以下4つの理由から観に行くと決定。外出の予定のついでに。
・特にyoutube界隈から不当にスルーされているようで判官贔屓が湧く
・単なる純愛感動ものとも、社会不適合者甘やかしハートウォーミングとも、
一線を画す原作
・強迫症という、世間から無理解で厄介な病気に関心を抱く
・内田英治監督の変態な作家性をこの目で確かめたい
・特にyoutube界隈から不当にスルーされているようで判官贔屓が湧く
同時期に公開の「ファーストキス」に話題をさらわれている。
似たような夫婦純愛感動ものに完敗か、
一部アイドルファンを除いて、松たか子主演ばかり感想動画が上る。
また、
前作「サイレントラブ」は酷評が並んだのに。今回はさっぱり。
漠然と、次は何を観ようか、と感想動画を検索していて違和感。
歌の感想ばかり。
いくらなんでも不自然な黙殺、いつも通り好物の酷評すればいいのに。
理由は想像したが、正解は分からない。
競合に話題を独占され、再生数回らないと見送ったか、
圧力やアイドルファンの反撃を恐れたか、
酷評でも絶賛でもないから、やりづらいのか、
だったら逆にと、やる気が出る。
その前に、もしかして、取るに足らない作品なのか原作で確認。
・単なる純愛感動ものとも、社会不適合者甘やかしハートウォーミングとも、
一線を画す原作
ちょうど漫画版がunlimitedだったので一読。
夫の強迫症が潔癖を悪化させ、セックスレスから夫婦が、すれ違う。
なかなか深刻な題材で、苦悩もよく描かれる。安くない。
絵柄から、ただのエロ漫画かとも間違うが、さに非ず。
大人の鑑賞にも耐える作品と見た。
まだやり直しの利く年齢だし、
これは、別れるしかないんじゃないと読み進めると、
ヒロインの決断の見事な演出にヤラれる。
予告編を見る限りでは、原作にそこそこ忠実みたい。
アイドルだがらと言っても、演技は上手そう。
映像はスクリーンでも美しいと想像。
・強迫症という、世間から無理解で厄介な病気に関心を抱く
強迫症は精神の病。予習としてその知識を得る。
放置すれば悪化する。
この病気は、50人から100人に1人が発症し、多くの場合、自然には治りません。病気の性質上、何も手を打たなければ、転がり落ちるように症状は悪化していきます。
かつての私以上に重症の患者も数多くおられます。不安に支配された結果、〝聖域〟である自分の部屋や、極端な場合には自分のベッドから出ることができなくなった方。不潔を恐れて、お風呂や手洗いに3~4時間、それ以上かける方。症状の形は様々ながらも、四六時中強烈な不安に圧倒され、また強迫の行動に駆り立てられ、社会生活が立ち行かなくなった方は少なくありません。仮に症状の程度が軽くとも、仕事や学業、家庭への多少の影響は免れないでしょう。
本人も家族も人生を変えてしまう。単なる思いやりで解決はしない。
この病気の重大な症状の一つに、家族や友人への「巻き込み」というものがあります。本人の不安を解消するために、近しい人に特定の行動を強いる症状を指すのですが、これが思いのほか厄介です。場合によっては、患者と同じくらいに家族を徹底的に追い詰め、良好だったはずの家族関係を破壊します。脅すようなことを言いたいわけではありませんが、残念ながら、これはよく知られた事実です。つまり患者の家族も、強迫症という病気の影響を大いに受けていることになります。
強迫症とは、多くの方の人生を変えてしまう病気と言えます。もちろん、極めて悪い意味で。
世間に認知されず、治療も進まず。
専門家の数は多くありません。ましてや、精神医療従事者以外の一般の方が、どれだけこの病気のことを知っていると言えるのか。残念ながら精神医学界にも、社会全体にも、強迫症の知識が膾炙していないのが実情です。そのために、実は強迫症を患う多くの方が、これを病気と認識しておらず、あるいはどこに受診していいか分からず、怖さのあまり病気と戦うこともできず、強迫との共存を強いられているのです。
不安を制御する認知行動療法。大変だけど専門的な手段はある。
行動への介入というのは、すなわち強迫行為を止めるということです。安全を確認したくても、確認しない。手を洗いたくても、手を洗わない。無論、これを止めれば、その性質上、必ず強い不安が襲ってきます。病状によっては不安に従って行動しなければ人生がおしまいになると錯覚するくらいの強さの不安に襲われます。普段であれば不安に負けて強迫行為を実行してしまうところですが、そこで歯を食いしばって我慢します。大火事で人が大勢死ぬイメージが湧こうと火元の確認をしない。死の感染の不安に襲われようと手洗いをしない。どんなに落ち着かなくても、どんなに気持ち悪くても、いつもの儀式を行わない。こうして不安や嫌悪の対象に「暴露」し、強迫行為の「反応妨害」を行います。
-中略-
葛藤し続け、悶え苦しみ、じりじりと脳味噌が焼かれるような苦痛を味わいます。しかしそれは数時間以内に必ず終わりが訪れ、ただの錯覚だったことに気付きます。その未来を予め知っていれば、この不安はただの錯覚であることが信じられ、我慢して耐える力も湧くものです。
こうして不安が自然に消えたところで、1回の暴露反応妨害が終了します。
休憩しなくてもダメ、引きこもってもダメ。(どうすりゃええねん!)
