運命のあの子と逃避行「天気の子」「俺たちに明日はない」「パーティで女の子に話しかけるには」。 あだ名禁止と期待しないし応えない生き方。 

相変わらず、だらだらアマゾンプライム観てます。
前回、「この世界の片隅に」思い出して、
でも新海誠監督の「君の名は。」の方がヒットしたんだと、連想しました。

ちょっと、、キツイかも。。。
もっと作家性に全振りした、次の作品なら大丈夫かも。
 
こちらも売れたけど、批判も多いらしいですね。 

勇気を出して観てみました。
批判するポイント分かるけど、そこは大ヒットの前作分析して、
制作側が取捨選択した上でやってる確信犯的な部分だから、
 
そういうつもりで敢えて作ってるってこと理解した上で、
同じ思考を上回る批判でないと意味ないんじゃないの。
 
中高年の方が好意的というのも納得です。
 子供の人格は子供として描かれて当然ですし、
 全編ご都合で構わない、逃避行は完成度より速度重視。
 大人は説明しないし、求めないよ。

下手くそな辻褄合わせなら、無視して省いた方がいいですよ。
描きたいことだけ描く人が、描きたいこと描いてるんだから、
いまさら、そこに文句つけてもねぇ。
 
そんなことより、印象に残ったこと書いてゆきます。
 
 
・閉塞社会と生け贄
 ヒットした新海誠監督や本田翼ちゃんが叩かれますけど、
 それ自体もうSNS時代の生け贄感あります。
 批判ありきで材料探してますよね。承認欲求が全面に出てて、
 「ミスト」でもそうでしたけど、
 ストレス溜まる閉塞した社会では、生け贄を捧げてガス抜きが必要とされます。
 善悪の問題でなく、人間という存在の哀しさと認めた方がよいようです。

 晴れ乞いの人柱をテーマに選んだのは当人の問題でもありますし、
 時代性の発露でもあり、
 
 雨乞いじゃないのは、
  雨を描きたかったのですかね。
  監督のマインドがウエットだからってこともありましょうか、
 前作に引き続き、災害を選び、そこに生け贄を絡めるのは、納得です。

・スピリチャルに寄せる
 成長とか後天的獲得とか、葛藤とかしません。
 敢えてヤッてると判断しました。
 むしろ前作の分析の結果、物語をこっちに寄せるのは今日的で、
 慧眼かと思いました。古いフォーマット捨てて人気落ちないなら。

  映画始まったら、高速で引き寄せを連発、舞台装置が揃う。
  目的地まで常にオートパイロット。偶然が発動する。
  その能力は心の中にある。
  戦略や努力は不要。おまかせ。
 
  とても素直で、そのままでいいればいい。
  良い子でなくていい。人に迷惑掛けてもいい。
 
  世界は勝手に完璧だから気にしなくていい。
  映像を見てるだけ、自分で選択。

  世界が滅んでも大丈夫。
  ついてるのでなんとかなる。
 
 常識人をもっと怒らせる自己肯定で、喧嘩売ってますよね。
 
・恋人たちの逃避行というジャンル
 Bonnie & Clyde ですよね。
 ちっちゃい子が付いてくるのも、踏襲してる。

 難なく拳銃というアイテム手に入れて、チンピラに向けるシーンで、
 私は射殺しちゃうもんだとばっかり、期待してました。
  そこから、運命の恋人とランデブー。
  ペイズリーパークウエザーリポートの能力で追手を撒きながら、
  最後はふたりとも昇天。
 そんな物語になるのかと。
 
 殺さないんですね誰も。重すぎますか、
 すれ違い恋愛ものから、逃避行へ転換はなるほど!
 クライム要素入れてくるのは、
 分析の結果、きれい過ぎないヨゴシ処理でしょう。
 オシャレじゃない都会も描けて。
 
  イージーモードでアイテム手に入りすぎ、
  警察程よくスキあり過ぎ、
  タイミング良く助かりすぎ、
 と不満な方も多いでしょうけど、
 その設定選んでプレイしてるので、気にしてもね。
 
 私はそれで風景変わるの楽しめましたよ。

・やっぱ風景がメイン、人間はサブ
 人物に感情移入するのは、もちろんキツイっす。無理です。
 作者もそこはあんまり興味なさげで、平坦に描いてますよね。
 
 私はここまで極端ではないけど、
 フェリーあるあるとか、見かけた景色をこう描くのかとか、  
 
 とっても楽しめましたよ。モネですねぇ。
 人物とストーリーが真ん中に居て邪魔で、よく見えない。
 どいてくんねえかなって何度も思いました。
 
 感情移入するには、導入が必要なんだけど、
 それがまるでフックしないんだよね。
 物語の進行はオートパイロットだから感情の起伏に刺さんないの。
 ハラハラドキドキしなくてさ、そこは欠点だけど、
 背景にあんだけ力入れてるなら。それで充分満足です。
 
 
ま、そんなことより、世界を救わない主役って斬新ですよね。
ついにここまで来たか。って拍手しました。
 
オトナにも世界にも何も期待しないけど、
 その代わり、
期待にも応えない。
 
私は私を生きる、アナタはアナタの人生を生きる。
課題の分離ですね。
世界は勝手に完璧なので、自分の課題に集中。
 
タイ人のマイペンライみたいで、 
大丈夫って言われても、「何が?」って思わずツッコミますけど、
大丈夫って言う人で大丈夫だったためしはない。
でも、
困ったことは起こりませんから、安心して暮らしていれば充分ですね。
 
