ドキュメントではないが、実話ベースでシリア難民を描く。
中東の新作映画は貴重で、終わる前に予約。
シリアが題材の本作は、
当然小規模公開で、だいたい日比谷近辺一択。
シャンテは、傾斜もイスも観客に不評。
中でも、地下のスクリーン3は別格で、
盛況とは言えない客入りでは、”一列飛ばし”の対策を実施。
謎が判明しました
1列おきにしか座れないようにしてあります
どうして?
その方が観易いでしょ、とのことでした#TOHOシネマズシャンテ https://t.co/7lPKc5xufw pic.twitter.com/86t3HGWD7Q— コタロン (@kot_sak6) June 20, 2025
その実際を確かめたいとの興味もあった。
予約の段階でスカカス、中央に陣取る。
福本莉子のTOHOシネマズ広告を、ぼんやり眺めていると、
貸し切りかと予想したシアターは、段々と埋まり、
私の選んだ列は完売していた。
なるほど、
前の頭は邪魔にならず、これは正解。
それでも、スクリーンの大きさも、由緒正しきミニシアター。
周りに誰も居ない前方が、より正解かもしれない。
ついでに、QRコード対応も、してくんないかな。
既知な題材と、特に予習せず。
《 開演 》
社会活動家の作品とは言え、意外にも主張は控えめ。かつ拙く、(後述)
”作り物”を感じさせる作劇に、疑問も有れど、(後述)
様々な制約が想像される中、
良作に纏めたブラント・アンダーセン製作監督脚本に、拍手。
細かいこと目くじり立てず、
生きてこそ。
臨場感たっぷり、ドキュメンタリ的撮影も効果を挙げ、
命からがらシリア難民の困難を体感出来ます。
これも映画ならではのイマーシブ(没入)でした。
回転率低い小規模な満足で採算合うなら、理想は正解。
”一列飛ばし”も正解。
余計な事しないで、もう少し純粋に作っていたら、
ベルリンで何か穫れたかもしれない。
長所短所それぞれを、若干語ります。
0.背景整理
1.良き点
1.1.脱出のリアルな撮影
1.2.実話ベース(推測)
1.3.構成の工夫
2.疑問点
2.1.ドラマ過剰
2.2.アサド政権は悪者だけど、
2.3.冒頭の印象操作
※ストーリーは、予告以上の決定的ネタバレはしません。
あ、
服を着たままの水泳は自殺行為で、それは推奨出来かねます。
0.背景整理
本作への疑問は一旦置いて、(後述)
時代背景と、
本作がスルーした事、
それでも、実話を元に描かれた内容。
と大雑把にでも、把握しておきます。
2015年ごろ、内戦でシリア難民は膨れ上がり、
トルコ国境を越え、さらにEU圏目指し、ボートでギリシャへ渡る。
そんな時代が背景で、Wikipedia曰く、
英仏もISILに対する空爆を本格化させているなど、シリアを舞台に各国が思惑が異なる中で勢力図争いを行っており、泥沼の紛争状態が続いている。冷酷で残忍なISIL支配拡張と終わりの見えない内戦は大量のシリア難民を生み、国際問題となっている。2015年7月には全人口2,200万人のうち国外への難民は400万人に達している。
アレッポは当時、ISが支配し、市民への蛮行が蔓延。
その後、アサド政権が奪還、ISは制圧された。
さらに、2017年10月のラッカ陥落以降ISの攻勢は終焉を迎えたものの、紛争は複雑な構成となっており、2016年12月のアレッポでの戦いを制したアサド政権がロシア軍、イラン軍、ヒズボラなどの支援により一部地域を除いて国土の大半を掌握
本作の冒頭、
トランプ批判したいのかもしれないので、
当時の共和党政権の介入は確認しておきます。
米軍、シリア化学兵器施設への攻撃開始
トランプ大統領はホワイトハウスで会見し、アサド政権の「化学兵器使用能力に関連する標的」への局所攻撃を命じたと述べた。さらに、「シリア政権が禁止されている化学物質の使用をやめるまで、我々はこの対応を持続する用意がある」と強調した。
劇中のアレッポの被害は、砲撃ではなく、空爆に見えます。
映画の中では、背景は説明されません。
ISやヌスラ戦線への言及無し、
化学兵器にも、大国介入や、空爆にも触れません。
いわんや、トルコとクルド自治の関係おや。
アサド政権下のアレッポなので、ISから奪還後と時代を特定出来ますが、
政府の非道な弾圧のみが描かれます。
1.良き点
疑問は有れど、
多くの実体験に接してきたこと、窺われます。
偽装難民や不法移民の問題と、一緒くたにせず、
大変な方々は実在と、私は素直に鑑賞します。
プロパガンダが、そこじゃないのは、何とも、、(後述)
冒頭の印象操作だけで、政治的主張は控えめとは言えます。
一旦、素直に拍手。
1.1.脱出のリアルな撮影
主に、描かれるのは、2箇所。
アレッポからトルコ国境超えと、
