「サニー32」最凶のアイドル映画。実話は佐世保より秋葉原。つまらない否定される方が面白い。

凶悪がモチーフのアイドル映画というアイデアを実現させた北原里英さんにまずは感謝。

それから、
アイドル(偶像)についての映画だということが読み取れない人は流石に、、楽しめない映画です。
それを踏まえて粗すぎって批判は当然と思うけど、ボクはお行儀のよい映画より楽しめたよ。
悪ふざけを楽しめる人ならオススメ。
 
白石監督だし、
秋元康アンチな意味ない批判は無視して評価補正すると、けっこう評判良いのも知ってた。
で、観て最初の感想は、
  
 
  
「based on a true story」をどう映画で描くか、みんな実験してんだな。
パリ行き」に引き続き、非常に意欲的な試み。
ワタクシ大変感銘を受けました。
 
どんな現実の事件を下敷きにしてるか、佐世保や善光寺のドローンだけじゃなく、
教祖の家から死体いっぱい出てくる事件も幾つもありますし、
浅間山荘っぽいとも言える。
 
だけど、ボクはあの、
偶像崇拝と救済なところで、握手会思い出しましたよ。
 
ネタバレ全開で書きますけど、
 
 
北原里英が覚醒して、一人ひとりブチのめして、それから抱きしめて救済。
殴ってから優しくするのDVの典型的手口だなって思いながらも、
一人ひとりハグしてゆくの、握手会だなぁって、
 
これ例えば、「勝手にふるえてろ」の松岡茉優とか達者な人だったら、
ものすごく、緩急自在に高低差つけて、同じフォームで速球とスローカーブ投げ分けるように、
表現豊かに、観客説得しちゃうと思うんですよ。
 
でも、北原里英だと、やっぱアイドルっぽく見えます。
達者過ぎないのがイイ。ももクロは高校野球っていうけど、そういう。
ああ、握手会。
たぶんヲタクに対する本音と、ファンに対する心からの感謝、こんな感じなんだろうなぁって。
 
ピエールが「本物かどうかはどうでもいい」って言いますよね。
ジーザス・クライスト・スーパースター。信じるものは救われる。
二十歳前後の女の子に恋人くらい居たって普通じゃないですか、

でも、偶像だから、そして崇拝する側が常に試される。
お布施払ってさ、何枚も買うんでしょ。
 
 
アイドルという事実に基づいたお話を、
アイドルについてのアイドル映画で、
本人が本人役で演じる。
 
テレビが古くなった分、映画って新しいなって思いました。
 
 
 
門脇麦さん素晴らしかったですけど、本物と偶像の対比。

本物感、さすがのアクトレス。
ピースサイン出来ないように贖罪と存在否定の指折りは、
観てて、本当に痛そうでしたもの。
 
存在が赦されてもいないから、誰ももう罰してもくれない。
自分で自分を罰するくらいしかヤることがない、底なし感。素晴らしかったっス。

まあ、しかし自ら罰するという罪と罰なテーマ一身に引き受けてるのに、
誰が門脇麦を監禁してるんだ! ってとこで止まっちゃうと、
この映画は楽しめない。 
  
「自分で罰し」てるんだから、そのくらいは自分のリソースで答えだそうよ、
とも思っちゃいますけど、不親切な映画ではあります。
パリ行きと同じく、予告編はミスリードですからね。
あざとい商法すんなよって、批判は免れません。
 
 
ま、それはさておき、
アイドルのチープさ、歌唱力期待してる訳じゃないですよね。
山本彩さんは歌上手いかもしれないですが、
今会える距離感がやっぱ大事じゃないですか、

本物の隔絶感を表現してこそ成り立つ映画ですから、 
ルックスも引けを取らず、それ成立させてくれる女優さんオファー受けてくれて、
良かったです。
 
偶像はいずれ辞められるけど、本物は代わって貰えない。
そうでなければ、何かを信じられるかもしれませんね。

いやー、良い物観せてもらいました。
 
沼田まほかるのみたいに、
お話整理整頓して、達者な人ばかり集めて、計算づくで撮るよりも、
こういうアンビシャスな作品の方がわたしゃ楽しめました。
毎回こういうことばかりしてるのは、商業的に厳しいでしょうけど、
たまにはこういう実験的なことやってほしいですね。白石監督。
 
 
 
ああ、それと。
心地いいのはリアリティラインが統一されてるから。
これが出来てないの、観ててノイジー過ぎて、不愉快になるんでしょうね逆に。
デトロイト」みたいに。
 
いい意味で、韓国映画みたいでした。リアリティライン低くて。
終始低いのが素晴らしいですよね。
 
冒頭ストーカーー逮捕の場面で、
警察が「気をつけてください」で済ませてアッサリ帰りますが、
誰もが「気をつけてください」じゃねーだろってツッコミますよね。心の中で、

あれ、このリアリティラインで行きますって宣言なんだなぁって、
 
撃たれて死ぬ人と死なない人が居るのリアリティないって、
そっちかい! 「日本の警察がそんな簡単に発砲するかよ」じゃなくて、 
  
 
リアリティライン低く、勢いだけでやってるんですから、
テンポが悪いなら批判されるべきですけど、
何を求めてこの映画観てんだよって思っちゃいますけど、
 
ま、予告編からして、ミスリードですから、
アコギな商売する方が悪いですよね。
 
 
いろんなこと引っくるめてインチキなとこ楽しめましたよ。

不謹慎な笑いけっこう仕掛けてくるんで、
それ笑えるかどうか、楽しめるかどうかの分水嶺ですかね。
 
 
ああ、それから、この映画の好きなとこ褒めます。
子役のシーン褒めます。
リアリティラインは低くとも、
どんよりとした日本海と小学校の閉塞感は現実で、
教科書破って、バスから撒いても、乗客な大人は無関心なとことこか、
 
カラオケ屋、入っていくとこで、繋いでた手離れるの、
ベタだけど、大好きです。あの場面。
 
信じるって幻想だもの、
裏切った現実の方を否定するしかなかったのか、
 
他に道はなかったかなぁ。
ああ、殺しもせず、死なずに生きてこれて良かったなオレ。

飛び立ちかねつ、鳥にしあらねば。
そういえば、仮定法って学校で習ったんだった。現実で使ったことないけど。

いろんなこと、思い出しますね。
 
 
ついでに、 
音楽褒めます。誰も褒めてないですけど、
AKBなのに、なんで? 
エレクトロ? 石野卓球? ピエールだけに。
 
ってびっくりしましたけど、効果的だと思いました。
浮遊感というか、このグルーブ。
 
やっぱアイドル映画はポップじゃないと。
  
 
軽やかに生きてゆこうと思った次第。 

 
 
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