ども、カオサンの古本屋で、2冊購入。
どちらも、楽しめました。
どちらも銀行を題材にとった小説です。
一冊目は、
半沢直樹でおなじみの池井戸作品。初めて読みました。
テレビは10分ぐらいでギブアップしたワタクシですが。
こちらは通読。
中小企業経営と銀行員との間で繰り広げられる、
資金繰りの悲喜こもごもを描いた短編集。
都銀に限らず、地方支店の融資課の行員の視点から描かれる。
個人的には、「芥のごとし」が印象的である。
下手な情けは、却ってアダ。金貸しの仕事って実感が迫る。
って、ことは逆に、この人独特の大衆演劇的な手法というか、
庶民におもねるような主観は苦手です。
金貸しの本分、正義、モラルって、そういうことじゃないでしょ。
他人のカネを他人に貸すって生業としてんだから。
金貸しのスキル自体をもっと話題にして欲しいなぁ。
まあ、あんまり硬派に本気でやり過ぎると、
こんなに売れなくなっちゃうし、
テレビもそこに目をつけて、演出徹底したんだから、
私の不満はお門違いな文句ではある。
融資や手形の手続きやお金の流れは、正直勉強になった。
反面、
融資審査の実態や、簡単な会計操作がバレないことなど、
うーん、いっくらなんでも、あり得ないんじゃないの?
という一抹の疑問は常に残る。
(だから半沢直樹もギブアップなんだが)
そのレベルの低さはリアリティが無い、という書評も見かけた。
私も同意する。
が、
融資申請の実体験からすると、意外とそうでもないかも。
と思い直す。
いろんな人が居た。
優秀な人とそうでない人。親身な人と冷たい人。ベテランと新人。
都銀、地銀、信金、ノンバンク。(スルガってどこに入るの?)
それから国金。
ホントにいろんな人が居たね。
それはさておき、
この短編集の主題は、銀行側より中小企業。
それも、資金繰りよりも、出口戦略が主題。
我が身一代限りなら、なおさら、売却も視野に入れたい。
売却だけでなく、転業、廃業、いろいろ。
どうにかなるうちに、どうにかしなくちゃいけない。
で、ほんとは融資能力って、それと裏腹なはずなんだが、
審査内容にはあまり、踏み込まないで、小説は成り立っていた。
もう一冊は、
バブルが弾けるころ、変額保険の復讐譚としての要素を盛りつつ、
ある都市銀へ仕手戦を仕掛ける。
図体はデカイが収益性は低く、未だに合併前の派閥を引きずるって描写からは、
今、黒い癒着で話題のあの銀行が思い浮かぶ、
が主題は、変額保険の復讐譚だから、別の銀行?
ところで、変額保険ってなんだけ?
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%89%E9%A1%8D%E4%BF%9D%E9%99%BA
じゃあ、池井戸氏の方が内情に詳しかろう。
(変額保険を題材にした池井戸作品もあるらしい)
途中で気づいたんだが、これテレビで見た。
植木等とTOKIO長瀬が主演。ネプ泰造と松重豊が印象に残ってる。
ヒロインは長谷川京子だったはず。
テレビと比較すると、
作者は語り口が上手いんだよな。スムーズで。
(当たり前だが、テレビ的な演出要素が無いから)
主人公が、株式市場に魅せられていって、
恋人に、私と株どっちをとるの?って訊かれて、
株を取るところなんて、見事。
反面、変額保険を売りまくった銀行への恨みは、テレビよりあっさり。
ニュートラルなスタンスを貫いてる。
成長物語の色彩が強く出てる。
まあ、
風評の流布で儲けることが復讐になってんのかって、
根本的な疑問が常に残るので、恨みの要素薄くして正解ですかね。
てか、むしろ、その要素最初から無い方が、良かったんじゃないの。
小説って、
どう面白くするのか、
読者は何に面白さを感じるのか、
難しくもあり、それが出来なきゃ生き残れない世界でもあり、
素材より、さじ加減が大事って、思った次第。
質問コーナー、お問い合わせは、sanpome.net@gmail.com まで。
メルマガ 三歩目の不動産投資で海外移住。