サムライジャパン金記念。ジュリーを愛でる。「太陽を盗んだ男」「魔界転生」「夢二」時代と需給も考えた。

最近、配信で映画よく観るようになって、
ZOOMセミナー出ても、構成やプレゼンの質が気になってしょうがない。
演出というものを最初に意識したのはジュリーだった。
と、思い出しつつ、
無二の存在になるブランドと需要についても考えた。 
 
ニーズを見極めるクレバーもいれば、
覚悟を体現するブランドもあると、改めて知る。
 
 
 
ある不動産投資系の有料ZOOMセミナーに参加してみた。
散漫すぎて、苦痛な3時間(!)だった。有効だった内容も10分くらい。
内容以前にうんざり。
 有料コンテンツなら20分の動画にまとめる。
 プロモーションなら90分で、もっとましな台本用意できる。
セミナー出席するより前に、資料と構成手直ししたくなった。
 
セミナーだって、プレゼンだって、
相手とニーズとコミュニケーションだと気付く。
相槌を打つとかいうレベルの話でなく、
マッチングのズレを補正してゆくのがコミュニケーション。

営業さんでも、
接客は出来ても営業として付き得えないという人が数年前にいたな。
最近ようやく、コミュニケーションの意味を補正出来た気がする。
  
 
それはさておき、金メダルおめでとうございます。
無事終わって、良かったね。
で、 
サムライ日本と言えば、畳バージョン。

リアルタイムに強烈でしたけど、子供にはなんだか分かりませんでした。
ただただ、スゲーもんを観たと。

改めて観ると、全てがクオリーティ高く驚く。
夜ヒットのプロデューサーがジュリーだけ特別扱いした理由が分かる。
ジュリーの歌、パフォーマンス、美貌だけでなく。
演奏が、井上バンドにダン池田にコーラスまで、という豪華さだけでなく、
衣装、セットだけでなく、
カメラ、照明、スイッチング。
もう、総力戦で完璧だったんだ。
  
 
阿久悠は、映画の脚本書くように歌詞を書いていた。らしい。
「勝手にしやがれ」はベルモントで女が出てゆく。
サムライ」はアラン・ドロンで男が出てゆく。
愛の嵐に唐獅子牡丹で三島由紀夫。
子供に分かる訳がない。
 ただただ、よくわかんないけど、スゲーものを観た。
 ちょっと怖くて、なんかムズムズする。
子供には不健全なのか、文化的体験出来て良かったのか、影響の善悪は不明。
演出というものの初体験はやっぱ、ジュリーだったと思う。
  
  
で、
今なら地上波じゃいろいろとアウトだけど。
TVと歌謡の最後のピーク。
80年代に入るとたのきんトリオも出て、
アイドルとレコード購買層の若年化が始まる。
子供にも分かる健全さの時代になって行った。
普通の大人はレコードなんて、もう買わなくなった。
80年代中期くらいまでか、
ジュリーがジュリーでいられたのは。 
 
 
YoutubeかAmazonで観られるジュリーの映画を観ることにした。
「炎の肖像」「ときめきに死す」はまた別のサブスク入る必要あるらしく断念。

Youtubeにありました。
これも井上バンドでテーマ曲が優雅ですね。

https://youtu.be/pgkKnzbtMCk
カルト・ムービーと言われるのは抵抗あります。堂々たる娯楽大作です。
長谷川監督がこの後一作も撮ってないのと、 
長らく、ビデオでも観られなかったからでしょうか。
 
 批評家筋からは絶賛されたのに、興行的にはパッとしなかった。
 なんでだろう?
 黄金期のジュリーでもこの映画と、「ロンリーウルフ」はあまり振るわず。
 (もちろん子供の私には、
  ”これで愛なら抱くんじゃなかった”
  なんて意味は分かりません)
 
 作中「スーパーマン」(クリストファー・リーヴ版)の看板が写ります、
 もう「スターウォーズ」が登場して、明るい娯楽回帰の時代、
 影のある孤独な男は、もう時代じゃないのかな。
 ジュリーも次は「TOKIO」で当てるけど、明るい曲の時代になった。
 やはり、戦争が終わって70年代と80年代の時代の転換ですかねぇ。
 需要が変わったのか。 
 この映画まだ、ニューシネマっぽい。
 
