「落下の王国」 (*˘︶˘人)復讐の解放は、物語のカタルシス効果!! 撮影4年&世界遺産13の圧倒的映像美! ワザと「果てスカ」に当てた?


これまで機会すら無かった、幻のカルト映画を鑑賞。
どこも盛況なのだけれど、小さなスクリーンでは勿体無い。
折角だから、BESTAシネマサンシャインを予約。(ほぼ満席でした)
 
予習は、

落下の悪魔を読み直しましたが、関係無いみたい。
世界遺産を知らなくても、鑑賞に支障無いと判断し、いざ。
 
 《 鑑賞 》

-構造の読み解きします。ネタバレするかもしれません-

 
ストーリーを評価しない向きも在りますが、
いやいや、そんなことはない。
そりゃ、映像が圧倒的過ぎて、そればかりに目を奪われますが、
 
”物語の物語”という構造を入れた事が能く効いています。
 ターセム監督が恋人に裏切られ、ブルガリア映画に着想を得て
 企画がスタートしたらしい。
 荒唐無稽な御伽噺を語るに、矛盾無い設定を得るものの、
 この壮大なスケールで撮影しなくても、、
 本作は、自費と友人からの出資で完成させる。
 (細田監督も、そうすりゃいいのに、と思わんでもない)
 
本作、ストーリー上の肝は、カタルシス効果。

 自己投影した物語を語ることで、
 恨みと後悔に囚われていた自身の感情に気付き、
 その感情を解放してゆく。いわゆる”赦し”というヤツです。
 
 本来、
  内面の執着に区切りを着けることと、
  憎しみの対象に現実的にどう対応するか、

 それぞれ別の問題なのですが、
 薄っぺらく混同し、無理やりの感動物語に仕立てることも出来ます。が、
 あまり物語が無責任だと、見物側が同調出来ず、反感を覚える場合も。
  
 
閑話休題。
本作では、
 人生に絶望した青年が、少女にアラビアンナイトのように物語を聞かせる。 
 自己投影した物語を、無邪気な子供に聞かせることで、
 囚われていた感情から解放される。
 それは”赦し”として表現されている。(インド人だがキリスト教的だ)

 物語は、
 他愛無く、子供騙しの、ご都合主義で。
 撮りたい画を優先で、
 復讐の敵役がラスボスの戦隊もの。
 
 殺しを思い留まり、相手が自滅する処は、
 当に、テキトーの極み、
 
ま、
暇を持て余した幼女に向けたフィクションなので、
劇中劇の復讐譚のストーリーに、整合性が無いと、
文句言うのは野暮過ぎる。
 
メタ構造を入れることで、
魅せたい画が優先の”物語の物語”を成立させている。
 
で、物語の魂を浄化する力が描かれている。 
物語が人を癒やす 映画とウェルビーイングの心理学
物語の人物に移入し、感情を解放する。

そして物語がクライマックスを迎え、
主人公が救済されたり、一つの答えを見つけたりする時、
あたかも自分の問題が解決されたかのような解放感を味わうのです。
 
この一連の心の動きは、
現実世界で直接感情を爆発させることなく、
安全な形でストレスや抑圧された感情を処理する機会を私たちに与えてくれます。
現代心理学においても、感情の表現や処理の重要性は広く認識されており、
物語を通じたカタルシス体験は、精神的なデトックスとして有効に機能すると考えられています。

他者の物語に触れ、自分の無意識にも気付く。

なぜ自分はこの登場人物のこの言葉に心を動かされたのか、
なぜあのシーンで不快感を覚えたのか。
そう自問することで、自分でも気づかなかった価値観や、
無意識のうちに避けていた感情と向き合うきっかけが得られます。
他者の物語に触れるという行為は、
結果的に自分自身の物語を読み解くことにつながるのです。

荒唐無稽な物語を語る過程で、
恨みや後悔を手放し、絶望から救われてゆく。
精神的な意味での、赦しと救済。
そのプロセスを、ほのぼのと描いています。
 
 圧倒的な映像と音楽で、
 ほのぼの戦隊ものを、
観客は愛でる。
ビジネスの企画としたら、趣味で撮れと言われる。
だから趣味の資金で、作品を完成させた。

そこまでが、ワンセットの現代の御伽噺。

私告白すると、
 何を見せられているんだか、最初分かりませんでした。
 主人公のスタントの仕事ぶりが、白黒のOP&EDなんだとは。
  
音楽も、ベートーヴェンとは知りませんでした。

 不安と興奮、それから安息。
 随分と煽動的でもあるのに、緊張と緩和が巧み。
 今風のハリウッドのような押し付けは避ける。
 
劇中劇のストーリー以外は、安いところが、1ミリも無い。
 その意匠汲んで貰えず、
 味方少なく独立的に製作したこと、
カルトな評価に落ち着いてしまった原因だと思うんですよね。
今、4Kリマスターされ、良き環境で鑑賞出来るので、
文句無いですけれど、

強いて言うなら、
 スカスカな箱が有るなら、もっと上映回数を振り分けてよと。
 不満はそれくらい。
  
 
それ以上は、語ってもねぇ。
 映画館で観たもん勝ちです。
 配信じゃ意味無いでしょ。
百聞は一見に如かず。
 
 
 
ところで、
「果てスカ」の領域展開が、youtubeで公開されたのですね。

わぁ、渋谷事変ってこれか!!
 
素晴らしいですね。隙ばかり。
 潤沢な資金、他人のカネ掛かってるの分かる。
 なのに、絶妙にダサ安い。
 そのくせ歌は上手いという可笑しみ。
 作曲の権利関係が気になってしまいますが、
 作詞が、ダサ安さを一気に放出。
 壮観な戦記物との対照も、見事。

まあ、
シリアスに物語を追っていた観客は、愚弄されたと怒るでしょうけれど。
赦して、笑えばいいと思うよ。

 
最初から、「エブエブ」の様に多次元世界で、
 現代日本と中世欧州を去来する。
 殺し合いと、お花畑を交互に描けば良かったじゃない。
 無理に辻褄合わせ無くて良いし、説明も要らない。
 客は置いてけぼりでも、楽しく面白く乗り乗りでイイじゃん。
「竜そば」も、歌で成功したんだし。

 日本の観光地13箇所で歌って踊て、4年越し、
 それで良かったのに。それだったら観たかったな。
 最初の予告じゃ、足を運ぶモチベーションが湧かなかった。 

細田守は、ジブリを赦しているんですかね。宮崎駿と自分を比べずに、
 そこチャント描いて、物語の責任負っているんですかね。
 それとも、薄っぺらく言動不一致な主張してるだけ?
客が怒ってるなら、後者の可能性大だけど。。

日テレや電通から焚き付けられ、対抗心燃やしてそう。
偏見だけど。

素直に意味不明なミュージカル。
魅せたい画だけ撮って、説明は放棄。
付随のストーリーは、まんまパクればいいよ。
 転生、仮想、多次元、夢オチ、”説明”はテキトーで良いし、
 大人は説明しないし。
 アニメは子供のものだし、
アンタの先に、宮崎駿は居ないし。
アンタに鈴木Pは居ないし。独りで兼ねるのは辛いけど。
 
 
 
ピアノソロも乙。 

大怪我を負ったスタントマンを、耳の聞こえない音楽家になぞらえたか。
楽聖は相当な教養人だったらしい。

 
2025.12.02 18:00現在
 一旦、-2σタッチすると想定。
 そこで、少し買いたい。今週どこかで買えるかな。

 

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