トルコ北部の難民キャンプからギリシャへ脱出。
トルコ国内のルートは描かれません。
ギリシャへの最短である、トルコ北部のエーゲ海沿岸から、
レスボス島へ向かうと、描かれる。
エーゲ海の北東部、トルコ沿岸に位置するギリシア領の島である。
地理は、鑑賞後に確認しました。
どこまでが、CGやセットなのか、
分かるパートと、区別着かないシーン有ります。
制約の中での再現であり、
リアルに拘れば偉いと、訳でもないでしょう。
ちっちゃい事気にしなければ、脱出のリアルを体感出来。
ドキュメンタリタッチのカメラは大成功と観ました。
緊張感溢れる、役者さん達の演技にも敬服します。
アレッポ市街の戦禍も去ることながら、
トルコ湾岸からのボート決行が、観客に当時のリアルを伝えます。
1.2.実話ベース(推測)
トルコの役者は出演せず、トルコ語も登場してない様子。
このあたり、
エルドアン政権下の制約か、
単純に手配するツテが無かったのか、
撮影は、ヨルダンのみならず、トルコでも行われたらしいのですが、
事情は不明。
イスタンブールのバザールっぽい映像のみか。
しかし、
密航の業者との交渉、そのディテールは特筆すべき点で、
観念的な作品とは一線を画します。
実体験を拾わなければ、得られないはず。
必死の渡航に説得力を与えます。
実際も、そうだったのだろうと、観客の想像力に訴えます。
実話の重みを、臨場感マックスのドラマとして再現、
映画祭の評判から、日本での買付けも成った。
映画館での貴重な体験に、感謝です。
1.3.構成の工夫
政治的理由は、予算など制約も多いでしょうね。
主に2場面で。複数視点から描く。
例を挙げるなら、「桐島」とか。
それはそれで、成功してると観ました。
疑問も有るのですが。(後述)
各国ごとの多重な視点を取り入れたことは、
活動の実績も窺わせ、
一国の問題に留まらない、グローバルな難民問題を意識させます。
効果的な、構成を選んでいますよ。
2.疑問点
とは言え、作劇の姿勢が、テキトー過ぎるかなぁ。
本作、基本褒めたいのだけど、、
2.1.ドラマ過剰
無理やり、ドラマチックに結末用意しなくていいよ。
主軸は、難民の脱出劇なのだから、
周辺の人物の視点を取り入れるのは成功。
でも、
その周辺キャラを主人公とした物語はノイズ。
かつ、ドラマチックな盛り上げには萎えてしまう。
過ぎたるは及ばざるが如し。
いや、やり過ぎは逆効果大。
そういう事するから、ベルリンに参加どまりなんだよ。
2.2.アサド政権は悪者だけど、
ISに言及もせず、
あれでアレッポ奪還後の戦局を描いている事にするのは、
いくら何でも疑問。
世間の評を眺めても、
アサド政権の非人道を糾弾する声も多く、
それは、きっと嘘ではないけれど、
その善悪二元論に乗る?
単純化は、正義中毒への誘導と判断しました。

余計な事せず、人道的立場だけを貫けばよかった。
エンタメだからと、作り手は割り切っているのかもしれませんが、
作品の価値を下げているとしか見えない。
前出の、余計なドラマ削って、
シリア内戦の背景と、当時の現状を、丁寧に描いたら、
ベルリンでもっと評価されたと思うよ。
雑な主張が、勿体ない。
2.3.冒頭の印象操作
トランプタワー映すなら、ジョージ・ソロスも一緒にどうか?
いっそ、エプ文書真っ向取り上げるとか、
批判は具体的にお願い。
映画で、ただの印象操作は止めてよ。
内容は、
不法移民も歓迎とかの、極端なリベラルじゃないのだから、
自ら作品の価値を落とすことも無かろう。
ISの残虐も、化学兵器使用も、
容認は出来ないから、
アサド政権側(ロシア、イラン)も、欧米の介入も、
正々堂々と批判が出来ない。
なら、余計な事せず、
事実ベースで、難民の困難さを、地に足を着けて訴えれば、
それで、充分。
伝えたいことは、伝わったのに。
専門的技量を有する難民に、
その技量活かせる雇用をと、訴えるのは、
納得出来る主張なのに。
それすら、ボケてしまう。
編集の段階で、何とでも出来たはず。
その当たりは、カンヌ金メダル見習って欲しい。
理不尽な政治と戦いながらも、巨匠たる由縁を。
勿体ないけど、
史実を元にした再現としても、
脱出劇のエンタメとしても、
充分、見応え有り。お奨めします。
日比谷の華やかさを抜け、地下鉄で帰宅。
完璧グッジョブと言うには、史実への密着が物足りないが、
良作でした。
2026.07.01 11:30現在
自国が出場しない頃のW杯の方が純粋に楽しめたかもしれません。
自国の敗退で、大会そのものが終わった気になってしまう。
20NAに支持されながら、
イランが去ったとはいえ、W杯中は、もみ合いでしょう。
三角形が明確に見えてから、20MAの向きが変わるかも。
小さめの動き前提と見ています。
