マーベル買収も劇的。敵は誰か? ケチケチ経営vsケビン・ファイギ「アイアンマン」「スパイダーマン:ホームカミング」「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ 」

ピクサーのディズニーによる買収劇に興味持ち、
マーベルの物語も追ってみました。こちらも負けず劣らずジェットコースター。
ここでも、
ボブ・アイガーがケビン・ファイギという才能と情熱を存分に発揮させてます。 
 
マーベルのテーマは英雄ですから、
敵は誰なのか? 
それが最大の問題でした。正義とは何かではなく、
敵あってこその正義。 
  
参考文献

 
知らないことが沢山ありました。
 ピクサーにおけるトイ・ストーリーがそうであったように、
 マーベルのアイアンマンが乾坤一擲の大勝負だったこと。
  
 スーパーマンはDCコミックスで、マーベルはスパイダーマン。
 マガジンとジャンプのように出版社が違う。ことは知っていたが、
 版権を売ってしまって、
 X-MENはフォックス、スパイダーマンはソニーが、
 権利持っていたのか。
 
 マーベル破産は聞いたことあったが、
 再生させたのはオモチャを扱う関連企業とは。
 
 結果出してるのに、ファイギはオーナーと大揉めで、
 結局、ディズニーのボブ・アイガーCEOの決断で、
 今日の大作主義に至る。
 
 フォックスの権利問題はディズニーが会社ごと買収して解決したが、 
 スパイダーマンの権利は今も共同。
  
 
ケビン・ファイギが、ユニバースとマーベルシステムを作り上げた。
が、
それは単純な成功物語でなく、紆余曲折、浮き沈み激しいドラマだった。 
  
 
 
破産からの逆転劇はマンガみたい。
バブリーで羽振りよいときもあったが凋落。
映画に進出するも、ルーカスのハワード・ザ・ダックで大コケ。
投機筋の手に渡り、乱脈経営。
キャラクターの版権も売ってしまう。
チャプター11(民事再生に当たる)申請するまで落ちぶれ。
オモチャメーカーのトイビズのオーナーである、
アイザック・パルムッター主導の再生となる。
 
 パルムッターのサクセスストーリーは以下。
 「MARVEL倒産から逆転No.1となった映画会社の知られざる秘密」より

パルムッターは1942年にイスラエルに生まれ、兵役後24歳でひと山当てようとアメリカに渡った。

ブルックリン各地の葬儀でヘブライ語で聖書の祈りを唱え、街頭で玩具や化粧品を売りさばいて金を稼いだ。大幅な割引価格で買い上げた余剰株式を再販して利益を得ることも覚えた。倒産が見込まれる会社を買い上げて、利益が見込める部門を切り売りして利益を上げるのだ。 
トイ・ビズを買い上げたときも同じことをしようとしたが、この会社は収益を上げられるものにできるのではないかと考えを改めた。
従業員を最小限に抑え、どこかに土地を買い上げて社屋を建てることはせず、ニューヨークにリース契約したささやかなスペースを本部に営業を行い、ライセンスを手に入れると商品の製造は中国で行い、商品はアリゾナの倉庫で保管し、各地の量販店に販売委託した。

こうした努力を重ねた結果、トイ・ビズは劇的に経費を抑えることに成功した。ある専門家の見積もりでは、1990年代中頃には従業員ひとりが年間200万ドル近く利益を上げる会社に成長した。

 そしてマーベルと取引。

トイ・ビズの売上の46パーセントを差し出す代わりに、玩具製造に関してマーベルのキャラクターの永久使用権の独占契約を求めたのだ。

 さらに、破産再生では、パルムッターの案が泥仕合の末採用される。

トイ・ビズはつなぎ融資を得て、負債を抱えていた銀行数行からマーベルを買い上げた。 
こうして1998年6月、マーベル・エンタープライズはトイ・ビズと合併し、マーベル・エンターテインメント・グループとなり、アイザック・パルムッターがCEOに就任した。

マーベル・コミックスの編集者の数も減らした。マーベルの諸方針を示し、出費を抑え、高給取りの役員には契約解除を言い渡した。同時にアヴィ・アラッドに新たなライセンス契約を進めるように指示した。

 新生マーベルは映画産業にアプローチし、
 アヴィ・アラッドは、
 ソニーにスパイダーマンを、フォックスにはX-MENの売り込みに成功。
 X-MENのアシスタントとして、ケビン・ファイギが参加。
 サム・ライミ版のスパイダーマンが制作される。
 しかし、マーベルにとって、美味しくはなく。。