この突き放し方が清々しかったですね。
生け贄がテーマで、
 着地が、
課題の分離、承認欲求の消滅。
それは痛快でした。
 
 
昔、テレビで観た気がしますが、うろ覚えなのでも一度観ました。 

ウォーレン・ベイティは思ったより優男でした。
フェイ・ダナウェイは記憶どおりエロかったです。
 
1967年制作ですので、父性がまだ描かれてますね。
なんか新鮮でした。
 
 
他にもクライム逃避行ありますけど、代表作はこれですし、
ジャンルを開拓した作品と言っていいでしょう。
公開当時は、やはり批判されたのですね。
 
この映画でも、無駄な説明は省いて、すぐくっついて、
銀行強盗しながら、逃避行始めます。
ぐじゃぐじゃ説明するより、疾走感が大事です。
「天気の子」もフォーマット下敷きにしてるの分かります。
新海作品は名誉童貞とか言われますけど、
ギャングなのに、似たようなもんでした。男性はデリケート。

ま、 
アメリカン・ニューシネマは乾いてます。
それは最大の違いですね。
初期のルパン三世に影響与えたんだろうな。
フランスから監督呼ばなくて、結果正解じゃないかな。
  
それと、最初に家を失った農夫とか、破産した銀行とか、
共感しやすい感情のフックがあるので、
ハラハラしながらあれよあれよとフォローできる。
乾いたユーモアもあって、対立もあってのっぺりはしてない。
追う警察も記号にならないよう配慮されてる。
当然とはいえ、上手いなあと。
 
主役のカップルが蜂の巣になるエンディングから50年ほどで、
世界がどうなろうと知ったこっちゃないヒーロー・ヒロイン。
どちらも画期的ですよね。 
 
 
 
さらに公開当時見逃してしまった、逃避もの思い出した。
逃避は限定的でした。初見です。

エル・ファニングはちょいブスカワで素晴らしいですね。
ニコール・キッドマンも良いです。
でもオーストラリア人じゃんってツッコミ入れてしまいました。 

2018年制作なので、当然の如く父親は離婚してます。
 
 
それはさておき、 
宇多丸さんの映画評で、
 音楽に過剰な役割を負わせてはならない。
って名言がありますが、
 
パンクの使い方が程よくて、気持ちいいです。
ただ全編通して聴くと、パンクよりニューエイジじゃね?
 着地がベジタリアンな平和で調和だもの。
 ラストジョン・レノン風な主人公の本はサイケデリックだし。
何がニューエイジか分かってませんが、
怒れる若者との使い分け見事だなと、観てました。
 ルールでがんじがらめで、
 保護者が子供を食いものにして、
 出生率は減少し、やがて滅びそう。
 
この設定でパンクを合わせた映画を島国で作ったら、
その時点で勝ちですね。
アメリカは移民続くうちは減らないらしいです。
アメリカでは肉は食べない。ただし上流階級ならって、構成見事だな。
 
この作品はもちろん、童貞逃避ものなので、天気の子同様フォーマット通りですが。
魅力的な女優さん使ったら、実写の勝ちだと思いました。
 
衣装も素晴らしく、宇宙人にも怒れる若者にも説得力あります。
そして、異星人とのまぐあいは、とっても気持ちよさそうに描かれてます。
人間のそれとは、ちゃんと違うところがイイ。
 
現実の世界では、そんなハッピーエンドは想像難しいけど、
SF系の楽しい逃避ものでした。
 
 
 
それで思い出しましたが、 
最近は、あだ名禁止な小学校もあるのですね。
賛否両論、これもあるみたいです。
 
ま、学校はパブリックな場所だから、それもありでしょうけど、
いじめ対策ってのは、いかにもお役所が考えそうなことではあります。
先生の責任回避には役立ちそうですが、対策になるかどうか。。
 

プライベートな場では、のびのび出来るといいですけどね。
 
幼い頃は、マニュアル君じゃない大人に接した方、
が教育上はいいかもしれないけど、
そこにコスト掛けられる人とそうでない人いますから。
 
不運に生まれたら、
閉鎖空間では、生け贄が求められてしまいます。
逃げるが勝ちだと思います。
さかなくんのアドバイスのように。
(いつも生け贄探してる朝日新聞が載せてたのか)
 
そして、驚くのは、
小学校側に、いじめないような教育施すこと期待する人が居ることです。
 お戯れを。
教員だって、一度何かあれば、生け贄の側ですから。
 
無理な期待をすることじゃなく、
責任を有限にして、ストレス軽減することじゃないかな。せめて。
そんな社会じゃないけどさ。
 
無駄な苦しみを軽減するのは、
期待はしない。期待に応えない。苦しければ逃げる。
意味なんてないんだから。
 
期待しない訓練をしに、この星に生まれてきたような気もするんですよ。
 「世界が滅んでも、ボク(達)は大丈夫です。」
そう言える大人になってみたいですね。

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