予告編の段階で素晴らしく、初日朝イチで観てきました。
期待を越える出来で、大満足です。
長物の日本刀とは違う、(香港アクションっぽい)殺陣にも理由が有り、
見せ場を存分に魅せる誤魔化しの無い作劇。
それをスクリーンで観ただけでも充分なのですが、
豪華な俳優陣に、
脚本、カメラ、照明、演出、演技、衣装、セット、
すべて揃った、
東映の全力が本当に素晴らしい。
素性の怪しい人々が身を寄せる芝居小屋の群像。
その人情劇に判じものをプラス。
原作では、
各々人物の物語を連載シリーズとして、
縦糸は推理小説。らしい。
2時間の尺となれば、アイデアが問われる。
人物の語りはメンバー紹介に留め、
途中から、謎解き中心の展開。
と源孝志監督兼脚本は応えた。
刑事コロンボvs芝居小屋アベンジャーズ のエンタメが浮かび、
探偵役には、明朗で飄々とした柄本佑の語りを当てる。
(この構成に不満なら、批判でなく代案を出してほしい。
Netflixに連続もの実写化を働きかけるとか)
兎にも角にも、
明るく豪華で、誰でも楽しめるエンタメで、
完成度高いウェルメイドな仕上がり。
実写映画化の見どころは、
夜の映像表現、特に殺陣は目を見張りました。
完全なキャストに皆、魅せ場があるのもメジャー映画の歓び。
大抵のことは観りゃ分かるのですが、
それでも、語りたいことを。
1.殺陣 「侍タイムスリッパー」
2.音楽とラストシーケンス 「国宝」
3.セリフと語り 「夢」
4.時代劇という人情の異世界
6.太秦の本気
7.夜こそ照明のワザ
8.コメディのアクセント
ネタバレは避けます。
1.殺陣 「侍タイムスリッパー」
山口馬木也、敢えてのキャストで、
真剣を使う殺陣の意味に、
去年は、一抹の後味の悪さを覚えました。
そんな私の無念を、本作は晴らしてくれた。
通常の”大立ち回り”とは、ひと味違う。
予告でも流れる、
長尾謙杜vs北村一輝 小太刀と匕首の殺陣。
気合い入りまくりのオープニングに、
香港アクションみたいだな、
と最初の印象でした。
ただし、長尾謙杜の腰の入った構えに、
専門家の監修入ってるんだろうな、とは思いました。
参考に成りそうなのは、、
小太刀術の動画よりも、闇の剣。
暗がりから、アンダースローの攻撃と、
近接も想定した、閉所の刀の使い方。
謎解きに対しても、伏線だと後で分かる。
もう一つの殺陣が、良き導線。
滝藤賢一に、
剣豪のイメージは無い。なのに、相変わらずの説得力。
その肉体も、立ち振舞いも、思わず声が出るほど、
鍛錬の跡が忍ばれます。
元は剣術の指南役で、回想シーンでは、闇夜に襲われる。
ここで背景の竹藪が活きる。
仕合いと違い、
障害物も多く、組みもアリな実践では、
長物振り回すのは難しい。
さらに、山口馬木也vs北村一輝でも、
首を落とすとなれば、
振りかぶらずに、推して引き切り。
(ネタバレ避けます)
閉所で近接で闇に紛れて、決着させるべき理由が有り、
リアルとファンタジーを融合した、独特の殺陣なのだと、
後でゆっくり、納得します。
今まで、観たこと無い、クールな意匠のアクションだと拍手。
因みに、
アイドルは兎角、客寄せと偏見受けますが、
長尾謙杜は美しく、殺陣も素晴らしい。
2.音楽とラストシーケンス 「国宝」
ケン・ワタナベの座長感は流石の一言。
そして、音楽ですが、
無念は晴らしてくれました。
長唄に、今どきの曲被せたり、
舞の見せ場を、顔のアップで処理したり、
説明ゼリフで、泣かせようと演出したり、
着地があんまりだと、嘆くことなく、
スッキリと劇場を出られます。
セリフに劇伴被せんな、と不満はあるものの、
和のサウンドも組み合わせた工夫が趣深く、
本格派の映画音楽でした。
ラストシーケンスは、
本物の長唄で、お見送り。
見事、本懐を遂げてくれました。
3.セリフ 「夢」
時代劇で謎解きで、朗々としたセリフと言えば、
「切腹」が教科書と、思い出しますが、
字幕で鑑賞する外国映画と違い、
会話から、地域、時代、身分が想像されるとしたもの。
黒澤映画は、例えば「七人の侍」ですら微妙だと思ってます。
「夢」ともなれば、やんごとなき御身分のセリフに違和感を覚え、
映像は凄いので、むしろ日本語じゃない方が嬉しいまであり。
却って、本作。
原作から、行き届いているのかと想像しますが、
現代の観客に分かる範囲で、神経配ってます。
ニュートラルな日本語の柄本佑に、対照的な庶民の江戸っ子口調。
得意を見込んでのキャステイングでしょう。
惜しむらくは、
北村一輝の身分が、今ひとつ分かりにくかった。
元の身の上の会話、
遊郭での会話、
謎解き後の会話、
わかり易く、バリエーション聴かせて欲しかったか。
不満はそれだけ。
冒頭、文化七年とテロップ出て、
時代考証に余念無いと宣言してます。
本作は、
武家と町人、さらに素性の知れぬ河原者と、
江戸時代の身分は重要なテーマですので、
口調を疎かにすることは出来ません。
人物造形の重要な設計を怠らず、無念を晴らしてくれました。
ただし、”自分を生きる”という価値観は無理筋で、
現代の視点で、士農工商の社会を評価するのは、後孔明。
