大作が続くのも疲れるので、
手弁当のちっちゃい作品を探した。
製作は「世界まる見え」を制作している日テレの関連会社、日テレアックスオンらしい。
岡本充史監督は、その会社でドラマ演出の経験を積んできた様子。
(所属かどうか確認出来ない)
 何故、劇場公開に至ったのか分からない、
 都内で1館だけの公開と知った。
同時期に公開中の「愚か者の身分」「ミーツ・ザ・ワールド」と似たテイストを感じる。
いっそ圧倒的に手弁当系の本作を、どうせなら観てみることにした。
商業映画として、至らない点が多々有ったとしても、初手から目を瞑る前提。
 
 《 開演 》
 
 
 
 
86分が意外にも、あっという間でした。
説明の為に、無理して苦手なことはヤラなくていいのに。
作品として成立するかどうか、なんて気にしなくていい。
 
好きで得意なことだけ撮ればいいよ。
 
 
信州上田の風景を美しく撮れて、
ヒロイン二人を、ちゃんと魅力的に観せられるのだから、
かつ、
二人とも、
 自然で等身大で、演者として充分に実力発揮。
 気持ちを観客に、よく伝えていた。
 その上、スッピンでも美人だし。
ホメは、
それ以上パッと、思いつかないのだけれど。。
それで、86分保つのだから立派。
  
重く暗いテーマの中で、二人が寄り添う場面は、
詩的で、目と耳にも心地良い。
 
  
上田鉄道に揺られる二人に、私は、
マイアミ行きのバスに乗る名優を重ねました。
「真夜中のカーボーイ」に着想を得たのか、
 二十代前半の女子を主人公に、
 現代日本社会の底辺の生きる、
 出口の無さと淡い希望を描く、
そんな、バディもの。
 
 
TVの人だから映画はどうかなと、懸念もありましたが、
美しいものを美しく、画角いっぱいに撮れて、
監督兼任の撮影は立派で、安堵しました。
ま、 
会話でいちいちカット切り替えるのは煩わしいですが。
 せっかくの映画なので、TVとは別物と振り切りって、 
 分かりやすいバストアップを避ける工夫は欲しい。
何より弱点は、
主に不快な日常に、リアリティを感じさせるだけの厚みが無く。
 高校の回想は、
  予算的に、最低限のイジメのシーンしか撮れない。
  セリフで説明するだけでも事足りるので、
  シーン丸ごと削って、他にお金掛けたい。
 
 悪役の”工場長” が登場するシーンは、
  若手1人に全てを背負わせるのは無理。
  本来なら、中年の俳優を町工場の社長に起用し、
   粗野なだけでもなく、
   単に、”性格悪い” で済む生き様でもなく、
   搾取されつつ搾取する、
  狡猾でイヤらしい姿を描けないと。
 
  ”流石に、それはないやろ!” というツッコミを毎度入れてしまう。
   弱者に理不尽で厳しい社会を描くには、
   脚本に様々な立場の社会経験が足りない。
   セリフも中途半端に説明的で、
   リアルな生きた会話とは感じられず違和感。
 ロケ地の工場自体は、
 信州上田フィルムコミッションの素晴らしいチョイスなのに、
苦手が苦手過ぎる。  
 
美しいものを美しく撮る能力は高いのに。    
 
それと、気になったのは、
 絵を描くとか、
 歌を作るとか、
 観客の前で役者が実演しないなら、
設定すんなよ。
それは無くても成立するし、予算の問題じゃない。
ヤることの範囲で解決しえない設定を残すのは、アイデア不足。
キャストに要求出来ない事を、そのまま放置すんなよ。
 
音楽も、TV的でベタ過ぎるかなぁ。もっと控えたい。
予算掛かるようなら、劇伴無しでもいい。
  
 
  
うーん。 
得意を伸ばして、苦手は捨てましょうよ。
弱者の戦略で行きたい。勝ち目の無い戦いは略したい。
 
 
目指したのは、小説家でも漫画家でもなく、
映像の分野に進んで、自主で映画製作して、
劇場公開されるまでに、成った。
 
日テレの仕事なら、
 脚本家は別に居るし、
 キャステイングも、それなりに要求は通る。
 美術スタッフが、室内のシーンも微調整してくれる。
逆に、要求される全体のクオリティは厳守。
 
 
これから脚本が上達するチャンスは、あまり無いと思う。
自主映画で脚本を練習するのでは、チャンスも費用も勿体ない。 
 
  
極力、
脚本書かなくて済むように、 
優れてもない映像は撮らないように、
説明の為の、撮っても美しくないシーンは削ってよ。
専門家を投入するのが無理なら、
脚本は、ChatGPTの力借りてでも。
苦手を避け、得意で戦ってよ。
 セリフは、特に何とかしたい。
 設定も整理したい。説明しなくていい。
 リアリティに欠けるシーンは省きたい。
 
今の時代はもう、音楽はAIが、ヤッてくれそうなのだし、
脚本もAIに書いてもらって、
後で人間が手直しすることで、
最低限のクオリティ担保しつつ、省力化出来ないものだろうか。
 
 
リソース投入の取捨選択がセンスで、
低予算で、美しい映像が撮れるのだから、
戦略的センス磨いて欲しい。
 
万人にオススメはしないけど、
サービスデーに観た価値は、個人的には有りました。 
 
 
参考文献

勝手な想像だけど、領域を限定するなら、
実際に経営で実践してきた立場から自分なりに解釈すると、
ランチェスター戦略のエッセンスは二つ。
「やらないことを決めること」、
そして
「やめたことによって浮いた戦力を一点に集中して、
ライバルを倒すこと」 です。
 まだ売れてない若手女優をキャストし、
 地方を舞台に、フィルムコミッションの協力を得て、
 監督がリアルに共感する社会的弱者を描く、とか。
とにかくエゴは捨て、
 現実に存在する日本の美しい風景の中、
 等身大の日常を生きる、
 ヒロインを美しく撮る。
それに徹したい。物語は頑張らなくていい。
  
日本映画でも現在、大きい作品はスペクタクルを魅せ、成功している。
それでは満たされない観客の欲求を満たす局地戦なら、
チャンス有るかも。
一点に集中させるときに厄介なのが、
前のプロセスである「やめることを決める」ことです。
中小企業は人やお金に余裕がないから、
何かを思い切ってやめないと、
狙う市場に投入すべき戦力を確保できません。
欠点を無くす努力でなく、勝つ為の賢さを手に入れて、
是非、次回作のチャンス掴んで欲しい。
 
 
 
便利な時代なんだから、苦手な事は任せよう。
 
 
 
2025.10.31 15:30 現在
 只々敗北。
 まるでバブル。特に実態があるとも思えなかった。
 負けを認めつつ、来週を待ちます。
 
								