 内容に関しては、
 長谷川監督は画作りが抜群に上手い。
 OPのバスジャックから、
 一幕目の原爆完成まで、完璧じゃないですか。
  予算の都合で発電所がチャチくなったそうですが、気にしません。
  ただ、
  ドラマとして嘘をつくなら、プルトニウム持ち出しの一回だけにすべきか。
  製造工程は緊張感あって、猫の演出も見事。
 
 二幕目の捜査と脅迫。
  途中までは、モンタージュで池上季実子の顔とか、画がすごい。
  が、この辺から、脚本にほころびが、、
   菅原文太がそろそろ犯人との接点に気付く、
   逃避行で、池上季実子が車で助け舟出す、
  で良かったんじゃないのかなあ。
  それならお話破綻させず、120分程度の尺で高い完成度だったはず。
  ここから、魅せたい画を優先して、お話はないがしろです。
 
 三幕目の追いかけっこになると、
  魅せたいアクションが優先で、
  サスペンスの盛り上げが準備不足の感否めない。
  流石に荒唐無稽と言わざるを得ない。
  それがちょっと残念ですね。
 
 ま、しかし、CG無い時代の、無茶な撮影も一見の価値あります。
 ジュリー主役でこんな映画撮れたこと自体が奇跡ですかね。
 その後、長谷川監督が撮れなくなるの残念ですね。
 時代なのか、政治性なのか、
 これが売れないんじゃ、日本映画冬の時代もやもなし。
 映画もアイドル路線にシフトしてゆきます。
 
 
  
深作欣二監督と角川映画がタッグ組んでた時代。
「柳生一族の陰謀」以来、十兵衛が当たり役のソニー千葉、脂ノリ切った全盛期。
そこに、天草四郎のジュリー。この時点で勝ちです。
角川のプロモーションも功を奏した。

そんな角川ですが、深作監督といえば、
 東映「宇宙からのメッセージ」 角川「復活の日」
 東映「柳生一族の陰謀」    角川「魔界転生」
という対比考えずにはいられません。
SFと時代劇の違い。
「スターウォーズ」に乗って、東映で作られた「宇宙からのメッセージ」。
B級SFとしての評価はいろいろなようですが、海外展開でペイしたそうです。
一方、「復活の日」は大コケ。
動員はそこそこだったそうですが、
SFは制作費が膨大でカバー出来なかった。
 
SFって、国内の需要あまりない。アニメじゃないと。
それなのに制作費がかさむ。
かつ、日本映画かSFで海外展開のニーズもなく、
(ヤクザものならいざ知らず。「片腕マシンガール」とか)
日本で実写SFって、マーケティング的には戦う前から負け戦。
構造的に無理ゲーなのに、「宇宙からのメッセージ」よくペイしましたよ。
 
 逆に、時代劇でスペクタクルなら、海外でも行けるでしょう。
 全盛期の千葉ちゃんですよ。
 ま、ジュリー人気もあって国内でヒット。
 程よいエロとバイオレンスは流石の巨匠。堂々たる娯楽作です。

 確か、深作監督は編集には頓着しなかった。と聞いた気がする。
 本作、編集はちょっとアレです。
 しかし、撮影がすごい、CG無い時代の命がけ。
 劇場で観たら、それだけで充分だったろうな。
 
 脚本は苦心のあとが見受けられ、人物をだいぶ整理して尺に収めた。
 それでも、もうひとり、ふたり、
 室田日出男か真田広之、少なくともどちらかは減らした方が良かった。
 人物の説明が長いのと、真田広之の扱いが中途半端で。
 
 もし、真田広之残すなら、シンプルでよかったのに。
  千葉真一に破れて、そこで娘にほだされて、正気に戻るところで、
  ジュリーに始末されてしまう。
 って、流れじゃないと、キャラがノイジー過ぎ。あれじゃブレ過ぎ。
 もったいない真田広之の使い方。「アベンジャーズ/エンドゲーム」みたい。
 
   
 村正の妖刀の刀鍛冶として丹波哲郎が出てきます。
  最初に千葉十兵衛が緒方武蔵に歯が立たず、
  村正でないと勝てない。
 というシーンが無いと、いきなり丹波哲郎登場させては、
 ドラマとして盛り上がらない。
 