私は好みません。
その意味では、「ペリリュー」の仇討ちは成らず。
ま、それは兎も角、
説明ゼリフに覆い尽くされる今の作劇の中に在って、
時代の息遣いを感じさせるセリフは特筆。全力で褒める。
4.時代劇という人情の異世界
「果てスカ」はアニメのクセに異世界の使い方下手で、
失敗の要因かと想像してます。
王位継承権の戦争に戦後教育丸出しは玉砕します。
それはさておき、
戦前の昭和だって、江戸時代は大昔だった。
それでも時代劇が流行ったのは、
アクションの他にも、
人情物のおとぎ話に違和感無く移入出来ること大きいかと。
現代劇で、いい人ばかり出しちゃうと、
リアリティを損なってしまう。
「大岡裁き」のような人情ものは、異世界に飛ばしてこそ。
現在盛んに製作される異世界ものと同様、
非日常の必然性があり。
それで説得力持つだけの、緻密さが求められる。
予算だけでは解決出来ない、時代の空気もあるかな。
ディズニーとは対照的に、
保守の復権も大きいかも知れない。
ま、本作は、
優しい物語なので、
(GHQが忠臣蔵禁じたような)
政治情勢に影響受けないと思うのですが、
安心、安全に鑑賞して居られました。
尚、
ネタバレしない程度に触れると、
最初は、血なまぐさい展開↓もあるかと想像してました。

徒(アダ)とは、ダミーの事ですし。
そこ、勝手にミスリードさせるのも、
原作の上手さでしょうね。読んでないけど。
6.太秦の本気
冒頭、芝居小屋の忠臣蔵で始まりますからね。
「国宝」に負けじとの気合を感じますよ。
劇場借りたのかと思ってましたが、
太秦にセット組んだんですね。
「侍タイムスリッパー」のヒットが後押ししたのか、
東映撮影所が本気出しましたね。
太秦のリニューアルオープンも関係してるかもしれません。
国際情勢に関わらず、インバウンド需要続くのでしょうね。
たまに、合成を感じること有りましたが、
裏から描く、芝居小屋の様子は見事で、
小道具も衣装も全力でした。
劇中、衣装係の役は誰か分からず、
高橋和也と知り仰天。
ああ、こっちもジャニーズかい。
MVPの出来栄えと観てました。
特に酷かったのが東映だ。岡田裕介社長が「社運を賭ける」と意気込んで作った『(リメイク版)魔界転生』『RED SHADOW~赤影』『千年の恋 ひかる源氏物語』など、いずれも興行的に大失敗に終わった。
そして二〇〇〇年代になると、京都の生命線であったテレビ時代劇が壊滅的な状況に陥る。折からの長引く不景気と視聴者の高齢化に伴い、スポンサーが付きにくい状況になってしまったのだ。結果、各局は次々とレギュラー枠を廃止していった。そして、テレビ時代劇はかつての映画と同じで単発の大作中心となっていくが、それでは当然、スタッフの仕事は少なくなるし、スタジオも稼働させられない。
折角のチャンスに、全力で取り組めたのは、
大変意義あること。
幸いにも、撮影所には「人の力」が残っている。「現場が少なくなったことで若者はいなくなりベテランのスタッフばかりで作られている」と、つい誤解されがちだが、着実に代替わりも進んでいる。数多くの腕の良い若きスタッフたちが、映画への愛と己の野心に目をギラつかせながら、チャンスの到来を待ちわびているのだ。彼らが希望を捨てきっていない今なら、まだ間に合う。
伝統芸能としてだけでなく、
娯楽として生き延びてゆく重要性を教わる。
7.夜こそ照明のワザ
そういえば、最近は、
満点の星空にキャンプの焚き火を、
「ストレイト・ストーリー」で鑑賞。
本作の冒頭も、
ろうそくのライトで、ピンスポット。
漆黒の背景に、揺らめく炎の明かり。
現代はテクノロジーの進化で、機材の性能も上がり、
昔のように照明に拘らなくても、それなりの映像撮れる。らしい。
とはいえ、
スクリーンで味わう照明の良さも、映画館の醍醐味。
映画的満足も存分に味わいました。
当然とはいえ、
映画的画作りで、確かな撮影。
大作は、こうでなくっちゃ。
8.コメディのアクセント
キャストは、
大きな役でないのに、石橋蓮司、沢口靖子、野村周平と隙が無い。
だけでなく、
コメディも担う、僕蔵&イモトの夫婦は、良く見つけたな。
渡辺謙の立ち回りも、笑いを誘いますが、
邪魔にならない匙加減。
やっぱ、緩急は大事ですよ。
娯楽作では特に、観客を疲れさせない配慮も必要ですね。
傑作「センチメンタル・バリュー」観た後なので痛感。
去年は「でっちあげ」。今年は「木挽町のあだ討ち」と、
無念を晴らしてくれる東映。
まさかの時代もので、本懐を遂げてくれました。
クオリティのみならず興行でも、
TOHOシネマズ擁する東宝「国宝」に負けず劣らずにと、
大ヒット祈願です。
家臣には何も告げないミステリーに、
夜の近接の剣、最高です。
ベースがカッコイイ曲だと思っている。
2026.02.28 現在
一旦、反落の調整入りますが、
新高値のサポートラインも明確に見えて、
イラン情勢の楽観的見通しと、
国会の予算審議は、
”カタログの罠”で騒がしい少数派を黙らす策士っぷり。
来週は反転上昇と思われ。
積極財政なら尚更、株高円安は続きそう。

