アメリカの、特に批評家の酷評はさすがに不当です。
私も想像とは違いましたが、充分楽しめました。養護します。
これまでのMCU作品で、もっと問題合っても高評価だったじゃん。
ダブルスタンダードな疑念を抱くのは、私だけでしょうか?
原因は2つで、
アメコミ→日本漫画
アメリカの正義→人類愛
へのシフトだと見てます。
イスラム教圏からも、中国共産党からも上映禁止食らっても、
全ツッパなので、安全なとこから石投げてるポリコレは一線画して、
さらに、
ハリウッドのメジャーどころがアメリカにも喧嘩売るという意欲作なのですから、
もうちょっと、褒めましょうよ。
・アメコミvs日本漫画
私、アメコミ詳しくないけど、
日本の漫画で育った身としては、そもそも文法が違うなと。
今回、どちらのコミックにも造形の深い監督さん、
採用したのは、石ノ森章太郎でした。
神と人間の間にコーチ役として存在する天使と、そのカウンターの悪魔。
この構造を非キリスト教圏なのに「デビルマン」を「まどかマギカ」由来で知り、
「2001年宇宙の旅」で再確認し、
最近も「平穏世代の韋駄天達」で鑑賞。
神
悪魔 天使
人
原作はこの構造を踏襲してる。らしい。
これを(悪魔側をザコ扱いに)変形して、
神
↓↑
人造人間
||
人
となると、石ノ森章太郎。
創造主(親)に作られた存在として、人間の投影がサイボーグ戦士。
誰がために戦う。となります。
神殺し、父親殺しの物語。
平成ライダー観ると「カラマゾフの兄弟」思い出します。
リーダー格がギルモア博士だと思うえば、人数までピッタリです。
できるだけ、人種も取り揃えます。能力はそれぞれ違います。
完全にそのフォーマットに乗せています。
彼らは孤独で苦悩します。人間への絶望が深いほど、愛も深く。
そこに、富樫的な演出を振りかける。
能力バトルで、クールなアクション。説明過多はやらない。
まずは、懸念されたアクション演出がこれだけ冴えているのだから、
そこは褒めようよ。
で。
割と早い段階で、
倫理観や視点が天使らしくなく、人間的な存在としてエターナルズ達が描かれるので、
期待したのじゃなくて、009なんだと、私は見方をシフトしました。
だから、遺伝子操作じゃなく機械の体か。
よって、明るくポップなヒーローには成らない。
アメコミ的な、勧善懲悪ものにはならない。
自分の存在理由に苦悩し、哀しみを湛える。
敵も抽象的で解りにくい。親だし。
アメリカ人は仮面ライダー見て育ってないから、好き嫌いは否めない。
ライダーマンとか多分好きじゃない。
”解りにくい” と言われる本当の理由は、
このテーマ性のせいで、人数じゃないと疑ってます。
それから、最初にメンバー紹介して、
過去回想で、背負っているもの明らかにし、キャラを立てていく。
「ワンピース」というか、ジャンプメソッドですよね。もう完全に。
文法がアメコミとは違うので、アメリカで受けが悪い。
逆に、日本では他の国ほどMCUは流行らなかった。
まあ、
敗戦国がアメリカの正義に手放しで同調出来ないという、
もう一つの理由もあるのですが、
中国生まれの監督が、アメリカの文法とは違う文法持ち込んだこと、
日本人ならもっと、楽しめますよ。
シネコトさんの指摘はなるほどなのですが、、
ドンデン返しで驚かすよりも、
ハカイダーの哀しみ的な葛藤を描きたかった。宿命と意志と反逆。
ウインター・ソルジャーとは、また違うんだよなぁ。
洗脳で対立構造作ったりしない。単純な善悪じゃない。
それ以外にも、フォーマットを原作から無理やりシフトしたので、
天使としてのあり方としては、歪んでしまってます。
その矛盾を多数上げるレビューも観ましたが、
そのツッコミどころ挙げて批判するのは、下品。
鴨肉にわさび醤油の方が血のソースより上手いというみたいで、
テーマも構造も敢えて、変えて来てるのだから、それが分からないのは朴念仁。
その文脈で語るのはそもそも違うんじゃねえの。
・アメリカの正義vs人類愛
9.11から10年後、
アメリカの自警団の正義の再構築として、MCUは発展してきましたよ。
イスラム原理主義者を敵として真面目に描けないので、
内部対立でドラマ作ると上手いけど、外部の敵は常に記号。
今回、広島の原爆投下を出してきたのは、
あからさまな、アメリカの正義からの脱却。
高らかな宣言でした。
アフガン撤退の年に、MCUの映画でこれは、なんとも象徴的です。
ユダヤ教からキリスト教が生まれたような、感覚に囚われました。
民族の宗教から世界宗教の誕生。知らんけど。
多様性を掲げて、全方位に喧嘩売る戦略を選んだのだから、
必定ではありますが、アメリカの正義のままではいられない。
今後も、テーマが人類愛で、ヒーローものやれんのか、
それは分かりませんが、
自己否定でもあり、親殺しでもあり、
かなりセンセーショナルなことです。
ま、観てるときは、
鉄器とか火薬の段階で気づけよ!
とは思いましたし、
こいつらどうしようもないし、オレは役割果たし、還りたい。
っていうキャラも欲しかったですけどね。
この挑戦がアメリカで不評だったり、MCUのコアなファンから拒否されるなら、
なおさら、
応援したい。
このテイストで続編作れるかなぁ。。
アメリカでも不評な割に動員あるようで、期待してます。