よって自宅で休息してもらいます。しっかり睡眠を取り、とにかくエネルギーの回復に専念します。中途半端はいけません。自宅で下手に活動すれば、その中に必ず不安の種を見つけ出してしまうからです。 また、休息は長すぎてもいけません。家に引きこもりすぎると、かえって症状が悪化しがちだからです
突き放すのも大事、お花畑なハートウォーミングは逆効果。
「巻き込み」は強迫行為の一種であり、そこに生産性は一切ありません。家族が「巻き込み」に応じることは、患者の疾病構造の強化に与することを意味します。それを知っていてもなお家族は「良かれ」と思って「巻き込み」に応じてしまうものです。確かに、少なくとも一時的には患者を安心させ、場合によっては感謝すらされるのです。「巻き込み」の応需が家族としての正しい行いだと思い込んでしまっても不思議ではありません。逆に「巻き込み」に応じなければ、不安で苦しむ患者を横で見続けることになりますから、まるで自分が間違ったことをしているかのように感じられるかもしれません。このジレンマは強迫症家族の多くが経験します(私の家族もそうでした)。
しかしながら、言われるがまま「巻き込み」の要求に従い続ければ、次第に患者の強迫症状は悪化していきます。そしてその要求も際限なく拡大していき、そこに限界はありません。多くの家族は「ここまで要求に応えたのだから、これ以上はもうないだろう」と思ってしまうものですが、残念ながら次はその上を行き、どんどん要求が増え、かつ細かくなっていきます。
敵は病、家族がチームとして戦う。
本人が変わるためには、家族も変わる必要があるのです。不憫だ、かわいそうだ、と思うだけでは結局患者を救うことはできません。言うまでもありませんが、患者本人としても、このような家族の対応を他人事として捉えず、チームワークを意識しなければなりません。患者と家族は、強迫の克服を共通の目標とした、一つのチームなのです。
漫画版を読む限り、
妻は店に出て、夫は家で創作活動、籠りっぱなし。
結婚後、知らず知らず病状を悪化させ、8年ほどで危機に直面。
専門家への相談は受けていない。
潜在のまま、重症化して苦悩する実例も多いものと想像される。
日本社会が強迫症そのもの。優れた設定。
これは悩んでしまうなと共感させる人物の描写。
原作者は取材の上、敢えて強迫症の情報は明かさず、
緻密に物語を組み立てたと想像された。
・内田英治監督の変態な作家性をこの目で確かめたい
評価を確立した「ミッドナイトスワン」も未見。どんな監督か私は知らない。
そこで前作の評が興味深い。作家性が解説される。
曰く、
「ミッドナイトスワン」「サイレントラブ」共に、変な作品かつ魅力あり。
一方だけ絶賛し、他方を酷評はダブルスタンダード。
常に歪な作りであり、それ故に独特の世界観を産み出している。
ま、そういう話をしてくれるyoutuberは稀。
酷評に我が意を得たりと喜びながらも、変態を愛でる。
そういう映画の楽しみがあり、
そりゃ今、
ストーリーで驚き感動したいなら、坂元裕二の右に出る者は居まい。
個人的には「怪物」で懲りた。
世間に受けが良いのは分かるけど、ドラマでも漫才でも、
伏線回収やどんでん返しが過大に加点される。
自作なんだから、ヤルのは難しくない。破綻なくヤルのは難しいけれど。
私は出来れば、別の新鮮さを味わいたい。
そこで、変態性を予習。サブスクで予習。
ヒロインの瀧内公美と独居老人の組み合わせが、「敵」と同じで興味惹かれる。
「チェンソーマン」みたいな作風。
「全裸監督」もそうだったが、妙なところで可笑しみを出す。
”そんなわけあるかい!” とトンデモ展開にツッコミつつホラーに笑ってしまう。
異常をちゃんと異常に描くのは正常だから。主観で異常な世界観を表現。
客観的な現実はどうか知らんが、その人物からはそう見える。
確かに、
歪んだ認知を魅せるのが、上手くて独特。
これは希少。
地獄への道を善意で敷き詰めて正義に満足する、歪んだ認知を正常とする、
そんな感動映画が多く評価される世の中、
に逆行する資質。
(リベラルの断末魔「ザ・ルームネクストドア」看取りに征こうかな)
とはいえ、オリジナル脚本と原作ものでは、勝手が違うのでは?