この時期、マーベルのスーパーヒーローたちは映画業界に次々となだれ込んでいくが、
マーベルの知的財産であるキャラクター・ライセンスを利用する映画制作会社5社にほとんど利益を取られてしまい、アラッドもパルムッターも不満を募らせた。

 ここで、財務を担うディビッド・マイゼルが登場。
 融資引いて映画制作に参入。

メリルリンチはマーベルに5億2500万ドルの資金を援助し、PG‐13指定*121の映画であろうと、マーベルが望めばどんな映画にも最大1億6500万ドルの追加支援を出す。
 <中略>
マーベルのキャラクターそのものを担保にしたのだ。

ピクサーのメンバーに例えると、
 オーナー:ジョブズ → パルムッター
 社長:  キャットムル → アラッド、ファイギ
 財務:  レヴィー → マイゼル
 制作:  ラセター → ファイギ
 
 
ここから、逆転劇が始まる。 
権利を買い戻せるキャラクターの中から、アイアンマンを選ぶ。

子供たちを集めて、どのキャラクターの玩具がいちばん好きか、アンケートを取ったのだ。
 <中略>
結果は、アイアンマンで遊びたいという答えが圧倒的に多かった。

 それは当然と思う、パーツの交換もできる超合金マジンガーZみたいで、
 ただの人形とは魅力が全く違う。

結果論だけど、
ここでアイアンマンを第一作に選べたことが運命の分水嶺。
経営の死活ってそんな決断の差ですね。
 
監督とキャストを抜擢し、アイアンマンは大成功。
賭けに勝ったが、
経営陣の介入に嫌気が差して、ここでアラッドは退場。
ファイギが制作を仕切る。
 
 
   
その後、
2009年にディズニーが買収。
CEOのボブ・アイガーは既にピクサーで成功体験あり。
ジョブズがパルムッターを説得した。その方が企業価値が上がると。
 
ディズニーが版権を買い戻す。
ファイギには既にアベンジャーズまでの構想があった。
それも、ディズニーの資本力あってこそ。
そして、ディズニーは、
 クリエータが存分に才能発揮できる環境を、
 用意することが、
 利益をも最大化する。
ことを知っていた。
 
 
が、敵は内部に、
パルムッターはケチケチ経営で、
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカの制作費を削ろうとした。
ここで、アイガーは大鉈を振るい、パルムッターは退場。
ファイギ社長に一本化。
 
 私はパルムッターは経営者としても超優秀だと思います。
 普段からコスト意識高い経営者は素晴らしい。
 しかし、
 ディズニーが考えるマーケット規模やビジネスモデルに、
 パルムッターの経営方針がマッチしていない。
  北米での映画興収+グッズ販売とコストのバランスを意識するのと、
  全世界相手にテーマパークも含め、
  あらゆる版権も確保するビジネスでの最適解では、
 自ずから予算の掛け方が異なります。
 売却したんだし、もう手を引くべき時期ですね。
 
 ちなみに、前回は褒める余裕ありませんでしたが、
  ディズニーの前CEOアイズナーの経営手腕は、
  マイクロマネージメントを徹底し、生産性を上げるというもので、
  功績も大きいものと思います。
 ただし、
  凋落してゆくアニメーションを立て直すには、
  クリエイティブの再建が必須で、適任ではなくなってしまった。
 
 経営者の成功体験と時流との一致不一致を見極められるのが、
 良い株主ですね。
 
 
 ファイギの凄いところは、
  MCUというユニバースな構想の大きさ、
 そして、
  ジャンプシステムのようなマーベルシステムというべき、
  映画製作の手法の確立。コンテンツが枯渇しない。

 マーケットに相応しい大きさで計画できる人、
 予算大きければ、大きいほど保守的になってしまったハリウッドでは、
 特に稀有な存在。
 
 ディズニーとネットフリックスに、コンテンツ産業集約していきそう。
 
 
ピクサーの物語とは、ここから大きく違って、
アイアンマンから始まり、
アベンジャーズ/エンドゲームで一旦終結しても、
ファイギには次の構想がまだまだあり、物語は続く。
 
マーベルコミックスのキャラクターは無限に創造されつづけ、
そのリソースをシネマティック・ユニバースとして無限に創造する。
まだまだ、しばらくは、ファイギは唯一無二の存在。 
 
