「オッドタクシー」は「全裸監督」なのか、最終回は綺麗だけど、ちょっと残念。

まだ、「全裸監督2」観てないのですが、タイミング計ってイッキ見の予定です。
2で終わりは残念ですねぇ。
 
「全裸監督」が登場したときは、
これで連続ドラマはTVから配信に移るだろうな。
あたかも、
マリーネデートリッヒの「モロッコ」がサイレント映画終わらせた如くに。
なんて、連想してました。
 
ところが、今はTVerで観れますものね。
私も田中みな実の怪演をアベマで楽しみました。
 TVドラマの製作サイドは配信を意識しつつ、既存顧客を離さないように。
 TV観なくなった層に連続ドラマ見せるのは、まだ特殊な作品のみ。
現状はそんな印象を持ってます。
 
「全裸監督」に続く、日本発の配信での連続ドラマ。
今後生まれますか。違う客層の人向けの。
終わっちゃうと、次の企画出るかな。
2で終わるのは勿体無い、そんな予感があります。
 
日本が世界に発信できるコンテンツはAVとアニメですから。
ここを突破口に世界に向けて配信。
韓国とはまた違う、日本ならではの作品、また楽しみたいですね。
 
 
 
で、「オッドタクシー」無事最終回。連続ものを楽しみに拝見しました。
ラストは、デビッド・フィンチャーみたいでしたね。
渋いミステリーかと思いきや。
  
私はアマプラで観てましたが、テレビの深夜アニメとyoutube連動させて、

ただの公式チャンネルでなく、オチに重要に関わってるところ、
充実したサービスで、ちょっと感動的でした。
 
脚本はじめ、クオリティが素晴らしいのは、
言い尽くされることでしょうから、
 
 
配信ありきで、今までの深夜アニメとは違う狙い。
そんなこと考えていました。
 
 ハードボイルドの深夜アニメ
 異文化(ラップ、コント)の取り込み
 ケモノ系というアニメ表現

ですかね、新しい取り組みは。
 
 
・ハードボイルドの深夜アニメ
 脚本の此元和津也の「セトウツミ」は未読です。
 会話がそれっぽい。らしいとのことですが、
 私はハードボイルドらしさを重視していました。
 萩原浩を懐かしく思い出しました。特に、
 
 ああ、タクシードライバーが主役もありましたね。
 
 
 コントとして評価する人しない人賛否別れてるみたい。
 まあしかし、そんなことより、
 
 この会話のテイストでお話が進むこと自体。貴重なんだし。
 絵柄で中和しながら、ノワールなハードボイルド。
 実写でも、よく出来たのに出会うこと稀。 
 ましてや、深夜アニメでは、
 主役がオジサンであることなぞ許してもらえさそう。
 
 「まどかマギカ」とは、ある意味真逆のベクトル。
  ありがちな萌え画とフォーマットから、香港ノワールな友情物語(by宇多丸)。
 一方、こちらは、
 陰惨さもある内容を動物擬人化で中和して、受け入れられやすく。
 深夜アニメはアニメファンだけのものじゃない感が嬉しい。 
 
 逆に、配信という新たな地平のおかげで、
 深夜アニメに馴染まない、最近は実写でもあまり見掛けない、
 このテイスト。
 しかも、この完成度。
 配信が無かった時代では成立しなかったかもしれない成立を、
 一番最初に喜びたい。
  
 
・異文化(ラップ、コント)の取り込み
 PICSという音楽畑から来た尖った企業のオリジナルコンテンツの誕生。
 という文脈で考えると、ラップとの融合。ヤノ役は本物のラッパーだし。
 
 普段から海外の反応への意識強いのだろう。
 https://block.fm/news/SUMMITimes_PUNPEE_oddtaxi
 これまでの制作会社とは違う発想で、マーケットを拡大してゆく。
 新しい可能性を感じます。
 AVとアニメは海外に発信力ある日本の2大ジャンルですから、
 更に掛け算の進出、続くといいですね。

