったし、
気鋭の英国人監督は、ミュージカル撮るの、果たして上手なのだろうか。
ミュージカルを誰も褒めてないのが、気掛かりである。
 
 
ダンスやアクション。実写で身体操作を伴うシーンはそれだけで価値がある。
CGで誤魔化すくらいなら、全部アニメでいい。
逆にリアルに素晴らしければ、それだけで客はカネ払うよ。
  
「ベイビーわるきゅーれ」だって、アクションは坂元監督でなく園村組が仕切る。

ホイ三兄弟思い出した。 
 
「極悪女王」が絶賛されるのも、体張るリアルじゃん。

ライオネル(by広田さくら)の再現度スゲー。
 
  
ほんとに、全盛期のアステアを最初に観たときも、

ため息しか出なかった。
 
そこにリアルな説得力が無いなら、演らない方がマシ。
 
レデイーガガは歌うますぎ、
 岩崎宏美がミュージカルに出るとリサイタルになってしまう。
レデイーガガは華ありすぎで、恐ろしい子。
 ”舞台荒らし”で主演が霞む。
じゃあオファーしなきゃいいじゃん。
 
まあ、観てみないことには、断定出来ないけど。
誰かミュージカルを褒める人いないのかな。
 

それから、関係無いが、
絶頂の後に落ちぶれた芸人というと、どうしても思い出す。

フレッド・アステアを頂点として、ビートたけしもタップを踏む。
 
私の子どもの頃はもう既に、欽ちゃんやドリフの時代だった。
クレージーキャッツすら過去の人。

小林信彦経由で知る。
景山民夫やタモリが時々引用していたのは覚えている。

 
 
挑むなら、
本気でやれよ、
エンターテイメント。
 
IMAXで確認できればと思っている。
 
 
2024.10.16 10:00現在
一旦20MAタッチまで落ちる。
割り込んで来るとは思ってないが、まだ売り目線で待つ。

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