 
と、ここまで予習してから、観てみました。
全部を追うのはキツイので、初期めの中から、
できるだけ転機となってる作品探してます。
 
記念すべき第一作目。社運を賭けた大勝負。
 
 なんと言っても、メカメカしいアイアンマンがカッコいい。
 しかしそれだけでは、オモチャを売るための販促映像になってしまう。
 ここでマーベルメソッドの原型が発動している。
  役者のネームバリューでなく、
  主人公の人間的魅力に最大限フォーカスを当てる。

  ストーリーに適した監督を抜擢。本作ではジョン・ファヴロー。
  元からアイアンマンが好きで、
  現代のリアルで、特殊効果を使いこなし、コメディも混ぜられる。
 
  音楽はカッコいい。使い方がオシャレ。
  「I am Ironman.」でエンド、メカの設計図のCGとともに、
  アイアンマンのテーマ。
  クスリは寿命を縮めるなぁと回想しつつ、いい余韻。
  
  監督のイメージしたキャスティングを優先し役者も抜擢。
  毒親育ちで私生活も荒れたロバート・ダウニーJrで、
  という監督の推し、周りの反対押し切って最高です。 
 
  低予算で脇のキャスティングもうまい。
  アーマロイド・レディ的秘書役も若すぎず、エロ過ぎず絶妙。

  脚本も良く言えば、フレキシブル。
  現場主導、アドリブ全開だからこそのライブ感。
 
 
 個人的な感想は、
  カットを割りすぎず、
  全体よく見せてくれるファブローの演出好みです。
  私は画面がうるさすぎるのは邪魔に感じます。ゲット・アウトとか。
  寄り過ぎず、無駄にカット割らず、
  引きで美しいアイアンマンの飛行を見せてくれたのはセンス感じます。
  センスない寄りたがり、割りたがりもありがちな中、貴重でした。
   
  マーベル内部のクリエータと経営陣の対立構造が反映され、
  そこに、ジェフ・ブリッジズの重厚さが加わり、
  魅力的な悪役を配置できたのも幸運と思いました。

  逆に、真正面を避けたのは、
  自警団の敵は誰で、国軍でなく自警団の必要性。
  いつか回答せざるを得ない日が来るでしょうけど、
  単体のヒーロー物としては、
  適切なリアリティラインの判断と思います。

   宇多丸評でも論じられてましたが、
   敵の存在がつまらないと物語がしぼんでしまう。
   かといって、
   イスラム原理主義者の悪を記号でないリアリティで描いては、
   別のお話になってしまう。
 
   意図的に、
   宗教や民族、人種の、人間対人間の対立には踏み込まない。
   その問題避けて、対立構造作るのは難しく。敵役に工夫がいる。
   むしろ進撃の方がラクなのかと、思ってしまいます。
 
   更に、
   米軍と自警団の軍事力についても、
   リアリティラインを軽めのバランスで。
   米軍のドローンより、
   アイアンマンがタリバンをやっつけられる理由が特になく。
   自警団の必然性はここでは描かれず、
   むしろアイアンマンはただ報復しただけ。
   
   今更、軍事産業は辞めると言い出しますが、
   なんでその後も、裕福な生活できるのか?
   廃業してムカヒ大統領のように清貧に暮らすなら別ですが、
   なんの説得力もありません。
   しかし、お話はそちらには振らない。

   そんな境遇で性格もバブリー、頭脳明晰、社交的で機転も効くのに、
   毒親育ち、罪悪感持ち自己肯定感が実は低く、
   このキッカケで再起に賭ける。
   役者の波乱万丈な人生と二重写しのキャラクタへの深堀りが成功の要因ですね。
   
   マーベルは、そのあとハルクを作るのですが、
   そのときは、どうも主人公のキャラ立ちで失敗したみたい。
    抜擢された監督はトランスポーターのピエール・モレル。
    アクションには定評あります。
    ハルク役交代するマーク・ラファロを監督は推していたのに、
    エドワード・ノートン起用して分裂してしまった。
    お話もシリアスとアクションが分離してしまった。
    もっと、
    ジキルとハイドな人格の分離を丁寧に描いて、
    賢明、沈着、温厚なラファロが一度覚醒してしまうと凶暴。
    人間の二面性をよい演出で描けてたら、
    ハルクの結果も違ったかも。
   
    
   まあ、マーベルシステムはこの失敗からも学ぶのですが、
   ともかくも、
   絶妙なバランスとマーベルシステム(の原型)で一か八かの賭けに勝った。
 
   ところで、この作品単体では、
    敵は誰か? 対立構造は何か?
   というと、
   パルムッターが相手で、問題は経営方針の違い。

   悪役のジェフ・ブリッジズは有能な経営者で、
   さらなる軍事産業への拡大をアイアンスーツの活用で目論見ます。
   商売第一の勤勉家だからこそ、理想主義な主人公と揉める。
   
