書評 角幡唯介「アグルーカの行方」 時空を越える冒険家の業、日常は退屈だし

イギリスから西、グリーンランドへ向かうと、カナダの北には細かい無数の島々。
更にアラスカ側への海路を開拓すべく探検家達は極北の地を目指した。
全滅したフランクリン隊の一部は陸路不毛地帯を南下し、
カナダから帰還を目指したのでは。その軌跡を追う過酷な冒険。
冒険家の業が時空を越える。講談社ノンフェクション大賞受賞作。

 
 
ども、午前中は暑かった。今は曇ってます。
カオサン周辺では、借りて商売は回らないのではないか。

 5バーツの豚串3本とカオニャオ5バーツ購入。旨し。
土地持ちでなければ、屋台の方が正解だと思う今日このごろ、
いかがお過ごしでしょうか三歩目です。
 
 
キンドルで読んだ本。「空白の5マイル」に次いで二冊目。
過去の探検家の軌跡を追いながら、旅するというもの。
スタイルは同様である。

ツアンポー峡谷という密林から、今度は雪と氷だけの北極圏に場所を変える。
これだけの労作、書ける人はそういないだろう。
出せば賞を取るのも当然だと思う。
 
旅行記だけでも、一冊出来るし、
過去の探検家の軌跡を整理するだけでも一冊分。
前回より更に、その凄さはパワーアップしてる。
 
 
ま、当時の探検の悲惨な失敗も、現代の過酷な冒険も、
その内容は本書を読んで貰うこととして、
 
 
既に齢60近いにも関わらずフランクリは何故、
この過酷な地に自ら志願して、また行こうとしたのか、
現代の冒険家は、その疑問にこう答えている。
 

過酷な荒野の中にロンドンでの日々の暮らしの中では発見できない本当のことを見つけたから、フランクリンは北極に行かざるを得なかった。
私は同じ気持ちだったのでは、ないかと思うのだ。フランクリンもクロージャーも、そしてロスもレーもホールも。
彼らは北極の自然に囚われていた。人が命を懸けて何かをすることを説明するのに必要なものは、もしかしたら囚われてしまったという、心の片隅に突き刺ささった小骨のような心情のひだを持ち出すだけで十分なのかもしれない。囚われるというのは恐ろしいことなのだ。北極の荒野には人を魅せるものがある。一度魅せられると人はそこから中々逃げられない。
それまでふらふらと漂流してた自己の生は、北極の荒野を旅することで、初めてバシッと鋲でも打たれたみたいに、この世における居場所を与えられる。それは他では得ることのできない希な体験だ。だから彼らは何度も行って、顔に凍傷を作り、飢餓に苦しみ、壊血病にかかり、ひもじい思いをして帰って来た。そしてまた行く。誰かに言われたからではなく、自分で行きたくて行くのだ。

 
 
まあ、人間が正気を取り戻す瞬間なんて、タマにしかないから、
生きてる実感ある瞬間を生きてしまうと、
普通の生活に満足を見出すのは難しいかもしんないね。
 
これから冒険家を生きるのは、より厳しい道かもしれないね。
終盤、GPSを置いて行くと決断するクダリは象徴的である。
 
 
ああ、書評らしい話をしよう。あらすじ紹介じゃなく。
 
毎度のことながら、このハードボイルドな文体である。
地獄のような状況を的確に伝えるには適している。
抑制された表現は、心情が読者の胸をより強く打つ効果がある。
 
反面、単調になりがちというデメリットがある。
読んでるどのタイミングで、この本の世界にハマれるか、だろうなぁ。
 
 
それから、構成は見事だと思うのだが、人によっては、
例えば、後半過去の探検家達の記録を追うのは単調に感じるかもしれない。
 
現代の旅と、過去の幾つかの探検がクロスオーバーするように、
交互に語られるんだが。
気になる方を一気に読みたいと思う人もいるかもしれん。
 
 
前半は、北極圏をソリを人力で引いて氷を渡る現代の過酷な旅に、
北極圏探検の歴史が挟み込まれる。
 
後半、ツンドラ地帯を歩く頃には、
フランクリン隊の生き残りは、何処に消えたのか、
その謎への関心がより高くなる。
 
 
2つの話が並行して進み、最後にそれがクロスする。
そんな展開ありふれてると思う向きもあるだろうけど、
 
でもこれは、常人には出来ない。
探検が好きなだけでも出来ないし、
歴史の謎に興味があるだけでも出来ない。
 
 
今の時代は、〇〇かつ△△でないと、もう独自性生まれない。
植村直己の時代とは、別の時代なんだろう。
 
 
ま、古人にその地で思いを馳せるのは旅の常道ではある。
物語はクロスオーバーして、旅の終わりらしい終わりを終える。

だから私はいつも道を見た時に、自然の中から人間の住む場所に戻ってきたことを知り、旅はついに終わったのだという感慨をいだく。

 
 
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