 どうせ、千葉真一vs真田広之の師弟対決がないんだもん。
 だったら、
 二幕目は十兵衛vs武蔵をメインに盛り上げないと、
 せっかく転生させた意味ないじゃん。
 二回目で勝利って運びにしたかった。
 
 室田日出男と真田広之の両方減らして、
 一幕目の知恵伊豆の成田三樹夫と天草ジュリーの対決も、
 もっとコッテリやって欲しいところ。
 寛永の飢饉が背景なのだから、
 もっと成田三樹夫が弾圧側として描かれていい。
 
 クライマックスは、
 ジュリー→若山富三郎の順で、
 千葉真一vs若山富三郎の炎の対決で締めるべきだよなぁ。
 最後は、本物のチャンバラをたっぷり観せて欲しい。
 
 
 尺に収めるのなら、最初からもっと整理しても良かった。
 役者、撮影、セット、衣装とほんとに絢爛豪華。
 なので惜しい。
 ま、完成度より勢い。深作作品らしい成功といえば、成功。
 
 
ちなみに、「宇宙からのメッセージ」のアイデアは里見八犬伝で、
この後、角川深作コンビは、
薬師丸ひろ子と真田広之で「里見八犬伝」も大ヒットさせる。
 
角川春樹社長が、SFに懲りて、マーケティング視点で企画当ててた時代。
生き残るには、そういうクレバーさが必要ですね。この人みたいに↓。

かしこ過ぎて、呆れるくらい。需給の読み。
何が求められているのか、こんな的確な人は居ない。
欲より分析。気持ちより理性。 
  
 
 
最後は、よく分からないけど、なんかスゲー映画。
清順美学というけれど、なんでこんな映画成立すんだろう。

お話は、言うだけ無駄。理解の努力は無駄。
という前提で観ました。というか、そう観ざるを得ない。
 
 私は何回か寝ました。
 劇場で観てたら寝っぱなしだったでしょうね。
 これを娯楽作という人が居るのが不思議だ。
 アートとして鑑賞するしかないよ。

 この動画↓、先に見ておくべきでした。
 
 史実の夢二を相当に、忠実に描いている。
 女優陣が実際の女性と似ています。
 映画観てる最中も思ったのですが、
 女優さん達美しいというのとはちょっと違う。
 独特にアンバランスで、整った美人とはちょっと違う。
 パーツは大きいけど。
 
 作中、夢二の絵は下品と言わすのもいいですね。
 儚さよりも、猥雑さにフォーカスしてます。
 猥雑な美だから、ロートレックって言われるんですね。
 
 夢二なら、玉三郎の方が適役じゃないかと最初思ってました。
 なるほど、儚さは出せても、玉三郎じゃ上品過ぎるってことか。
 
 そこで、
 色男には変わりなくても、オジサンになったジュリーを登用。
 パーツの大きい顔が夢二の絵のよう。
 本人に似てるというより、絵に似てる。

 多分、夢二の絵について、もっと理解があったら、
 モチーフにしてるシーンもっと分かるんだろうな。
 
 ストーリーはどうでもいいから、
 夢二の絵と、清順の画を堪能すればよい。
 そもそも、セリフがヘンで、急に奇声あげたり、
 (多分、寝てる観客を起こすため)
 感情移入のしようもない。
 ジュリーだけが大根って問題じゃないと思うよ。
 
 1991年公開で、1990年にバブル崩壊なので、
 ギリお金があったから、全編スキ無くこんな映像可能だったのか、
 いや、2000年代も評価の高い映画撮り続けるものな。
 画面は異常な完成度だ。衣装も座敷もお金掛かっただろう。 
 そりゃ一作ごと時間掛かるよ。企画の段階から。  

 ブランドとは、そういうものなのか。
 唯一無二とは、この人のこと。
 
ブランディングはマーケティングを不要にする。らしい。

やることより、やらないことを決める方が重要らしい。
1980年代に入り、「ツィゴイネルワイゼン」で復活、一切妥協なし。
ブランドは覚悟だと驚嘆した次第。

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