   最初の段階から、
    パルムッターのケチケチ経営vsファイギ達クリエータ
   が勃発してます。
   最初に犠牲になる医師は、
   経営方針に反発し辞めるアヴィ・アラッドですね。
   
   現実同様に、最後はファイギが勝って、めでたしめでたし。
   その後すぐ、買収されたのも幸運でしたね。
 
 
 
次は、ソニーとの権利関係を潜り抜け、成功させた新機軸。

 まさかの学園ものコメディ。暗い青年じゃない。
 ここでもファイギは監督を抜擢、さらに監督が主役を抜擢。
  子供と大人の関係を描くことに長けたジョン・ワッツ監督と、
  童顔で、ポップで身軽なトム・ホランドが陽キャな中学生にハマる。
 
 音楽は最高でした。
 「スパイダーマン、スパイダーマン♪」と歌ってしまいます。
 マーベルがやらない夜の戦闘シーンは見ずらいとの指摘もありますが、
 同じメロディで、ビルの谷間の暗がりに目がキラリと光るのですから、
 夜のシーンは必要ですよね。  

 だったらサム・ライミ版観ればいいじゃん的な批判は無視して、
 気のいい隣の中2の成長を温かい視点で楽しんだほうが、
 人生トクだと思う。
 
 ただ、アクションでの演出の好みは別れても仕方ないかな。
 私は、主観よりも引きだからこそ分かる、ドジっ子ぶりに笑いました。
 本作では、臨場感より引きによるコメディ演出を私は評価します。

 そして敵の設定が見事で、そこにマイケル・キートン。
 マーベルの世界観では、人種の多様性が実現されてて、
 ニューヨーククイーンズは格好の場所だそうです。白人はむしろ少数派。
 悪役は産廃業者の社長。庶民派なヴィラン。
  当局は、アベンジャーズの戦闘の残骸を揉み消そうとする。
  しかし無能ゆえ、雑な仕事。後先考えず命令に従うだけの対応。
  このため弱小企業は倒産の危機に陥る。
 悪事に手を染めても、
 社長は社員や家族の生活を守らなければなりません。
 
 人種の多様性が物語の鍵にもなりますが、
 悪役を敢えての、プアホワイト。
 トランプ支持者の中核に持ってきてるそうです。
 しかも、良き父親で同情すべき人。
 そもそも、
 当局の揉み消しの後始末が杜撰だから、こうなるんだよと、
 観客に突っ込ませることで、マイケル・キートンは憎めません。

 この対立構造も見事です。
  毒親育ちのロバート・ダウニーJrが碇ゲンドウ全開で父親ずら。
  凄みもあり、酸いも甘いも噛み分けてるマイケル・キートンの父性。
 この対比のさせかたも、ユニバースが効いてる。

 ユニバースな敵のインフレでなく、
 地元ニューヨークの市井の人で、おかえりスパイダーマン。
 こんな変化球もMCUではありなんだと、拍手喝采でした。
 

で、当然アベンジャーズ一作目も観たのですが、
うーん、納得ゆかない点が気になってしまった。

 最初の5分で違和感感じました。
 ロキって北欧神話のトリックスター。
 雷神トールが戦鎚持ってるので、薄ぼんやりと知ってます。
  それが車で逃げるって、ないわー。
 変装が得意で、自在に移動できる靴を履くロキでしょ。
 ピエロの原型で、いたずら好き、
 ハンターハンターのヒソカみたいなキャラ想像してた。
 ロキがただの小悪党で、車で脱走ではちょっと厳しくないか。
  
 まあ、原作も映画も既に存在してるので、今更でしょうけど。
 この段階では、魅力ある敵を設定できてない。かと不安。
 
 ディズニー脅かすような巨大な敵はもう地球上に居ないでしょうから、
 その外側に求めるしかなく、
 インフレ化させて地球侵略目論んでもらうしかないのですが、
 この段階では、敵は何したいのか不明なため、ハラハラできない。
 あと、弱いし。
 米軍の方が強そう。
 いきなり白兵戦挑むとか、テクノロジーは地球が上。
 特殊能力はあるけど、圧倒的強さは無い。
 あんだけ高機能な設備なら米軍で充分じゃないの。
 あんまり、アベンジャーズの必然性感じない。
 