 同様に、芸人さん多数使ったのも、
 これまでの、声優さん以外を使うという文脈とは、ちょっと違うのかな。
 脚本家は、コントの会話劇をやりたいという欲求強いんだと思う。
 ダイアンはもちろん当然として、ミキ兄弟も。
 個人的には、トレエンたかしというキャスティングは天才。シビレました。
  
 これまでのアニメっぽくない音を導入しようと、積極的ですよね。
 まあ、キャストで一番衝撃的だったのは、
 白川さんが想像以上に白川さんだったことですが。
 
 
 新しいマーケットに新しい才能が注がれて、素直に嬉しい。
 
 
・ケモノ系というアニメ表現
 「ウマ娘」「あつ森」「けもフレ」と記憶をたどります。
 「名探偵ホームズ」あたりが実は最初でしょうか。
 
 歴史があるので、私達は違和感なく擬人化を受け入れます。
 そしてこれは、アニメならではの表現。
 
 実写でなく、アニメでやる理由。
 まあ、それも綺麗に伏線回収してる。
 私は回収して欲しくなかったけど。
 
 昔、伊集院光が言及してたけど、
  動物のキャラとペットの境界は?
  ペットは喋らないの。
 その抽象的な矛盾を逆手に取る。
  
 これもまた、「まどマギ」とは別のベクトルでの映像表現。
 背景は東京のリアルな街並みを、タクシーが走る。
 やり過ぎず、丁度いいリアリティ。
 改めて、オープニングに全てが詰まってる。
 
 なんて、オシャレなんだろう。
 私は、このOP一発でやられてしまった。
 夜のセンスが素晴らしい。
 
 センスの塊の擬人化、女の子じゃない擬人化。意味しかない擬人化。
 改めて観ると、やっぱり完璧な擬人化。
 実写では出来ないことで、アニメ定番と見せかけて裏切る。
 既存とは違うマーケットにも響く、
 原作モノでもないオリジナル。

 ちょっとギャンブルだったと想像するけど、
 賭けに勝って良かったね。本当に良かった。
 
 
 
あと最後、不安になったこと書きます。  
お話の構成は、
大きく、3つの謎が並走し、
 A:女子高生失踪とアイドル界隈、メインの謎
 B:拳銃の発砲と犯人の動機
 C:宝くじの行方と当選者の命
背景に、
 D:主人公の過去と体調
どれも、主人公のタクシードライバーをハブとして人物が交差する。
という作り。脚本家の力量が問われるストーリーです。
 
逆にそこまで複雑にしなくても、 
全13話なら、
Dはキープしたまま、Aだけでも行けたんじゃないかと。

ワンシーズンあたり、メインの謎一つで。
シーズン2がB、シーズン3がCの話とか、
そうすると、数シーズン出来たと思うんだよな。
で、
Dの謎解きは、匂わせつつ、全シーズン終了時で。
複雑なストーリーを上手にまとめてしまったが故に、
 
ハードボイルド+ケモノ系でアニメというフォーマットは、
もう使えないのか、
ヤクルトの伊藤智仁が酷使の末、一年で壊れてしまったときのような、
残念を覚えました。
もっと、観たかったなぁ。
 
アニメファンにおもねらない、こんなクールな作品なかなか無いもの。
原作ありきとは、また違うんだよね。
同時に漫画化もしてるけど、アニメありきでの計算が心地良い。
 
全裸監督もオッドタクシーも、これで終わると、
配信を楽しみにする、オリジナルドラマ、次あるかなー。
と、なんだか不安になってしまう。
 
主人公の安否でなく、別の不安がよぎる。
9回で代えろよ、いくら好投でも。
とナイター中継でツッコんでいた、あの気持ちが蘇る。
もう少し、小出しにしたら。。
 
 
後世、どう評価される作品かは、まだ分からないけど、
完成され過ぎていて、逆の感情に振れてしまった。
 
とにかくも、
アマプラのおかげで、リアルタイムに追えてめでたい。

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