阪元裕吾監督は25才で、「ベイビーわるきゅーれ」公開。
完成度がものすごく高い。とにかく淀みない。
見せ場をたっぷりしっかり魅せる。
説明でダレない。無駄がない。
会話が上手、キャラの実在を感じさせる。
演技が自然、顔芸演技はさせない。
脚本が自然、強引さを感じさせない。
どこかで、違和感が気になってしまう映画も多いのですが、
まったくそれがない。
この映画は、違和感なく、95分間ずーっと没頭させてくれる。
単に淀みないだけでなく、
現代では破格のアクションから、ダウナーな日常系コメディ。
その緊張と緩和も上手。
アクションが得意だからといって、それだけに頼る訳でもなく、
日常パートの会話劇に、場内は笑いに包まれた。
殺し屋を生業とする女子高生コンビが、卒業と同時に、
社会的自立を迫られ、バイトを探しながら、本業も続け、
次第に、ヤクザ一家と対立してゆく。
というあらすじなのですが、
坂元監督の脚本が巧みなのですが、
女子高生コンビのキャラクター造形で勝ちでした。
メイド喫茶で、なんとか客あしらい出来ちゃう娘と、
殺し屋以外出来ない、社会不適合者。
バディものにして、ダウナーな日常系コメディを成立させた。
才能というしかないのかな。
どんだけ予算があっても、劇場で笑いが起こるものは少ない。
冒頭から、アクションで観客は鷲掴みにされますが、
社会不適合な殺し屋女子高生の伊澤彩織さんの身体能力が凄く、
私は最初、男の人がスタントしてるのかと思ってしまいました。
それは逆で、
スタントが本職の伊澤彩織が、演技も兼ねる。とのことでした。
このアクションはもう、香港でもハリウッドでも観られない。
大抵はワイヤーとかCGで処理されてしまう。
見た目は派手だけど、生身ならでは迫力で勝負しない。
本当に格闘術習得してる人の体捌き。
それを長回しで、たっぷり魅せてくれる。無駄にカット割ったり邪魔しない。
しかも、サバイバル系のリアルな暗器も出てきて、現代にアップデートされてる。
武田梨奈で、もっとアクション映画撮っておいて欲しかった。とかつて書きましたが、
新星あらわる。
このまま、アクションスターとして、大成してほしいですねえ。
スクリーンで観れて良かった。東京で暮らすメリットです。
不満なのは、ポスターですね。それから予告編。あとタイトル。
何より最初に、アクションが凄いって伝えないと。
本編はド頭で、度肝を抜くアクションですが、
ポスターや予告編も同様に、初手からアクションで掴まんと。
殺し屋女子高生という設定は、二の次でいいじゃん。
特にポスターだけだと、凡百なアイドル映画と間違えられかねない。
なんで、そんなリスクをテイクするのだろう。
私もポスターだけでは観ていない。ラジオの宇多丸推薦で背中押された。
あやうく、劇場で観るチャンス逃すところだった。
USPについて、ふと考えてしまう。
USPは、設定したペルソナに刺さることが重要です。
https://ferret-one.com/blog/btob-siterenewal05
・圧倒的な差別化、独自性
最近では”ダイソンの吸引力”が引き合いに出されること多いですが、
ここまで本気の生身のアクション、しかもヒロインが、
って、香港でもハリウッドでも見かけない。
武田梨奈以来で、それ以上のアクションのクオリティ。
それを見込み客に提案しないのは、機会損失。
・USPは掛け算でよい
アクションの次が、会話劇のコメディの面白さ。
さらに、現代の生きづらさも描いている。
それを全て描くための設定。伝えるのは設定自体ではない。
伝えるのは面白さそのもののはずで、
宣伝はズレてる。
・USPはペルソナに刺さるべし
”秋野つゆ”が有名事例ですかね。
Soup Stock Tokyoの「秋野つゆ」の成功事例からみるペルソナの作り方とは?
https://www.is-assoc.co.jp/brandinglab/persona-soupstocktokyo
アイドル映画を観る人がこの映画のペルソナだと思えない。
単館系にも足を運び、アクション好き。娯楽作も好む。
三角絞めさんをライトにした感じでは?