 それに、
 サミュエルエルジャクソン監督が無能。
  最初にチームの趣旨や目的を共有させ、
  それから、各自の役割分担を明確にしないと、
 そりゃまとまりません。精神論とか、違うでしょ。
 ジーコ監督のときの日本代表って、こんな感じでしょうか。
 揉めるべくして揉める。

 ニューヨークで戦っても、精神論な団結くらいしか、
 9.11以降の回答って無いんだよな。
 だったら、組織でなく、個で戦えばいいじゃん。
 無理に仲良くしなくても。

 なにはともあれ、
 これだけのヒーロー達を整理した監督のジョス・ウェドンは凄いけど、
 敵の造形には納得ゆかない。私は。
 相変わらずマーベルの内部では経営が対立してることだけ分かる。
 
 
そこで、
MCUが避けて通れないテーマを扱ったこの作品に切り替えました。
またこのときに、マーベル内部の対立のピークで、
結局、ケチケチ経営はここで退場となります。

 シビル・ウォーは内戦でもあり、市街戦。
 
  その契約の強制力は何故担保されるのか、
  国連が何を管理できるのか、マネジメント能力なんてあるのか、
  国連やアメリカが充分に強力なら、そもそも自警団いらない。
  ドローンの誤爆のほうが非難決議は先じゃないか。
 いろいろと疑問が湧きます。
 
 なので事態の収拾に奔走するアイアンマンでなく、
 それに反旗翻すキャプテンが主役。

  冒頭のシーンも、あれをやらかしというなら、
  国連の多国籍軍でも、米英の特殊部隊でもいいから、
  もっとスマートにやってみせてよ。
  誤爆などの明らかなやらかしではないので、
  世論がアベンジャーズを非難してるのは理不尽に感じます。
 そう感じるようシナリオに誘導されます。
  
 アベンジャーズが分裂してくのも双方もっともだと、
 感情移入出来るよう工夫されてます。
 
 市民からの武力に対する敵意を対立構造に持ってくるのか、
 それに好感持ちました。
 宗教や民族や差別の問題避けて、対立構造作るのであれば、
 この視点はどこかで登場させておきたい。
 米軍が憎まれる主要な理由でもある。かもしれない。
 
 この憎しみが今日的なのは、映画とは逆に現実は無人化AI化が進み。
 それ故の誤爆もあり。
 
 だからといって、ヤンキーゴーホームとベトナムで無邪気に言えたのは、
 皮肉にも冷戦構造の影響下で共産圏の支援あり、
 民族の自決ほど尊いものはないと、
 アメリカ撤退後の同じ民族で殺し合った国をまとめたから。
 ポルポトとホーチミンの違いは運ゲーかもしれない。
 
 一方で、
 米軍が撤退してISが台頭しても、それで、めでたしなのかとの問に、
 戦後教育を受けた日本人の多くは停止して答えない。
 アフガンにソビエトが侵攻して泥沼化したときだって、
 関心を持った日本人は、長倉洋海くらいのもんだった。

 今の方が構造を単純にするのは難しい。
 自分が正しいとは信じないって、いいセリフ。

 難しいテーマを、
 ルッソ兄弟監督は本当によく立ち向かってると思います。
 映像的なサービスもよく心得てて、
 ただ、私はそこまでカット割らなくていいシームあったと観ました。
 スパイダーマンのアクションは、
 立体機動みたいなルッソ監督の方が好きな人もいるでしょうね。
 
 それから、敵役の計画が杜撰との批判ありますが、
 もともと寄せ集めの自警団、共通の目的は希薄。
 関ヶ原の西軍みたいに、小早川焚き付ければ総崩れでも不思議ないので、
 緻密でなくても、充分成功しそうです。

 憎しみの連鎖をどう断つのかという終わり方も立派と観てました。
 
この後は、ケチケチ経営との抗争にけりも着き、
 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの登場と、
 マイティ・ソーのテコ入れで、
地球外の巨大な敵との戦い、より大きい話になってく。らしい。
 
民事再生からの離陸、まるでシンデレラ。
教訓は、
売却したらもう経営からは一線引いた方がいい。ってことか。
売り先は器のデカイとこに限る。株式交換だもの。

マーベルでは、版権という原資を映画化で最大限の価値に。
ディズニーでは、MCUを取り込みつつ、価値最大化の整備。
この入れ子構造で、スパイラルに価値を拡大しつづけている。
しばらくは、無限に価値を生み続ける仕組み。
 
投資のお手本、事業再生のお手本でした。

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