”感動した” という人も多いみたい。
映画サイトで新堂冬樹の映画化の評価を検索。
アイドルファンに限らず、高評価はスルーして探す。
”医者を悪者に。病気の扱いが雑。感情移入できない。” との低評価はあるが、
福田雄一と違い、原作ファンの憤りは見つからなかった。
原作ものは、変態性控えめなのか、気になった。
予習はそこまで、
相場も休みだ、寒いが予定通り出掛ける。
歌も上手いのね。
素晴らしい出来栄えでした。
カメラ動くのは苦手だが、撮影は綺麗で、演技も良い。予想通り。
原作よりイイんじゃないかと思うほど、脚本は素晴らしかったね。
内田監督は何故か韓国人をよく使う、本作K-POPスターは難しい役どころを好演。
見た目は同じ東アジア人だが、日本人同士ならニュアンスで伝わるところを、
はっきり言わねばという設定も上手い。
文句の付け所のない、ちゃんとした感動作でしたよ。
ただ、
真面目な作りだけに、エンタメ要素が削がれて、
興行的には難しくなったか。
悪名は無名に勝る。
ツッコミどころ無ければ動画上げないのはズルいと思うが、
なまじクオリティが高いと触れてももらえない。皮肉なもんだな。
内田監督はヘンなことせず、しかも長所は存分に発揮していた。
潔癖症の家の中はヤバい。ディテールのこだわりが饒舌に現実を描写。
これは医者に診せなきゃダメだろうと、判断するべき背景が示される。
が、当人二人は病状に慣れてしまって、深刻さに気付けない。
客観の異常と主観を描き分けて上手い。
ヒロインはクソ女な振る舞いを時々するが、もう脳がヤラれている。
別れて共依存を解消しなければ、回復しないと予感させる。
(より戻さない方が良いと思う。)
医者の客観性は、患者の楽観を対比的に映す。
専門家には分かっても、当人は深刻さに気付いていない。
作り手は、病気に対しての理解度も高いと想像される。
逆に、
突き放した態度が冷たいと、観客に受け取られるところに、
「ホールドオーバーズ」とか、
「アイライクムービーズ」とか「リアルペイン」とか、(見ないけど)
それらの社会を地獄へ導く無責任な善意たちが、現実を侵食する。
その隙を与えてしまっている。
そんな現実と隣合わせの恐ろしさも体感させる。
改変で追加された、病人の父親の無理解と同根で、何ら事態を好転させない。
理解されない地獄を実に的確に描いている。
地味に恐ろしくて、誠実に感動させる作品だった。
こういう真面目な作品は評価しないで、
邦画がダメだと抜かす輩はクソだと思うのだが、
良いもの作っただけでは売れない。ビジネスは難しいね。
手も握れない悲しみにも種類があるが、感動ものは歌うまに限る。
映画もブレイクして欲しいものである。
2025.02.11 現在
日本株はドル円と連動して動きそう。
上がれば我慢して追い、-2σへ来たらある程度利確。
そのつもりで、まだ動かない。