誰に見て欲しいのか、意識してる感じがしない。
うーん、↓どうでしょう。
アクションが凄いとは、感じない。
低予算大ヒットと比べて↓、
ゾンビ映画で、撮影中の話だとは分かる。ヒロインでも引っ張れる。
さらに、タイトルの「ベイビーわるきゅーれ」もどうでしょう。
ベイビーに意味がなさすぎでは?
ボツ案の”JKわるきゅーれ”の方がマシだと思う。
”バイト探しのわるきゅーれ”でも、
”フリーターわるきゅーれ”でも、
”不器用わるきゅーれ”でも、
もうちょっと情報量が欲しい、どんな映画なのか想像つくようにせんと。
「鳩の撃退法」のように意味不明でもなく、
ただ凡庸じゃないかなぁ。ペルソナに刺さらない。
アイドル映画と間違われてしまう。
宣伝サイドは、もうちょっと知恵絞るべきだと思うよ。予算の問題じゃなく。
成否はまだ分からないけど、「鳩の撃退法」の予告とキャッチ。
”この男が書いた小説(ウソ)は、現実(ホント)になる。”↓
で、藤原竜也の顔。
デスノート系か、あるいはカイジのように知略か?
と期待するよね。嘘ではないけど、予告詐欺と言われる。
で、公開後は↓、
”この男が書いた小説(ウソ)を見破れるか。”
詐欺を止めて、本来の面白さを訴求。
ま、予算もあるから出来ることだろうけど、
ここにだどり着くまでに、汗かいてると思う。
電通的な小細工が不快という人もいるだろうけど、
「ベイビーわるきゅーれ」は、中身に比べてPRがあんまりだ。
あと、関係ないけど、日本の映画ポスターはダサいとの声あり。
もっともではあるけど、
ポスターの役割を考えたら、アートである必要はない。と思う。
消費者目線ではなおのこと。
映画って通常、観る前にチケット買うから。
だからこそ、原作モノで手堅くって風潮も生まれる。
ま、それはさておき、
コンビニでおにぎり買うのとは違って、購入の効果が不確定。
映画のチケット購入は、むしろ投資に似てる。
その映画の魅力を伝えることに重点をおいて欲しい。芸術点は求めない。
例えると、通販のコマーシャルでいい。
買わせるための宣伝。イメージ広告のメリットは無い。
情報量が過剰で構わない。
ダイレクトレスポンスというやつ。
目的は映画館に足を運んでもらうことなんだから。
ポスターがダサいと、映画本編もダサいと見なされる弊害はあるけど、
アート系映画じゃない、娯楽作なんだし、いいんだよそれで、
アートなポスターは本編の後でいいよ。
それは、工夫が無いのとは、また違うんだよ。
チケット買うかどうか迷う人の背中押すのが仕事。
マーケティング上手下手が一番分かるのが選挙で、選挙は昔の合戦。
と、ある人から聞いたことがある。
まあ、競合とのシェア争いですものね。
菅総理の偉業とも言えるチョイスで、アベノミクス以来の高値突破ですが、
来週も、バンドウォーク継続するのか?
株価は美人投票と言いますが、
映画のチケットも投票行動。
政権運営の実際の前に投票ですからね。
期待を買うという行為。
あんま、政策とか細かい話でなく、そんなのブレイン次第だし。
コロナ対策では差別化できなそう。
そんな中、期待を売れるかどうか。
保守に寄せた、高市候補が一歩リードですかね。
ベタだけど、レスポンス得られるポスターの顔選び。
ペルソナに刺さる、期待のポイントが大事です。
関係ないけど、ポスターがダサいかどうかという話、
総裁候補の政策の違いに似てて、連想してしまった。
ポスターに大事な視点はそこじゃないと思うのです。
岸田さんでなければ、押し目買いありかな。個人的には。